国分 議員の質問と答弁

◯国分委員 UR若久団地の建てかえについて、若久川の浸水対策について、公園の再整備について、屋形原地区の道路整備について、事務事業の見直しについて、以上5点について尋ねる。まず、UR若久団地の建てかえ事業は、UR都市機構の最後の大型団地建てかえ事業であり、これまでの市の関係各課における団地や周辺の地元意見を踏まえた対応には感謝しているが、この事業への地元の関心は非常に高く、地元自治協議会に設置された若久団地再開発対策委員会でも、いろいろな意見や要望が出され、熱心に協議されている。当該事業の23年度の取り組みと24年度の取り組み状況を尋ねる。また、年内には建物解体工事が始まるが、単なる団地の建てかえではなく、周辺環境も含めて後世にも評価されるよう地元やUR都市機構と手を携えてしっかりと取り組まれたいが、所見を伺う。

△住宅都市局長 URの若久団地の建てかえ事業は、敷地面積約9ヘクタールに及ぶ大きな事業であり、地域へ及ぼす影響が大きく、団地のみならず、周辺にとっても、また、福岡市にとっても非常に重要な事業だと考えている。23年度と24年度の主な取り組みは、従前居住者の住宅の確保や、周辺地域を含めた雨水対策、道路整備などについて、UR都市機構に対し、関係局・区が連携し、地元自治協議会により設置された若久団地再開発対策委員会の意見を踏まえ建てかえ事業を進めるよう、協議、指導を行ってきた。また、緑豊かでゆとりのある空間の創出や、住宅ニーズの多様化への対応、医療・福祉関連施設等の誘導などを目的として、緑地、公園などの配置や、各敷地における緑化率、建物の用途や高さなどを定めた地区計画を策定することとしており、平成24年11月に都市計画審議会ヘの付議を予定している。今後、良好なまちづくりの実現に向けて、UR都市機構が建物の色や緑化、環境への配慮など建てかえに参画する事業者が守っていくルールを策定するため、福岡市としても、関係局・区が連携し、UR都市機構に対ししっかりと指導を行いながら、将来を見据えた、豊かで魅力あるまちづくりに取り組んでいく。

◯国分委員 しっかり取り組まれたい。若久団地は、小高い地形となっており、降雨時は南大橋一、二丁目へ急激な勢いで雨水が流れ込み、低地では部分的に雨水が道路面に噴き出し、たびたび浸水被害が発生している。若久団地周辺の浸水対策については、若久団地の建てかえ事業に当たり、団地内に新たに雨水貯留施設などの浸透施設を整備し、流出量の抑制に努めるようUR都市機構に強く指導するとともに、必要に応じて周辺区域の下水道施設の改良に取り組むと平成23年12月議会で示されたが、その後の進捗状況はどうか。

△道路下水道局長 UR若久団地周辺の浸水対策については、団地の建てかえ事業に当たり、団地外への雨水流出の抑制に努めるとともに、周辺地域の浸水対策についても、道路下水道局が取り組む。団地内は、施行者であるURと協議し、団地内全体で約580トンの雨水貯留施設や雨水浸透ます、透水性舗装を新たに整備するほか、建築予定の集合住宅には屋上緑化を行うなどの対策を講じる。また、側溝からの雨水の噴き上がりにより浸水した南大橋一、二丁目に対する当面の緊急対策として、24年度中に側溝グレーチングぶたをコンクリートで塞ぐ改良工事を実施するとともに、引き続き抜本的な対策として流速を抑えるために雨水管の勾配を緩和する改良工事や雨水の流れを円滑にするための水路を増強する工事を実施する。今後とも、地元自治協議会に設置された若久団地再開発対策委員会とも十分協議し、団地周辺の安全安心のまちづくりを目指し、浸水対策にしっかりと取り組む。

◯国分委員 住宅都市局と道路下水道局がしっかりと連携して取り組まれたい。次に、若久川の浸水対策について、平成21年7月の中国・九州北部豪雨により、若久地区では浸水被害が発生したことから、平成23年12月議会において、若久三丁目付近の若久川がL字に曲がっている箇所の改良について質問したところ、改善案として下流への影響や構造、工法等について検討を行うと答弁があったが、改善策の検討状況について尋ねる。

△道路下水道局長 若久三丁目付近の若久川の線形がL字型に曲がっている箇所の改善策については、23年度から24年度にかけて、L字型の河川線形の改良の方法やその効果の有無、改良後の下流への影響などの検討を行い、その結果、線形改良による効果があること及び下流側において現在の護岸上に新たにコンクリート壁の設置を要する箇所があることが判明した。このため、今後、線形改良及び一部改修の実施に向け、設計測量を行うとともに関係地権者との協議に入る予定である。

◯国分委員 次に、福岡市の公園は、23年度末現在で1,600カ所あり、その約4割が設置後30年以上を経過し、遊具の老朽化などの理由により、地域のニーズに応えられず、利用頻度が落ちていると聞くが、地域のニーズに合った公園に再生しながら、末永く地域に愛用される公園に再整備する必要があると考える。昨年3月の条例予算特別委員会において、例えば野間大池公園については、地域住民が協力して、花壇づくりや清掃、除草など公園の美化活動にも一生懸命取り組んでいるにもかかわらず、園路は土の部分が雨により表面の起伏等が生じ、また、マンホールは地面より高く段差があるなど、ウオーキング等で利用される方にとって決して健全な環境ではないので、ぜひとも23年度中に再整備に着手されたいと要望した。老朽化した公園の中でも、野間大池公園のように利用者も多く、地域が熱心に愛護活動に取り組まれている公園は、早期にニーズに合った再整備の必要があると思うが、その後の進捗状況について尋ねる。

△住宅都市局長 公園の再整備については、施設の老朽度や地域の要望等を勘案しながら取り組んでおり、23年度は22カ所の公園で設計や整備を行った。野間大池公園は、開園後40年以上が経過し、再整備の必要性が高く、また、地域からも強い要望が上がっていたことから、再整備に向けた取り組みを始めている。現在は、整備内容について周辺の町内会や自治協議会等との協議を経て基本計画案をまとめたところで、今後、具体的な設計に取り組む。なお、野間大池公園は、約4ヘクタールの大規模な公園であるため、完了までには4年程度かかる見込みだが、着実に整備を進めていきたい。今後も、地域のニーズに応え、公園の再整備に積極的に取り組んでいく。

◯国分委員 次に、屋形原地区の道路整備について、福岡病院から病院下バス停までの道路は市においても課題があるとの認識で今後検討していくと、昨年の12月議会で答えられたが、23年度の検討内容、今後の取り組みについて尋ねる。

△道路下水道局長 屋形原地区の道路整備の基本的な考え方は、福岡外環状道路や野間屋形原線などの幹線道路の整備などにより、交通の分散化を図り、生活道路から通過交通を排除していくとともに、生活道路の安全対策についても着実に進めていく必要があると考えている。新池横の道路整備も、23年度に整備を担当する南区役所が関係者協議や内部検討を行い、引き続き24年度は、地質調査を行うとともに、道路の幅員や構造などの検討を進めている。今後、地域の方々や建てかえ工事を行う福岡病院を含めた関係者との協議検討を進め、安全で安心な生活道路となるよう取り組みを進める。

◯国分委員 道路改善に向けて動き出し、安心したが、スピード感を持って安全確保を着実に進めるよう要望する。また、将来的には、地域の方や福岡病院の利用者の方の利便性向上のため、福岡病院までのバス運行の実現について、地元の努力に応えて、市も西日本鉄道(株)に働きかけるよう要望する。最後に、事務事業の見直しについて、高島市長は、就任以来、特に観光分野やシティセールスに力を入れ、都市活力の向上とともに、福祉や子ども施策、まちづくりなどの分野で毎年のように多くの新規事業を立ち上げ、暮らしの質の向上と都市の成長を目指しておられるが、まず、福岡市の人口、一般会計の歳出規模及び職員数について、5年前との比較を尋ねる。

△総務企画局長 人口は、4月1日付の推計人口で、平成19年141万5,253人から平成24年148万3,052人となっており、5年間で6万7,799人、4.8%の増である。次に、職員数については、外郭団体等への派遣職員を含めた総定員数で、19年度1万569人から24年度9,757人となっており、5年間で812人、7.7%の減である。

△財政局長 一般会計の歳出規模について、決算値で18年度6,737億8,500万円、23年度7,637億9,200万円となっており、5年間で900億700万円、13.4%の増である。

◯国分委員 人口は過去5年で4.8%ふえ、一般会計の規模はこの5年で13.4%も増加している一方、職員数は、市立病院の地方独立行政法人化があったとはいえ、7.7%削減されている。人口や仕事はふえているのに、人員はどんどん減少し、職員も疲弊しているのではないか。一方、かつて整備した公共施設は老朽化し、市民会館に代表される大規模施設の更新が今後見込まれ、さらに、大規模施設のほかにも、市民生活に密着し必要不可欠な道路や下水道といったインフラの大量更新や維持管理費用の増嵩は明らかで、今後も財源不足が懸念され、また昨今の社会情勢からも、職員の増員は到底市民の理解が得られるとは思えない。これらの状況では、事務事業の必要性の低いもの、廃止しても市民生活に影響が少ないものをやめ、本当に必要な事務事業に人や予算を集中させることが必要である。市民サービスの廃止や見直しについても、市民に納得してもらえるものがあるのではないか。例えば、博物館や美術館、図書館の民営化、民間のサービスが充実してきた市営駐車場や市立幼稚園などは廃止などに真剣に取り組むべきではないか。視点を変えて見直すことで、無駄な作業、意味のない作業を省き、より意味のある仕事に職員を従事させることができると思う。民間では、バブル後、必死の思いで身を削り、業務を徹底的に洗い直し、身の丈に合った事業内容に縮小しているが、行政だけは従来型の発想で業務や事業を続けているようにしか見えない。職員増が難しい中で、市民のためにより質の高い事業を実施していくには、仕事の量を減らすことにも積極的に取り組むべきではないか。各局で新たな事業を実施する場合は、それに見合うマンパワーを確保し、相対的に重要度の低い事業の廃止をルール化すべきではないか、所見を伺う。

△総務企画局長 事業の見直しについては、現在、行財政改革プランを策定する中で廃止、縮小も含めた検討を行うとともに、ICTの活用による事務の効率化や内部事務の簡素化といった事務改善にも取り組んでいる。また、行政評価制度の見直しについても検討し、各局・区において主体的に事業の選択と集中が実現できるよう、あわせて取り組んでいく。

◯国分委員 積極的に進められたい。職員は、多くの事業を抱え、目の前の仕事を何とかこなすのが精いっぱいになってしまい、本当に必要な事業が何であり、どんな取り組みが必要なのかを考える余裕がなくなり、さらに、組織内のコミュニケーションも希薄になり、職場の一体感が失われているのが現状ではないか。私も議員になって14年間の間、多くの職員と接する機会があったが、現在はこれまでになく職員が疲弊している感じを受ける。特に組織の中核である課長級職員の疲弊が大きいと感じるが、このような状況で、次代の市政を担う若手職員の育成の取り組みが十分にできているのか、また、部下職員の心身の健康状態を的確に把握できるのか、非常に心配している。今現在も、多種多様な行政サービスを提供し、さらに今後はインフラも含めた公共施設の更新などさまざまな行政需要が見込まれる中、限られた職員、限られた財源で、職員が力強く働ける職場環境がなければ、福岡市が持続可能な発展を目指すことはできないと考える。市民サービスの質の向上のため、福岡市の将来のため、職員が力強く働き、組織がしっかりと機能する必要があり、今まさに、行政経営の観点から、勇気を持って事業を廃止していく必要があるのではないか。市のトップとしてリーダーシップを発揮し、大胆に改革を行っていただきたいが、最後にこの点について市長の所見を伺う。

△市長 指摘のとおり、本当に必要な事業に集中することは大事なことだと思っており、事務事業の見直しによって職員が意欲的に働ける職場環境をつくっていくことは重要な課題であると私自身も強く考えている。私としては、福岡市の厳しい財政状況の中にあっても、職員と一緒になって、将来にわたり持続可能な市政運営に取り組み、市民の納得と共感を得ながら、人と環境と都市の調和のとれたアジアのリーダー都市をつくっていきたいと考えている。そのためにも、必要性の薄れたものとないものに関しては勇気を持って廃止していくなどの見直しも含めて、現在、政策推進プラン、行財政改革プランを作成している。いわゆるスクラップ・アンド・ビルドではなく、ビルド・アンド・スクラップの精神で既存事業の総点検を実施し、抜本的な事務事業の見直しに、私の責任でしっかりと取り組んでいく。




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