水城 議員の補足質疑と答弁

◯41番(水城四郎)登壇 皆様こんにちは。みらい福岡の水城でございます。質問に入ります前に、東日本大震災から1年が経過しようとしております。連日報道で伝えられているように、いまだ復興とはほど遠い現地の状況をかんがみますと、改めて被災地の一日も早い復興と被災された方々が平穏な生活を取り戻されることを心から願う次第です。全国にいまだ34万人を超える避難者がおられ、福岡市に居住される避難者は今もなお100名を超える状況が続いているところです。我々はあの災害から何を学び、どう生かし、何を選択していくのか、今まさに問われているのです。これを踏まえ、私は、みらい福岡市議団を代表し、笠議員の代表質疑の補足質疑として、警固断層上にある荒津地区の防災対策及び公共施設の建てかえ需要と財政の健全化について質問してまいります。市長初め当局の前進ある答弁を期待いたします。
 まず、警固断層上にある荒津地区防災対策についてお尋ねいたします。(パネル表示)
 現在、日本全国の自治体で予算議会が行われており、災害対策の議論も活発に交わされていると思いますが、本市も怠ってはなりません。この災害対策については、福島原発に端を発し、唐津原発事故の想定に本市も防災計画の見直しを現在行っており、私はそれを踏まえ、昨年の定例市議会一般質問において、本市の唐津原発事故を想定しての広域災害への対応や避難訓練の準備実施を提案し、一定の前向きな答弁をいただきました。
 世論も議論も原発に集中しているところですが、しかし、先ほどから申し上げましたように、災害から何を学び、何を教訓としたのか、まずは本市の足元を見直すと、このたびの予算を見る限り、本市の直下型地震を想定したリスクの非常に高い危険箇所の具体的抽出と整備がおくれていることから、緊急かつ重大な課題を取り上げ、防災対策の強化や施設整備の必要性について指摘や改善、要望を行っていきながら、どのように考えてあるのか伺ってまいります。
 西公園の荒津山は博多湾が一望でき、風光明媚な桜の名所として、ふもとの海岸はいそ遊びの場として、市民の憩いの場として親しまれています。その西公園の地先の海が昭和32年から埋め立てられ、中部水処理センターと荒津石油基地が立地して、既に半世紀がたちます。
 そこでまず、荒津石油基地についてお尋ねします。
 昨年3月11日に発生した東北地方太平洋沖を震源とするマグニチュード9.0の地震では、宮城県で最大震度7が観測されたほか、東北、関東の広い範囲で震度6強が観測されるなど、強い揺れによる被害、さらに東北地方太平洋沖沿岸部を中心に広い範囲での津波の被害を受けました。
 石油タンクなどの消防法上の危険物施設や石油コンビナート施設においても、今回の地震動や津波による被害が発生しており、宮城県多賀城市や仙台市、千葉県市原市や川崎市などではコンビナート火災が発生いたしました。
 特に、私たちの目に焼きついているのは、千葉県市原市のコスモ石油千葉製油所で発生した火災爆発事故であります。地震の発生に伴い、液化石油ガスタンクが倒壊し、漏えいした液化石油ガスに着火し、火災爆発が発生しました。
 倒壊したタンクは、定期修理のためLPガスのかわりに水を入れていたものですが、内容物の重量が通常の2倍になり、14時46分ごろ及び15時15分ごろの2回の地震の揺れに耐えられず、タンクが倒壊したものです。そして、タンクの倒壊により、配管が破断、液化石油ガスが漏えいし、隣接する液化石油ガスタンクヤード及び隣接する事業所のプラントまで拡散し、何らかの要因により着火したものと考えられます。
 倒壊したタンクに隣接するタンクは冷却散水されましたが、火災の火炎が強くなり、火災発生から約77分後に第1回目のタンク爆発が発生しました。また、タンク爆発により火災がさらに拡大、ほかのタンクも延焼、爆発しています。この事故による人的被害は、重傷者1名、軽傷者5名、計6名と、大規模な事故の割には幸い軽微であったのは、住宅からの距離があったから、火災が鎮火するまでに10日間もかかり、有害物質を含んだ雨が降るとの騒ぎになりました。
 このことは、荒津地区に石油コンビナートや高圧ガス貯蔵取扱所などを抱える福岡市にとって決して他人事では済まされないことだと考えます。荒津石油基地の直下には警固断層が走っていることが明らかです。今後30年以内の地震発生確率が0.3から6%と、日本の主要な活断層の中では高いグループに属することを考えると、いつ地震が起きるかもわからない、むしろ地震が発生することを前提に早期に対策をとらなければならない地域だと考えています。
 そこで、お尋ねしますが、荒津石油基地の地震の想定や被害想定はどうなっているのか、また、防災対策上の位置づけはどのようになっているのか、お答えください。
 次に、荒津地区にある中部水処理センターについてお尋ねします。
 下水処理は市民の生活と活動の基礎と考えています。一日もとまることが許されない施設と言っても過言ではないでしょう。ところが、福岡市中心部の水処理を担う中部水処理センターは、今申し上げていました荒津石油コンビナートに隣接しており、昭和41年に供用開始して以来、既に45年も経過し、老朽化が進んでいます。狭小な敷地に老朽化した施設で運用されているのです。
 平成17年3月の福岡県西方沖地震のときには被災し、施設はもう限界を超えています。警固断層のすぐそばに位置しており、地震対策にも取り組む必要があるにもかかわらず、抜本的な改修投資がなされていない状況です。
 そこでお尋ねしますが、福岡県西方沖地震のときの中部水処理センターの被害状況についてお伺いいたします。
 次に、公共施設の建てかえ需要と財政の健全化についてお尋ねします。
 私は、本市が有する公共施設の建てかえが財政に与える影響について、かねてから関心を持っておりました。今般提案された平成24年度予算案では、市民会館を初め中央児童会館など大規模施設の建てかえに関する予算が多数計上されており、今後これらの事業が具体化していけば、莫大な整備事業として積み上がっていくのではないかと大きな懸念を感じております。(パネル表示)
 このグラフをごらんください。2つの折れ線グラフは日本と福岡市の人口の推移をあらわし、棒グラフは、その年整備された本市の公共施設の延べ床面積を示しています。このグラフから、これまでの本市の成長と公共施設整備の相関性が読み取れ、また我々が現在大きく転換すべき時期に来ていることがわかります。
 まず、人口についてですが、私が申し上げるまでもなく、日本は戦後、高度経済成長を経て、目覚ましい経済発展を遂げ、これまで右肩上がりで増加を続けてきました。本市においては、戦後、日本の平均的な水準よりも比較的速いペースで人口増加が進んできました。これに伴い、さまざまな都市インフラに対する需要が急速に膨らみ、1972年、昭和47年の政令指定都市移行を境に、道路、橋梁、上下水道、地下鉄といった社会基盤を飛躍的に整備してきました。今回申し上げたい学校、市営住宅、文化、スポーツ施設などさまざまな公共施設もまた、この赤い棒グラフが示すように、1960年代から1980年代にかけてこうした一連の流れの中で整備されています。これらの都市基盤や生活基盤の充実が、現在の福岡市の住みやすさや都市の成長につながっていることは間違いがないわけですが、その一方で忘れてはならないのは、これらの整備のために多額の市債を発行してきたという事実です。近年の行財政改革の取り組みの結果、ピークから若干は減ってきましたが、市債残高はなお2兆4,800億円に上っており、市民1人当たりの市債残高は、政令指定都市の中で大阪に次いで2番目に多い状態になっています。一般会計だけでも1,000億円以上に上る市債の償還が本市の中長期的な財政運営上の大きな足かせとなっていることを私たちはきちんと認識しなければなりません。
 このように本市では、いまだ多額の借金を返している中で、古い施設の老朽化が進んできており、早い時期に建てた公共施設はいよいよ建てかえが必要になってまいります。
 このグラフの、現在以降の青い棒グラフは、仮に施設を60年で建てかえる場合を想定したものです。1971年以前に建てたものは現在築40年を超えていますので、いよいよあと10年もしないうちに建てかえが始まって、20年後の2030年代には相当量の建てかえを行わざるを得なくなります。
 現在、建てかえなどが計画されている大規模施設はこうしたものの一部で、グラフに記載しておりますとおり、1963年築の市民会館を初め、青果市場、中央児童会館、少年科学文化会館と、本市が成長してきた道を再びなぞるように列挙されています。
 そこで、お尋ねしますが、平成24年度市政運営方針及び議案説明書にある市民会館を初めとした複数の大規模施設や今後見込まれる学校や市営住宅などの公共施設について、維持、更新の基本的な考えはどのようになっているのか、お尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。

◯市民局長(阿部 亨) 荒津地区の防災対策についてのお尋ねでございますが、荒津石油基地の地震の想定につきましては、福岡県が平成18年12月に出された地震防災アセスメント調査の結果に基づき、警固断層帯南東部を震源とした地震の規模をマグニチュード7.0から7.2を、震度は6弱から6強を想定いたしております。なお、荒津石油基地内における被害想定は特にございません。
 荒津石油基地の防災対策上の位置づけにつきましては、石油コンビナート等災害防止法第2条に定める特別防災区域になっております。また、防災対策につきましては、同法の第31条の規定に基づき、福岡県知事を本部長とする防災本部が策定いたします福岡県石油コンビナート等防災計画により、福岡県、事業者、防災関係機関、団体と連携して対応することといたしております。以上でございます。

◯道路下水道局長(井上隆治) 福岡県西方沖地震における中部水処理センターの被害状況についてお答えいたします。
 地震発生後、水処理施設の水路の一部に亀裂が生じたことや場内配管のずれにより、水処理センター内にて漏水等が発生したため、処理機能の一時停止、緊急的な点検や復旧を行い、その結果、市民生活に影響が及ばない範囲で早期に処理機能の回復ができたところでございます。以上でございます。

◯財政局長(野見山 勤) 公共施設の維持、更新に関する基本的な考え方についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、福岡市におきましては高度成長期以降に整備してきた施設が老朽化による更新時期を迎えようとしておりまして、これまでの手法やサイクルで更新し続けることは困難であるというふうに認識しております。良質な公共サービスを継続的に提供していくことは行政の責務でございますことから、平成20年度には施設関連投資額の低減や平準化を図ることを目的としたアセットマネジメント基本方針を策定いたしまして、平成22年度には各施設でライフサイクルコストの最小化に向け、施設の長寿命化や施設運営、保守管理コストの効率化を図るアセットマネジメント実行計画を策定いたしまして、全庁挙げて取り組んでいるところでございます。
 さらに、社会、市民ニーズの変化や機能の陳腐化などが生じた場合にも、まずは大規模改修などの検討を行いまして、結果的に建てかえとなった場合にも、投資額の低減、平準化を図るアセットマネジメントの考え方を基本に置いて、新たな財源の確保や民間のノウハウの活用など、さまざまな手法の検討を行いつつ、適切に対応していくこととしております。以上でございます。

◯41番(水城四郎) 2問目に入ります。警固断層上にある荒津地区防災対策についてですが、荒津石油基地についてお尋ねします。
 答弁にありましたように、荒津地区は石油コンビナート等災害防止法の規定に基づき、特別防災区域に指定されており、福岡県石油コンビナート等防災本部が作成する福岡県石油コンビナート等防災計画の中に位置づけられているということです。
 また、答弁では、荒津地区の防災対策については、福岡県石油コンビナート等防災計画に基づき行うとのことですが、本当にそれで大丈夫なのでしょうか、大いに疑問です。
 東北地方太平洋沖地震及びその余震に起因して、市原市を含む千葉県石油コンビナート等特別防災区域内では火災1件、危険物等の漏えい8件、破損2件、合計11件の異常現象が発生しました。そのうち液化石油ガスタンクの火災爆発では、液化石油ガス火災は拡大が早く、被害が大きく広範囲になることが他の火災と異なるところであり、適切な防災設備と迅速な消火活動が要求される災害であると言われています。
 一方、荒津地区は面積が25ヘクタールで、石油、高圧ガス貯蔵取扱所の特定事業所が12事業所、また、その他17の事業所があり、石油の総貯蔵・取扱量は約19万キロリットル、小学校の体育館にして37杯分、また高圧ガスの総取扱量は約150万ノルマ立方メートル、これはヤフードームの約1杯分となっています。それらが警固断層上に乗っかかっており、全国でも例のない状況です。北、東及び西は海に面し、南西は福岡市の水処理センター、南は道路を隔てて中央市民プール、都市高速西公園ランプや居住地帯と接しています。同地区の周辺は道路に囲まれ一画をなしていますが、その中に特別防災区域以外の一般地域があり、一般事業所が所在しております。そして、驚くことに、住居地帯と屋外貯蔵タンクとの最短距離は、道路を隔てて約50メートルしか離れていないのです。
 千葉県市原市のコスモ石油千葉製油所の液化石油ガスタンク火災爆発事故では、火災の延焼によりタンクの4基が爆発、破裂し、3基に穴があき、周辺の17基が炎上しました。市原市消防局は関係機関に消火を要請し、東京消防庁の消防艇が緊急出動したほか、大容量泡消火システムなどにより対処しましたが、結局、鎮火までに10日間かかっています。
 また、市原市の爆発では、タンクの破片は700メートルから1,300メートル程度、板金は約6,200メートルのかなたまで飛散しました。さらに、爆風圧により3,900メートルの地点で窓ガラスの破損が確認されるなど、災害が広域にわたっています。
 コンビナートから国道16号線を挟んで約1キロ先の位置にある近隣住宅地では、民家など118軒のガラスなどが破損、近隣住民約1,000人に一時避難勧告約8時間が出されるなど、一時は大変緊迫した状態となりました。
 さらに、この爆発事故の調査の過程では、高圧ガス保安法に基づくコンビナート等保安規則に定める、液化ガスが漏えいしたときに安全にかつ速やかに遮断するための措置が遵守不履行であったり、タンクに水を入れたまま12日間放置するなどの不適切な措置が明らかになるなど、民間事業者の管理面での問題点も浮き彫りとなりました。
 このような市原市の状況をかんがみたとき、警固断層が直下を走り、震度6弱、6強の揺れが予想される荒津石油基地の施設や設備の耐震性は本当に大丈夫なのか、また、もし万が一荒津のタンクが爆発した場合は、居住地帯と屋外貯蔵タンクとの最短距離が道路を隔てて50メートルしか離れていないことは、千葉の教訓から見過ごすことはできません。
 さらに、荒津石油基地から福岡市の中心部までの距離は約3,000メートルしか離れていないのです。市原市事故を考えるならば、爆発したタンクの破片が中心部のオフィスや住宅地まで飛散し、物的、人的に甚大な被害をもたらすことが大いに想定されるのです。私は、夢や絵そらごとの話をしているのではありません。3.11に起こった実例と教訓に学ぶべきです。
 さて、この図面を見ていただきたいと思います。(パネル表示)
 ごらんください。もし今お話しした同様の爆発が起こった場合を福岡市に当てはめてみました。被害範囲は、西は小戸公園、南西部は福大病院、南は大橋駅や南区役所、福岡空港の滑走路や、東は名島橋まで及ぶことになります。
 また、南側には都市高速道路が走っています。福岡市は、広域的な交流、連携や、市民生活、都市活動などを支える都市高速道路や国道などの幹線道路を軸として、放射環状型道路ネットワークの形成を目指して整備を進めていますが、もし万が一、荒津のタンクが爆発すれば、風向きや気象条件にもよりますが、都市高速道路は間違いなく被害をこうむり、通行不能となるでしょう。この場合、202号線などを中心に一般道に車両が集中し、避難する人や車、消火に向かうレスキューの車で道路が渋滞、大混雑が引き起こる状況が想定されます。
 大規模災害時には、近隣自治体や防災関係機関を初め企業などとの災害時応援協定に基づいて、福岡市にも支援の手が差し伸べられると思いますが、その際、肝心な交通網が被害を受け、炎と黒煙により通行ができなくなれば、自衛隊の消火部隊も近隣自治体の消火部隊も近寄ることができなくなるのではないでしょうか。私は、このような事態を想定に入れた計画、取り組みが急務で、ぜひとも必要であると考えます。
 そこで、お尋ねしますが、荒津石油基地で万が一大規模災害が発生した場合の災害対応は、どのような体制で行うのか、お答えください。また、日ごろから災害予防対策として石油基地内の施設や設備の耐震化や適正管理などに関する調査や指導はどうなっているのか。さらに、地域住民を含めた避難訓練などの防災訓練はどのように行われているのかお尋ねします。
 次に、今回の事故では、液状化現象に起因する漏えいも2件発生し、最も被害が大きい箇所では周辺の地盤沈下、変動により約35センチの亀裂が発生しました。まだほかにもたくさん被害はありますが、石油コンビナート等特別防災区域内の防災対策については、千葉県石油コンビナート等防災計画により、災害想定、予防、応急対策などが策定されていたわけですが、結局はあのような大惨事になってしまったわけです。
 さらに問題なのは、平成20年度に修正されていた現在の石油コンビナート等防災計画では、津波被害が想定されていないことです。東京湾内港に高さ2メートルの津波が入り、木更津港湾で2.83メートル、湾の最も奥に当たる船橋市でも2.4メートルを観測しましたが、特定事業所において実際に浸水などの被害が発生しなかったことは不幸中の幸いであったと思います。しかしながら、これまで東京湾内港への津波被害は想定されていなかったことから、多くの事業所においては、津波警報発令時における対応マニュアルも整備されていませんでした。
 また、石油コンビナート地区周辺における防潮堤は、主に高潮対策として設置されていたものであり、その多くが石油コンビナート地区よりも内陸に設置されていたことも明らかになっています。
 そこでお尋ねですが、福岡県石油コンビナート等防災計画において、液状化対策や津波対策はどのように盛り込まれているのか、お答えください。
 次に、中部水処理センターについてお尋ねします。
 福岡県西方沖地震の際は、場内の漏水程度で済んだとのことですが、もし東北地方太平洋沖地震規模の活断層の直下型地震が発生したら、老朽化した中部水処理センターは壊滅すると考えます。なぜなら、昨年の東日本大震災の際、宮城県の多賀城市や名取市などでは、地震の発生後に汚水処理施設の機能が停止、下水管の閉鎖などによりマンホールから汚水があふれ出し、悪臭が発生するなど市民生活に大きな支障を来した実例があるのです。1日当たり30万立方メートルの汚水を処理する中部水処理センターが仮に機能停止になれば、博多湾に汚水が流出するのみならず、天神地区や博多駅地区などの中心部では汚水管から汚水が吹き出し、衛生面の悪化から市民の生命に危険が及ぶことが十分に考えられ、早急に対応をとる必要があると考えます。また、福岡市の経済活動や市民活動はほとんど停止状態となります。
 これらを防止するためには、なるべく早い時期から対策に取り組む必要があり、全面的な建てかえが必要です。目に見えない部分でありますが、災害からインフラを守るために非常に重大な行政の責任があるのです。市民の生命を守る真の安全保障、ここにこそ選択と集中が必要です。そこでお尋ねしますが、中部水処理センターの老朽化の状況と対策及び全面的な改築更新についてどのように考えておられるのか、所見をお尋ねします。
 次に、公共施設の建てかえ需要と財政の健全化についてお尋ねします。
 先ほどの答弁では、アセットマネジメント実行計画に沿って基本的に長寿命化を図り、原則的に施設を長く使っていくということでしたが、一度つくった建物を簡単に壊さずに十分に活用していくという姿勢は、当然ながら今後とも維持していただきたいと思います。しかしながら、仮にこの計画どおり長寿命化が行われたとしても、建てかえをおくらせるだけで、最終的に建てかえを避けることはできません。
 今回、市民会館を初めとする幾つかの大規模施設も個別には長く使う努力をされてきたのだろうと思いますが、結局、建てかえたいということになり、建てかえするなら機能を拡充したい、そしてまた新たな借金をするということになるのではないでしょうか。こうした大規模施設の建てかえは現在、市民会館、中央児童会館、少年科学文化会館、新病院、新青果市場、小中連携校、学校給食センターと、列挙されているものだけでも1,000億円を軽く超える財政負担になることが推測されます。また、移転新築となる案件については、別途、用地の取得費用も必要になるのではないでしょうか。
 そこで、次のお尋ねですが、これからの大規模施設の建てかえは多額の財源が必要であり、市債発行が再び大きくふえていくおそれがありますが、どのようにして財政的な対応を行っていくお考えなのかお尋ねしまして、2問目の質問を終わります。

◯消防局長(谷口芳満) 荒津石油基地で万が一大規模災害が発生した場合の災害対応などについてお答えいたします。
 荒津石油基地につきましては、石油コンビナート等特別防災区域に指定されていることから、消火部隊別の活動要領を事前に事細やかに定めており、万一災害が発生した場合には、大型化学高所放水自動車など約40台の消防車両を集結し、当該事業所の自衛防災組織と一体となって消火活動を実施することといたしております。
 また、消防局の査察指導状況につきましては、消防法令等に基づき、全危険物施設を対象として毎年計画的に実施しております。なお、地域の特殊性から、各事業所とも法令遵守の意識は高く、現在のところ適正に維持管理されていると認識いたしております。以上です。

◯市民局長(阿部 亨) 荒津地区の防災対策についてお答えをいたします。
 まず、荒津石油基地における防災訓練につきましては、事業所と消防局が合同で毎年6回実施をしております。そのほか、荒津石油基地内の29事業所で組織する荒津共同防災組織運営委員会の計画に基づく訓練や、各事業所の防災規程に基づく訓練が行われております。また、福岡県、福岡市、荒津共同防災組織運営委員会と県警、自衛隊、海上保安部など、防災関係機関が連携した総合防災訓練を3年に1回実施をいたしております。なお、地域住民が参加した避難訓練などは実施をしておりませんので、今後の実施に向けて、福岡県、荒津共同防災組織運営委員会、防災関係機関などと協議、検討を進めてまいります。
 次に、福岡県石油コンビナート等防災計画についてのお尋ねでございますが、液状化対策につきましては、現在の計画の被害想定や予防対策に特に規定がなされておりません。また、津波対策につきましては、津波が発生し、または発生するおそれがある場合の災害応急対策について規定はされておりますが、具体的な津波高などの想定はございません。当該計画は石油コンビナート等災害防止法第31条の規定に基づき防災本部が毎年これに検討を加え、必要があるときはこれを修正することとなっております。現在、福岡県におきましては、地震アセスメント調査及び津波防災アセスメント調査が行われておりまして、これらの調査結果が平成24年5月から6月ごろに明らかとなる見込みでありますので、県が調査結果を踏まえ、計画の見直しを行う際に防災関係機関などとともに協力して取り組んでまいります。以上でございます。

◯道路下水道局長(井上隆治) 中部水処理センターの老朽化の状況と、その対策及び全面的な改築更新についてお答えいたします。
 中部水処理センターは、昭和41年の供用開始から45年が経過しており、コンクリートの劣化等が部分的に発生している状況でございます。対策といたしましては、劣化したコンクリート構造物の部分的な補修や耐震診断に基づく耐震対策、耐用年数を超えた機械、電気設備の更新工事を順次実施し、水処理センターの維持管理に努めているところでございます。
 全面的な改築更新につきましては、敷地が狭く、未利用地もほとんどないことから、改築中の処理機能を確保する方策などの課題整理を行っておるところでございます。今後、さまざまな課題を整理した上で、技術面や経済性など幅広い観点からも検討が必要であると考えております。以上でございます。

◯財政局長(野見山 勤) 大規模施設の建てかえに係る財政的な対応についてのお尋ねでございますが、今後の大規模施設の建てかえや大規模改修に当たりましては、これまでの国庫補助金や市債発行だけではなく、民間資金も活用しながら多様な財源の確保に努めていく必要があると認識しております。このため、施設の整備や運営に民間企業の経営ノウハウや技術力、そして資金を活用しましたPFIなど官民協働の事業手法、いわゆるPPPを積極的に導入しながら、良質な公共サービスの提供と総事業費の削減や平準化に取り組んでいくことが重要であると考えております。以上でございます。

◯41番(水城四郎) 警固断層帯上にある荒津地区防災対策についてですが、荒津石油基地についてお尋ねします。
 答弁では、荒津地区の防災対策については、福岡県石油コンビナート等防災計画に基づき行うとのことですが、肝心の計画に東日本大震災の教訓が全く生かされてないということが、ここで明らかになったわけです。課題がさらにふえました。政令市の中にある民間石油コンビナート、危機管理における防災指導は県任せで進まない。まさに二重行政の間に埋没する市民の安全が脅かされています。
 一方、千葉県では、東日本大震災による石油コンビナートの被害状況から、耐震対策を検討し、災害想定の見直しや地震対策の強化などを盛り込み、平成23年度末の計画策定を目指しておられます。私は、地震や津波が起こるいざというときに備え、リスクを極力抑えておくことが、政治や行政の責務だと思います。
 以前から再三にわたり紹介してきましたように、毎年超巨大ハリケーンが発生し、水害をもたらすことで有名なフロリダ州では、危機管理対策の先駆けから、全米で一番の評価を受けており、その内容は、災害準備の態勢を具体的にとることの大切さを説いています。1ドルふやして防災対策を講じた場合には、災害復旧にかかる費用が4ドル節約できる。すなわち、予防というものは経費面の効果も国民の生命、安全を守る面からも非常に重要であるということです。私は、この予防の重要性を機会あるごとに何度も何度も訴えてまいりました。
 これからはリスク管理がますます重要な時代となります。福岡市全体として、どこにリスクがあるのか、平常時から自衛隊などとも十分に意見交換もやっておく必要があります。そして、リスクをどう分散させるのか、そのための選択と集中を熟慮する時代です。市民がいざというときに判断できる情報をいかに伝達するのか、また広域連携の重要性もますます高まっています。これらは言うまでもなく、自治体の重大な責務であります。
 石油コンビナート等災害防止法に基づく福岡県石油コンビナート等防災計画の見直しは、早急にやるべきです。福岡県石油コンビナート等防災本部の本部長は福岡県知事でありますが、すぐに行うとは思えません。本部員である148万市民の安全、安心を守る市長として、コンビナートを抱える福岡市がリーダーシップを持って推進していくべきではありませんか。
 さて、東日本大震災の際には、福岡市も20大都市災害時相互応援に関する協定に基づき、被災地の支援を行ったわけですが、当時、政令市の幹事で調整役であった千葉市は、みずからも被災し、またコンビナートの爆発事故への対応などで全くその職責が果たせず、副幹事の札幌市がその任を行わざるを得ない状況になった経緯がありました。福岡市も24年度、4月からですよ、副幹事であり、来年25年度は幹事であり、このような状況に対応しなければなりません。1の投資で4倍の効果や節約が可能となるリスクマネジメントの観点から、今まさにこの時期に危機管理事案に対し財政の選択と集中の投資を行うべきだと考えます。
 いざというときにその任務を全うできるためにも、平時から万全の備えを行っておくことこそ、都市の成長の基礎となる安全で安心な都市環境を強く打ち出されている市長の最もやるべきことではないでしょうか。今後、荒津地区の防災対策に市としてどのように取り組んでいかれるのか、市長の答弁を求めます。
 次に、中部水処理センターについてお尋ねします。
 中部水処理センターの全面的な改築更新について、課題の整理や幅広い観点から検討を進めるとのことですが、福岡市の財政状況は厳しく、この事業着手は容易ではないでしょう。そこで、PFI事業や各種事業手法を適用した国の補助制度を活用するなど、民間に任せてよい事業は積極的に民間主導に移行し、効率化を図る手法もあると考えます。
 しかしながら、下水道事業は市民の生活に密着した事業です。一日たりともとめることができません。何度も申しているように、事業の選択と集中においても必要不可欠な事業である下水道施設の改築更新は行政が着実に推進していただきたいと思います。
 我々はいま一度、防災を民間任せにしていた千葉県の石油ガスタンク火災爆発の事例を教訓にして、市民生活の安全、安心は行政が守るという原点に立ち返るべきです。そういう点で私は、下水道事業は行政が責任を持って実施すべき事業だと考えます。
 また、荒津周辺は、埋め立てられる前までは都心部に近い立地条件にもかかわらず、きれいな海岸が広がり、西公園から博多湾が一望できる緑が多い風光明媚な場所でした。しかしながら、埋め立て後は、石油基地や下水処理場が立地して、海岸や緑が失われました。
 そこでお尋ねしますが、中部水処理センターの全面的な改築更新に際しては、荒津地区周辺の環境に配慮した施設を計画していただき、荒津地区のまちづくりに寄与するような取り組みを行うべきと考えますが、所見をお伺いします。
 次に、公共施設の建てかえ需要と財政の健全化についてですが、先ほどの答弁にありましたとおり、今後の大規模施設の整備に当たっては、PFIやPPPといった官民協働の事業手法で民間のノウハウと資金を積極的に活用していくとのことでしたが、しかし、PFI等の提案を行い、落札できるのは、逆に言うと相当ノウハウと資金を有する大企業に集中してしまう懸念があります。その結果、地場企業が仕事をとれない、あるいは大企業の下請となってたたかれ、ほとんど利益が出ない仕事をしなくてはいけなくなるのではないか。また、WTO政府調達協定に該当するような大型案件については国際条約上、入札参加者を制限するようなことはできないと聞いておりますが、今後、PPPなど官民協働の事業手法を進められる際には、福岡市の企業が受注して福岡市の経済に寄与できる形になるよう、十分な御配慮をお願いしておきます。
 さて、官民協働による最適な事業手法の選択は、財政負担の軽減と平準化に一定の効果があるとは思います。しかし、先ほどお話ししましたような今後生じる圧倒的な建てかえのボリュームを考えますと、果たして整備の手法だけクリアすれば、本当に本市の財政が立ち行くものなのでしょうか。
 もう一度グラフをごらんいただきたいと思うんですけれども、(パネル表示)先ほどのグラフを再度見ていただきまして、現在、日本の人口は1億2,806万人で、2004年、平成16年をピークに徐々に減少が始まっております。ことし1月末に国立社会保障・人口問題研究所が公表した推計によりますと、今後、2030年、平成42年には1億1,600万人余り、2060年、平成72年、私が運良く生きていれば90歳のころなんですけれども、8,600万人余りと、今後50年間のうちに実に3割以上の人口が減るとの結果となっています。福岡市の場合、まだまだ人口はふえ続けていますが、いずれ遠くない将来、減少に転じていくことになります。
 私が今回特に申し上げたいのは、政令指定都市に移行した、本市の人口が約90万人だったときに整備した施設は、人口148万人に達した今日まで十分活用されてきたと思うのですが、人口減少社会を迎える今後はどうだろうかということです。高度経済成長期と同じように施設の整備をし、あるいは機能を向上させる必要があるのでしょうか。これらは果たして50年後、60年後も十分に活用されるのでしょうか。しっかり考えていかなければなりません。
 あと10年もすれば公共施設の大量更新が始まります。そのとき、本市が成長していた四、五十年前と同じようにそれをすべて建てかえたとしても人口は減り続け、人口構成も変わっていくわけですから、無駄な施設にならないとも限りません。現状がこのまま続いていくのではなく、人口減少がもうそこまで来ているとの認識をしっかりお持ちなのでしょうか。
 そこで、お尋ねします。やがて公共施設の大量更新期が到来することになりますが、財政の健全性を維持し続けるために、人口動態を踏まえた施設や機能の統廃合、施設のグレードの見直しが必要であると考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、現段階では次々と施設の建てかえの話だけが出てきており、その財源の見通しが十分考えられているような強い行財政改革への取り組みの姿勢が見えてきません。
 今後の経済情勢の大幅な好転は期待できないものと思います。高齢化社会の本格化に伴い、社会保障関係費も着実にふえていくことが予想されます。将来に向けた財源の見通しがなければ、どれほど必要性があっても、これだけの大規模施設の建てかえは極めて困難ではないかと思います。
 また、これまで着実な市債残高の削減を行ってきた努力が道半ばで挫折してしまうことにはならないのかと懸念もあります。ここはぜひ、もっともっと歳入をふやしていかなければならない。別途大なたを振るうような大きな財政改革も必要ではないか、そういうふうに思います。そうやって大きななたを振るわないと財源が生まれないのではないか。
 財源づくりの例えとして言えば、以前から3代の市長にわたって私は申し上げてまいりましたが、お願いをしております、市長に。子どもや障がい者にかかわる医療費の助成など、県下の政令指定都市が不公平な扱いを受けている、多くの負担を行わざるを得ない状況が続いています。乳幼児医療費とか重度障がい者医療費、こういったのも財源の確保としてしっかり地道にやっていかなければならない。ぜひ取り返しをお願いしたいと、財源確保をしていただきたいとお願いしたいというふうに思っております。
 また、ほかにも観光産業の充実、広告収入、ネーミングライツ、過去、地方分権を担い、フィルムコミッション、これも地方財源、観光につながる一環としていろいろるる申し上げてまいりました。これも1つのこまでしかないわけですけれども、最後の質問ですが、今後、大量の公共施設の建てかえ需要と社会保障関係費の増大という大きな財政需要が見込まれる中、これらの財源の確保のためにどのように稼いでいこうとしてあるのか。また、一方で民にできることは民という考え方を徹底し、その上で行政の本来的な役割の中で選択と集中をどのように行っていくのか、どこにどう大なたを振るって見直しをされるつもりなのか、市長の明快な答弁を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。

◯道路下水道局長(井上隆治) 中部水処理センターの改築更新についての考え方についてお答えいたします。
 中部水処理センターの全面的な改築更新に際しましては、西公園や博多湾の自然環境、周辺の土地利用状況にも十分配慮した施設となるよう検討を行うとともに、自然エネルギーの利用や省エネ対策、処理水のさらなる利用など、新しい時代に即した検討が必要であると考えております。以上でございます。

◯財政局長(野見山 勤) 公共施設の大量更新への対応についてのお尋ねでございますが、今後の公共施設の更新需要が増加していくことにつきましては、市税収入を初めとする一般財源の大きな伸びが期待できない中、少子・高齢化の進行などに伴う社会保障関係費の増嵩とあわせて、福岡市の中長期的な財政運営にとって大きな課題であるというふうに認識しております。しかしながら、厳しい財政状況の中にあっても、市民の暮らしの質の向上や都市の成長に向けて必要な施設につきましては、福岡市の将来を見据え、財政規律と投資のバランスを図りながら整備を行っていくことが必要であると考えております。
 したがいまして、今後の公共施設の建てかえに当たりましては、新たな将来人口推計なども踏まえながら関係局と連携し、施設の機能の統廃合、施設グレードのあり方などについても総合的に検討を進め、適正な財政負担となるよう対応してまいりたいと考えております。以上でございます。

◯市長(高島宗一郎) ただいま水城議員から御指摘がありましたとおり、このたびの東日本大震災に伴い発生した千葉県市原市のガスタンク事故、爆発ですね、これはコンビナート事故としましては日本ではほかに例を見ないほどの非常に大惨事だったわけでございます。福岡市においては東区と中央区に石油コンビナートなどの特別防災区域を有しておりまして、特に、直下に警固断層が走る荒津地区の防災対策の重要性につきましては十分認識をしております。また、コンビナートなどのこういった防災対策というのは各施設の事故防止や災害時の応急活動体制の構築など、事業所における安全管理体制をさらに充実させるとともに、被害の拡大防止対策としての施設の耐震性強化や個々の事業所、共同防災組織内だけではなくて、コンビナート地区全体、あるいは市街地なども含めた被災地域全体を見渡した広域的な防災体制、避難対策が必要であるなど、総合的な対策が重要であると考えます。
 福岡市におきましては、今回の震災の教訓をしっかりと受けとめて、市民の安全、安心の確保を図るために福岡県の石油コンビナート等防災計画の見直しに防災関係機関、団体と協力して取り組むなど、必要な対策を進めてまいります。
 それから、今後の公共施設の建てかえ需要などへの対応についてお答えをいたします。
 水城議員御指摘のとおり、今後の財政見通しは極めて厳しいものと認識をしておりますが、私は、厳しい財政状況の中にあっても、経済的な成長と安全、安心で質の高い暮らしのバランスがとれた、人と環境と都市の調和のとれたアジアのリーダー都市実現に向けて、真に必要な施策は着実に取り組んでいく必要があろうかというふうに考えております。そのためにも、義務的経費を含めた経常的経費の徹底した見直しや多様な財源の確保、また選択と集中による投資の重点化など、これまで以上に財政健全化の取り組みを進めていくことに加え、高い暮らしの質が人と投資を呼び込み、都市の成長を実現していくことによって新たな雇用や市民所得を向上させ、そして税収の向上につながっていく、そういった好循環をつくることが重要であると考えております。
 24年度におきましては、中長期的なまちづくりの方向性を定める総合計画、そして次期財政健全化プランの策定に取り組むことによりまして、その中で公共施設の建てかえ需要に対する考え方も含めて財政規律と投資とのバランスがとれた財政運営のあり方について検討していきたいというふうに思います。以上です。




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