水城 議員の一般質問と答弁

◯41番(水城四郎)登壇 私は、みらい福岡市議団を代表し、発言通告に従い、順次質問してまいります。当局の明確な答弁を期待いたします。
 まず、マンション建設等に係る住民への事前説明についてですが、私は今日まで数々のマンション紛争の市民相談を受けてまいりました。福岡市は、マンション建設等に係る建築紛争が政令指定都市の中でも大変多いようです。マンション紛争等に係る本市議会への請願書の提出が年10件近くもあったように記憶しております。リーマンショック以降の経済動向により建築の着工件数が減少し、紛争の件数も一時期減少するなど変動はあったかと思いますが、いまだに市民からマンション建設に伴う建築紛争についての相談が後を絶ちません。福岡市では、建築紛争の未然防止のため、建築紛争の予防と調整に関する条例で、建築主に対して、建築予定地の近隣住民への建築計画の説明を行うよう定めています。この住民への説明では、高さ10メートルを超える中高層建築物やワンルーム形式の集合住宅について、計画地の敷地境界の周囲と真北方向にそれぞれ一定の範囲の土地、建築物の所有者などを近隣住民と定義し、建築計画の説明を義務づけ、その内容をもとに近隣住民と建築主とが話し合うようにしているようですが、それでも建築紛争は後を絶ちません。
 福岡市は建築紛争に関する市長への陳情や議会への請願などが多いようですが、他の政令指定都市と比較した場合どの程度なのか、お尋ねします。
 また、リーマンショック当時よりも経済状態が持ち直しつつある状況ですが、本市に寄せられるマンション建設等に係る苦情など、どのような状況になっているのか、お尋ねいたします。
 次に、中国国家外国専家局との覚書の締結についてですが、私は地方自治体の国際貢献のあり方を問いながら覚書内容について質問いたします。
 今日、本市はさまざまな国際貢献、支援を行ってきた輝かしい確かな歴史は皆様御承知のとおりであります。私は過去、海外で国連支援活動を実践経験しましたので、国際貢献、支援、交流の有意義性を十分理解しているつもりです。それを踏まえてお話をさせていただきます。
 さて、地方自治体が国際貢献を行うことは、ある意味、我が国が政府レベルで行ってきたODAとは別に、地方自治体が独自政策で行う第2の地方版ODAとも言われ、さらには無償支援のあり方が昨今問われる一方、二重のばらまきではないかという厳しい声も確かにあります。財政再建を進める上でこれらODAの使い方が問題視され、国も見直しを進めているように、地方自治体もしかりであります。昨今の時代変化に伴い、市民の税金、財源を使って行う貢献、支援、協力のあり方は、中身をしっかり精査し、より深く戦略を持って、かつさらにその支援がどのような形でフィードバックされるのか、我が国と支援先国との情勢をよく見きわめ、真の貢献が達成できるよう明確な説明責任が求められる時代が来たと認識しております。
 まず、今述べました地方自治の国際貢献、支援のこれからのあり方について当局はどのようにお考えか、お尋ねいたします。
 福岡市はさまざまな国際貢献による周知活動をこれまで行ってきたことは十分認めています。が、今回、市長は去る7月6日に中国国家外国専家局と人材交流及び協力について覚書を締結されました。技術提供研修という締結内容は、今述べましたように、中身をしっかりと精査し、計画がなされたものなのか。
 これは国際貢献なのか、国際交流なのか、はたまた無償支援なのか、マスコミに発表されたようにビジネスなのかわからないとの声が市民から寄せられています。どのような視点で捉えて進めたのか、お尋ねいたします。
 あわせて、福岡市が行える国際貢献、支援、協力、交流の範囲や定義などについてお示しください。
 この覚書の締結に対して、多くの市民から、先人たちや技術者が必死の思いで築き上げてきた貴重な財産を、市長の地球は一つだからという理由で、海水淡水化技術や下水処理技術など世界に誇れる貴重な技術などをなぜ公開しようとするのか、また福岡市にとって何のメリットがあるのかなど、数多くの心配の声や、私たち議員に対してもなぜこんなことを許したのかと厳しいお叱りのメールやファクス、電話が市内外から寄せられ、大変困っております。どうしてこのような声が上がるのかと自分なりに分析をいたしました。今から約35年前を思い出します。世界の人口が約46億人と教わった子どものころ、社会科の授業で日本はどういう国かというと、資源がない国なので、原料を輸入して、日本の高い技術で加工したものを世界に商品として輸出しているから経済が成り立っている国、すなわち加工貿易の国であると同時に技術立国であると先生から授業で学びました。今でも基本は変わっていないと思います。しかし、あれから時がたち、まさか国際特許で日本の開発技術が先に外国で取得されたため、後に高い使用料を払うことになってしまった企業の痛手などを知っている市民だからこそ、今回締結の研修内容が環境技術の開示ということに不安を感じるのも無理はありませんし、国際協力や支援の基本は、まず我が国と平和友好が真に維持されていることが前提であることも皆が知っているからであります。また、そもそも国際貢献、国際支援、交流のあり方とは何かについて、私たちはもう一度立ちどまり思考し、議論していかなければならない時代が来たと考えます。
 我が国が戦後、焼け野原の中から、先人たちのたゆまぬ知恵と努力によって奇跡的に成長し、経済的にも先進国世界第2位まで上り詰めた豊かさを享受した時代だったからこそ、今度は先進国の一員として、世界、アジアの発展未整備の国々の生活改善、向上のために貢献していこうではないかが国際貢献政策の基本であると私は捉えています。それに加えて、各地方自治体も姉妹都市を結び、さまざまな形で国際協力と支援、友好を図ってまいりました。国と地方を合わせたら数十兆円を軽く超えると思いますが、効果が見えず、むしろ感謝された記憶がほとんどありません。むしろ日本の技術を生かし、近年、アジアも発展目覚ましく急成長し、分野によっては我が国と対等か、それ以上に成長しております。技術とはお金のなる木、すなわち国家や世界を変えるほどの高額な利益を生み出すため、近現代では技術情報収集合戦が繰り広げられ、国際特許を含む国際訴訟、すなわち紛争が激化しているのが世界の現実です。したがって、我が国における技術力は国力の象徴であり、その一端を本市も含め地方自治体が担っているからであります。技術力における知的財産の重要性については、既に市民がお気づきになっているからです。この知的財産の争奪戦を例えた市民の声は、昨今、ラーメン業界が激化しておりますように、業界のより大きな発展のために、業界は一つという名目で老舗店の店長が秘伝のたれやスープのレシピを競合する同業者へ果たして公開するでしょうか。本市がやろうとしていることも同じではないかと厳しい指摘を受けました。
 したがって、今回の締結事業が仮に進んだ場合、本市の知的財産である海水淡水化などの技術流出は本当にないのか、お尋ねいたします。
 このように多くの市民の声が上がっているのです。今回の中国公務員等研修について、覚書を締結するまでの経緯、覚書の内容、どういった人をどちらが人選して受け入れようとしているのか、お示しください。
 また、今回のような中国国家外国専家局という政府レベルとの覚書締結は、地方自治体として権限を超えているのではないかという市民のお尋ねにお答えください。
 また、福岡市の行政に係る重大な政策であるにもかかわらず、議会への説明がきちんとなされなかったのはなぜか、お答えください。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。

◯住宅都市局長(馬場 隆) マンション等の建設に係る住民説明についてお答えいたします。
 まず、建築紛争に関する陳情及び請願の状況についてでございますが、平成19年度から平成23年度までの5年間の陳情受理件数を政令指定都市20都市で比較いたしますと、件数の多い順から、福岡市が37件、岡山市が16件、神戸市が13件、川崎市が12件、そのほかに1件から6件の都市が10都市となっており、他の6都市では陳情は受理されておりません。また、同じく5年間の請願受理件数は、京都市が30件、川崎市が25件、次いで福岡市が18件、千葉市が2件、岡山市が1件となっており、他の15都市では請願は受理されておりません。
 次に、マンション建設等に伴い、福岡市に寄せられた苦情、相談の件数につきましては、平成19年度の221件をピークに、20年度が165件、21年度はリーマンショックの影響などで83件に減少し、景気回復後の22年度は139件、23年度は94件と推移しております。以上でございます。

◯総務企画局長(貞刈厚仁) まず、地方自治体としての国際貢献、支援についてのこれからのあり方についてでございますが、福岡市はこれまでも国際貢献、国際協力の一環として、福岡市の住みよいまちづくりの施策や取り組みを紹介するなど、アジア諸国・地域からの研修生を受け入れてきております。一方、国連ハビタットも福岡市のまちづくりをコンパクト、ダイナミック、そして住みよい都市福岡として紹介し、今後、アジアにおいて増加が予想される100万人規模の都市のモデルとして福岡モデルを提唱し、広げていきたい意向を示しております。福岡市としましても、アジアにおいて人口100万人規模の都市が数多く誕生し、それらの都市の多くが急速な発展により、ごみ処理などの都市問題を抱えている現状を捉え、国際貢献、国際協力を推進し、アジアのリーダー都市にふさわしい役割を果たすため、積極的に福岡市の住みよいまちづくり施策を普及させていきたいと考えております。
 次に、中国公務員等の研修受け入れをどのような視点で捉えて進めたのかにつきましては、福岡市がこれまで広くアジアから研修を受け入れている国際視察・研修受入事業の延長であり、これまでも行ってきた国際貢献、国際協力の一環として取り組むものであり、ひいては地場企業の進出に寄与することも視野に入れ、取り組んでいるものであります。
 また、福岡市が行える国際支援等の範囲や定義などについてでありますが、福岡市はこれまでアジアの交流拠点として国際都市づくりに取り組んでまいりました。今後もこれまでのさまざまなアジアとの交流の蓄積を生かして、人と環境と都市が調和のとれたアジアのリーダー都市、これを目指しまして、アジアからの視察・研修受入事業など、国際貢献、協力を初め、さまざまな交流事業を行ってまいりたいと考えております。
 次に、海水淡水化などに係る技術流出に関する御懸念でございますが、研修内容は既に公開されている市の施策や取り組みを紹介するものであり、企業が有する特許や秘密にかかわるものではありません。海水淡水化施設は、福岡都市圏の市や町などで構成する福岡地区水道企業団の施設であり、福岡市もその構成団体の一員ですが、海水をろ過する装置などについては個々の企業が特許や技術を持っております。海水淡水化施設では、平成17年の開設当初からビデオ上映や見学コースを設けて、一般市民の方や海外から訪れる方にも開放しておりますが、見学コース外に立ち入ったり、機器等に直接触れたりできないようにしており、経済産業省や関係企業にも確認し、現在の受け入れ対応には問題がないことを確認いたしております。さらに、日本企業の技術流出につながる機器の内部構造の公開や設計図面の提供などは一切ございませんので、技術が流出することはございません。
 次に、これまでの経緯などについてですが、まず中国公務員等の研修につきましては、日本では政府機関などを通してこれまでも受け入れられてきております。地方政府の公務員も含む中国公務員等の海外研修は中国国家外国専家局が統括しており、毎年、広く世界に研修生が派遣され、日本国内の地方自治体でも多くの研修生を受け入れてきております。この専家局が統括する研修の受け入れについては、平成23年11月、今後の事業の参考にするため、国際協力機関等を訪問した際に専家局を紹介していただき、平成23年12月に専家局東京事務所を訪問し、この中国公務員等の海外研修制度についての情報収集及び専家局との関係づくりを行いました。平成24年1月には専家局日本駐在事務所総代表が福岡市を訪問され、まちづくり、都市景観、水資源、高齢化社会への対応などの施策や取り組みについては、中国は日本から学べる面が多く、福岡市と交流を深めていきたいとの意向を示されました。以降、人材交流及び協力の覚書締結に向けて事務的に協議を行ったものであります。
 覚書の内容につきましては、日中両国の法律や政策を遵守し、人材交流を促進することを趣旨とする包括的なものであります。受け入れる中国公務員等につきましては、国家公務員だけではなく、地方政府の職員、政府関係機関の職員、大学の教職員などで、その人選につきましては中国側が行い、福岡市と協議した上で受け入れるものであります。
 次に、今回の覚書締結は地方自治体としての権限を超えているのではないかとの御質問ですが、繰り返しになりますが、中国では国家公務員だけでなく、地方公務員等の海外研修も専家局が所管していることから、今回の覚書を締結したもので、福岡市が広くアジアから研修を受け入れている国際視察・研修受入事業の一環でもあり、問題はないと考えております。
 また、議会への説明についてですが、今回の覚書は日中両国の法律や政策を遵守し、人材交流を趣旨とする包括的なものであり、具体的な研修受け入れ人数、期間などを定めたものではありません。今後想定される研修につきましても、福岡市が現在実施している海外からの視察・研修受入事業をベースとして考えており、新たに事業を始めるものではなく、これまでも行ってきた国際貢献、国際協力事業の延長として検討しているものであります。したがって、所管委員会へ資料をお配りするなどの対応をさせていただいたものであります。以上でございます。

◯41番(水城四郎) 2問目に入ります。
 マンション等の建設に係る住民説明ですが、近年の状況では、政令市の中で請願の提出件数が3番目に多い状況とのことですが、それでもなお福岡市において、建築紛争に関する市長への陳情や議会への請願などが多いのは、本市のマンション比率が高いためではないでしょうか。事実、平成20年住宅統計では本市の共同住宅の割合は75.5%と、政令指定都市の中で最も高くなっております。また、今後20年間、本市では引き続き人口の増加が予測されており、これに伴いマンション建設、これに伴う紛争も現状のままでは今後も続くと考えております。(パネル表示)ここに示すのは、他の政令市の中でも福岡市と同じように建築紛争が比較的多い川崎市と京都市の紛争予防に係る条例の市民への建築計画の説明の範囲を抽出したものです。近隣住民の定義は各都市により範囲のとり方が違いますが、本市の範囲よりも周囲に広かったり、真北方向以外にも広くなったりしています。また、川崎市と京都市では、福岡市にない周辺住民についても範囲を含め明確な定義が存在しており、周囲の住民からの要望があれば建築計画の説明をするよう決められております。福岡市の建築紛争予防条例では、建築紛争の未然防止のため、近隣住民への建築計画の説明を義務づけておりますが、それでも年間100件前後の苦情、相談が市に寄せられているのが現状です。
 この苦情、相談の中には建築紛争予防条例で定めている近隣住民以外からの苦情、相談も相当数あるのではないかと思いますが、条例の近隣住民以外の住民から建築主に対して苦情、相談があったり、建築計画の説明などを求められた場合には、福岡市としてどのような対応をしているのか、お尋ねします。
 また、京都市の場合は歴史的背景や都市景観等で事情が異なるかと思いますが、他の政令指定都市の条例では、近隣住民と周辺住民の取り扱い状況と福岡市の建築紛争予防条例との相違点についてお尋ねいたします。
 次に、中国との締結問題でありますが、今、1問目に答弁をいただきましたけれども、きちんとやっぱり議会に対して説明をしていただきたい。議会軽視と言われても仕方がない。この点については、しっかり今後こういうことがないよう指摘をしておきます。
 また、市長は研修ビジネスに関してもマスコミで4.8億円と発表されましたが、これも議会に対して正式に人件費などの詳細な算出は示されていないことからも、費用対効果に疑問の声があります。さらに、ビジネスという観点で本市が進むのなら、お隣の北九州市を見習うべきです。市長にビジネスの観点から御提案を申し上げますが、北九州市は上下水道の国際貢献をカンボジアで長年職員を派遣していることから、自治体固有の専売特許である浄水処理場の受注をカンボジア政府から受けてシェムリアップに建設予定であります。調査によると、売り上げとしては今回5,000万円程度の少額でありますが、これをばねに他国にもビジネスとして参入していきたいと、財源確保の確実な外貨獲得計画と国際戦略意欲を感じられます。本市と比べると大きな差があります。一方、東京都においては、昨今、東京水道サービス株式会社を設立し、都内漏水率を3%に抑えている技術をマレーシアを初め東南アジアへ、水道管の漏水を防止する技術を提供していくビジネスを進める戦略のようです。すなわち国際貢献のあり方が変わってきたのです。
 先日、テレビ特集で北九州市と東京都の取り組みが紹介されました。もとは北九州市もJICAを通じてカンボジア政府への技術提供支援を地道に続けたことで、収益事業へつながったようです。本市は渡りに船で、JICAを通じ、ミャンマー政府の要請で、ことし4月から水道局職員を無償派遣したのですから、ビジネスにつなぐしたたかな長期戦略が今求められているのではないですか。近い将来、日本政府がミャンマーにODAを出すと言っているのですから、今こそ戦略を立ててミャンマーへ打って入るべきです。本市は2年後に850億円の財源不足を発表しており、一体どこから財源を確保するのか、今こそ外に打って出るしかないのです。そのための大切な技術です。本市も稼げる都市を標榜しているのですから、AKBもいいんですが、ぜひこういう視点を持ってやっていただきたいのです。
 市長、この件についてお考えがあるなら、最後にお願いをいたします。
 次の質問ですが、さきに事業締結した他の2国、ドイツ・ケルン市と韓国のソウル市の締結内容についてはどのようになっているのか、さらには研修や交流実績についてお示し願います。
 以上で2問目の質問を終わります。

◯住宅都市局長(馬場 隆) マンション等の建設に係る住民説明についてお答えをいたします。
 まず、近隣住民以外の住民から苦情、相談が寄せられたり、建築計画の説明等を求められた場合の福岡市の対応についてでございますが、福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例の中には周辺住民について明文の規定はありませんが、市が建築主等と住民との間に立って調整を行い、建築主等に対し住民への説明等を行うよう指導をいたしております。
 次に、他の政令指定都市の条例における近隣住民と周辺住民の位置づけと福岡市の条例との相違点についてでございますが、近隣住民とは、建築予定地の敷地境界線から一定の範囲の土地、建築物の所有者等であり、福岡市を含む全ての政令指定都市の条例などにおいて、建築主等に対し建築計画等について近隣住民への説明を義務づけております。また、近隣住民の外側の周辺住民につきましては、福岡市以外の13都市において定められており、それらの都市では建築計画等の説明を周辺住民の要望に応じて行うことを義務づけております。
 なお、近隣住民や周辺住民の範囲などは各都市において若干異なっております。以上でございます。

◯総務企画局長(貞刈厚仁) ドイツのケルン市、韓国のソウル市の締結内容等についてでありますが、専家局のホームページに概要が掲載されており、韓国のソウル市につきましては2009年4月13日に締結し、その主な内容につきましては、双方は共同で中韓両国間の人材交流と協力、そして経済、文化、環境、教育、衛生、医療分野などにおける協力と交流を促進するよう努力するとの内容でございます。また、ドイツのケルン市につきましては2010年9月23日に締結し、その主な内容につきましては、エネルギー、環境保護、電子、機械、物流、教育、情報技術、行政管理などの面でさまざまな形を通して協力と交流を展開していくとの内容でございます。具体的な研修メニューなどにつきましては、それぞれの都市の特性や強みを生かしたものと考えられますが、現時点では詳細内容は入手しておりません。以上でございます。

◯41番(水城四郎) 3問目に入ります。
 マンションの住民説明ですが、建築紛争予防条例の近隣説明の対象となっていない住民への説明は、市が建築主と住民との間に立って調整を行い、説明などを行うよう指導しているという対応ですが、他の政令市においては、近隣住民への建築計画の説明のほか、周辺住民への説明についても、条例に定め、実施されております。近隣住民の定義は、建築計画により直接的に影響を受けやすいと考えられる住民を対象にしたものと思いますが、建築工事等による影響については、住民の意識の高まりから、従来の建物の日影に関するものだけではなく、工事期間中の問題など、さまざまな要望が広範囲にふえていると考えております。その中には近隣住民の受ける影響とは程度の差はあれ、何らかの形で建築主との間で説明や話し合いを行って解決すべき要望もあるかと考えます。本市も建築主に対して、他の政令市と同様、周辺住民への建築計画の説明を条例化し、要望があれば住民への説明を行わせるようにすれば、説明実施のための調整に伴う住民及び市双方の負担の軽減になり、マンション紛争の何割かは減るのではないかと考えております。
 これまでの建築紛争に係る請願や陳情などを受ける当局も、条例の見直しについて研究していると聞いており、その見直しの中で建築紛争予防条例に、建築主等の周辺住民への説明などのあり方についても検討することを強く要望いたしまして、この質問は終わります。
 次に、中国との締結についてですが、先ほどの質問の答弁で、今事業を先に締結した2国の契約内容については、この程度の情報収集しかできずに進めていったのかと、また、この交流実績についても、詳細には把握されていないということは大変問題であることを指摘しておきます。
 私は独自に韓国のソウル市の締結内容について個人的に調べてまいりました。その証拠に、今、当局が調べなかった韓国・ソウル市長が締結した覚書文書が手元にあります。ソウル市の締結内容と状況をお伝えしながら、本市の覚書と見比べ、問題点を指摘したいと思います。まず、ソウル市も中国との国際交流を行っているようです。ソウル市と天津市は友好協力都市、さらにはソウル市と北京は姉妹都市です。したがって、2008年から毎年1月ごろ中国の局長、課長レベルまでの高位公務員の視察交流をまず15名から始め、2009年には17名、2010年には18名、2011年には15名。で、その中国の高位高官公務員はどこの出身かといえば、北京、天津市、山東省、広東省、江蘇省、浙江省の高位公務員をソウル市が招待し、研修費、宿泊費は韓国が負担しているそうです。しかし、その研修期間は非常に短期で4泊5日、あくまで施設見学が中心で、技術支援はないとのことです。これを見ると、福岡市が行っている広州市との姉妹都市交流と余り変わらないようです。
 がしかし、今回の締結についてはちょっと違うので、説明をいたします。福岡市とソウル市の覚書締結内容について大きな差異がありました。覚書項目は、ソウル市が実質5つに対して、福岡市が8つで項目が多いこと。そして、ソウル市の第1項目が幅広い分野にくくられているのに対して、本市は環境技術に特化した具体的な内容となっている点であります。2項目めについては、ソウル市はお互いの研修だが、韓国国内の研修に便宜を図るという特出した内容が明記されており、一方、福岡はお互いの研修ではなく、中国から福岡市に対して専門技術の研修に必要な支援を行うとなっており、その内容は互恵ではなく、一方的にも読み取れます。次に、3項目め、ソウル市の内容には、双方は、定期的な相互訪問を推進すると明記してあり、本来の国際交流の基本である互恵の関係がしっかりと示されているのに対し、本市の内容は具体的項目として文言提起はされていません。
 しかも、本市の3項目めは少し疑問を感じますのでお尋ねしますが、福岡市は中国の推進する海外ハイレベル人材導入事業に積極的に協力し、人材情報提供などにおいて、中国に必要な支援を行うとなっているが、中国へどのような支援を行うつもりですか。人材情報とは、個人情報に当たるものを中国へ渡すことに福岡市が支援すると言っているのですか。一方的な内容に読み取れますが、福岡市のメリットはどこにあるのでしょうか。ソウル市のような互恵の観点がどこにも感じられないのですが、御答弁ください。
 4項目め以降、韓国は事務的な内容で終わっているのですが、福岡市は5項目めに結んだ内容も気になります。中国及び福岡市は、自己の責任の範囲内で可能な限りという内容ですが、相手の専門家または研修受講者の査証申請に協力すると書いていますが、中国政府が人選した人材の入国ビザ申請に協力することになるが、相手は国であり、福岡市は地方自治体である。したがって、ビザについては日本国政府の入国管理局にかかわる内容を福岡市がどこまでやれるのか疑問です。これについてはいかがですか、お尋ねいたします。
 最後に、ソウル市は5項目めに3年間の契約となっており、本契約を終了する場合の意思表示の規定まで正確に書面に記載されているのに対し、福岡市は5年間の契約と延長のみであります。これだけ見ても、このように差異のある内容である事実をお伝えしておきますが、さらに、ソウル市の契約は2009年4月13日に結ばれており、先ほど答弁がありましたが、実績が見当たらないのはなぜかと調べたところ、次のような事実が判明しました。ソウル市の専門研修機関の人材開発員と中国の外国専家局との直接ミーティングを実際に行ったようですが、訪問事業をどうするか、規模をどうするかなど意見の差異が出てきて全く進むことができなかったそうです。3年半たった今でも全く進んでいません。そのため実績がないのは当然である。一方、進まない理由の一つに保安上の問題があると専門筋は述べているとのことでした。
 以上、この件について全て質問を終わりますが、本市より先行して締結したお隣のソウル市の状況の事実をお伝えしました。よく判断してください。
 最後に、市長のお考えをお尋ねしまして、私の質問を終わります。

◯総務企画局長(貞刈厚仁) まず、中国政府が行う海外ハイレベル人材導入事業とは、海外の専門家や技術者を中国に招聘する事業でございます。過去の事例としましては、大分県の一村一品運動の取り組みについての講演者の招聘をしたり、また稲作の専門家を十数回招聘し指導を受けたといった事例がございます。
 福岡市の支援といたしましては、JICAや国連ハビタットと連携し、積極的に海外への普及を進めておりますごみ処理技術の福岡方式などの現地での指導、助言などが考えられますが、詳細につきましては、今後、専家局と協議しながら検討してまいります。
 福岡市のメリットとしましては、国際貢献、国際協力を行うとともに、中国では友好都市など交流関係のある都市以外の都市へのPR、プロモーションを行うことは難しい状況でありますが、覚書の締結により、中国に広く福岡市の都市景観、節水、ごみ処理、環境保護、高齢化対策など住みよいまちづくり事業をPRすることができるとともに、中国側のまちづくりの現状や課題などの情報を得ることができ、今後、地場企業の中国進出の際などにも役立つと考えております。
 次に、査証申請への福岡市の協力につきましては、申請に必要な研修受け入れ理由や研修内容、滞在予定表などの書類提供を想定しておりますが、具体的なことにつきましては、今後、関係機関と協議しながら検討してまいります。以上でございます。

◯市長(高島宗一郎) まず、ミャンマーに関してでございますが、ことしの3月にミャンマーの建設副大臣が福岡市を訪れて、私も副大臣と今後の技術交流などについて意見交換を行いました。ことしの4月から2年間ですが、JICA事業によって水道局の職員をミャンマーに派遣しているところでございます。議員が言われましたとおり、将来的にはこのミャンマー、そしてもちろんアジア全体のいろんな国等も含めて、ビジネス化も視野に入れた官民連携による海外展開の可能性について、これはしっかりと検討していきたいというふうに考えております。
 それから、今回の覚書の締結に関してでございますが、改めて私の考えをお伝えしたいというふうに思います。福岡市では、これまで取り組んできた住みよいまちづくりをアジアの諸都市にも参考にしていただくために、早くから各事業分野で職員を派遣したり、また海外からの視察を受け入れてまいりました。平成21年の秋からは、都市デザイン、高齢者福祉、水資源、環境、安全安心の5つの分野において施策を体系的に整理して、窓口を一本化して広くアジア諸国や地域から研修生を受け入れています。国連ハビタットにおきましても、福岡市のまちづくりをコンパクト、ダイナミック、そして住みよい都市福岡と紹介して、今後アジアにおいて増加が予想される100万人規模の都市モデルとして、福岡モデルを提唱して広げていきたい意向を示しています。アジアのリーダー都市を目指す福岡市としては、国連ハビタットや国の機関とも連携しながら、今後も積極的に福岡市のまちづくりを紹介して、アジアにおける人口急増都市あるいは高齢化に直面する都市における諸問題解決に寄与していきたいというふうに考えています。
 また、これまでアジアを初め、世界から実際に福岡に研修などで訪れた人たちは、皆さん福岡のまちの印象を美しいというふうに表現をされます。つまり、行政としての研修以前に、どうして行政にこういう発想が出てくるのかとか、それから市民教育の原点、そしてまちの整然さ、こういった原点には、秩序を重んじる、勤勉、きれい好き、環境意識の高さ、このような日本人の国民性が背景にあることをしっかり学んでいただく、これも研修受け入れの大切な狙いの一つであります。こういった精神的な背景がなければ、まちづくりは簡単にはまねできない、コピーできないものであります。こういった交流の積み重ねが親日感の醸成にもつながってくるというふうに思っています。
 福岡市は古来、大陸との交流の中で歴史を育んでまいりました。東アジアが世界の成長を牽引する時代にあって、アジア各国との多面的な交流の意義はますます高まると考えております。中国公務員等の視察研修受け入れについては、局長も答弁してまいりましたが、このような国際貢献、協力の一環として取り組むものであり、外務省からも非常によい事業であり、大いに進めていただきたいと評価をいただいているところでございます。将来的には地場企業の進出も視野に入れており、福岡市にとって意義あるものだと考えております。
 市民の皆様が懸念されている技術流出に関しましては、国際交流の一環として、相手都市の行政が課題に気づき、改善の必要性を認識するための手助けをこれまでも福岡市はしているのであって、これは個々の企業が持たれている、また育んできた守るべき技術や特許とは違う次元のものでございますし、各企業の技術や特許は当然公開しません。また、これからもこれまで同様、万全の配慮をしていきたいと考えています。ただ、実施方法や実施の時期につきましては、これは事務的な準備を進める中で、今後の国際情勢ですとか、また国内の動向を十分に注視しながら、また国や関係機関などとも協議をし、またきょうの水城先生の御指摘も踏まえて慎重に検討してまいりたいと考えております。以上です。




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