三角 議員の質問と答弁

◯36番(三角公仁隆)登壇 私は、みらい福岡市議団を代表して、不登校対策について、博多座について、以上2点について質問いたします。
 初めに、不登校対策についてお伺いいたします。
 昨今、問題になったいじめや不登校については、深刻かつ解決しにくい社会問題となっており、心が痛みます。小中学校時代は、人生の中でも大切な体験や学力の基礎を身につけるかけがえのない時期です。私たち大人も同窓生に会うと童心に戻り、当時の話で盛り上がるように、子どもたちには楽しい思い出をたくさんつくってもらいたいと思っております。また、夢や希望のある未来を担う子どもたちを育てていくことは社会の使命だと考えています。
 そこで、まず昨年6月の議会でもお尋ねしましたが、これまで3年間における学校種別の不登校児童生徒数の推移についてお尋ねします。
 また、平成23年度の不登校児童生徒の欠席状況ですが、100日以上の欠席者は何人いるでしょうか。また、190日以上の欠席者も同様にお尋ねいたします。
 さらに、平成23年度現在の保健室など別室登校している児童生徒がいる学校の数と、その児童生徒数もお尋ねします。不登校児童生徒や別室登校の児童生徒の中には、発達障がいやその傾向のある子どもたちが多いと言われますが、本市ではどのくらいの割合を占めているのかお尋ねいたします。
 不登校ひきこもり対策支援事業の一環として21年度より実施しているQUテストは、不登校を未然に防ぎ、いじめの早期発見などにも効果が高いとされ、本市においても段階的に進めると教育長からの答弁を以前いただいております。
 そこで、本市におけるQUテストなどを全学年、年2回実施している学校数についてお尋ねいたします。
 次に、不登校児童生徒を学校、学級へ復帰させることを目標に、適応指導教室が行われています。本市においては、これまで私がお願いしてきました不登校対応教員の配置や校内適応指導教室であるステップルーム、また、サテライトなど市独自の取り組みがなされています。
 そこで、適応指導教室の場所別利用状況についてお尋ねいたします。また、今年度不登校対応教員は何校に配置されているのでしょうか。校内適応指導教室の学年別利用状況についても同様にお尋ねいたします。
 次に、博多座についてお尋ねいたします。
 御承知のとおり、株式会社博多座は、演劇興行や劇場博多座の管理等を目的として、福岡市や地元経済界、演劇興行界からの出資により、平成8年に設立された第三セクター法人です。平成23年度の決算において約9億3,000万円の累積損失を抱え、近年の損益収支の推移を見てみますと、ここ5年間では平成21年度を除き、全て赤字です。特に平成20年度、22年度及び23年度は、いずれも5億円程度の赤字を出しております。この累積赤字金額は資本金11億2,500万円に迫る勢いで、私としても大変心配しております。平成23年度は東日本大震災の影響もあったかとは思いますが、それ以前から赤字が続いていることからしても、経営のあり方そのものに構造的な問題があるのではないでしょうか。
 そこで、福岡市として株式会社博多座の経営状況をどう分析しているのか、また、何が赤字の原因と考えているのか、お尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。

◯教育長(酒井龍彦) 不登校対策についての御質問にお答えをいたします。
 まず、過去3年間の学校種別ごとの不登校児童生徒数の推移につきましては、平成21年度は小学校151人、中学校974人、計1,125人。22年度は小学校120人、中学校862人、計982人。23年度は小学校143人、中学校854人、計997人となっております。
 次に、平成23年度の不登校児童生徒の欠席日数の状況につきましては、100日以上の欠席者は小学校77人、中学校515人、計592人。190日以上の欠席者は小学校9人、中学校85人、計94人となっております。
 次に、別室登校をしている児童生徒がいる学校数とその人数につきましては、平成23年度は小学校は47校で76人、中学校は56校で420人、合わせて103校で496人となっております。また、平成24年10月現在では、小学校は49校で84人、中学校は59校で417人、合わせて108校で501人となっております。
 次に、平成23年度の不登校や別室登校の児童生徒のうち、発達障がいやその傾向にある児童生徒が占める割合につきましては、不登校の児童生徒に占める割合は小学校33.6%、中学校7.3%。別室登校の児童生徒に占める割合は小学校36.8%、中学校12.6%となっております。
 次に、平成23年度にQUアンケートなどを全ての学年で2回実施している学校数につきましては、小学校が14校、中学校が20校、計34校となっております。
 次に、平成23年度の適応指導教室の場所別の利用状況につきましては、はまかぜ学級が小学生1人、中学生18人、計19人。まつ風学級が小学生13人、中学生12人、計25人。サテライト学級が小学生7人、中学生13人、計20人となっております。
 次に、平成24年度の不登校対応教員につきましては、中学校24校に配置しております。
 また、校内適応指導教室の学年別の利用状況につきましては、中学校1年生46人、2年生92人、3年生100人、合計238人となっております。以上でございます。

◯経済観光文化局長(永渕英洋) 博多座についての御質問にお答えいたします。
 株式会社博多座の経営状況についてのお尋ねですが、平成20年のリーマンショック以降の長引く景気低迷に加え、東日本大震災発生後の自粛ムードとともに、人気公演のマンネリ化や新しい人気演目不足など、興行を取り巻く環境の変化により、全国的にも名古屋の御園座などの他劇場も厳しい状況が続いていると聞いております。
 株式会社博多座においても、新たなチケット商品の開発や営業エリアの拡大、また、演劇文化の普及などの営業戦略や売り上げ収入に合わせた興行原価や販売管理費の縮減など、環境の変化に対応した的確な対策がとられてこなかったことが赤字の原因であると考えており、厳しい経営状況にあるものと認識しております。以上でございます。

◯36番(三角公仁隆) 不登校対策についてですが、平成22年度の不登校児童生徒数は、一旦減少しましたが、小学校においては増加傾向であり、平成23年度からはその全体数も増加していることがわかりました。100日以上の欠席とは半分以上学校に行けていない日数であり、平成23年度は小中合わせて592人もおり、不登校児童生徒全体の59.4%になります。190日以上は、つまり一度も学校に行けていないに匹敵する日数です。小中合わせて94名おり、全体の9.4%を占めています。また、別室登校の児童生徒数は、前回の議会で報告のあった22年度と比較して23年度は約2倍、その学校数もふえています。24年10月段階で既にその数字を超えている状態にあります。特に小学校は、基礎、基本的学習やさまざまな生活体験、社会体験を学ぶ大切な時期であり、生きる力を育む点からも、これらの状況は深刻かつ緊急性のある課題だと感じています。
 そこで、不登校対応教員が配置されていない中学校や小学校の別室登校の子どもたちには誰がどのように取り組んでいるのか、また、その課題などについてお尋ねします。
 私は、小学校に着目して、新潟市の小学校と福岡市立香椎東小学校と堅粕小学校でQUテストの取り組みについてお伺いいたしました。新潟市の小学校と堅粕小学校では、同じ小規模小学校でクラスがえがなく、幼いころから一緒なので、人間関係が固定化されます。日ごろ仲よくしている子どもたちでも、実際には従属関係にあったり、教師が気づかないところでいじめに遭っているなどがQUテストの結果からわかるそうです。保護者との面談でも、子どもの様子を共通理解するために活用されています。QUテストは、学年の初めに実施し、その成果を見るために、後半に2回目を実施することが効果的だということでした。香椎東小学校では、校長先生の提案により全クラスで実施し、その開発者である河村茂雄氏の校内研修なども行われたそうです。テストの結果を受けて、子どもたちについての課題を見つけ、学級での取り組みを全職員で協議していると。自分のクラスだけではなく、学校全体で取り組み、組織的にチーム支援ができ、成果が出ているということでした。ベテランの先生でも、子どもを見てわかっているつもりだったが、テストの結果で気づきがあり、自分の指導方法や子どもとの接し方について、改めて自分自身を見詰め直すことができたということでした。QUテストは、子どもの心の状態を知ることができ、教師の勘や経験だけで判断するのではなく、データをもとに対策を協議し、チーム支援ができることから、いじめや不登校を未然に防ぐことに大変有効であると私は考えます。しかし、ハイパーQUテストは、業者でデータを出させるため、1人420円かかります。どの学校も、予算の捻出に悩み、苦労されております。
 そこで、本市の取り組みとしては、どの学年に何校を実施し、予算はどのくらいかけているかお尋ねします。また、今後の方向性はどのように考えているのかもお尋ねいたします。
 次に、適応指導教室や校内適応指導教室ですが、今年度の学校復帰率はどのようになっていますか。特に中学校3年生については、将来の進路について気になるところです。不登校の生徒の進路状況についてはどのようになっているのか、お尋ねします。
 適応指導教室は、場所、時間、人材によって支援のやり方がいろいろあることがよいと私は考えています。そこで、ことし新聞でも大きく取り上げられた東京都杉並区立中央図書館に設置された、小学生のための適応指導教室を見てまいりました。図書館の会議室を改良し、ゆっくりくつろげる空間になっています。自己肯定感を育み、感じたことや体験したことを表現し、嫌と言えること、ありのままでよいことを感じ、成功体験を積み重ねることを大切にしております。公園や体育館が隣接し、地域からの協力もあり、物づくりの体験学習の場も提供され、社会全体で支え、応援してもらっているのが特徴です。また、同年齢の子どもとも会わない場所で、大人から声をかけられても不自然ではなく、居心地のよい場所で、みずから求めない限りは人に干渉されない、他者とのほどよい距離感が保てる、社会に適当に開かれている場として、図書館は適応指導教室に適した場所と言えます。そして、そこの指導員の方が、子どもたちは心の中では本当は学校に行きたがっている、ここは決して一番の居場所にはしない、好きになっても大好きにはさせない、と話されたことが印象的でした。ことし4月からの開設ですが、既に児童の様子に変化があらわれており、成果が出ているようです。
 次に、北九州市のワラビーキャンプの取り組みを聞いてまいりました。これは、不登校療育キャンプで、不登校の解決を図る取り組みの一環として、指導員の指導、助言のもとに療育キャンプを行い、豊かな自然環境の中で仲間との触れ合いを通して、情緒の安定や集団での適応力を図る目的で実施しています。ワラビーキャンプは、夏季休業中に5泊6日で小中学生が参加します。指導員は学校の先生ですが、相手が学校に行けない子どもですので、先生ということを捨てて三角のおじちゃん、三角のおばちゃんというような形で紹介され、マンツーマンでテントで過ごします。子どもたちは、葛藤しながらも少しずつ成長し、終了日には涙、涙の別れになるそうです。どの子どもも達成感で自信がつき、自分の居場所を見つけ、その後、学校に復帰することにつながっているようです。この取り組みは20年以上続いています。このような体験活動は、子どもを元気にしていくように思います。
 そこで、本市の適応指導教室やステップルームなどでは、元気になるような体験学習や人間関係づくりやソーシャルスキルトレーニングを含む、どのような取り組みをしているのか、お尋ねします。また、その成果についてもお答えください。
 次に、博多座についてですが、現在の劇場博多座の仕組みを申し上げますと、12月の市民檜舞台の月を除く11カ月は、興行主に施設を貸して賃料をもらうという、いわゆる貸し館方式ではなく、株式会社博多座が演目を買いつけて、みずから興行を打つという方式になっています。したがって、お客が入らなかった場合のリスクは、全て株式会社博多座が負うという形になりますので、なおさら会社の経営センスが問われるはずです。私は先月、松たか子主演のジェーン・エアを見に博多座に行きました。私の懐の予算が低いため、最上階の席でしたので、オペラグラスでの観劇でした。私が行ったのは、千秋楽前日の土曜日でしたので、さぞや満席だろうと思って周りを見てみますと、空席が多くびっくりしました。ただ、公演の内容はすばらしく、初めての私の博多座体験は、非日常的な空間と時間を過ごしたように思います。この御時世、他の劇場も経営状況が厳しいということでしたが、福岡市には、関東や関西ほど歴史に裏づけされた演劇文化が根づいているわけではありませんし、市場規模も比較になりませんので、幾ら人気のある演目を持ってきても、このデフレのもとでは、1カ月間劇場を満杯にするということは極めて困難だと思います。実際、23年度のチケット販売計画によると、満席時売り上げに対する当初計画額の比率は、11演目平均で64.3%ですが、この目標を達成できた演目は、11本中わずか3本。一方では、50%に満たない演目が6本もあり、いわゆる半分以下の客入り。また、そのうち2本は、2割程度しか入らない演目でした。このことから、短期公演の実施や市民が観劇しやすいきっかけづくりなど、興行面でもっと工夫すべきではないでしょうか。また、営業面も重要です。昨年、九州新幹線が全線開通しましたが、博多から東は広島、南は鹿児島まで1時間ちょっとしかかかりません。福岡都市圏や県内はもちろん、西日本全域にわたって新たな市場を開拓すべきです。市長がおっしゃっています観光都市福岡とのタイアップした企画なども考えてみてはどうでしょう。さらに会社の運営面ですが、博多座には、株主である興行界からの出向社員がいらっしゃいます。確かに、開業当初は、ノウハウを持った人材が必要でしたし、その功績も大きなものがあったかとは思いますが、現在ではこのことが逆に、もうけが出ない演目でも購入せざるを得ない言い値の仕入れをしてしまうというデメリットにつながってはいないでしょうか。こうした経営体質改善と、経費の節減や効率化などは言うまでもありません。博多座は第三セクターとはいえ、営利企業であり、株式会社の形態です。施設の当初建設費は市が負担していますので、利益を出すのは当然ですし、利益を出資者に配当してもおかしくないはずです。本市では、現在、行財政改革プランの策定に当たって、思い切った見直しを断行していこうという状況です。市の外郭団体においても、市本体と同様に抜本的な経営改革、体質改善が求められています。
 そこで、現在、博多座はどのような経営改革を行っているのか。また、本市は筆頭株主としてどのような助言、指導、支援を行っているのか、今後の収支見通しとあわせてお答えください。

◯教育長(酒井龍彦) 不登校対策についての御質問にお答えをいたします。
 まず、不登校対応教員が配置されていない学校での別室登校の児童生徒への対応者につきましては、中学校では学級担任を中心に、学年の教員や養護教諭などが、小学校では、主に管理職、教務主任、養護教諭などが対応し、学習指導や教育相談を中心に取り組んでおります。今後は、不登校対応教員が配置されていない学校においても、別室登校の児童生徒に対する支援を組織的、計画的に行うことが必要と考えております。
 次に、不登校ひきこもり支援対策事業におけるハイパーQUアンケートにつきましては、平成24年度は、不登校対応教員を配置している中学校24校の1年生全員と、不登校児童が多い小学校4校の5年生全員に実施をしております。また、24年度の予算額は467万7,000円となっております。このほかに、学校配当予算により独自に実施している学校もございます。実施校のアンケート調査においては、児童生徒の理解や人間関係づくりなどに役立つという回答が多く見られており、今後さらに有効な活用方法について検討をしてまいります。
 次に、平成24年10月現在の校内適応指導教室の復帰率につきましては、学校外にある、はまかぜ学級やまつ風学級などの適応指導教室に通う児童生徒の学校への復帰率が41.5%、学校内の適応指導教室に通う生徒の教室への復帰率が45.4%となっております。
 次に、平成23年度の不登校生徒の進路状況につきましては、中学校3年生の不登校生徒317人のうち、進学した生徒が228人、就職した生徒が11人、そのほか、家事手伝いをしている生徒や進学や就職を予定している生徒などが78人となっております。
 次に、学校外にある適応指導教室での取り組みにつきましては、遊びの中で他者との触れ合いを楽しむカードゲームなどの自由活動や、物をつくり出す喜びを知る創作活動などを実施しております。また、学校内の適応指導教室におきましては、社会性の育成や人間関係づくりに役立つ博物館などの公共施設での社会体験やキャンプなどの自然体験などを実施しております。不登校の児童生徒は、このような活動を通して、自分もやればできる、人とかかわることは楽しいといった思いを持つなど、自己肯定感や安心感を高めており、学校や教室への復帰につながっているというふうに考えております。以上でございます。

◯経済観光文化局長(永渕英洋) 博多座についての御質問にお答えします。
 株式会社博多座は、現在、販売促進と原価、経費削減を2つの柱として経営改善に取り組んでいると聞いております。販売促進の面では、桂文枝襲名公演のような収入増が見込める短期公演の実施や、新たな若い顧客層を開拓するため、本年1月にチケットを完売したジャニーズ公演を来年4月にも実施するなど新たな企画に取り組むとともに、先月は、二月歌舞伎、中村勘九郎襲名披露公演に向けたお練りを行うなど、集客に向けた新たなPRに取り組み、マスコミにも取り上げていただいたところです。
 次に、原価、経費削減の面では、興行原価を抑えるため、自主制作公演を本格実施するとともに、東京の明治座、名古屋の御園座との三者共同制作にも初めて取り組みました。一方、福岡市といたしましては、観光という視点から公共交通機関やホテルへの働きかけなどによる広報協力や都市圏を初めとする他の自治体などへの販売促進に関する支援要請などを行うとともに、株式会社博多座に対しては、厳しい興行環境に合わせた体制づくりや商品開発など、さらなる経営改善を促しているところであります。
 博多座は、演劇文化の拠点であると同時に、年間約50万人を集客する貴重な観光施設でもあり、その平成23年度の経済効果は、市内直接効果で75億円、波及効果は124億円となっております。このような博多座を今後も維持していくために、株式会社博多座の平成24年度単年度黒字化及び中期的には、累積赤字を解消していくことを目指し、経営改善に向け、市も一体となって支援してまいります。以上でございます。

◯36番(三角公仁隆) 不登校対策ですが、子どもによっては、みんなが学校にいる時間帯には行きにくいという話をよく耳にします。そこで、私は夜間に適応指導教室をしている新潟市と福岡市立当仁中学校を訪問しました。新潟市では、今年度より教育相談センターに特別支援教育サポートセンターを設置しています。夜間の適応指導教室は、生活習慣が昼夜逆転し、不登校で昼間、外出しにくい傾向にある生徒に対して、夜間に学習指導及び進路相談などを実施し、自立を図り、学校生活への復帰を援助、支援することを目的として、平成9年より開設され、週4日午後5時から8時までに、主に学習指導を中心に開室しています。通室者28名のうち、中学3年生が22名で、高校を受験し、全員が合格し、進路が保証されているという実績があります。次に、当仁中学校の夜のステップルームは、毎週木曜日、夜7時に開室しています。活動内容は、生徒みずからが話し合いで決め、九州大学大学院のボランティア数人が指導に当たっています。院生とは年齢が近いためか、気軽に話ができ、私から見ても表情が明るく、とても不登校生には見えず、元気よく活動しています。そこで、この活動の発案者で当時のスクールカウンセラーである九州大学大学院、田嶌誠一教授にお話を伺いました。田嶌先生のお話から、校内適応指導教室は学校との関係を切らない、維持する、育むという点でメリットがあるということでした。しかし、そこにも通えない不登校生徒たちの中には、昼間は他の生徒の目が気になると語る生徒も少なくないので、昼間来れないなら、夜に教室をやれば来られるのではないかという発想から始めたそうです。そして、昼間にも開室することで、各段階に存在する高い壁の前に、夜間の教室と学級復帰との間にもう一つのステップを用意し、子どもたち自身の力で乗り越えやすくすることにしたそうです。この教室には、地域や大学からもスタッフとして参加し、年齢も立場も異なるスタッフが、それぞれの持ち味を生かしながら、生徒にかかわることによって多様な経験を提供しております。このことは、不登校生徒への支援を地域の中に根ざしていくことにつながるとおっしゃっておられました。
 私も、不登校の子どもたちの居場所は、場所や時間など、いろいろな形態があり、たくさんの選択肢があることが望ましいと考えています。先ほどの答弁によりますと、はまかぜ学級の利用学年は中学生がほとんどです。はまかぜ学級は、こども総合相談センターにありますので、24時間のセキュリティーが整っていますし、隣接する地域にある教育センター内には、まつ風学級もありますので、はまかぜ学級を試行的に夕方からの教室として開設してはいかがかと提案しておきます。また、不登校対応教員の配置も24校と予算の都合で限られていることから、多くの不登校や別室登校の児童生徒がいる学校では、その対応が大変です。そこで、教育相談にすぐれている不登校対応教員が配置されている学校を、拠点校的発想で、隣接する学校の希望する生徒までを受け入れる形の適応指導教室にしてみてはどうでしょうか。さらに、本市にはたくさんの心理学や教育学を学ぶ学生がおり、人材は豊富です。学生や教員経験者やそのOBのほか、地域の人材を活用し、多様なケースに柔軟に対応する取り組みをしていただくよう要望しておきます。
 次に、QUテストの実施は、いじめや不登校を未然に防ぐ意味からも、早急に取り組む必要性を感じます。今後は研修会などの充実とともに、実施に向けての予算化をお願いしておきます。不登校の取り組みには、早期発見と組織的な対応と不登校を生まない取り組みが必要です。その先駆的な取り組みをしている篠栗町立篠栗中学校を訪問してまいりました。校長先生が、赴任してから生徒の自尊感情の低下を感じ、社会生活に必要な対人関係を築くための技術を学ぶソーシャルスキルトレーニングなどの手法を授業の中に対話活動として導入しています。規範意識を持たせ、基本的生活習慣を身につけさせることで、自尊感情が持てるようになったそうです。例えば、校内での挨拶は、立ちどまり、相手の目を見て大きな声で挨拶すると指導されております。そのことによって、22年度まで40名いた不登校生徒数が13名に減り、そのほとんどが校内指導教室に来れるようになっています。また、ハイパーQUテストなどは年2回実施し、1回は町費で、1回は保護者負担で行っているようです。また、不登校やその傾向にある生徒の支援をonetothreeサポート体制と名づけ、一人一人のチームとして組織し、不登校児童生徒、不登校傾向にある生徒一人一人に教師が3人から4人でチームを編成し、教育相談担当の先生を中心に指導目標や具体的な指導計画、個別の支援計画をつくり、指導援助にかかわり、毎週水曜日に報告されているようです。篠栗中では、不安や悩みの早期発見に努め、3日連続欠席者へのアプローチを大事にしており、マニュアルがつくってあります。生徒は、学校が楽しいと思い、自主的な活動ができるようになっているようです。例えば、髪を真っ赤に染めて遊んでいた非行、怠学的な不登校だった女子生徒が、そのonetothreeチームの支援によって、今では友達と一緒に過ごせる学校のほうが楽しいと言うようになり、学校に来れるようになったそうです。また、ちなみにここ2年、補導される生徒もゼロになったということです。このように、不登校の対策は1つの方向だけではなく、バランスのよい取り組みが大切だと感じます。今後、不登校児童生徒だけではなく、その傾向にある子どもたちへの取り組みも広げてほしいと考えます。特に欠席者へのアプローチは、どの学校でもどの先生でも同じ対応ができるようなマニュアルの作成をお願いします。
 私は、以前から不登校を未然に防ぐ取り組みが大切だと考え、特に小学校での取り組みの要望をしてまいりましたが、その取り組みがまだまだ見えません。また、サポートブックの活用や小中の連携も不十分だと思います。さらに、小学校においては不登校児童の中に発達障がい傾向であると考えられる児童が33.6%もいることから、他都市のように何らかの支援を必要とする子どもたちと考え、特別支援教育の考え方から発達教育センターとの連携も図っていただきたいと思います。また、教育相談、特別支援教育、小学校、中学校というような区分けの単独での取り組みではなく、9年間を見据えた取り組みや、学校内でチーム支援ができるような体制づくりを構築していただきたいと思いますが、教育長の御所見をお伺いします。
 次に、博多座についてですが、先ほどの答弁では、平成23年度の経済効果は、直接効果で75億円、波及効果で124億円にも上るとのことです。市長は就任以来、本市の成長戦略の一つの柱として、観光・集客を掲げられ、無線LANの整備やオープントップバスの運行、コンベンションやスポーツ大会の誘致、大型クルーズ客船への対応などに取り組んでおられます。また、博多座は当初、演劇文化の振興を目的として建設され、市民局が所管していましたが、今年度から経済観光文化局に移管されました。今こそ、本市の経済観光推進施策の重要な集客拠点として、この博多座を活用していくべきではないでしょうか。現下の国際情勢では、当面、アジアの観光客の大幅な増加は期待することはできません。目線を変え、国内市場を取り込むための一つの拠点として、この博多座を最大限生かしていくことが極めて重要であると私は考えます。そのためにも株式会社博多座の安定した経営が不可欠であると考えます。決して市民の負の財産とならないよう、早急に収支改善が図られるとともに、博多座が本市の観光施策に寄与する施設となることを切に期待するところであります。
 最後に、市長の御所見をお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

◯教育長(酒井龍彦) 不登校対策についての御質問にお答えをいたします。
 不登校児童生徒の減少のためには、不登校となった後の支援だけでなく、不登校を未然に防止することやその兆候に早期に対応することが重要であると認識をしております。そのため、これまで各学校に指導してきた内容をもとに、どの学校においても速やかな初期対応ができるようなマニュアルの作成について検討してまいります。また、発達教育センターや教育相談課など、関係する各課が連携を強化し、学校の組織的な対応を支援するとともに、公私を超えて情報の共有を図り、継続した取り組みを進めるなど、小中連携の充実に努めてまいります。さらに、QUアンケートや自己肯定感、自尊感情を高める構成的グループエンカウンターなどを活用して、よりよい学級集団づくりやわかる授業づくりを行い、全ての児童生徒が学校に来ることが楽しいと感じられるような魅力ある学校づくりを推進してまいります。以上でございます。

◯市長(高島宗一郎) 博多座に関する質問にお答えいたします。
 私は、都市全体が潤って成長していく原動力として、観光資源となる魅力の再発見と、そしてまた魅力の磨き上げ、これによってさまざまな人を引きつけるまちづくりを進めていきたいというふうに考えています。博多座は、歌舞伎ですとかミュージカルなどの本格的な演劇を鑑賞できる、これは福岡のみならず、九州・西日本の演劇文化の拠点施設として九州・山口を超える幅広い地域から多くの方が来場されて、また、いろいろな演劇をお楽しみいただいております。その観客の皆様が観劇後に商業施設に立ち寄って、またホテルに宿泊されることによって、福岡市の大きな経済効果を生み出していまして、博多座は福岡市のまちの重要な集客の施設となってございます。三角議員御指摘のとおり、この博多座が今後もさらに人を引きつける魅力ある施設であり続けるためにも、株式会社博多座に対しては時代の変化に合わせたさまざまな改善による経営の安定化を求めますとともに、福岡市としてもできる限りの支援をしていきたいと考えております。以上です。




皆様のご意見、ご質問、ご感想、ご主張、ご要望をお気軽にお寄せください。   ページの先頭へ戻る