水城 議員の質問と答弁

○41番(水城四郎)登壇 皆様こんにちは。
 みらい福岡の水城四郎でございます。本市の災害対策について質問をしてまいります。
 質問に先立ちまして、先日の9月3日から4日にかけて日本を横断した台風12号は、多くの自治体で死者、行方不明者、11道県で100名を超える平成になって最悪の台風災害となりました。このたびの災害で被害を受けられました被災地の方々に心からお見舞いを申し上げる次第です。
 世界を初め、我が国内でも大規模災害が続いています。3.11東北大震災から半年が経過しました。震災、津波による死者、行方不明者は約2万人、その被害総額、政府試算で原発事故を除いておよそ25兆円に上ると言われ、甚大な被害となりました。私どもみらい福岡市議団は、6月の初めに何か役に立ちたい思いから、政務調査費ではなく自費で被災地に入り、仙台市の若林区で民家の土砂処理ボランティア活動に微力ではございましたが従事してまいりました。現地の空前絶後、その惨たんたる光景が今でも頭から離れません。改めて御冥福をお祈りするとともに、被災地の皆様にお見舞いを申し上げます。そして、一刻も早い被災地域の安心感ある新しいふるさととしての早期復興を心より願うところであります。
 一方、福岡市の真の安全、安心は被災地の復興を願うばかりでは訪れません。本市は平成11年、15年、21年、近年において3度の大きな水害を経験し、そして6年前の平成17年3月20日には、あの福岡西方沖地震を経験いたしました。今後の予測として警固断層直下型地震が懸念される中、災害対策とは、学んだ教訓をみずから具体的に行動してつくり上げていかなければならず、つけ焼き刃ではできない日進月歩の積み上げこそ大事なのです。あす起きるかもしれない大規模災害の恐怖に対し、国はもちろん、自治体、企業、地域、住民が現実に目を背けず、具体的対策の取り組み強化を急ぐべきときが来たのです。そのために、私は市民生活の真の安全保障確立のため、今期もその職責を果すべく全力で取り組むことをお誓いし、今後も粘り強く指摘、改善、要望を行ってまいりますので、市長を初め関係当局の皆様の一刻も早い取り組みを期待するものであります。
 ことしで9.11同時多発テロからちょうど10年、本市危機管理課設置から10年目になり、災害対策は一歩ずつ改善してきましたが、特に今回の未曾有の大災害は、私たちにさらに多くの新たな課題を投げかけました。また、くしくも3月11日に発生した東北大震災から半年がたち、日本はこの巨大地震を契機に、本格的に巨大災害の活動期に入ったとも言われています。津波から福島原発事故を踏まえ、危機管理対策は一自治体だけの問題ではなく、広域災害を視野に入れた対策を急がなければならない、その課題が現実となったのです。
 今回は、私が実際に現地で調査してきた内容や地域住民からの声をもとに伺ってまいります。
 まず、20大都市災害時相互応援に関する協定についてですが、今回の大震災では、人的災害が幾つかの政令市を含む1都10県に及ぶなど、広範囲にわたり被災し、被害の全体像の把握に時間を要しました。そのため、被災者に対するさまざまな支援がおくれ、避難所等への救援物資や燃料などの不足、被災自治体や避難所などにおける人手不足など、さまざまな課題が浮き彫りとなり、被害の全体像の把握に時間を要したのは、地震や津波により情報通信、インフラが機能せず、安否情報や避難情報の把握が困難であったことや、初動期に情報収集を行うべき自治体職員の多くが被災し、正確な情報を早期に収集することができなかったことなど、さまざまな要因が挙げられています。
 このような大規模かつ広域災害に備え、政令市の間では、災害を受けた都市独自では十分な応急措置が実施できない場合には、被災都市の要請にこたえ、被害を受けていない都市が相互に救援協力し、被災都市の応急対策及び復旧対策を円滑に遂行するための災害時相互応援協定が締結されていますが、今回の東日本大震災を受け、福岡市を初めとする政令市は協定に基づきどのように対処されたのか、また、政令市間の調整はどのようにされたのか、お尋ねいたします。
 次に、東日本大震災で被災された方々の本市での受け入れ状況についてお尋ねします。
 東日本大震災復興対策本部の発表によりますと、8月25日現在で約8万3,000人の方がいまだ自宅に戻れず避難生活を余儀なくされております。この中には避難所だけではなく、仮設住宅や県外の公営住宅などに避難されている方も含まれているようですが、現在、本市において受け入れている被災者は何人で、どのような形態で受け入れているのか、さらに、本市では受け入れた被災者に対してどのような支援を行っているのか、お尋ねいたします。
 次に、広域災害にかかわる問題として、原子力発電所の問題についてお尋ねします。
 東京電力福島第一原子力発電所が被災し、原発から3キロ圏内には当時の夜から政府の避難指示が出され、20キロ圏内は立ち入りを禁止する警戒区域に、20キロから30キロを緊急時避難準備区域に、30キロ圏外を計画的避難区域と定めるなど、その影響は今もなお広範囲に及び、東電や政府の初動体制に問題があり、処理対策のおくれから、現在、二次、三次災害、そして食品に至るまで甚大な被害をもたらしています。
 私は先日、同じ政令市である新潟市を訪問し調査してまいりました。新潟県柏崎市には世界最大級の東京電力柏崎刈羽原子力発電所があり、原発から新潟市は近いところで35キロ、中心部で50キロという位置にあり、玄海原発から本市までの距離と地理的に類似しています。そうした中、新潟市は国の迅速な情報提供がない中、また、情報が錯綜する中、市独自の判断で3人の職員が車に同乗して福島県に向かい、情報収集に当たったと伺い、その危機管理意識の高さとフットワークの軽さに大変感心させられました。また、現在は県下30の市町村が集まって専門家を招き、原子力発電に関する勉強会を実施し、原発事故への対応について検討を進めているとのことでした。
 そこでお尋ねしますが、佐賀県の九州電力玄海原発から最も近い場所で37キロの福岡市においては、広域災害としての原発事故の対応について、現在どのような検討を進められておられるのか、市民にわかりやすくお答えください。
 次に、地域における共助の取り組みに対する支援についてですが、市民にとりましては、今回の大震災は大きな衝撃を与え、災害に備えて何かをしなければならないという意識を大きく変えさせたということです。地域の共助の取り組みとしては、自主防災組織が現在では98%に達していますが、その内容は自治会関係者が主でとどまっているのが現実です。
 今後は、全市民の避難ルートの仕組みづくりや防災の自発的な活動をいかに活発化させるかが重要で、そのスキームを過去の質問において提案しておりましたが、その後、どのような検討を行っているのか、お答えください。
 そうした中、災害対策に高い意識で活動する町内会が存在しているのですが、このような自発的な取り組みを市は育て切れておりません。例えば、自主防災組織、町内会から地域の身近な避難場所の公園にテントや炊き出し用具などを保管させてほしいとの地域要望を数年前から受けているのですが、役所の窓口に相談に行くと、断られているといった市民の声が上がっています。
 そこでお尋ねしますが、このような相談に対して、公園についてはどのような法令に基づき対応を行っているのか、お答えください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(森 英鷹) 阿部市民局長。
○市民局長(阿部 亨) 災害対策についてお答えいたします。
 まず、このたびの東日本大震災に伴う各政令市の対処につきましては、20大都市災害時応援協定に基づき、被災都市への救援物資の輸送などの物的支援を初め、医師や保健師、介護職員、心のケアチームの派遣などの人的支援を行ったところであります。政令市間の連絡調整等につきましては、相互応援協定の円滑な運用を図るため、協定の実施細目に基づき、年度ごとの輪番により定める幹事都市が務めることと定めておりますが、今回の震災では、幹事都市である千葉市が被災したため、副幹事都市である札幌市がその事務を代行いたしております。
 次に、東日本大震災で被災された方々の福岡市での受け入れ状況についてのお尋ねでございますが、福岡市では9月9日現在で48世帯114人を主に市営住宅などの公営住宅で受け入れておりまして、家賃の減免、衣類や家具の無償提供、スポーツ、観劇への招待などの支援を行うとともに、「がんばろう日本」福岡・九州推進協議会と連携して支援金の支給を行っております。また、就労を希望する被災者には福岡市の臨時職員として雇用するなどの支援も行っております。これらの支援の情報は、月2回、被災者に送付しております震災支援かわら版に掲載してお知らせをいたしております。
 次に、原発事故の対応についてでございますが、現在の福岡市の地域防災計画には原発事故を想定した災害対策の備えがないことから、現在、本年6月に設置しました地域防災計画見直し検討委員会において、避難対策などについて専門家の知見をお伺いしながら検討を進めているところでございます。なお、検討に当たりましては、広域災害に対応する必要があることから、佐賀県や福岡県を初め、近隣自治体や関係機関等と十分連携を図りながら進めているところでございます。
 次に、自主防災組織の活動の活性化につきましては、地域における先進的な取り組みなどを出前講座や自主防災組織リーダー研修会などにおいて各組織に情報提供を行うとともに、道路下水道局や区役所、消防署と連携して、地域への土のうの配備や防災訓練の支援など、活動の促進に努めてきたところでございます。今回の東日本大震災の発生を踏まえまして、自主防災組織による地域住民への防災意識や知識、技能のさらなる普及啓発の促進を図るなど、自主防災活動の活性化に向けた方策について、関係部局と連携してさらに検討を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 馬場住宅都市局長。
○住宅都市局長(馬場 隆) テントや炊き出し用具などを保管する倉庫の都市公園への設置についてお答えいたします。
 福岡市の都市公園では、安全で安心な市民の憩いの場としてオープンスペースを確保する必要があることや、管理する上で事故や死角を防ぐ観点から、現在、公園内に設置できる施設としましては、都市公園法及び福岡市公園条例に基づきまして、清掃用具を収納する管理用倉庫などに限定しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) まず、20大都市災害相互応援についてですが、答弁にありましたように、今回の広域災害の対応を振り返ってみると、各政令市は札幌市の調整のもと、相互応援協定に基づき、被災都市への救援物資の輸送を初め、被災者の救出や医療、心のケアなど人的支援を行うなど、協定の目的に従って相当な努力をされたと伺っています。
 私は7月に札幌市を訪問し、今回の災害対応についての実態を調査してまいりました。あの惨たんたる広域的で複合的な災害が発生し、まさに国家緊急事態の状況であったにもかかわらず、災害直後から何と驚くことに国からの情報提供や指示は全くなされず、各自治体がみずから現地に入り、情報収集や調整を行っていたという実態が明らかになりました。先ほどの新潟市も同じ状況です。結局、あれだけの広域大規模災害があっても、初動対処は地方任せという現実を改めて突きつけられました。つまり、広域大規模災害に対し、我が国は情報を共有提供し、総合的な指示を出す機関が機能していないということになりはしないか。今回の国の対応の悪さも地方自治体任せにしてきた過去の長い歴史があるからではないか。また、復興処理も本市の災害事例を見てもわかるように、福岡西方沖地震のときも激甚災害指定は受けられず、結局、自治体が大部分をかぶってきたことをかんがみれば、どんな災害が発生しても初動から復興まで、ほとんど地方自治体が主体的に解決していかなければならない現実から、私は平時の予防対策や危機管理など、取り組みの強化の大切さを訴え続けているのです。
 さらに、随分前から被災者救済支援法が国では議論されてきましたが、現在に至っても結論は出ておらず、その間、災害が繰り返し起こる中、結局、今回も被災者支援が隅々まで行き届かず、現在、復興予算も決まっていない現状から、この国の危機管理体制や対処の脆弱さを露呈した結果となる災害となりました。国とは一体何なのか、私は国と地方の関係のあり方を見直す機会だと考えています。防災におけるハード面のインフラは、おおむね自治体が金を捻出してつくり上げてきたことを考えると、分権時代にあって国は予算も十分に確保されていない中、災害規模にもよりますが、今後は地方独自で予算を確保できるのか課題であります。また、被災者の受け入れも同様で、本市は100人を超える被災者を受け入れているとのことで、今後ともしっかり支援をしていただきたいと思っておりますが、一方その経費については、一部を除ければ受け入れた自治体の負担となっているのが現実です。体力のない市町村はどうなるのか、課題は山積しています。大規模かつ広域的な災害対応には国からの迅速な情報や財政支援は必須であり、責任を持って対処すべきです。欧米先進諸国はそうなっています。今回のことを踏まえ、特に広域災害としての原発事故の対策については、福岡都市圏など、広域的に関係自治体の協力、連携が不可欠で、国に対して改善要望を強力に申し入れていくべきと考えます。
 さて、協定に基づく調整役については、幹事の千葉市が被災したため、副幹事の札幌市が手を挙げて務めたということでしたが、この幹事、副幹事は協定の実施細目の規定で20都市による輪番制で決められたとのことでしたが、今回、たまたま副幹事が札幌市で、被災地に近い立地だったことが幸いしましたが、初めての広域災害であったため、統一様式もなく、支援要請された物資の具体的な内容確認や、それに対する各都市の支援状況確認にも手間取り、激務であったと伺いました。もし福岡市が幹事または副幹事であったならばどうなっていたか。被災地から1,000キロ以上離れた本市で、本当に現地の情報収集や現地の調整ができたのか。輪番制に従うなら、福岡市は24年度には副幹事に、25年度には幹事になる予定になっています。今後、広域的な災害に備えるためには、お互いに被災地に近い自治体が手を挙げ、調整役を務めるようルールを策定すべきで、協定内容の見直しが必須だと私は考えます。
 そこでお尋ねしますが、今回、札幌市の対応を踏まえ、災害時相互応援協定の内容の見直しや充実についてどのように考えておられるのか、所見をお伺いします。ぜひとも福岡市から危機管理の先駆けとして協定会議にて以上の改善提案をすべきと考えますが、あわせて答弁願います。
 次に、原発事故の対応についてです。
 先ほどの答弁で、具体的な対応はこれから検討するでは新潟に比べて遅いです。また、防災見直し検討委員会の委員は、学者中心ではなく自衛隊をアドバイザーとして交え、早急に着手するよう強く要望しておきます。
 私は、2年前のこの9月議会で米国の防災における州や市町村の先進的な成功実例を紹介し、その政策を取り入れるよう提案しておりました。2005年8月、米国史上最悪の高潮、高波被害を引き起こしたハリケーン・カトリーナは、危機レベルが最大の5に達し、最大風速78メートル、最低気圧902ヘクトパスカルという大型ハリケーンにより、テキサス州を中心に300万人に対して避難命令が出され、ニューオリンズ市ではハリケーン上陸2日前から自主避難の指示、上陸前日に史上初めての避難命令が出され、市民の8割は避難しました。しかし、市及び周辺の海抜ゼロメートル地帯で大規模な浸水が発生して、市域の大部分が水没。災害弱者の避難がおくれ、病院や福祉施設などが孤立し、食料や水のない状態で取り残され、死者1,600名以上、行方不明者1,000名を超す壊滅的な被害となりました。この事例は、原発事故の際、避難行動や避難対策を考える上で非常に参考になる幾つかの課題を示しています。ニューオリンズ市は、初めての広域避難命令となり、連邦政府と州、市による足並みのそろった対応ができず、被災地から脱出する交通量の増加で渋滞や事故が発生するなど課題が上がりましたが、翌年にはこれらの問題を警察や消防、自治体の縦割りを超えて協議し、ニューオリンズ市支援避難計画を策定したという経緯があります。以上のことからも、広域大規模避難の際は多くの関係機関との広範囲な調整も多く発生するので、国、地方自治体、関係機関による縦割りを超えた緊密な連携体制の整備が急務であります。
 そこでお尋ねしますが、広域災害玄海原発で百万が一事故が起きたときに備えるべきで、警察機関とも協議を行い、避難経路を平常時から決めて市民に周知徹底しておくなど、早急な避難支援対策の準備が必要と考えますが、所見をお伺いします。
 このたび市長三役の交代による人事で、元福岡県警から大野副市長を迎え入れ、市民局にも県警の現役が存在する福岡市となったわけですから、県警との連絡体制は風通しのよいものになった今、これらを実行するときが来たのではないですか、お尋ねいたします。
 また、危機管理の観点から申し上げます。
 原発問題に関してさまざまな意見が市民から寄せられていますが、いずれも9月1日に鹿児島の川内原子力発電所の2号機が定期点検入りし、すべて停止状態です。玄海原子力発電所は現段階で稼働中1号機、4号機も定期検査の時期を迎え、12月には九州電力すべての原子力発電所が確実に停止することになります。そのとき、九電の総発電量の約4割強がなくなると言われています。本市内において果たして安定した電力供給ができるのか、市民の観点から不安です。現在、本市においては電灯の間引きやエレベーターの間引き運転など節電に努めていることは承知していますが、さらに厳しい状況になることを想定し、対策を考えておかなければなりません。幸いに、ことし夏は何とか乗り切りましたが、万が一ことしの冬、電力が不足した場合、エアコンによる暖房器具が使えないなど、化石燃料が高騰する中、市民生活に大きな影響が予測されます。
 また、この冬の時期は空気が乾燥し、インフルエンザが蔓延する可能性も警告されています。先日のロイター通信では、FAO、国連機関は、中国とベトナムで強毒鳥インフルエンザH5N1の変異株が見つかり、鳥インフルの再流行の可能性があるとして、アジアと周辺地域にその警戒を呼びかけています。この数カ月、同ウイルスは再び流行し始め、特にカンボジアでは8人が感染死亡しており、そのときになって想定外ということがないように、今のうちから危機管理課と保健福祉局におきましては、研究し対策を練っておかれることを要望しておきます。
 次に、地域における共助の取り組みの支援についてです。
 公園の管理に関して答弁をいただきましたが、私は、今後の公園のあり方については、防災機能を兼ねることが必然であるという考えから疑問を感じています。通常、本市行政の災害時の避難場所は主に公民館や学校が中心です。そこで問題は、災害にも種類があり、地震、津波、台風、大雨による河川はんらん、土砂崩れなどの過去の事例から見て、地域や校区によっては差異があり、必ずしも行政が指定する場所が最適とは言えないことはおわかりのとおりです。
 今後は早急に自主防災組織から細分化して、町内会単位で災害避難場所の確認、確定の協議が必要です。これも進めていただきたいのですが、所見をお伺いいたします。
 また、公園は地域住民にとって身近な避難場所として防災避難訓練でも使用されており、訓練での防災道具は地域の人たちが分散して自宅で保管しているため大変不便で、訓練の際、道具の持ち運びに高齢者が苦労しております。緊急災害発生時には、なおのこと無理です。大規模災害の場合は、公民館や学校だけでは避難者を収容し切れず、公園で一時的に収容し、食事や寝泊まりする状況が現場で見られます。高齢者や障がいのある方は、学校と公民館では遠く移動できません。自宅に最も近い公園に避難することが想定されます。そんな身近な公園に、自主防災組織のテントや炊き出しの道具がどうして保管できないのでしょうか。自主防災活動に使われる土のうや機材がどうして保管できないのか、不思議でなりません。本市は災害に強いまちづくりを強化しているんですよね。今回の大震災を受けて、市民の防災意識は高まっているからこそ、地域の共助の取り組みを具体的に支援することが本市の責務で、安全、安心のまちづくりにつながっていくのではないですか。また、人命救助という観点から、ぜひとも地域の要望を受け入れれば、例えば、自主防災活動の顕著なところから順次、特例で認めるなど模範となる支援ができないのですか。公園管理一徹主義を改めていただきたい。民間防災組織を育てることは諸外国では進んでいますよ。すなわち、災害対策は市民局だけが行うものではなく、災害時の人命救助を第一に置いて、今こそ行政内の縦割りを超え、各局が問題点を話し合い、具体的に改善することが行政と地域一体の防災強化の取り組みにつながると確信しています。早急にやるべきです。踏み出さないと間に合わないのです。
 あわせて要望しますが、公園の道具も子どもたちが遊ぶだけではなく、災害時にベンチを外せばかまどになる、滑り台つきジャングルジムが防災テントになるなど遊具が既に存在しています。これを積極的に取り入れ、市民の防災意識を支えつつ、実務の防災対策が必要です。以上のことは、防災公園のような大規模な拠点施設をつくる費用を捻出するよりはるかに効果的であると思います。
 そこでお尋ねですが、人命救助の観点から、また、地域の共助支援の観点から、地域住民に身近な児童公園などに自主防災組織などの防災活動に必要な機材や道具などを保管できるようにするべきだと考えますが、御所見をお伺いします。
 それから、公園設置に当たっては、福岡市が作成している浸水ハザードマップによる設置場所の確認はきちんとなされているのでしょうか。
 六本松では九州大学移転跡地のまちづくりが進んでいますが、跡地に新たに整備される公園の場所は、先ごろ市民に配布された新たなハザードマップの浸水想定区域に位置していますが、このことは承知の上で配置計画がなされたのでしょうか。公園の場所としては不適切であると思いますが、所見をお伺いします。
 最後にあわせて、都心部の民有地内公開空地などを初め、民間大規模マンション開発において整備され、本市が引き継ぐ公園についても、地域周辺の住民と地域の特性を十分に考慮に入れ、地震などの災害時には緊急避難場所として役立つよう開発事業者を指導していただきたいと考えますが、あわせて答弁を願います。
 以上で2問目を終わります。
 
○議長(森 英鷹) 阿部市民局長。
○市民局長(阿部 亨) 今回の東日本大震災における対応を踏まえました20大都市災害時応援協定の内容の見直しや充実につきましては、まずは成果と課題の十分な検証が必要であると考えております。本年の11月に札幌市において大都市防災主幹者会議が開催されますので、その際に本市から協定内容の検証について議題として提案し、各政令市と十分に意見交換や協議を行うなどして、協定内容のさらなる充実に向けて取り組んでまいります。
 次に、玄海原発での事故に備えた避難支援対策につきましては、今回の福島第一原子力発電所における事故及び原子力災害を踏まえ、どの範囲の住民がどこへ避難するかなど、広域的な避難支援計画の策定が必要であると考えております。現在、協議を進めております地域防災計画見直し検討委員会において専門家の知見をいただくとともに、福岡県警と緊密な連携を図りながら、関係自治体などの協力も得て避難支援対策の準備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、地域における災害対策についてのお尋ねでございますが、避難所の指定に当たりましては、避難所の状況把握の容易さや24時間体制で対応する避難所の管理運営の観点から、基本的に校区の公民館や小中学校などの公的施設を中心に確保しているところであります。また、市の指定避難所が水害等で使用できない事態に備えまして、地域によっては地元の集会所や民間ビルの会議室を独自に避難所として確保されている校区もございまして、それらを臨時避難所として市が開設した実績もございます。今後とも、区役所など関係部局と連携しながら、災害の状況や地域の実情に配慮した避難対策について取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 馬場住宅都市局長。
○住宅都市局長(馬場 隆) まず、防災活動に必要な機材等を保管する倉庫の公園内の設置についてお答えいたします。
 公園は本来防災機能を有することから、福岡市の一部の公園は地域防災計画において一時避難場所や広域避難場所に指定されているところでございます。また、本年3月11日に発生いたしました東日本大震災を契機に、地域においては自主防災組織の活動に対する意識が高まっており、公園に対してもより一層の防災機能の強化が望まれていることは認識いたしております。
 一方、公園内の倉庫の設置につきましては、防災上設置が必要な公園の抽出や収納する機材等の内容及びその管理方法、公民館、学校などの避難所との役割分担等、さまざまな課題がございますので、今後、関係局と連携しながら検討してまいります。
 次に、九州大学移転跡地に新たに整備される公園の場所が浸水ハザードマップの浸水想定区域に位置していることについてお答えいたします。
 跡地に整備される公園は、日常的には市民が憩い、遊ぶ空間としての機能を有しておりますが、地震や火災等の災害時には、家屋の倒壊、地盤の崩壊、火災の発生等の危険を避けるため、住民が一時的に避難する場所としても機能いたします。この公園の設置場所については、浸水ハザードマップで50センチメートル未満の浸水が想定される区域に位置しておりますが、地域の方々の日常的な利用や地震や火災などの災害時の利用などを総合的に勘案し、地域の御意見を踏まえながら検討した結果、都市再生機構が策定した九州大学六本松キャンパス跡地まちづくりガイドラインにおいて、現計画のとおり設置されることとなっているものであります。今後、具体的な整備内容につきましては、引き続き地域の御意見を伺いながら、事業者である都市再生機構と協議を進めてまいります。
 最後に、公開空地やマンション開発により整備される公園を災害時の緊急避難場所として役立つようにすべきとの御指摘についてですが、都心部の公開空地や大規模マンションに隣接する公園等は都心部や地域における貴重なオープンスペースであります。これらのオープンスペースは、地震などの災害時には緊急避難場所としての役割を期待されておりますので、今後とも、開発計画の協議の際には日常的な利用や緊急時の対応など、総合的な観点に立った配置について開発事業者と協議してまいります。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 水城四郎議員。
○41番(水城四郎) 災害対策についてですが、3問目、広域災害に対応するためには、何度も申しますが、警察を初め、関係機関との連携した避難経路の一刻も早い確保と計画策定が必要で、それらを確かめるための訓練の実施も不可欠です。平成16年から国民保護法が施行され、各自治体が避難行動を作成するようになっておりますが、ペーパー上に眠っているだけで、詳細な計画と大規模な実務訓練には至っておりません。先日、東京都内では9月1日の防災の日に政府の総合防災訓練が行われ、警視庁が幹線道路計97カ所で10分間、車の通行を一斉に規制するなど、今回の大震災を踏まえた史上最大規模の訓練でした。本市も行うべきです。したがって、この災害を契機に、いざというときに備えた訓練のシミュレーションや避難スキームをつくり、まずは早く始めるべきです。今回の原発事故では、国はとにかく南のほうに逃げろと指示をしたそうですが、どれだけの人がどこへ逃げればよいのか、指示さえもまともになされないこの国においては、前段で述べてまいりましたように、福岡市みずからの力で備えるしかないのです。残念ながら災害は待ってくれません。とまっている暇はないのです。
 そこでお尋ねしますが、福岡市として広域災害に備えた大規模訓練の実施に向けたシミュレーションやスキームづくりを早急に進めるべきだと思いますが、所見をお伺いします。
 また、地域における共助の取り組みに対する支援についてですが、防災要員として重要な立場にある消防団員は共助のかなめです。育成強化を図っていく必要があります。団員は、市民生活を守るために日夜全力で汗を流しているのです。そのため、十分な訓練場所など、その効果を高めるための環境整備が必要であると考えます。特に中央消防団などは過密化した都市部の市民生活を守るため、みずからの仕事を終え、夜遅くまで訓練を続けています。暗やみの中、投光器は十分でなく、自家用車のライトを点灯させ、助け合い、後片づけまで行っています。現在の訓練場所はコンビナート跡地で、雨が降るとアスファルトに油が浮き出し、訓練中に滑って3人が転倒するなど問題があります。しかしながら残念なことに、それらを理解してもらえない市民から訓練中の騒音の苦情を受けるなどもあり、過密化ゆえに適切な訓練場所の確保に大変苦慮しているのが現状です。訓練環境を整え、円滑かつ効果的な訓練の実施を支援することは重要です。地域を守るために汗を流して訓練する姿を市民の方々が目にすることで安心が生まれ、地域の防災意識も高まる効果が出てくるのではないでしょうか。
 そこでお尋ねしますが、この充実した訓練ができる場所などの環境整備の確保が早期に必要だと考えますが、どう考えてあるのか、消防局の所見をお伺いいたします。
 最後になりますが、今回の東日本大震災を考えるとき、福岡市のような体制で地震、津波災害と原子力災害が同時かつ複合的に進行する複合災害や大規模広域災害に果たして耐えられるのか、本当に心配でなりません。単発の災害には対応できても、今回のような災害には耐えられないのではないか。これまで本市の防災・危機管理体制の充実強化については、再三にわたり議会で提言を行ってきた現在、防災・危機管理課の職員の増員や危機管理監の新設、さらには、区役所への防災・危機管理を担当する係の設置がなされるなど、日進月歩してきたものと考えています。しかしながら、その体制は、横浜市や神戸市と比較しても、私が海外で研究してきたスイスやアメリカなどと比べても、まだまだ組織体制など課題を残しています。先日、釜山市議会との防災対策の交流協議にて意見交換してまいりました。釜山市役所の15階にある災害総合状況室では、1組13名体制が3組で24時間勤務体制で行っていました。釜山市には8基の原発があるそうですが、目と鼻の先にある姉妹都市の釜山市がやっているような体制が福岡市にも必要ではないですか。国が責任を持ってリーダーシップを発揮しなければならない国難の災害初動期において、情報空白という状況が生じるこの国では、過去から私が提案、要望しているとおり、地方自治から発展したスイスの国民保護局のように、365日24時間体制が防災先進国のスタンダードなあり方で、一刻も早く取り入れるべく、強く強く要望しておきます。
 本市は、147万市民の生命、身体、財産を守るという重大な責務を負っているからこそ、限られた財源の中での人材の選択と集中を具体的かつ真剣に考慮するべきと考えます。いつ起こるかわからない災害に予算と職員を投入することは無駄だと言う人がいますが、今回の大震災を振り返るときに、本当に無駄だと言えるのでしょうか。ほかに削るところはあるのではないですか。大規模災害が発生したときには、ライフラインがとまり、公務員が直ちに登庁することができないことは10年前から指摘しましたが、やはり福岡西方沖地震で明らかになりました。公務防災関係者、消防団員を含む準公務員を初め、職員は、自分の家族を守ることと公務のはざまで悩むことになりますが、この問題は世界共通です。例えば、米国の地方自治体では災害時の公務員の家族を預かる民間ボランティア施設体制までも備えているわけです。
 市長には、真の市民生活の安全を守るため、もう少し災害対策について、過去の災害事例を含め、議事録を精査していただき、組織体制のあり方や初動体制のあり方について勉強していただくよう強く要望しておきます。もちろん屋台課長も大切なんでしょうが、防災に携わる職員の肉体的、精神的激務を思うと、行き当たりばったりではなく、長期的な計画を持って、先ほど要望したとおり、分権時代にふさわしい磐石な体制を構築すべきときと考えます。
 過去の阪神・淡路大震災からこのたびの3.11大震災の国における初動体制のまずさの大きな要員の一つとして、省庁の縦割りの弊害が報道でも指摘されているとおり、地方自治体においても同じ状況があります。この災害対策強化のための予算や組織体制の変更、人事については一般職員から申し出ることができないため、それができるのは三役の方々の見識による政治判断と指導力にかかっているのです。どこに選択と集中をするのか、安全、安心を強く打ち出されている市長が、従来の防災・危機管理の概念にとらわれず、今回の大震災を踏まえた防災・危機管理体制の充実強化をいかに図るかは、まさに市長の政治判断であります。今後、市としてどのように取り組んでいかれるのか、市長の答弁を求め、私の質問を終わります。
 
○議長(森 英鷹) 阿部市民局長。
○市民局長(阿部 亨) 広域災害に備えた訓練に関するお尋ねに私から答弁いたします。
 広域災害を想定しての訓練の実施は必要であるというふうに考えております。訓練の実施に向けたシミュレーションやスキームづくりにつきましては、どの範囲の住民がどこへ避難するかなど、広域的な避難支援計画の策定を進める中で、関係自治体や関係機関等と協力、連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(森 英鷹) 谷口消防局長。
○消防局長(谷口芳満) 消防団の訓練場所につきましては、消防局といたしましても災害への対応力の向上の観点から、その必要性を認識しているところでございます。現在は消防署所や消防学校を初め、小中学校のグラウンドなど、主に公有地を借用して訓練を行っている状況であります。しかしながら、議員御指摘のように、都心部においては騒音の問題などで訓練場所の確保には大変御苦労されているのが実情であります。今後は、民有地の活用なども含め、訓練場所の確保や訓練環境の整備に積極的に取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(森 英鷹) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市におきましては、これまでの水害や地震の被災経験を生かして、各種災害や危機事案に対し、職員が迅速に的確に対応できるための体制の整備や人材の育成に努めてきたところであります。今回の東日本大震災は、地震、津波被害に原子力災害が複合化し、広域に広がるという過去に例を見ない事態となりました。私も未曾有の被害をもたらしました大震災の被災地を視察してきましたが、今回の被害の甚大さや被害を受けた地域の広さに言葉を失いました。そして都市間連携の有効性、そして市民にいかに情報をくまなく伝えるか、そして人と人のつながりの大切さを改めて確認をしたところでございます。福岡市におきましては、このたびの震災の教訓をしっかりと受けとめて、複合的で広域的な災害に備えるための広域連携のあり方を初め、行政、民間、地域のそれぞれの役割や防災・危機管理体制のあり方などについて十分検討を行いながら、必要な取り組みをしっかりと進めてまいります。以上です。




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