浜崎 議員の質疑と答弁

◯浜崎委員 まず初めに、博多区の病院火災において被害に遭われた方、特に犠牲になられた方の冥福を祈り、負傷された方の一日も早い復帰を望む。特に、高齢者住宅については、今から時代が変わっていくと、1戸建てを改装した施設などがたくさん出てくると思うので、今後の対応策を考えていく必要がある。私はみらい福岡市議団を代表して、高齢者の住まいに関する施策について、ICTの活用について、債権回収について、以上3点について質問する。最初に、高齢者の住まいに関する施策について、超高齢社会の今、介護医療、年金などの社会保障給付は、年間100兆円を超える状況にもかかわらず、その財源である社会保険料収入はほぼ横ばいで推移しており、そのほかの財源は、現役世代への高額と言える税負担、そして残りの部分は国債などで負担され、将来への押しつけと言ってもおかしくないと感じる。しかし、日本はこの社会保障のおかげで、夢の長寿社会を実現したわけでもあり、これからはその必要な財源をしっかりと生み出し、無駄のない社会保障を実施しなければならない時代に突入したことは間違いない。平成22年の国勢調査では、市内の高齢者単身世帯は約6万世帯、高齢者の夫婦世帯は約4万5,000世帯、それ以外で、家族に65歳以上がいる世帯が6万8,000世帯であると報告された。今後、高齢化が進むにつれて、この数字はますます多くなると想定される。高齢者の住まいについては、高齢社会において今後の大きな課題であると思っている。そこで今回は、高齢者の住まいについて尋ねる。24年度における特別養護老人ホームの整備数と、それに係る補助金はいくらか。また、整備場所はどのようにして決まるのか。

△保健福祉局長 24年度の特別養護老人ホームの整備数は、新規開設及び増設の合計で8施設、その補助金額は、11億6,098万円余である。また、整備場所は、公募時に事業者が用地を確保し応募しており、その後の選定委員会における審査を経て、整備事業者を決定している。

◯浜崎委員 それでは、選定委員会における選定方法について尋ねる。

△保健福祉局長 特別養護老人ホームの適正配置に加え、事業計画の実現性や事業収支計画の堅実性等の観点から審査し、整備事業者を決定している。

◯浜崎委員 現在の特別養護老人ホームの待機者は何人か、そして特別養護老人ホームの入所要件を尋ねる。また、介護度にもよると思うが、毎月の費用は大体幾らぐらい必要か。

△保健福祉局長 特別養護老人ホームの待機者数は、22年度の特別養護老人ホームの利用申込者全員を対象とした実態調査の結果に基づき、3,500人と推計し、24年度から26年度までの3カ年を計画期間とする第5期介護保険事業計画において、1,110人分を整備し、累計5,100人分としている。特別養護老人ホームの入所要件は、常時介護を必要とし、かつ居宅において介護を受けることが困難な人である。また、毎月の費用は、介護サービス費、居住費、食費などであり、入所者の要介護度に応じて、約12万円から約13万円である。

◯浜崎委員 それでは、今後の特別養護老人ホームの整備計画について、今後の予定整備数はどれぐらいで、それにより待機者はどれほど減少するのか。

△保健福祉局長 今後の特別養護老人ホームの予定整備数は、27年度から29年度までの3カ年を計画期間とする第6期介護保険事業計画の策定に先立ち、ことし10月下旬から実施する特別養護老人ホームの利用申込者全員を対象とした実態調査において待機者数を把握し、その結果に基づき整備計画を立てる。今後とも、待機者の早期解消に努める。

◯浜崎委員 それでは、特別養護老人ホームに類似した高齢者向けの住居として、国土交通省と厚生労働省の共管の高齢者の居住の安定確保に関する法律、通称高齢者住まい法に位置づけられた、サービスつき高齢者向け住宅とは、どのような住宅か。また、その整備を促進するための補助制度について尋ねる。

△住宅都市局長 サービスつき高齢者向け住宅は、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づいて民間事業者が設置し運営する、バリアフリー化され、安否確認及び生活相談を受けられる登録制度による賃貸住宅である。23年度から、国が建設費の一部を事業者に直接補助を行う補助制度が実施されており、対象は住宅本体及び住宅に併設されるデイサービス施設などの高齢者生活支援施設であり、新築物件だけでなく、改修される物件も補助対象である。補助率は、新築が10分の1、改修が3分の1で、補助限度額は新築及び改修ともに、住宅は1戸当たり100万円、高齢者生活支援施設は1施設当たり1,000万円である。

◯浜崎委員 それでは、実際に市内において、サービスつき高齢者向け住宅として、24年度に登録された戸数及び入居可能となった戸数について尋ねる。

△住宅都市局長 24年度1年間における市内のサービスつき高齢者向け住宅の登録戸数は、新築や改修など新規に供給される物件や既存の物件も含めて、29棟、1,318戸である。また、24年度1年間に入居可能となった戸数は、既存の物件も含めて14棟、669戸である。

◯浜崎委員 民間施設であるサービスつき高齢者向け住宅は、どのようにして立地場所を決定しているのか。

△住宅都市局長 サービスつき高齢者向け住宅は、民間の賃貸住宅であることから、建設が可能な地域において、民間事業者が任意に選定した場所で建設される。

◯浜崎委員 民間施設であるが、サービスつき高齢者向け住宅は今後どれくらい整備されると見込んでいるのか。

△住宅都市局長 24年度に策定した福岡市高齢者居住安定確保計画において、住宅型有料老人ホームを含めた供給戸数について、24年度から29年度まで、毎年約580戸の供給を促進する目標値を設定している。

◯浜崎委員 条件により変わると思うが、サービスつき高齢者向け住宅の毎月の入居費用は幾らくらいか。

△住宅都市局長 毎月の入居費用は、登録制度が開始された平成23年10月から現在までに登録済みの住宅44棟、2,006戸の事例では、毎月の家賃、共益費、安否確認生活相談サービス費用、食費の合計は8万9,000円から22万5,000円まで幅があるが、平均では約14万円である。

◯浜崎委員 非常に高額な部分もたくさんあると思う。また、整備場所も計画性がない整備が行われると思うが、これからの超高齢社会の中で、特養についても、サービス高齢者住宅についても、実態を把握しながら、均衡のとれた整備を推し進めなければならない。東京大学高齢社会総合研究機構は、ことしの3月、現在の施策のもとでは、特に低所得や借家住まいの高齢者は、安心して住めるついの住みかとしての住まいの確保は、現状では難しいと言っている。そこで、厚生労働省が空き家を活用した福祉制度を始めると新聞等で特集されていたが、内容について尋ねる。

△保健福祉局長 自立した生活を送ることが困難な低所得の高齢者が、住みなれた地域で安心して暮らしていけるよう、社会福祉法人やNPO等を実施主体として、既存の空き家等を活用した住まいの確保とともに、見守りや日常的な生活援助等を組み合わせて行うものである。現在、厚生労働省において制度創設に向けて、26年度概算要求が行われており、今後その動向を注視していく。

◯浜崎委員 北欧では、高齢化問題は住宅に始まり住宅に終わるとよく言われる。今後、急増する高齢者が地域で安心して暮らすためには、住まいの問題が極めて重要であるが、本市において、この問題認識が国や他都市と比べ、弱いのではないかと懸念している。保健福祉局と住宅都市局が連携を密にして、国の事業を活用するなどにより、高齢者の住まいの問題に積極的に取り組むよう強く要望する。続いて、ICTの活用について尋ねる。私も議員になって2年半が経過したが、市職員から説明を受ける際など、非常に使用する紙の量が多い点が気になる。一目見てわかりやすく工夫された資料だが、概要版のほかに本編の分厚い冊子、それに付随する参考資料など、我々議員だけでなく、傍聴用や万一のための予備まで用意していては、コピー用紙1箱では済まない量になると思う。また、資料が差しかえになる場合も、ミスがあってはならないということで丸々資料を差しかえる場合もあり、膨大な量の資料から必要な情報がどこにあるかを見つけることがなかなかできなくなる。これらが、データ化されていれば、一発で検索できる。もっとICTを活用してペーパーレスを進めるべきだと思う。そこでまず、コピー用紙削減の取り組みについて尋ねる。市役所におけるコピー用紙使用量の削減目標はどうなっているのか、また、24年度におけるコピー用紙使用量と対前年度比について尋ねる。

△環境局長 コピー用紙の使用量削減目標は、20年度に策定した第2次福岡市役所環境保全実行計画において、16年度の使用量1,178トンから、10%以上削減する目標を設けている。24年度のコピー用紙の使用量は1,364トンで、16年度から15.8%の増、23年度との比較でも7.5%の増加である。

◯浜崎委員 16年度を基準として、24年度までに10%以上削減する目標に対し、実際には16%の増となっている。特に23年度からの増加率を見ると、大きく増加している。資料によると、本庁は、ふえたところも削減を進めたところもあり大きく増加していないが、本庁以外では、区役所や学校が増加傾向である。特に学校は全体に占める割合が60%以上で、学校でのコピー用紙削減の取り組みが全体の削減に大きく影響するため、学校においてしっかり取り組みを進めるべきだと考える。そこで、学校におけるコピー用紙削減の取り組みについて尋ねる。

△教育長 学校では、学力の向上を目指して独自にテストを作成する学校がふえたことなどから、コピー用紙の使用量が増加傾向である。コピー用紙削減の取り組みは、両面コピーや裏紙の利用を行うとともに、資料などは必要数のみとし、無駄にコピーをしないようにしている。また、24年度に、教職員1人1台のパソコンを整備し、電子掲示板や電子メールなどを利用した情報共有を行うことにより、ペーパーレス化に取り組んでいる。

◯浜崎委員 子どもたちがたくさんのプリントを持って帰ってくるが、特に高学年では、きちんと書類を見せなかったり、保護者もプリントがたくさんあるがゆえに、大切な内容を見落としたりという話もよく聞く。例えば、メールを希望する家庭には、プリントではなくデータで直接保護者に送信するなど、学校においてもペーパー削減をする余地は、今の現代から考えると、まだあるのではないかと思う。教育委員会においては、学校現場も含め、今後もさらにICTの活用を推進していくよう要望する。また、東日本大震災では、津波で紙の資料はほとんど消失し、極端な例ではあるが宝塚市役所での放火のように、火災によって消失することも考えられる。これらの情報を守るためにも、資料のデータ化の必要が早期にあり、ICTの活用は重要である。そこで本市では、これまでどのように情報化を進めてきたのか、またその効果について尋ねる。

△総務企画局長 情報化については、主に税や給与などの大量計算業務を行うため大型汎用機、いわゆるホストコンピューターを昭和41年に導入し、大幅な事務の軽減と正確性の向上、迅速化を実現してきた。ホストコンピューター導入以来、第1次から第5次までの5カ年計画を策定して、住民情報や税情報の電子化を行い、区役所窓口に端末機を設置することで、昭和62年からはオンライン処理による住民票や証明書等の発行を開始し、窓口の待ち時間や事務作業時間の短縮を図ってきた。その後、行政情報化推進計画を策定し、14年度には、庁内情報ネットワークの整備とともに、原則として職員1人1台のパソコン導入が完了したことで、情報の共有、伝達がより確実かつ迅速に行うことができるようになり、複雑多様化する制度への対応など、事務の高度化を図ってきた。また、平成18年以降、事務作業の軽減や印刷物の削減を目的に、事務管理や財務、庶務等の内部事務についても、鋭意システム化を進めてきた。

◯浜崎委員 本市におけるICTの活用に関する方針について尋ねる。

△総務企画局長 平成13年1月に施行された高度情報通信ネットワーク形成基本法、いわゆるIT基本法を踏まえ、本市では、14年度からの3カ年を計画期間とする情報化プランを策定し、この中で電子市役所の実現を基本方針に据え、行政手続のオンライン化などを推進してきた。国においては、ICTを通じて行政事務を効率化し、行政サービスの利便性のさらなる向上を図るため、平成23年6月に、社会保障と税にかかわる番号制度に係る大綱が決定された。このような状況を踏まえ、ICTの活用を戦略的かつ計画的に推進するため、平成25年6月に情報化推進プランを策定し、その中でペーパーレス化の推進も掲げている。

◯浜崎委員 先ほどの答弁で、14年度には職員1人1台のパソコンを設置したとのことだが、その効果について尋ねる。

△総務企画局長 職員が手作業で行ってきた時間の短縮、迅速化など、業務が効率化したことを初め、さまざまなソフトウエアを活用した高度な資料づくりを机上で行えるようになった。さらに、庁内情報ネットワークを整備したことで、情報の伝達手段が多様化するとともに、伝達速度が飛躍的に向上し、各所属や個人への通知文書等もネットワーク上で確実かつ迅速に掲示あるいは送付されるようになった。また、文書管理システムや財務庶務システムの利用が全職員可能となり、利便性が向上するとともに、職務に必要な基礎知識の習得も自席のパソコンで行うことができるようになるなど、紙の出力が必要最小限となり、印刷や運搬作業の軽減が図られたと認識している。

◯浜崎委員 職員1人1台のパソコンを設置しワープロで作成した文書が簡単に、そして大量に印刷できるようになったことで、資料の確認や修正の際に、コピー用紙の使用量が増大した一因にはなっていないか。やはり、職員、特に資料の確認や修正の指示を出す管理職職員の意識を変えることが重要だと考える。効果的にICTを活用するには、それまでの仕事を単に電子的に置きかえるのではなく、仕事のやり方を見直した上で、ICTを導入していくべきである。手書きのかわりにワープロで作成し、ペーパーを印刷するというのではなく、紙に印刷しなくてもよいように見直すべきである。そこで、タブレット端末の活用など、ペーパーに印刷しない取り組みがあるか。

△総務企画局長 紙媒体での資料配付を抑制するため、局長級以上の幹部職員にタブレット端末を配付し、庁議などにおいて、ペーパーレス会議を平成25年7月から試行している。この取り組みは、環境局において、先行的に進めているペーパーレス化の取り組みを発展させ、全庁的に展開するため、業務への展開可能性やその効果を検証の上、今後の業務効率化に資するような活用につなげていくものと考えている。

◯浜崎委員 やっと取り組みが始まったところである。このような取り組みは、市内部だけでなく、議会においても積極的に取り組むべき時期に入ったのではないかと思っている。最後に、ペーパーレス化の推進など、ICT活用についての所見を伺う。

△総務企画局長 ICTの活用については、情報化推進プランにおいて、暮らしやすく活気にあふれた情報都市の実現に向けて、業務改革の徹底とともに複雑化した情報システムの見直しを進めることにより、ICTを効果的に活用し、効率的な行政運営に取り組むこととしている。また、多様化、複雑化する情報ニーズに対応しながら、市民や来街者など多くの人々が情報化の恩恵を享受できるよう、情報化関連施策の充実を図り、行政サービスの拡充に取り組むこととしている。なお、ペーパーレス会議については、効率的な行政運営の取り組みの中で、全庁的な展開を図っていく。今後はモバイル端末の活用検討などを通して、職員の業務の進め方ややり方、いわゆるワークスタイルを変革するようなICTの活用を推進したいと考えている。

◯浜崎委員 次に、債権回収について尋ねる。本市の滞納対策については、これまでも数々の取り組みが行われてきたが、税収の劇的な改善などが見込めない中、現在の厳しい財政状況を踏まえると、これまで以上に重要な課題だと考える。今期の決算委員会においても、我が会派や他の会派からも質問があり、改善への取り組みは急務であることから、現在の滞納対策の状況とともに、今後のさらなる取り組みについて尋ねていく。本市における一般会計及び特別会計の収入未済額は、21年度から少しずつ減少、改善されているが、依然として244億円もある。他の政令指定都市における収入未済額の状況として、収入未済額が一番大きい都市、小さい都市、人口が本市と同規模の都市について尋ねる。

△財政局長 比較ができる直近データである23年度決算では、政令指定都市の中で、収入未済額が最も多い都市は大阪市で、約647億円、最も少ない都市は静岡市で、約146億円である。また、人口が本市と同規模の都市では、川崎市が約277億円、京都市が約208億円、神戸市が約426億円である。

◯浜崎委員 それでは、貸付金に関する24年度の包括外部監査では、主にどのような指摘を受けたのか。

△財政局長 24年度に実施された包括外部監査では、貸付金の債権管理に関して、3点の指摘を受けた。その主な内容は、まず、貸付金の借用書などに、いわゆる期限の利益の損失条項を明記すべきであるとの指摘、地方自治法施行令に規定されている履行延期の特約などの手続を遵守することや、適切な時期に訴訟手続等を実施すべきであるとの指摘、機動的、効率的な債権回収を行うため、市長の専決処分事項に関する条例を改正して、和解や訴えの提起に関する市長の専決処分事項及びその範囲を明確にし、かつ確証するよう改善すべきであるとの指摘である。

◯浜崎委員 それでは、今回の包括外部監査の指摘を受け、どのように対応したのか。

△財政局長 包括外部監査の指摘事項への対応について、期限の利益喪失条項は、順次、各債権の所管課で対応している。また、履行延期の特約等の手続、訴訟手続など、現在、債権管理に関する基本的なルールや手順、手法などを示す債権管理マニュアルを策定しているところであり、このマニュアルにおいて、具体的な手順や運用基準を定め、今後これらの実施を推進したい。最後に、市長の専決処分事項に関する条例の改正は、包括外部監査の指摘を踏まえ、現在検討を進めている。

◯浜崎委員 債権管理の強化に向けた全庁的な対策会議について、今までどのような取り組みを進めてきたのか。

△財政局長 市税については、22年度に福岡市市税収入向上対策本部を設置し、また、国民健康保険料については、24年度に国民健康保険事業財政健全化対策会議を設置し、それぞれ収入向上に向けた全庁的な取り組みの推進を図っている。また、こうした対策本部を設置していない債権の徴収強化の取り組みは、基本的には各所管局において、それぞれの債権の状況を踏まえ、効率的な執行体制の確保や滞納整理事務の改善などを図りながら、収入向上の取り組みを推進してきた。なお、20年度から3年間は、市税徴収に関するノウハウの活用による効率的、効果的な債権管理を図ることを目的として、財政局税務部に、母子寡婦福祉資金貸付金など四つの債権のうち高額、困難な滞納事案を集約し、その一元的な滞納整理を行う取り組みを試行的に実施した。

◯浜崎委員 それでは、今後の取り組みについて方針は出ているのか。また、その達成のための対策はあるのか。

△財政局長 今後の歳入確保に向けた取り組みについては、6月に策定した行財政改革プランに基づき、市税や国民健康保険料などの主な債権は、収入、収納率等の目標を設定し、全庁的に歳入の積極的な確保を図っていく。また、25年度新たに財政局に、債権回収に関する総合的な調整を行う組織を設け、現在、全庁的な債権回収の促進に向けた方策の検討を進めており、その中で、債権管理マニュアルの策定、債権管理条例の制定を含む債権回収に向けた環境の整備、効率的、効果的な債権回収体制のあり方などの検討を進めている。

◯浜崎委員 次に、本市における債権回収の具体的な方法について尋ねる。

△財政局長 債権回収の具体的な方法は、履行期限までに納付がなかった場合、まず、地方自治法等の規定に基づき督促状を発送する。その後も納付がない場合は、文書や電話等による催告を実施するが、それでも納付に至らないものについては、市税や国民健康保険料などのように、国税徴収法に規定する滞納処分の例により、強制徴収ができる債権は財産等の調査を行った上で滞納処分を実施し、債権を回収する。また、強制徴収ができない債権は、裁判所を通して訴訟手続を行った上で、強制執行等を申し立て、債権を回収する。

◯浜崎委員 回収までの手続を、順を追って尋ねるが、まず、何カ月滞納すると督促を出すのか。

△財政局長 督促の時期は、まず、公法上の原因により発生する、いわゆる公債権については、福岡市税外収入金の督促及び延滞金条例等の規定により、履行期限の翌日から20日以内に督促する。また、私法上の原因により発生する私債権は、地方自治法施行令や条例などに督促の期限に関する定めはないが、おおむね公債権に準じた対応を行っている。

◯浜崎委員 次に、催告について具体的な内容を尋ねる。

△財政局長 まず、滞納初期の段階では、滞納者の中には納付の意思を持ち、単に納付を忘れている場合、一定の納付の働きかけによって速やかに納付する場合も多数含まれていること、また、滞納者が自宅に不在である場合なども多いことなどから、催告業務の効率性を踏まえ、滞納者の状況に応じて、文書または電話による催告を適宜選択の上、実施している。また、滞納が高額ないし長期となるおそれが出てきた段階では、文書や電話による催告に加え、滞納者を訪問するなど面談の方法をとるとともに、納付が遅延することによる不利益や、今後法的な措置をとることなど、より具体的な説明をしている。

◯浜崎委員 それでは、滞納世帯に直接職員が訪問をして納付指導をする、いわゆる臨戸について、どのような基準で実施されるのか。

△財政局長 臨戸の実施基準については、具体的には各所管課において、催告への滞納者の応答の状況のほか、未収金の額、未納期間など滞納状況を踏まえ、一定の目安を設けて実施しているが、一般的には、電話や文書による複数回の催告に対して応答がない場合や、応答があっても納付の意志が確認できない場合などに実施している。

◯浜崎委員 臨戸を推進していくべきだと思う。次に、差し押さえはどの時点で実施するのか。

△財政局長 市税や国民健康保険料のように市が強制徴収できる債権については、一定の高額あるいは長期の滞納となった段階で、かつ分割納付にも応じないなど、滞納者に納付について誠意が見られない場合に、直接滞納者の財産を調査の上、預貯金や給与、不動産などの差し押さえ処分を行う。

◯浜崎委員 それでは、収入未済が続き、どうしても回収できないものはどうなっていくのか。

△財政局長 債権の回収は、督促や面談などによる納付指導のほか、納付誓約書による時効中断、滞納処分や訴訟手続を行うなど、適正な債権管理にできるだけ努めているが、そのような徴収努力を重ねてもなお納付資力がないなどの場合は徴収手続を一旦中断し、なおも納付資力が回復しないものは、やむを得ず消滅時効などにより債権が消滅するため、不納欠損処分を行う。

◯浜崎委員 強制徴収債権も非強制徴収債権どちらも不納欠損になって、本市の不納欠損額は毎年約50億円前後で、現在の累計は253億3,000万円余り、本当に大きな額である。債権回収の手続を具体的に聞いたが、その内容は非常に専門性が高く、市の職員が従事する必要も当然あると思うが、なかなか大きく前に進むことも難しいと実感している。ここは、専門のプロに任せてもよいのではないかと考えている。世の中には銀行やノンバンク、また中には違法な金融業者など、債権回収を専門的に行う人もおり、その中でも法務大臣から許可を受け、他人の債権の回収業務を行う民間事業者をサービサーと呼ぶが、本市の収入未済額を部分的でもサービサーに委託しているのか。

△財政局長 従来、未収金の催告や訴訟行為などの法律事務に該当する業務を受任できるのは、弁護士や認定司法書士などに限られていたが、平成11年からは新たに法務大臣の許可を受けた、いわゆるサービサーも一定の金銭債権に限って法律事務の受託が可能である。本市の債権のうち、サービサーに法律事務を委託することができるのは貸付金に限られるが、これまでにサービサーに催告など法律事務を委託した実績はない。なお、催告に至らない、いわゆる納付の呼びかけ業務などをサービサーに委託した例はある。

◯浜崎委員 それでは、サービサーを使って催告等の回収業務をしている政令指定都市はあるか。

△財政局長 政令指定都市の中では、大阪市が母子寡婦福祉資金貸付金の回収について、法律事務である催告業務をサービサーに委託していると聞いている。

◯浜崎委員 債権回収に際し、サービサーの活用や税務署や銀行から出向してもらい、回収業務に当たってもらうことは考えられないか。外部の力の活用を考えてみてはどうか、所見を伺う。

△財政局長 債権回収におけるサービサーなど外部の力の活用については、これまでも市税や国民健康保険料などでのコールセンター業務の委託、母子寡婦福祉資金貸付金や水道料金での、いわゆる納付の呼びかけ業務の委託などを行ってきたほか、税務部門では市税収入対策の推進を図るため、税務署OBを嘱託員として採用している。今後とも、サービサーを含めた民間事業者など、外部の力の活用を初め、効果的、効率的な債権回収のあり方を検討していきたい。

◯浜崎委員 払えない人にもさまざまな事情があろうが、一方で、公平性の観点から非常に厳しいことも述べてきた。毎年包括外部監査を受け、その都度対策を試みてきたと思うが、行政側に未収金発生が必ず起こり得ると勝手に思い込む雰囲気ができていないか。債権回収については、もう一度規則などの見直しを含めて抜本的に取り組まれたい。最後に、滞納対策の推進について高島市長の所見を伺い、質問を終わる。

△市長 滞納対策は、健全な財政運営だけではなく、負担の公平性という観点からも非常に重要な課題であると認識している。このため、6月に策定した行財政改革プランに基づいて、市税、国民健康保険料などの主な債権の収入、収納率などの目標を設定し、全庁的に歳入の積極的な確保に努めるとともに、25年度から財政局に新たな組織を設置して、全庁的に債権管理を推進していくための方策を検討している。委員指摘のとおり、民間事業者などの活用を初め、効果的、効率的な債権回収体制のあり方について十分検討し、歳入の積極的な確保に全庁一丸となって取り組んでいきたい。




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