国分 議員の一般質問と答弁

◯46番(国分徳彦)登壇 私は、みらい福岡市議団を代表して、消防活動等の協力に関する協定について、消防団活動について、廃屋対策について、以上3点について簡潔に質問いたしますので、当局の明快な回答を期待いたします。
 まず、消防活動等の協力に関する協定についてですが、東日本大震災では倒壊家屋からの人命救助活動や瓦れき等で封鎖された道路の復旧活動などにおいて、自衛隊などの重機が大変活躍する場面が繰り返し報道されていたことは記憶に新しいところでもあります。また、各防災機関においても、今回の大震災で災害時における重機の重要性をさらに認識させられたのではないでしょうか。こういったことから、今回、消防局において重機などの特殊な機材を保有している福岡県建造物解体工業会と協定を締結されておりますが、協定の具体的な内容をお尋ねいたします。また、大規模災害時だけでなく、通常の災害活動にも積極的に連携を図っていくべきであると考えますが、あわせて御所見をお尋ねします。
 次に、消防団活動についてですが、消防団につきましては、東日本大震災以降、災害時における活動の重要性が再認識され、地域消防のかなめとして市民から大きな期待を寄せられております。しかしながら、一方で昨今の消防団員の就業形態は昔と違って地域の地理に詳しい自営業の方は少なくなってきており、約半数の人が会社員であります。また、まち並みの変化にも著しいものがあり、高層マンションなどが建設されると、周囲の視界が遮られ、煙は見えるが火元までは確認できず、到着に時間を要したとの話も聞きます。特に広い地域を管轄する消防分団などについては、災害現場へ至る経路の選択など、地理情報の把握に大変苦慮しているのではないでしょうか。
 そこでお尋ねしますが、広い地域を管轄する消防分団の車両については、迅速な災害対応を行うためにもカーナビゲーションの搭載がぜひ必要と思いますが、御所見をお尋ねします。
 次に、廃屋対策についてですが、昨今、放置された空き家の増加が盛んに新聞やテレビ、また週刊誌などのメディアで取り上げられるなど、全国的にも大きな社会問題となっています。実際に私自身も市民の方から相談を受けることがあります。放置空き家は建物の倒壊やかわらの飛散などの危険性を初めとして、雑草は生い茂り、ごみは不法投棄され、また不審者の出入りによる防犯、防火上の問題など多くの面で周辺住民に不安感や悪影響を及ぼしています。この問題は本市議会でも何人かの議員が取り上げられ、市としても関係局区から成る廃屋対策連絡会議の設置や一定の組織強化を図るなど、問題意識を持って取り組んでいるようでありますが、まず老朽危険家屋の指導実績の昨年度末までの状況とその後の状況がどうなっているのか、お尋ねします。
 また、建物の適正な維持管理はその所有者が責任を持って行うべきと思いますが、空き家は当然所有者を含め、だれも居住していません。建物の所有者は登記簿謄本で調べればわかると思いますが、登記簿謄本上の所有者が亡くなっている場合は、法定相続人が指導の相手方となると思われます。法定相続人を含め所有者に対する指導はどのようにされているのか、また、所有者に接触して指導はされているのか、具体的に行っている指導方法をお尋ねします。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目からは自席にて行います。

◯消防局長(谷山 昭) まず、消防活動等の協力に関する協定に関して御答弁申し上げます。
 東日本大震災の経験から、大規模災害時における重機等の重要性につきましては、消防局としても改めて認識したところでございまして、市で独自に整備するのか、民間で保有する重機等を活用するのかも含め検討してまいりました結果、社団法人福岡県建造物解体工業会福岡支部に御協力を得ることといたしまして、平成24年3月19日付で消防活動等の協力に関する協定を締結したところでございます。
 協定の内容といたしましては、人命救助活動等に障害となる物件等の除去や危険要因となる物質等の排除などについて御協力をいただくことといたしておりまして、大規模災害時だけでなく、通常の災害活動においても必要に応じて連携を図ってまいりたいと考えております。
 続きまして、消防団活動についてでございますが、消防団につきましては日ごろから地域に密着した活動をされておりまして、管轄する区域の地理情報には精通されておられますけれども、中には議員御指摘のとおり、管轄する区域が広く、地理情報の把握に苦慮されておられる消防分団もあるようでございます。いち早い現場到着は消防活動の生命線でもございますので、例えば、10校区を超えるような広い地域を管轄している消防分団に対しましては、早速、試行的ではございますが、カーナビゲーションを設置し、以後、試行の結果を踏まえまして、消防団の御意見もお聞きしながら、必要な分団車両に設置してまいりたいというふうに考えております。以上でございます。

◯住宅都市局長(馬場 隆) 廃屋対策についてお答えいたします。
 まず、老朽危険家屋の指導実績についてでございますが、老朽危険家屋と把握して指導を行った件数は、データの集計を始めました平成16年度から平成23年度までの合計で203件となっております。このうち、除却もしくは修繕などにより是正が完了したものは92件でございます。また、平成24年度につきましては、5月末までに新たに14件について指導を開始し、同じく5月末までに5件の是正が完了しております。これを加えますと5月末時点での指導実績は累計で217件について指導を行い、このうち、是正が完了したものが97件、現在継続して指導しているものは120件であります。
 次に、所有者に対する指導方法についてですが、土地や建物の不動産登記簿や住民票、戸籍謄本などにより所有者や法定相続人の所在地を特定し、老朽危険家屋の現状や管理義務、管理者責任などを記載した文書を送付し、適正な維持管理を求めているところであります。あわせて、電話での連絡が可能であれば、電話による直接指導を行っております。
 また、所有者や法定相続人が市内または市近郊に居住している場合には、自宅訪問による指導を行い、除却や修繕など必要な是正措置の実施を強く求めているところであります。以上でございます。

◯46番(国分徳彦) まず、消防活動等の協力に関する協定についてですが、ことし1月に発生した北九州市若松区の市場火災において、重機を活用した消火活動を実施し、効果を上げた実績があると聞いております。先ほどの答弁では、本市においても大規模災害時の瓦れきの除去等だけでなく、通常の災害活動においても連携していくとのことでした。危険を伴う人命救助活動等で連携していくのであれば、解体工業会と連携した訓練などを実施する必要があると思いますが、今後の具体的な連携内容についてはどのようなものになるのかお尋ねして、この質問は終わります。
 次に、消防団活動についてですが、消防局長の本当に前向きな答弁をいただき感謝いたしますが、10校区などと言わず、消防分団の要望に沿ってできるだけ多くの車両に搭載していただきますようお願いいたします。
 次に、現在の消防団の管轄する区域や団員定数については、昭和57年の7区制が本市に導入されたときの考え方が基本となっていると聞いております。しかしながら、既に30年がたち、人口が急激に増加した地域や高齢化が進んでいる地域などが多くなっており、都市の構造も大きく変化しております。例えば、10校区を超える広い区域と多くの人口を抱えながら、わずか30人の団員定数で災害対応を行っている消防分団もあると聞いております。そのような地域には新たに消防分団を設置すべきではないでしょうか。もちろんそのためには消防団員の増員や団幹部の養成などといった地域の努力と強い要望が必要であり、また本市の厳しい財政状況を考えると、非常に困難なことであることは十分承知しておりますが、ぜひともその声にはおこたえいただきたいと思いますが、御所見をお尋ねして、この質問は終わります。
 次に、廃屋対策についてですが、メディアの報道でも放置空き家問題は根が深く、その解決はなかなか容易ではないようです。放置に至ったその背景にはさまざまな要因があり、また是正の指導をするに当たっても、さまざまな解決困難な要因があるのが実情ではないでしょうか。
 そこで、実際、市が放置空き家、いわゆる廃屋の是正指導に取り組む中で見えてくる課題や問題は何なのか、さらに今後の見通しはどのように認識しておられるのか、お尋ねします。
 また、今年度の予算において廃屋の実態調査が予定されていますが、いつごろからどのように調査されて、今後それをどう生かされていく予定なのか、今の時点で何か具体的な計画や見通しがあるのか、お尋ねします。
 以上で2問目の質問を終わります。

◯消防局長(谷山 昭) まず、消防活動に関する御質問にお答えいたします。
 社団法人福岡県建造物解体工業会福岡支部との連携した活動につきましては、先日開催されました市民総合防災訓練に早速福岡県建造物解体工業会福岡支部さんから御参加いただき、災害現場を想定したビルに消防隊が進入する際、その倒壊の危険性等について消防隊にアドバイスをいただくなど、お互いの連携を深めたところでございます。今後は実際に解体中の建物を使用した訓練を解体工業会と連携して実施するとともに、消防隊を対象とした建物構造に関する研修会を開催するなど、実効性のある協力関係を築き、市民の皆さんが安全で安心して暮らせるまちの実現を目指して、連携を強化してまいりたいと考えております。
 続きまして、消防団活動についてでございますが、議員御指摘のとおり、都市化の進展に伴い、各消防分団においてもさまざまな課題が生じてきております。そこで、本年度、福岡市消防団体制強化検討委員会を立ち上げまして、その中で団員定数や管轄区域の見直しなどについて、本市消防団などの御意見をお聞きしながら、消防団の体制強化に向けてしっかり検討してまいります。以上でございます。

◯住宅都市局長(馬場 隆) まず、廃屋の是正指導に取り組む中で見えてくる課題や問題についてお答えいたします。
 是正指導上の問題点として、1点目は所有者や法定相続人の特定が個人情報保護の関係もあり困難な場合があること、また法定相続人が判明しても相続人が多数であったり、相続人間の関係が疎遠であったりで、是正の話がまとまらない場合が多いこと、2点目として地方税法では住宅用地の固定資産税及び都市計画税が面積に応じて一定の割合で軽減される特例措置があり、家屋を解体することにより、軽減措置がなくなることで税負担がふえるため、家屋の解体をためらう場合があること、3点目として所有者が遠隔地に居住している場合や相続人が多数となる場合などは、当事者としての責任者意識が希薄になりがちで、当面の経済的な負担増を理由に是正工事をためらう場合があることなどが上げられます。これらの現行の法制度上の問題や当事者としての意識の希薄さ、費用負担への抵抗感などが廃屋対策に取り組む中での課題、問題ととらえているところであります。
 また、今後の見通しについてですが、住宅・土地統計調査では、世帯数を大幅に上回る住戸数が確認されており、さらに解体戸数を上回る新たな住宅供給も行われております。少子・高齢化も進む中で廃屋は今後ますますふえてくることが予想されます。福岡市といたしましても、この問題に対して強い危機感を持って対応していくことが必要と認識しておりますが、一方で現行の法制度の中での指導に限界もあるため、国などへ必要な働きかけを行っていくことも重要と考えております。
 次に、廃屋の実態調査についてですが、消防局で把握している市内の空き家や小中学校の通学路沿線などを対象に、老朽化に伴う建物の危険性、庭木や雑草の繁茂、ごみの不法投棄、侵入防止の措置などの状況を廃屋対策の視点に立って、8月ごろから調査を行う予定でございます。この調査により、市内にある廃屋の全体像を把握し、課題の洗い出しを行うとともに、空き家条例などを制定した他都市の調査を行いながら、今後の廃屋対策を促進するための必要な検討を行ってまいりたいと考えております。以上でございます。

◯46番(国分徳彦) 谷山消防局長、しっかり取り組んでいってください。よろしくお願いいたします。
 最後に、廃屋対策について質問いたします。
 日本の高齢化はすごいスピードで進んでいます。また、核家族化など居住形態も変化しています。高齢者世帯では亡くなられたり、施設に入られたりした後は空き家になってしまいます。また、子どもたちも遠くで働いていると、なかなか帰ってはこれません。こういったことからも市でも認識されているように、今後も廃屋は確実にふえてくることが予想されます。この廃屋問題は地域住民にとって非常に身近な問題となっております。今年度実態調査を行い、廃屋の全体像をまず把握し、今後の廃屋対策のあり方を検討するとのことですので、しっかり取り組んでほしいと思います。
 一朝一夕に解決できる問題ではない部分があるとは思いますが、市としてやるべきことはしっかりやって、安全、安心な環境づくりに熱意を持って取り組んでいただきたいと思いますので、最後に今後の取り組みについての御所見をお尋ねして、私の質問を終わります。

◯住宅都市局長(馬場 隆) 廃屋対策に係る今後の取り組みについてお答えいたします。
 廃屋問題につきましては、全国的に大きな社会問題として顕在化している状況でございます。福岡市としましても、安全、安心なまちづくりや良好な地域環境の確保の観点からも、この廃屋問題は非常に重要な課題と認識しております。これまで関係部署間の連携体制づくりや組織の強化を図るなど、必要な取り組みを行っているところでありますが、その解決には課題も多い状況でございます。一方、国におきましても、全国各地における空き家に関係する課題の顕在化と問題意識の高揚を踏まえ、関係省庁で構成される連絡会議が平成24年3月に立ち上げられております。廃屋対策につきましては、このような国の動向なども踏まえつつ、十分な問題意識を持って関係部局と連携して積極的に取り組んでまいります。以上でございます。




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