三角 議員の質問と答弁

◯三角委員 高齢者の見守り支援、いじめ、不登校対策、以上2点について質問する。まず、高齢者の見守り支援について尋ねる。本市は比較的若い世代が多い都市であるが、これからは高齢化が進んでいき、徘徊の見られる認知症高齢者への対応や独居高齢者の孤立死防止への対応が重要な課題となってくるのではないか。そこで、高齢者の見守り支援に関して、25年度の新規事業及び拡充事業としている見守り推進プロジェクトと徘徊高齢者等ネットワーク事業の2点について質問する。まず、見守り推進プロジェクトについて尋ねる。先月の出来事で友人の母の話であるが、この母は住みなれた土地を離れたくない思いと、まだまだ元気だということもあり、ひとり暮らしをしていた。ふだんから健康そうであったため、友人も毎日は連絡をとっていなかったが、ある日、新聞販売店から連絡が入り母の様子を見に行くと既に亡くなっており、死後3日ほど経過していたそうである。元気であった母なので、友人もショックを受けており、なぜもっと早く気づいてあげられなかったかと、悔やんでも悔やみ切れない思いだと言っている。これからの社会は、こういったひとり暮らしをする高齢者が必然的にふえてくると思うので、高齢者の見守り支援に取り組んでいくことは非常に重要なことである。そこで、市内のひとり暮らしの高齢者数と年間の孤立死者数を尋ねる。

△保健福祉局長 ひとり暮らしの高齢者数は、平成22年国勢調査によると5万9,995世帯であり、孤立死は、全国的に明確な定義がなく、調査も困難であることから、福岡県警が把握している65歳以上のひとり暮らしの検視者数を用いており、平成24年は273人である。

◯三角委員 人生の最後を誰にもみとられず亡くなっているひとり暮らしの高齢者が、平成24年に273人もいる。今後、高齢者は増加し単身者も増加するとされており、孤立死は増加していくと思われ、本人の問題であるとともに地域の問題にもなる。孤立死が地域で起こると、近隣の住民や自治会の関係者など地域の負担も大きいと聞いている。特に民生委員は、地域の福祉の相談役として活動しているが、現在のように高齢者が増加していくと、民生委員がかかわる高齢者が多くなってくる。ただでさえ民生委員は業務も多く、全国的にもなり手不足が指摘されているが、そういった中で孤立死が起これば、民生委員は現場に呼ばれたり、警察に亡くなった方のことを聞かれたりするそうである。そこで、民生委員が地域で活動する中で、孤立死の未然防止につながった事例はどのくらいあるのか。

△保健福祉局長 民生委員全員に聞き取り調査を行った結果、平成23年4月から9月までの間に21件の事例があった。

◯三角委員 民生委員の地道な活動が多くの命を救ったことになる。孤立死について、地域では亡くなられた場合の問題だけでなく、部屋の中で倒れているのが発見され未然に防止される場合もあり、大変苦労しているのではないか。孤立死がひとり暮らしだから起こるものとすれば、孤立死を発見するのは親族よりも地域や家庭を訪問する事業者が多いのではないか。一方、行政は民生委員などの地域の負担を軽減することも必要ではないか。そこで、見守り推進プロジェクトの事業内容について尋ねる。

△保健福祉局長 見守り推進プロジェクトは、高齢者の自宅を訪問する事業者が、住民の異変に気づき通報してもらう「福岡見守るっ隊」を結成するとともに見守りネットワークセンターを設置する。同センターは、「福岡見守るっ隊」や地域で見守り活動を行う方からの通報に対応する見守りダイヤルや孤立死防止の啓発を行う出張講座を実施する。さらに、民間の見守りサービスを市ホームページ等に掲載し周知を図る見守りサービス登録事業も行うこととしている。

◯三角委員 「福岡見守るっ隊」は、どういった企業を想定し、何を期待しているのか。

△保健福祉局長 新聞、牛乳、宅配や電気、ガス、水道など高齢者の自宅を訪問する事業者を想定し、日ごろの業務の中で住民の異変を発見した場合に通報してもらうことを期待している。

◯三角委員 見守りダイヤルとは、どのような業務を行うのか。

△保健福祉局長 孤立死などが疑われる住民の異変について、「福岡見守るっ隊」や地域で見守り活動を行う方からの通報に24時間365日電話対応し、うち8時から20時までは現地で安否確認を行うものである。

◯三角委員 出張講座も実施するとのことであるが、自分は元気だと思っている方はなかなか参加しないのではないか。どのような方を対象としているか。

△保健福祉局長 市民グループの依頼に基づき実施するもので、ひとり暮らしの高齢者だけでなく、将来ひとり暮らしの可能性がある多くの方に参加してもらい、少しでも将来のことを考え備えてもらえばと企画している。その内容は孤立死や孤立防止の観点から、豊かな老後の送り方やエンディングノートの書き方など、参加しやすいものを考えている。

◯三角委員 出張講座については、自分は元気で大丈夫だと思っている人が興味を持ってもらえるような広報をお願いしておく。見守りネットワークセンターは、どのような業者に委託するのか。

△保健福祉局長 孤立死などの安否確認業務や孤立防止の出張講座を行うため、孤立死が起こった現場に立ち会うことが多い住宅の清掃などを行う事業関係者と亡くなった後の法的な対応、手続が行える弁護士、行政書士等が参加するNPO法人などを考えている。

◯三角委員 見守りサービス登録事業の内容を尋ねる。

△保健福祉局長 警備会社の安否確認サービス、緊急時にボタンを押せば位置情報つきメールを発信する見守り携帯電話、ドアや電気ポットなどにセンサーを取りつけ安否を確認する見守り機器などの民間サービス情報を登録し、市ホームページで掲載するとともに、福祉関係者に情報提供することで、サービスが必要な方やその家族に情報を届けて、自助として見守りサービスの利用を促進してもらうものである。

◯三角委員 見守り推進プロジェクトは、どのような方法で周知、啓発するのか。

△保健福祉局長 市政だよりや市ホームページで広く市民に広報するとともに、事業のチラシやパンフレットを作成し、関係する企業や民生委員など地域で見守り活動を行う団体、福祉事業者などの会合に訪問し周知、啓発を図っていく。

◯三角委員 この事業は、孤立死を防止する有効な手だての一つになると思うので、しっかり取り組んでほしい。次に、徘徊の見られる認知症高齢者への対応について尋ねる。まず、市内の認知症高齢者数及び徘徊により警察に捜索願が出された数を尋ねる。

△保健福祉局長 認知症高齢者数は、平成24年3月で約2万3,000人と推計しており、警察が捜索願を受理した認知症高齢者数は、平成23年で105人と聞いている。

◯三角委員 警察が捜索願を受理した件数だけでも105人とのことであり、一時的に行方がわからなくなった認知症高齢者は、捜索願が出されている105人の何倍もいるのではないかと思われるが、これまでにどういった取り組みをしてきたのか。

△保健福祉局長 徘徊する高齢者の早期発見、迅速かつ適切に保護することを目的に、家族などが氏名、住所、写真等の情報を保健福祉センターや警察署などに事前登録する登録制度と、徘徊のおそれがある高齢者にGPS機器をつけてもらい、行方不明時にインターネットを使って位置検索をする捜索システムを実施してきたところである。

◯三角委員 今回拡充する徘徊高齢者等ネットワーク事業の内容について尋ねる。

△保健福祉局長 これまでの登録制度やGPS機器による捜索システムに加え、認知症などで徘徊する高齢者の情報を事前登録してもらい、家族等から行方不明の連絡があった場合、連絡を受けたオペレーターが協力サポーターや協力事業者に電子メールを一斉送信し、可能な範囲で捜索に協力してもらうことで、徘徊高齢者の早期発見、早期保護につなげていくものである。

◯三角委員 どういった方が協力サポーターになるのか。

△保健福祉局長 本事業の趣旨に賛同し、徘徊する高齢者の捜索に協力できる方を市ホームページ等で公募する予定である。

◯三角委員 本市では、地域において認知症の人とその家族を温かく見守る認知症サポーターの養成を推進しており、この認知症サポーターを活用すべきと考えるが所見を伺う。

△保健福祉局長 今後、認知症サポーター養成講座の受講者には協力サポーターの登録を要請していく。

◯三角委員 協力事業者とは、具体的にどのような事業者を考えているのか。

△保健福祉局長 徘徊する方は、交通機関を利用し広範囲に移動する場合もあることから、交通事業者や送迎、訪問活動で市内を巡回している介護サービス事業者、地域で営業活動を行っているコンビニ、銀行等に協力事業者となるよう要請していく。

◯三角委員 この事業は委託して実施するようだが、どのような事業者を考えているのか。

△保健福祉局長 徘徊する高齢者の家族からの連絡に365日対応可能で、協力サポーターや協力事業者にメール配信ができるオペレーターを配置し、認知症に対する理解があり、協力事業者の掘り起こしが可能な事業者を予定している。

◯三角委員 私の校区でも認知症高齢者の行方がわからなくなり、地域や私ども消防団員で探したことがあるが、近所ではなく博多駅のホームで見つかった。この認知症高齢者は体が元気なので、みんなが思いもしないところまで行っていたみたいである。こういったことからも、住んでいる地域の人たちの協力だけでは、徘徊する認知症高齢者を支援することには限界があるので、こういった広域での捜索が可能になる事業はしっかりと取り組んでほしい。また、見守り推進プロジェクトと徘徊高齢者等ネットワーク事業は、対象者がひとり暮らしの高齢者と認知症高齢者と違いはあるものの、通報に対するオペレーションなど情報の共有と発信がよく似たシステムであり、通報する側からしても、このオペレーションを一本化したほうが通報しやすくわかりやすいと考える。今後、事業がある程度進捗し定着してくれば、2つの事業を合体することも検討していいのではないか。

△保健福祉局長 両事業は市民の安心、安全を目的に、オペレーターを活用し見守り等を進めていくもので類似している点もあるが、25年度からそれぞれの事業を開始するので、事業を実施しながら課題等を把握し改善していくとともに、より市民及び事業者にわかりやすく利用しやすいシステムとなっていくよう検討していく。

◯三角委員 次に、いじめ、不登校対策の新規事業及び拡充事業について尋ねる。本市のいじめの認知件数は、22年度、群馬でのいじめによる自殺を境に上昇傾向であり、不登校についても、平成24年12月議会の答弁にもあったが増加傾向にある。昨今、特にいじめの問題は全国的にもみずから命を絶つような悲惨な事例も起こり、社会的にも注目されており、数字ではかれない、ゆゆしき問題だと考える。これまでのいじめの定義では、自分よりも弱い者に一方的に身体的、心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものであったが、18年度に改訂された定義では、当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているものとなっており、起こった場所は学校の内外を問わないとされ、親しそうに見える仲でも言われたりされたりしたことがちょっとでも嫌だなと感じたら、それはいじめということになる。文部科学省は、いじめに対する取り組みの徹底とともに、いじめが少ないことを評価するのではなく、日ごろからの児童生徒理解や、いじめの未然防止や早期発見、いじめが発生した際に問題を隠さず迅速かつ適切な対応、組織的な取り組みなどを評価すると言っている。また、国立教育研究所のいじめに関する調査によると、小学校4年生が中学校3年となって卒業するまでの6年間に、いじめの被害や加害への関わりを聞いたところ、6年間にいじめと無関係でいた児童生徒はわずか1割しかいないという結果が出ている。つまり、いじめはどの学校にも、どのクラスにも、どの子どもにも起こり得ることを事実として受けとめることが大切であり、事後的に対応するという発想から、いじめが起きにくい学級や学校をつくるという、未然に防ぐことに力を入れないといけない。このことは不登校についても同様である。それでは、新規事業である道徳教育の推進について、具体的な事業内容を尋ねる。

△教育長 子どもたちが元気よく挨拶をするなど、人として当たり前のことが当たり前にできるようにするため、学校、家庭、地域がより連携を深め、ともに子どもたちを育てていく共育を強化する取り組みを進める事業である。また、多くの人と出会い、触れ合う、地域での体験活動を学校の道徳の時間に生かすことで、道徳教育の充実を図るものである。具体的には、児童生徒は校区の夏祭りの行事で仕事をやり遂げた達成感を味わったり、幼児やお年寄りとのかかわりで思いやりの心や命を大切に思う気持ちなどを実感すると思うが、これらの体験を生かし、学校の道徳の時間において、自分のこととして考える学習を行うことで、人間としてのあり方、生き方を学ぶことができるようにするものである。このため、道徳教育推進モデル校を各区から小学校2校、中学校1校を選定し、学校・地域コーディネーターの支援のもと、学校と地域が連携した取り組みを推進していくものである。

◯三角委員 道徳教育推進モデル校は、どのように決めるのか。

△教育長 全ての市内小中学校に参加を呼びかけ、応募した学校の中から決定する。

◯三角委員 学校・地域コーディネーターは、どのような役割を持つのか。

△教育長 子どもたちを地域での体験活動へ積極的にかかわらせるとともに、子どもたちと地域との交流の場を広げるため、学校と地域のつなぎ役となってもらう。そのため、学校・地域コーディネーターは、学校の道徳教育を理解し、地域での体験活動を道徳の時間にどのように生かすのか学校とともに考え、学校、地域の連携強化を図る役割を務めてもらう。また、学校の道徳教育がより一層充実するよう、道徳の授業の内容にふさわしい経験豊かな地域の人材を紹介するなど、学校への支援を行ってもらいたいと考えている。

◯三角委員 日ごろから地域の方々には、子どもたちの安全、安心のためなどにお世話になっている。また、地域の人材活用については、校長の手腕でいろいろな形により行われていると思うが、今回の道徳教育推進事業の特徴は何か。また、モデル校は今後拡充していくのか。

△教育長 これまで総合的な学習の時間などの中で、地域のお年寄りと交流し、一人一人が感じた思いやりの気持ちや命を大切にする気持ちを道徳の時間で見つめ直し、お年寄りに進んで挨拶をしたり、優しい心で手を差し伸べる態度や行動ができるようにするところが特徴である。また、学校・地域コーディネーターを配置することで、学校の道徳の時間と地域活動との時期や内容の連携が図られ、子どもたちが人の役に立ってよかった、最後までやり遂げることができたなど、実感が伴った学習とすることができると考えている。なお、モデル校の拡充については、モデル校の取り組みの成果を検証し、今後、積極的に検討していきたい。

◯三角委員 以前、私もPTAにかかわっていたが、子どもたちは各家庭でしっかり育て、学校でしっかり学び、地域でしっかり活かしてもらうのが一番いいと思っている。この道徳教育を推進し、地域と一緒になって子どもたちが地域で輝くような事業になったらと期待している。続いて、いじめ、不登校の未然防止と早期発見に向けた取り組みの強化について、23年度及び24年度における、別室登校の子どもがいる学校数と1校に2人以上の不登校児童生徒がいる学校数を尋ねる。

△教育長 別室登校の児童生徒がいる学校数については、23年度が小学校47校、中学校56校の合計103校であり、24年度が平成24年10月末現在で、小学校49校、中学校59校の合計108校となっている。また、1校に2人以上の不登校児童生徒がいる学校数については、23年度が小学校32校、中学校60校の合計92校であり、24年度が平成25年2月末現在で、小学校37校、中学校64校の合計101校となっている。

◯三角委員 年々増加しており、24年度は年度末まで至らない数値にもかかわらず増加している。2人以上の不登校児童生徒を抱えている学校、特に小学校には、中学校のように不登校対応教員が配置されていないので大変であると思う。現在、不登校生徒が多い中学校24校に不登校対応教員を配置しているが、その効果を尋ねる。

△教育長 配置前の20年度と配置後の23年度で、市内の全中学校の不登校生徒数を比較すると、209人の減少となっている。

◯三角委員 いじめの認知件数について、22年度から24年度までの過去3年間における小学校4年生から中学校3年生までの推移を尋ねる。

△教育長 24年度は、平成25年2月末現在であるが、小学校4年生は22年度がゼロ、23年度が4件、24年度が7件。5年生は、22年度が3件、23年度が3件、24年度が9件。6年生は、22年度が5件、23年度が5件、24年度が6件。中学校1年生は、22年度が16件、23年度が24件、24年度が25件。2年生は、22年度が19件、23年度が26件、24年度が25件。3年生は、22年度が1件、23年度が8件、24年度が5件となっている。また、小中学校別のいじめの認知件数については、22年度は小学校が9件、中学校が36件の合計45件。23年度は小学校が15件、中学校58件の合計73件。24年度は小学校23件、中学校55件の合計78件となっている。

◯三角委員 今聞いた数値も、先ほどの数値のように増加傾向にある。その中でも特に目につくのは、ギャングエイジと言われる小学校4年生がふえていることだと思う。この小学校4年生の時期は、仲間意識が強まり、閉鎖的な集団をつくり、特定の遊びなどを共有し社会的活動が見られるようになるので、学級集団におけるいじめの問題を引き起し、それが5年生にもつながっているようにも感じる。以前より、いじめを未然に防ぐ取り組みとして、小学校での取り組みを強化するよう議会で何度も要望している。その中でも、特に欠席の対応については再三述べてきた。欠席の理由は、病気や不登校、いじめ、虐待などさまざまであるが、どんな理由であれ、欠席に対する初期対応は最も重要だと考えている。平成24年12月議会では、他都市の事例なども挙げ、1日目はこうする、2日目はこうする、3日目はこうするといった、どこの学校どの先生でも対応が同じになるような初期対応マニュアルをつくってほしいと述べ、検討するとの答弁を受けたが、その後どのように検討したのか。

△教育長 登校を渋ったり学校を休みがちな児童生徒に対して、3日以上連続して欠席した場合には、必ず家庭訪問をすることなどの支援のあり方を段階ごとに示し、どの学校でも速やかに対応できる指針を新たに作成し、25年度に配付する予定としている。

◯三角委員 しっかり役に立ててほしい。いじめ、不登校対策について、24年度予算では837万1,000円であったが、25年度予算では1,830万円と大きく予算が上がっている。事業の拡充内容について尋ねる。

△教育長 24年度においては、中学校24校の1年生全員と小学校4校の5年生全員に、ハイパーQUアンケートを年2回実施したが、25年度はこれらに加えて、市内全ての小学校6年生、中学校1年生、2年生を対象に、QUアンケートを年1回実施する。

◯三角委員 ハイパーQUアンケートは、不登校対応教員配置校24校では1年生全員、不登校児童生徒が多い小学校4校では5年生に、それぞれ2回実施しているが、その学年を対象とする理由と2回実施する理由を尋ねる。

△教育長 24年度に実施したハイパーQUアンケートは、不登校に関する課題が大きい学校において実施し、対象学年は、中学校では不登校生徒が急激に増加する1年生、小学校では不登校児童が高学年に多いことから5年生とした。また、2回実施した理由は、1回目を1学期に実施し、不登校傾向の児童生徒を早期に発見して個別の支援を行うとともに、2回目を2学期後半に実施し、この間の支援の検証と、新たな不登校傾向の児童生徒の早期発見、未然防止に役立てるためなどである。

◯三角委員 拡充する部分は、これまで実施しているハイパーQUアンケートの拡充ではなく、QUアンケートの実施ということだが、その内容や価格の違いについて尋ねる。

△教育長 QUアンケートは、学校生活の意欲に関することと、学級の満足度に関することという2つの内容で構成されており、価格は1人当たり1回300円である。ハイパーQUアンケートは、QUアンケートの内容に対人関係のマナーやルール、人とのかかわりに関することが加わっており、価格は1人当たり1回420円である。

◯三角委員 今回から実施するQUアンケートについて、実施回数が1回である理由と対象学年が小学校では6年生、中学校では1年生、2年生としている理由を尋ねる。

△教育長 実施学年については、いじめの認知件数、不登校児童生徒数を考慮し、経年で検証が可能な小学校6年生と中学校1年生、2年生に実施することが有効だと判断したものである。また、回数については、QUアンケートを年度当初に1回実施することで、新しい学級集団において、人間関係を客観的に把握することができ、いじめや不登校の早期発見に役立つと判断したものである。

◯三角委員 いじめが認知された場合、学校、教育委員会それぞれ、どのような対応をするのか。

△教育長 各学校では、速やかに第一報を教育委員会に入れるとともに、校内の緊急いじめ対策委員会で指導方針を決定し、全ての職員がいじめの解決に向けて同じ方針のもとに取り組んでいる。また、児童生徒への事実確認や保護者、地域の対応については、チームを編成して複数の教職員で当たるようにしている。さらに、再発防止の取り組みに向け、全ての職員で、いじめに関係した児童生徒の経過観察を行い見守るようにしている。教育委員会は、必要に応じて指導主事やスクールカウンセラーを派遣し、警察などの関係機関との連携を図っている。

◯三角委員 いじめが認知された学校にこそ、該当学年でハイパーQUアンケートの実施が必要だと考える。QUアンケートは、早期発見の手だてだけではなく、事後の指導や対応に大きな意味があると12月議会でも述べたが、活用する教職員に対する研修はどのようになっているのか。

△教育長 23年度にQUアンケートの開発者を講師に招き、全ての小中学校の生徒指導担当者に対して研修を実施した。また、不登校対応教員を対象に、QUアンケートの活用方法についての研修を毎年行っている。25年度は、全ての小中学校の生徒指導や教育相談などの担当者を対象に研修を実施し、その成果を各学校の教員に広めるよう指導する。

◯三角委員 QUアンケートの開発者である早稲田大学教授の河村茂雄氏は、QUアンケートは学校、学級生活への不適応、不登校、いじめ被害の可能性の高い子どもを早期に発見できる尺度であり、学級集団崩壊の可能性を的確に推測できる唯一の心理テストである。アンケートの結果を受け、子どもへの対応などに具体的に活用して生きてくるものであり、実施しただけでは何も変わらないと述べている。25年度のQUアンケート実施を大変評価しているが、アンケートをとるだけで終わらないためにも、アンケートの見方や有効な活用、事後の指導まで、教職員ができるための研修は必要であり、学校によっては独自に講師を招いて研修している。また、ハイパーQUアンケートの価格420円の内訳は、検査用紙180円、コンピューター診断240円、QUアンケートの価格300円の内訳は、検査用紙100円、コンピューター診断200円となっており、教職員が自分で診断できるようにと、開発者である河村茂雄氏がつくった実施ハンドブックは1冊500円で全小中学校214校に配付したとしても、わずか10万7,000円である。QUアンケートを実施している学校を視察したが、どの学校も学期の始まりと終わりの2回実施しており、先生がこのハンドブックを活用し自身で判断できれば、今回の限られた予算の中でも1回を2回にすることや、必要な学校においては、ハイパーQUアンケートを実施することも可能になると思う。特に、いじめが認知された学校には、対人関係に必要なソーシャルスキル尺度、ふだんの行動を振り返るという対人関係を調べる項目があるハイパーQUアンケートの実施が必要であることから、課題の多い学校においては、実施学年も画一化せず、課題に応じた学年の実施など柔軟に対応する必要があると考えるが、所見を伺う。

△教育長 QUアンケートについては、いじめの認知件数や不登校児童生徒数などを考慮し、全ての小学校6年生、中学校1年生、2年生で実施することとしているが、既に学校予算などで、課題のある学年について独自に実施している学校もあることから、実施学年の柔軟な対応については、今後検討していく。

◯三角委員 不登校対応教員の配置によって効果があるということなので、小学校にも試行的に取り組むよう要望しておく。いつも述べているように、決して担任の先生だけではなく、複数の先生の目で子どもたちを指導し、学校の組織的な体制づくりの強化も要望しておく。また、いじめ行為は加害者の心のSOSとも言えるので、SSWも活用し、家庭と学校と協力して問題解決を図るよう要望しておく。次に、いじめゼロプロジェクトについて、その内容を尋ねる。

△教育長 市内の児童生徒の代表による、いじめゼロサミットを開催し、いじめゼロ宣言の採択を行うとともに、市長の応援メッセージを伝えるDVDや啓発のためのポスターを作成し、学校、公共施設、事業所などへ配付することで、広く市民への啓発を行うものである。

◯三角委員 私もいじめられた経験や傍観した経験があるが、今思えば、きっと誰もがそうした経験を持っていると思う。いじめはどのような社会であっても許されないものであり、子ども自身と保護者が、いじめをはやし立てたり傍観したりする行為も、いじめる行為と同様に許されないという見解を徹底して考えるべきだと思う。いじめについての新しい事業に期待しているが、いじめの問題は子どもたち自身が自分たちで考え、子どもたちが主体となって取り組むことが重要であり、子どもたち自身が、いじめはいけない、いじめをなくそう、いじめを傍観しないと本当に思わなければ意味がない。特に、傍観しないで行動する勇気を持つようになればと願っており、いじめを未然に防止する教育によって、いじめを静観する傍観者から行動する傍観者に変えることが最も有効だと考える。できることなら、サミットを行う前に各学校で、学級や学年の集会や道徳教育の時間に取り組むことへの積み上げがあり、その集大成としてサミットにつなげてほしい。平成24年12月議会でも紹介した篠栗町立篠栗中学校では、生徒が自主的に地域や小学校を巻き込み、活動を取り組んだ結果、いじめ、不登校がゼロとなっている。また、明石市では5年前から、「いじめストップあかし子ども会議」を開催し、各小中学校の代表が集い、いじめゼロを目指した各学校での子どもたちの取り組みをグループごとに発表、協議し、意見交換や交流を行い、参加者全員でこども宣言を唱和している。明石市ではそのほか、不登校予防のための早期対応システムがマニュアル化されており、いじめ、不登校に対する事業がばらばらに行われるのではなく、相互に連携しバランスよく取り組まれている。本市においては、ことしをいじめゼロ元年と位置づけ、複数の事業について単独でなく連携しながら推進してほしい。特に、新規事業の道徳教育については、もちろん中身も大事であるが、子どもたちにとって、いじめは大きな人権問題である。ことし1年はいじめゼロの実現を目指し、子どもたちにいじめについて考えてもらうというような、特化した道徳教育を推進してもよいのではないか。いじめは、私たち大人にとっても深刻な問題であり、決して形だけで終わらないサミットにしてほしい。子どもたちが、いじめはいけない、いじめをなくそう、いじめをゼロにしようという機運が高まるような事業にしてほしいと思うが、教育長、市長それぞれの所見を伺う。

△教育長 いじめを根絶するため、社会全体の意識を高めることは大変重要であると考えており、いじめゼロプロジェクトの中心となる、いじめゼロサミットでは、基調講演に、福岡にゆかりのあるスポーツ選手などを招き、いじめられた経験や、いじめ問題に対するメッセージを発信してもらうことを考えている。また、児童生徒の代表によるシンポジウムでは、それぞれの小中学校から出された案をもとに、子どもたち自身に、いじめゼロ宣言を考えてもらい採択するとともに、市長に本市の大人の代表として激励や助言を受けることを考えている。さらに、いじめゼロ宣言を各学校にフィードバックし、児童会、生徒会などの活動を通して、児童生徒が主体的に、いじめ根絶に取り組むようにしたいと考えている。

△市長 いじめは子どもの尊厳や権利を侵害する行為で、人間として絶対に許されない行為であると認識をしている。いじめを許さないまちづくりには、学校だけではなく、学校、家庭、地域、行政が一体となって、強いきずなを結んで取り組みを進めるとともに、それぞれが主体的に子どもたちへかかわる体制をつくることが重要であると考えている。また、子どもたちがみずから考えて、このいじめ撲滅の取り組みを進めることも非常に大事であると思っている。教育委員会だけではなく、市長部局も一緒になって、いじめを生まない都市をつくる、いじめゼロプロジェクトなどをスタートするが、私も大人の代表として、いじめゼロサミットの子どもたちの取り組みに応援のメッセージを送りたいと考えており、教育委員会とともに、思いやりに満ちた心輝くまち福岡を実現していきたいと思っている。




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