三角 議員の総会質疑と答弁

◯三角委員 財政健全化に向けた取り組みについて質問する。今、私たちが安心、安全で豊かに生活するためには、健全な財政を維持する経営能力が問われている。私も自営業を営んでいるが、経営者としてこの景気低迷な時期に、売り上げの伸び悩み、それに伴う経費の削減など頭が痛い毎日を送っている。本市の決算状況を見ると、連結での実質収支は一般会計の41億円を含め、約166億円の黒字となっている。また、市債残高も21年度から224億円の縮減がなされ、2兆5,000億円をやっと切って約2兆4,934億円となっている。その結果、実質公債費比率を見ると、19年度までは起債に国の許可が必要となる基準である18%を上回っていたが、22年度では16.4%と改善されており、将来負担比率も早期健全化基準の400%を大きく下回る219.8%となっている。しかしながら、市債残高は市民1人当たり174万円で、政令市の中では大阪に次ぐ2番目に高い水準であり、実質公債費比率も上位の4番目、将来負担比率も同じく6番目となっている。あわせて公債費の額が平成14年以降、毎年1,000億円を超える額で推移している状況などを見ると、22年度決算が黒字だからといって本当に安心してよいのか。今後は、扶助費を初めとする義務的経費や学校など公共施設の大量更新に要する経費が増嵩することや、少子・高齢化による生産年齢人口の減少、また、景気の劇的な持ち直しが見込まれないこと、さらには、4年度に942億円もあった財政調整用基金残高が今や149億円にまで減少していること、こうした状況を考えると、本当の意味で財政の健全な持続可能性に疑問を持つところである。一層の財政健全化に向けた取り組みが必要と考えており、その方策として、単純に言えば収入をふやす、そして経費を減らすという両面に取り組む必要がある。まず、収入面について、収入の増加に向けて特に即効性があると思われるのが、収入未済金の回収である。民間経営の観点から言えば、財務状況が厳しい中で、売り掛け債権など未収金をほうっておく経営者はどこにもいない。これらの確実な回収ができなければ会社は破綻してしまうからである。そこで、22年度決算における一般会計及び特別会計全体のそれぞれ収入未済について、その額と調停額に対する割合を尋ねる。

△財政局長 22年度決算における一般会計の収入未済額は約133億8,000万円で、調停額に占める割合は1.7%である。また、特別会計全体の収入未済額は約133億1,000万円で、調停額に占める割合は1.5%である。

◯三角委員 調停額に占める割合は少なく見えるが、その額は非常に大きい。一般会計の収入未済額の主な内訳を尋ねる。

△財政局長 市税が約103億3,100万円、諸収入が約18億300万円、分担金及び負担金が約8億9,600万円である。

◯三角委員 最も収入未済額が大きい市税収入について、過去3カ年の現年度分、滞納繰越分及び全体ごとの収入率の推移を尋ねる。

△財政局長 20年度は現年課税分98.6%、滞納繰越分24.9%、全体95.8%であり、21年度は現年課税分98.5%、滞納繰越分26.0%、全体95.6%と下落しているが、22年度は現年課税分98.7%、滞納繰越分26.8%、全体95.8%となり、対前年度と比べ0.2ポイント上昇している。

◯三角委員 22年度の収入率は前年度に比べ、若干改善しているようだが、財政リニューアルプランの目標値である96.7%には至っていない。収入率向上に向けた取り組みの具体的な内容を尋ねる。

△財政局長 平成20年6月に策定した財政リニューアルプランにおいては、当時の経済状況等に基づき、23年度の目標収入率を97%に設定するとともに、それに向けた各年度の目標収入率を設定し、22年度の目標収入率を96.7%としていた。その後平成20年秋に発生したリーマンショックを発端とする世界的な経済不況の影響により、収入率の決算値は財政リニューアルプランに掲げた目標収入率と乖離が生じたところであり、毎年度の目標収入率については、前年度収入率の決算値を踏まえ検討しており、22年度は95.8%と設定している。収入率向上に向けた取り組みについては、賦課徴収事務を着実に進めていくことが重要であることから、平成22年8月に副市長をトップとした福岡市市税収入向上対策本部を新設し、全市を挙げて課税客体の捕捉と滞納整理の強化に取り組んでいる。22年度の重点的な取り組みとしては、不申告調査の実施、償却資産への課税捕捉の強化、年末・年度末の休日の一斉催告、納付資力がありながら自主納税がない滞納者への差し押さえなどの滞納処分の強化などがある。これらの重点的な取り組みの結果、22年度の収入率は目標収入率95.8%を達成し、3年ぶりの上昇となっている。23年度においては、目標収入率を96.0%に設定するとともに、税務行政の専門性の向上や事務の効率化等を図るため、区役所を含めた全市的観点から税務組織の見直しを検討するなど、賦課徴収の強化に努めていく。

◯三角委員 景気の低迷により市税の総額が減ることは想像できるのだが、収入率を当初の97%から96%に引き下げるというのは、民間経営者から見れば、非常に消極的な取り組みである。当初目標の97%を達成するという意気込みを持って頑張っていただくよう意見を申し述べておく。次に、諸収入の収入未済額18億300万円と分担金及び負担金の収入未済額8億9,600万円のうち、それぞれ最も大きな項目とその額を尋ねる。

△財政局長 収入未済額の最も大きな項目については、諸収入は生活保護費返還金で約6億7,500万円、分担金及び負担金は保育料で約5億7,600万円となっている。

◯三角委員 生活保護費返還金とはどのようなものか、また、過去3カ年の収納率の推移はどうか。

△保健福祉局長 生活保護費返還金とは、被保護者が急迫の場合等において資力があるにもかかわらず保護を受けた場合や、不実の申請その他不正な手段により保護を受け、または他人をして受けさせた場合に、受け取り過ぎた生活保護費を返してもらうもので、年金の遡及受給や就労による収入の未申告などがある。過去3カ年の収納率は、20年度37.2%、21年度38.7%、22年度45.2%である。

◯三角委員 生活保護費返還金とは、受け取り過ぎた生活保護費を市に返すということだが、当然、全額の返還が求められるべきものであり、収納率の向上を目指す必要がある。22年度に収納率が伸びている要因を尋ねる。

△保健福祉局長 年金受給資格者調査業務の推進により、遡及受給者が増加し、一括して多額を返納するケースがふえたことなどによるもののほか、督促状などの送付や家庭訪問による返納指導、及び分割返納や扶助費を福祉事務所での窓口払いにするなど、納付しやすい支払い方法への変更などの収納率の向上を図るための返納対策の徹底によるものである。

◯三角委員 収納率が伸びているとはいえ、45.2%という数値は余りにも低く、収納率向上に向けた取り組みが不足しているのではないか。払い過ぎたものは返還してもらうのが当然であり、そうでなければ市民の理解を得られないと思うが、今後、収納率向上に向けて、どのような対策を講じるのか。

△保健福祉局長 返還対象者の支払い能力などに配慮しながら、督促状の送付や納付しやすい支払い方法への変更などの返納対策を強化するとともに、返還の原因となる不正受給等の未然防止策として、資産や収入の届け出義務の履行を周知徹底し、稼動収入、各種年金、生命保険等の調査により収入状況の変化を早期に把握し、適正支給をさらに進めていく。

◯三角委員 保育料の過去3カ年の現年度分、滞納繰越分及び全体ごとの収納率を尋ねる。

△こども未来局長 現年度分は20年度97.4%、21年度97.6%、22年度98.0%、滞納繰越分は20年度13.2%、21年度11.6%、22年度11.5%、全体では20年度90.6%、21年度90.2%、22年度90.0%となっている。

◯三角委員 全体の収納率が低下してきているが、その要因は何か。また、収納率向上に向けて、今後どのような対策を講じるのか。

△こども未来局長 現年度分の収納率は年々上がってきているが、過去からの滞納分の累積により、滞納繰越分が低下していることから、全体の収納率が低下している。今後は、確実な納付を進めるため口座振替を一層促進していくとともに、未納者には各保育所とも連携を図り、早期の納付勧奨を強化していく。また、長期・高額滞納者に対しては、継続入所申し込みの際に各区役所や本庁で面接による納入指導を実施し、指導に応じない場合は差し押さえも実施するなど、収納対策を進めていく。

◯三角委員 滞納者の大半は、基本的には払えるのに払わない保護者ではないか。車や家のローンなどが優先され、保育料の優先順位が低いのではないかと考える。数年前まで口座振替率が60数パーセントだったと聞いている。今後、口座振替については、促進ではなく原則にしていくべきではないか。また、子どもが卒園した後も、滞納者については継続的な納入指導を行うなど、収納対策の強化をお願いしておく。9月補正により、緊急雇用創出事業を活用して臨時職員を雇用すると聞いているが、滞納者を出さない取り組みの強化に活用されるよう要望しておく。次に、特別会計の中で、収入未済額が多い会計の額とその主な内容を尋ねる。

△財政局長 まず、国民健康保険事業特別会計の収入未済額が約96億1,000万円であり、その主な項目は国民健康保険料の約94億6,600万円となっている。また、母子寡婦福祉資金貸付事業特別会計の収入未済額が約28億200万円であり、その全額が貸付金償還金となっている。

◯三角委員 国民健康保険事業については、現下の経済状況、雇用情勢から、被保険者の所得の減少や低所得者の国民健康保険への加入増加などにより、保険料の収納確保にも影響が生じ、ひいては国保財政にとって厳しい状況にあるものと考えているが、過去3カ年の現年度分、滞納繰越分及び全体ごとの保険料収納率の推移を尋ねる。

△保健福祉局長 現年度分は20年度85.90%、21年度86.05%、22年度86.28%、滞納繰越分は20年度12.14%、21年度12.77%、22年度13.16%、全体は20年度69.03%、21年度68.66%、22年度69.86%となっている。

◯三角委員 国民健康保険料は、国民健康保険事業を維持、運営していく上で根幹となる財源であり、また、きちんと保険料を納めている人との負担の公平性を図る必要がある。したがって、経済状況等が厳しい中ではあるが、保険料収納確保は極めて重要な課題であり、市として収納率向上のため、新たな取り組みも含め、どのように取り組んでいるのか。

△保健福祉局長 保険料収入の確保は、国民健康保険事業の制度の維持や安定的な運営を図る上で、最重要課題であると認識している。このため、保険料収納対策基本方針を策定し、保健福祉局と各区役所が共通の課題認識のもと、収納対策に取り組んでいる。具体的には、コールセンターによる納付勧奨や口座振替の加入勧奨、区役所納付相談員の増員、短期被保険者証、資格証明書を活用した接触機会の確保、徴収事務嘱託員による訪問指導、財産の差し押さえ等滞納処分の実施など、本庁と区役所が連携を図り、保険料収納の確保に努めている。また、加入者全員で支え合う国民健康保険の制度や趣旨を理解してもらうため、新たな取り組みとして、平成23年10月に若年層向けに親しみやすいキャラクター「ハイリー・コクホ」を使った啓発活動などを実施したところである。

◯三角委員 昨年も決算特別委員会で質問したが、母子寡婦福祉資金貸付事業特会における貸付金償還金について、過去3カ年の現年度分、滞納繰越分及び全体ごとの収納率の推移を尋ねる。

△こども未来局長 現年度分は20年度65.8%、21年度70.5%、22年度76.3%、滞納繰越分は20年度2.7%、21年度2.2%、22年度3.2%、全体分は20年度18.3%、21年度17.8%、22年度18.3%となっている。

◯三角委員 現年度分は5%ずつ毎年上がってきているようだが、過去から蓄積した滞納を加えた全体の収納率は、わずか17〜18%と低い状況にある。収納率の一層の向上に向けて、償還指導の強化が必要と考えるが、どのような対策を講じているのか。

△こども未来局長 20年度から償還対策担当主査を配置し、口座振替の原則化、償還開始前の一斉説明、償還開始直後の滞納者への重点指導など、新たな滞納をふやさないことに重点を置いた取り組みを第一に考えて指導に当たってきている。その成果により、現年度償還率はこの3年間で10.6ポイント増加している。今後は、償還率の一層の向上に向けて、償還指導員による訪問指導の充実、長期滞納者への重点指導のほか、過去から蓄積した滞納金を返済しやすい仕組みとして、口座振替による分割返済を推進していく。

◯三角委員 今後の歳入の見通しについては、長引く景気低迷の影響などから市税が大幅に増加するとは思われない。また、地方交付税についても、近年、臨時財政対策債という市債で借金を肩がわりさせられ、22年度の額は市債発行総額の約47%にもなっており、国も本当に頼りなくなってきたと感じている。したがって、自助努力によって実質的な増収に直結する収入率及び収納率の向上が、まさに重要である。例えば、市税の収入率が当初目標どおりの96.7%に達していたら、約24億円の収入増が見込めたことになる。さらに、全会計で収入率1%を向上させるだけで、実質的な歳入増が見込め、歳入体質の強化、健全化が図れることになる。確かにリーマンショックや長期景気低迷の影響などがあるかもしれないが、収入率の向上は、公平性の観点や財政健全化の観点からも積極的に取り組んでいく必要があると考えるが、所見を伺う。

△財政局長 市税や保険料等については、負担の公平性や歳入確保の観点から、確実な収入確保に努めていくことが極めて重要であると認識している。財政リニューアルプランにおいては、それぞれの項目ごとに収入・収納率の目標を設定し、口座振替の促進や滞納処分の強化など、全庁的に取り組んでいるところである。景気の低迷など厳しい環境にあるが、本市の財政状況は一層厳しさを増していくと見込まれることから、今後とも収入・収納率の向上に積極的に取り組んでいきたいと考えている。

◯三角委員 現年度分については職員の皆さんの努力で高い水準になってきているが、特に滞納繰越分については非常に低い水準と言わざるを得ない。社会経済状況を考えるとなかなか難しいこともあるが、今後は特に滞納繰越分についての取り組みをお願いしておく。また、国保や生活保護費の中の医療費については、収納率を上げるのはもちろんだが、健康指導など医療費そのものを抑制する取り組みが重要ではないか。とにかく滞納者をほうっておかない、滞納額が高額になるまでほうっておかないことが、滞納額の縮減につながると考える。次に、財政健全化のもう一つの側面である歳出について質問する。家庭に例えて言えば、収入の範囲内でやりくりすること、例えば住宅ローンを組んでいた家では、不況により当初予測していなかったボーナスや給与の減収によって、より安価なお酒で我慢したり、たばこを控えるなどのやりくりをしている。家計簿的視点で見ても、まだまだ本市の歳出も見直す必要があると考えるが、22年度決算における義務的経費の額及び歳出全体に占める割合を尋ねる。

△財政局長 一般会計における人件費、扶助費、公債費の合計である義務的経費の22年度決算額は約3,497億円で、歳出全体の46.5%を占めている。

◯三角委員 義務的経費の内訳及び今後のそれぞれの見通しについて尋ねる。

△財政局長 義務的経費の内訳としては、人件費が約785億円、扶助費が約1,653億円、公債費が約1,059億円となっている。今後の見通しについては、人件費は、政令市移行期前後に採用した職員の大量退職により、当面増加していくこと、また、扶助費は、高齢化の進行や長引く景気・雇用状況の低迷などにより、確実に増加していくことが見込まれている。公債費は、これまで進めてきた都市基盤等の整備に伴い、当面は高い水準で推移していくと考えている。

◯三角委員 義務的経費のほぼ半分の割合を占める扶助費については、国の制度や法律に基づくものが多く、また、景気・雇用状況にも左右されることは否めない。特に扶助費の主なものである生活保護費702億9,885万円のうち、医療費扶助が349億194万円と約半分も占めており、それに付随し通院にかかわる交通費の支給などもかかっている。今年度より3年雇用のケースワーカーを採用したことで、それぞれの課題に積極的に取り組み、前半の総会質疑で我が会派議員も述べたが、緊急に、適正な事業の推進ときめ細かな取り組みの強化を要望しておく。公債費については、過去に借りた借金の返済であり、30年もの長期間にわたって返済していくものである。これからの市債発行を抑制することにより、先々公債費を圧縮していくことはできるが、今すぐに削減というわけにはいかない。人件費については、確かに昨今の不景気から人事委員会勧告に基づいて給与は減額されているが、これも景気が上向き、民間の給与が上がれば増加するものである。人件費を削減するためには、もっと根本的に業務を見直すことが肝要である。つまり、義務的経費とはいえ、人件費については、民でできるものは民に任せるという基本的な考えのもと、民営化や民間委託などを推し進め、その分新規採用職員を抑制することによって、削減効果が期待できるということである。我が会派は、これまでも議会の中で、民でできるものは民に任せるとの観点から、自動車運転手、事業系ごみ収集、守衛、学校用務員、調理業務員などの見直しについて質問をしてきたところであるが、これらの幾つかについて、今日までどのような見直しが行われてきたのか、確認をしていく。まず、昨年の6月議会で、幹部職員が利用する運転手つきの黒塗りの公用車について尋ねたところ、運転手の人件費が1人当たり約700万円近いとの答弁であり、これは相当な財政負担になっているのではないかと見直しの検討を要望したところ、業務内容をもう一段詰めて精査し、もう少しスリム化を検討していく旨の答弁をいただいた。大阪市では18年度から黒塗りの公用車を全廃し、財政負担の軽減を図っている。また、神戸市は段階的に公用車を減らし、廃止、広島市は配車業務の見直しを行い、職員の嘱託化や業務の一部委託化、名古屋市は正規職員の退職に合わせて公用車の集約化により、委託及び嘱託化を拡大するとともに職員を減員するなど、取り組みが進んでいる。本市においては、現在、どのような見直しを進めているのか。

△財政局長 自動車運転手つきの乗用車系車両の配置については、各局に配置していた車両の集中管理化や出先機関の車両の廃止などで、黒塗り公用車を14年度の36台から22台へと14台減車している。また、黒塗り以外の公用車についても4台減車し、合計18台の減車を行っており、現在、さらなる効率的な運行体制の実現を目指して、関係局及び労働組合と協議を進めている。

◯三角委員 黒塗りの公用車の22台については、財政健全化からも、せめて特別職の専用車など必要最低限のものだけを残すという見直しぐらいはできるのではないか。再度強く要望しておく。次に、昨年の決算特別委員会で、3事業所のパッカー車による市の施設から排出される事業系ごみの直営収集業務について質問したところ、業務量に応じて、適切な対応となるよう努めたいとの答弁をいただいたが、その後、見直しはどのように進んでいるのか。

△環境局長 直営収集として、本庁舎、区役所、小中学校、公民館など、市の施設約600カ所から排出される廃棄物や資源物を収集している。現在、豪雨や台風の災害時などへの緊急体制を含め、業務量の精査、検証に取り組んでおり、その結果を踏まえ、効率的な業務のあり方について検討していくこととしている。

◯三角委員 22年度決算で環境事業所の直接人件費は、約3億3,320万円と聞いている。環境事業所には、パッカー車のほかにもクレーン付トラックや資源回収用のトラックなど7台の収集車両があるので、あえて車両台数で案分すると、実際収集を行っているパッカー車10台分の人件費は、約2億円となる。昨年も申し述べたが、市内の民間事業所から排出される事業系ごみの大半は、本市が指定した民間業者に委託されており、3事業所の一部費用やパッカー車の維持管理費、事業内容を考えると、直営でなくても民間委託が可能である。また、広島市は、現状の中で経費を節減するため、20年度までに本市同様の3人乗車体制から2人乗車体制に段階的に移行したそうである。本市でも具体的な取り組みを検討するよう、再度要望しておく。次に、我が会派が昨年の3月議会で、学校用務員の業務について、学校連絡業務の民間委託など、業務の効率化を要望したところ、効率的な行政運営の観点を踏まえて、必要に応じて見直していくとの答弁をいただいた。その後、学校用務員業務については精査、検討したと聞いているが、どのような見直しをされたのか。

△教育長 従来学校用務員が行っていた学校と教育委員会事務局間での文書連絡業務を、本年6月から民間業者へ委託し、事務の効率化を推進してきたところである。

◯三角委員 学校用務員はよりよい教育的な環境整備や安全、安心な学校づくり、環境学習、ごみ減量、資源化などの環境問題を児童生徒に指導するなど、技術のある専門職として子どもたちからも慕われているという話も聞いている。しかし、今回の文書連絡業務の民間委託を踏まえ、業務の一部民間委託を検討してはどうか。例えば、花壇の手入れや草の除去作業、低木の剪定などは、地域の人材を活用することで、不審者に対する防犯にもなるし、子どもたちとの自然な交流もできる。また、業務体制を1校1人配置に見直し、ブロック制で複数によるセンター化を行うなど、さらなる検討が必要だと考えるが、今後どのような見直しを進めていくのか。

△教育長 今後とも、行政改革プランの目標である簡素で効率的な市役所の実現に向け、効率的な行政運営の観点も踏まえ、業務のあり方を検討していきたい。

◯三角委員 我が会派は今まで申し述べたほかにも、行政棟の守衛業務について、議会棟と同様に民間委託にできるのではないかと要望してきた。また、調理業務員の民営化については、本市では独法になる前の市民病院のときに、普通食を民間委託していたと聞いており、他の政令市においては、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、静岡市、浜松市、岡山市、広島市、北九州市が退職者の補充をしないで、順次民営化に取り組んでいる。県内では宗像市が全部民間に委託するなど、多数の都市で取り組みが進んでいる。しかし、本市においては遅々として見直しが進んでいないように思う。我が会派は、何も職員のリストラをしろと言っているのではない。現在の職員の身分を保障することは当然である。民でできることは民に任せるということは、委託を受けた民間業者の企業収益につながり、そのことが市税の増加にもつながるなど、その効果は非常に大きいし、民間での業務委託拡大に伴う雇用創出にもつながると思う。先ほども申し述べたが、本市は政令市の中でも厳しい財政状況にあることは明白である。北九州市においては、23年度までに公用車の運転業務のあり方や合理的な職員配置について、また、市全体の技能労務職員の配置方針も視野に検討していると聞いている。本市においても、再度業務内容を精査し、民間活用の可能な職種については、退職補充による新規採用をやめ、民間委託への大きなかじ取りをすべきであると強く申し述べておく。最後に、経済の劇的な改善が見込めない今日において、市税を初めとする一般財源の増加を待っていてもだめである。こうした状況だからこそ、行政みずからが財政の健全化に向けて、収納率の向上に積極的に取り組んでいくべきである。また、一方で、歳出の削減、特に増大していく義務的経費の中でも人件費の削減は、財政健全化のためには避けては通れない。このように歳入、歳出両面の徹底した見直しを強力に推し進めていくためには、強いリーダーシップが必要であると考えるが、財政健全化に向けた市長の覚悟と決意を伺い、質問を終わる。

△市長 厳しい財政状況の中にあっても、経済成長のために真に必要な施策については、着実に取り組んでいく必要があると考えている。そのためにも、民間が担うことができるものは民間にゆだねるという考え方に立ち、民間の能力とノウハウを積極的に活用することなどにより、経常的経費を徹底して見直すほか、多様な財源の確保、また、選択と集中による投資の重点化を図るとともに、市債発行額を中期的に抑制し、市債残高の着実な縮減に努めるなど、これまで以上に財政健全化の取り組みを進めていくことが重要であると考えている。現在検討を進めている本市の新ビジョンや成長戦略などを踏まえながら、財政規律と投資のバランスがとれた財政運営に努めていきたい。




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