水城 議員の総会質疑

◯水城委員 みらい福岡市議団を代表して、質問していく。まず、災害対策について、東日本大震災から3年が経過し、被災地の一日も早い復興と、被災された方々が平穏な生活を取り戻されることを心から願う次第である。先日も大分県に近い愛媛県沖で地震が発生し、本市域にも震度3の揺れが発生した。深夜に大変緊張が走ったのではなかろうか。平成17年の記憶が呼び起こされる。さて、本市は、昨年10月に原子力災害避難訓練を実施したが、原子力発電所から30キロ圏外に位置する政令市では初めての訓練であり、東日本大震災の教訓を生かした取り組みとして大変評価する。一方、私が従来より申し上げてきた防災関係機関の無線用語の統一化や、災害対策本部の2階フロアへの移転といった課題は、依然残されたままである。さきの2月議会では、地下街の防災対策や防災教育について質問があったが、いずれも重要な課題であり、災害対策として数多くの施策が求められるが、直ちに全ての対策を行うことは困難であり、優先順位をつけて推進していく必要がある。そこで、26年度における市民局所管の防災関連予算は幾らか、また、どのような対策を重点的に進めているのか尋ねる。

△市民局長 26年度市民局所管の防災関連の予算総額は、1億8,656万5,000円である。中でも、防災危機管理体制及び避難支援対策の充実強化や自助・共助の取り組みを進めるための地域防災力の向上が重要と考えており、具体的には、大規模震災時における行政機能の維持と的確な災害対応を図るための業務継続計画の策定、土砂災害から住民の生命を守るためのハザードマップや警戒避難体制の検討、防災資機材購入など自主防災組織の活動支援、災害時要援護者の避難支援マニュアル作成など要援護者避難支援の促進、災害種別ごとの避難所等の安全性評価などを重点的に進めていく。

◯水城委員 26年度もさまざまな災害対策に取り組むとされているが、これらの対策が予防、応急対策、復旧・復興のどの位置に位置づけられ、それぞれの段階の対策がどこまで進んでいるのかが見えない。議会で指摘した事項も含め、本市が実施すべき災害対策についての課題を洗い出し、取り組みを計画的に進めるための工程表をつくり、着実に進行管理を図ることが重要かつ必要であると考えるが、所見を伺う。

△市民局長 災害対策の取り組みについては、大規模地震を想定して、本市が被災した場合における課題を洗い出すとともに、迅速かつ的確な災害対策並びに行政機能の維持を図るための業務継続計画を26年度に策定することとしている。この計画を実効性あるものとするためにも平常時からの防災対策の推進と進行管理が重要と考えており、計画の実効性等を点検、是正し、災害対策の向上を図っていく。

◯水城委員 市民一人一人が自分の身は自分で守るという意識を持ち、来るべき災害に備えて対処するいわゆる自助が災害による被害を最小化するために最も重要であると考える。そのためには、まず、市が安全な避難場所を確保するとともに、その位置や避難経路、3日間自力で生活できるための備えをしっかりと市民に周知すべきと考えるが、自助を促すためどのような取り組みを行っているか尋ねる。

△市民局長 自助の促進については、これまで、地域の避難訓練や出前講座、市民防災の日のイベントなどで避難場所や危険箇所等の確認、災害時の連絡手段の確認、3日分の食料備蓄などを呼びかけるとともに、市民向け広報冊子「防災の手引き」や防災マップ、本市ホームページなどで周知啓発を図ってきたところである。なお、26年度に災害種別ごとの避難所、避難場所の安全性評価を実施することとしており、その後、速やかに災害種別ごとの避難所、避難場所の指定を行っていく。今後も引き続き、地域の自主防災組織等と連携を密にして、自助・共助の周知啓発を図っていく。

◯水城委員 先月、関東甲信越地方では、大雪による災害により多くの被害が発生した。その中で、秩父市が要請した自衛隊の災害派遣を埼玉県は数度にわたり断ったものの、その後、結局、災害派遣を要請したという内容の報道があった。まさに縦割りの弊害による判断ミスが露呈した事案である。このようなことは決して起きてはならないことであり、県や自衛隊などの防災関係機関との日ごろから風通しのよい環境を築いておくことが必要であると考えるが、所見を伺う。

△市民局長 県や自衛隊などの防災関係機関との連携については、これまで、地域防災計画の策定や改定等に伴う協議を初め、市民総合防災訓練や福岡市テロ対応訓練などを計画段階から訓練終了後の協議に至るまで合同で実施するなど、顔の見える関係の構築と連携の強化に取り組んでいる。今後も引き続き、訓練や研修などあらゆる機会を捉えて、県や自衛隊など防災関係機関との良好な関係の構築と連携の強化を図っていく。

◯水城委員 しっかりお願いしておく。私は、本市の防災危機管理体制について、再三にわたり議会で提言を行ってきたが、市民の生命、身体、財産を守るという重大な責務であるにもかかわらず、国内外の都市と比較してもまだ決して十分なものとは言えない。防災危機管理課職員の増員はもとより、自衛隊OBを採用し、自衛隊との風通しのよい関係を構築するなど、組織体制の強化について中長期的な計画を持ち、盤石な体制を構築すべきと考えるが、所見を伺う。

△大野副市長 本市においては、過去の水害や地震などの被災経験を生かして、各種災害や危機事案に対し職員が迅速で的確に対応することができるように、気象情報や災害情報をそれぞれ一元的に管理するシステムの整備や、全ての職員を対象とした研修の実施など、人材の育成にも努めてきたところである。また、大規模な震災により、仮に市役所の機能が低下する状況にあっても、応急対策や優先度の高い業務を適切に遂行できる体制をあらかじめ整えておくことが重要であり、現在、業務継続計画の策定を進めている。その計画に基づき、引き続き、体制の充実と職員の対応能力の向上を図っていく。さらに、現実の災害などへの的確な対応のためには、委員指摘のように、自衛隊との連携は何よりも重要との認識のもと、特に、春日市の第19普通科連隊とは、日ごろから本市が行うさまざまな訓練にも積極的に参加いただくとともに、本市も第19普通科連隊の各種行事に参加するなど、風通しのよい関係に努めている。今後とも安全、安心という視点を基本に、市民の生命、身体、財産を守るため、本市の防災危機管理体制の盤石を目指して、改善すべき点は改善しながら、必要な取り組みを積極的に進めていく。

◯水城委員 災害対策に関連して、中部水処理センターの改築更新の方向性について尋ねる。本市では、アセットマネジメント基本方針及び実行計画を策定し、施設の延命化に取り組んでいるが、市有施設の目標耐用年数をどのように設定しているのか尋ねる。

△財政局長 市有施設の目標耐用年数については、平成20年9月に策定した福岡市アセットマネジメント基本方針及び平成25年6月に作成した第2次福岡市アセットマネジメント実行計画において設定しており、まず、一般建築物については、鉄筋コンクリート造で原則70年としている。また、橋梁や上下水道などの専門施設については、それぞれの所管局において専門的見地から各施設の検証を行い、その結果を踏まえてライフサイクルコストが最小となる目標耐用年数を設定することとしており、橋梁では100年、清掃工場のプラント施設では35年などとなっている。

◯水城委員 施設の延命化は大事な取り組みであるが、施設を安全に維持することが最も重要である。そこで、主要施設の耐震対策にはどのように取り組んでいるのか尋ねる。

△財政局長 市有施設の耐震対策については、福岡市公共施設の耐震対策計画に基づき取り組んでいる。まず、建築物については、新耐震基準以前に建築された一定規模以上の庁舎、学校、公民館などの防災関連施設や、集会所など多数の市民が利用する施設などについて対策を行っており、27年度までの改修完了を目標としている260の施設のうち、24年度までに252施設で対策が完了し、進捗率は97%となっている。また、土木構造物については、下水道の水処理センターや水道の浄水場などの重要な基盤施設について、施設の重要性、緊急性及び警固断層との関係、対策の難易度や改築との関連等を考慮し、順次対策を行っているところである。

◯水城委員 近年、市民体育館や市民会館、中央児童館、少年文化会館など、幾つもの大規模施設の建てかえ計画が進んでおり、耐震対策を理由に移転している施設もあるが、アセットマネジメント計画における延命化の考え方と整合性がとれているのか尋ねる。

△財政局長 施設の建てかえについては、アセットマネジメント実行計画において、長寿命化を図り、目標とする耐用年数まで利用することを基本としているが、施設の運営上、あるいは構造上の理由などにより既存施設の耐震対策ができない場合、長寿命化のための改修費用と比較して建てかえ費用のほうが安価となる場合、ユニバーサルデザインなどの社会環境や市民ニーズの変化に改造・改修では対応できない場合など、諸事情を総合的に考慮した上で施設を建てかえたほうが効果的であると判断される場合には、目標耐用年数前に建てかえを行っているところである。

◯水城委員 現状を見ると、延命化や施設の建設年度には関係なく、要望の大きい、目につきやすい市民サービスの施設の建てかえばかりが優先されているように感じられる。仮に、市民サービス施設が使用停止になったとしても、すぐに市民生活に重大な支障が出るわけではないが、生活に直結するインフラ施設が機能停止になれば、市民の生活や生命、財産に甚大な影響を及ぼすことから、行政としてはインフラ施設の更新こそ優先すべきであると考える。そこで、市有施設のうち、一般建築物で建築年次が古い主な施設名と建築年次について尋ねる。

△財政局長 一般建築物で建築年次が古い主な施設については、市民会館と九電記念体育館が昭和38年に建築され築51年となっている。南区役所は昭和44年に建築され築45年、中央児童会館が昭和45年に建築され築44年、早良区役所、博多区役所、市民体育館、少年科学文化会館が昭和46年に建築され築43年となっている。

◯水城委員 橋梁やトンネルなどの公共土木構造物についても、全国的に老朽化の事故が問題となっているが、本市を見た場合、中でも市民の日常生活に直結する下水道施設の老朽化には、強い懸念を抱いている。そこで、生活排水の下水を処理する水処理センターの施設ごとの経過年数を尋ねる。

△道路下水道局長 水処理センターの経過年数については、古いものから順に、中部水処理センターが昭和41年の供用開始から47年、東部水処理センターが昭和50年の供用開始から38年、和白水処理センターが昭和50年の供用開始から38年、西部水処理センターが昭和55年の供用開始から33年、西戸崎水処理センターが昭和56年の供用開始から32年が経過している。なお、平成26年3月から新西部水処理センターが供用を開始している。

◯水城委員 中部水処理センターは供用から半世紀近くがたつが、この施設が今の時代の流れに即した形になっているのか、大いに疑問を感じている。パネルを用意したが、かなり老朽化が進んでいる状況である。昭和41年に供用開始した本市最初の下水処理場として、都心部の生活排水を処理する中部水処理センターについて、老朽化の状況とその対策についてどのように行っているか尋ねる。

△道路下水道局長 中部水処理センターの老朽化の状況については、コンクリートの劣化等が部分的に発生している状況である。対策としては、劣化したコンクリート構造物の部分的な補修や、耐震診断に基づく耐震対策、耐用年数を超えた機械、電気設備の更新工事を順次実施し、水処理センターの維持管理に努めているところである。

◯水城委員 中部水処理センターから発生するにおいについて、近隣にお住まいの方より相談を受け、私自身も近くを通る際、時々、においが気になることがある。その原因として、施設が古いことも一因ではないかと考える。中部水処理センターからの悪臭が、近隣住民や西公園を訪れる皆様に不快感を与えることのないよう、最善の措置を講じていくべきと考えるが、この悪臭問題についてどのように考えているのか、所見を伺う。

△道路下水道局長 中部水処理センターの悪臭問題については、悪臭防止法に基づき適正に対応しているところである。しかしながら、施設の点検時や工事作業時に一時的に発生する臭気も考えられることから、今後も臭気対策を継続して行っていきたいと考えている。

◯水城委員 天神や博多駅地区などの都心部の市民生活や経済活動を支えている中部水処理センターは、365日24時間、ひとときもとまることが許されない施設である。そのような重要な施設であるにもかかわらず、施設は老朽化しており、しかも、狭小な敷地に重要な処理施設が窮屈に配置されているため、地震などの災害発生時の甚大な被害を危惧しているところである。そこで、平成17年3月の福岡西方沖地震のときの中部水処理センターの被害状況を尋ねる。

△道路下水道局長 福岡県西方沖地震における中部水処理センターの被害状況については、水処理施設の水路の亀裂や配管のずれにより漏水等が発生したため、処理機能を一時停止し、緊急的な点検や復旧を行い、市民生活に影響が及ばない範囲での早期の処理機能回復に努めたところである。

◯水城委員 東日本大震災では、宮城県で震度7が観測されたほか、東北、関東地方各地で震度6強が観測されるなど、非常に広い範囲にわたって強い揺れによる被害が発生し、宮城県多賀城市では市内各所で汚水があふれ、多くの住民の生活が脅かされたと聞いている。そこで、東日本大震災による下水施設の被害状況はどのような状況だったのか、また、宮城県多賀城市の被害状況について尋ねる。

△道路下水道局長 東日本大震災の下水道施設の被害状況については、国土交通省の発表によると、稼働停止や一時停止した処理場が120施設、ポンプ場が111施設、被害管渠延長が680キロとなっている。宮城県多賀城市の被害状況については、多賀城市にある下水道処理場では、津波で施設が水没して機能停止し、また、市内各所で下水道管やマンホールが破損し、汚水が逆流してマンホールからあふれるという事態が発生している。

◯水城委員 3.11から我々は何を学んだのか。中部水処理センターのほぼ真下には、福岡県西方沖地震の原因となった警固断層帯が走っているが、文部科学省は、警固断層に起因する地震が今後30年以内に発生する確率は0.3%から6%であり、これは日本の主要な活断層の中では高いグループに属していることを公表している。もし、警固断層帯に起因して東日本大震災クラスの地震が発生したら、老朽化した中部水処理センターは崩壊すると考えられる。そこで、警固断層帯の活動により東日本大震災クラスの地震が発生し、仮にその影響で中部水処理センターが機能停止、いわばメルトダウンした場合は、どのくらいの人にどのような被害が想定されるのか尋ねる。

△道路下水道局長 中部水処理センターが機能停止した場合に想定される被害については、天神、博多地区などの中部水処理センターが処理している地区の昼間人口である約47万人に影響を及ぼすと想定される。その影響としては、最悪の場合、公共用水域の水質悪化だけでなく、マンホールからの汚水の溢水、悪臭の発生、さらに、生活排水を流すことができなくなることからトイレやお風呂なども使用できないことが想定される。

◯水城委員 地震はいつ起こるかわからないので、不測の事態に備えて対策をとることが急務かつ重要であると考えるが、中部水処理センターにおける耐震対策の現状について尋ねる。

△道路下水道局長 中部水処理センターの耐震対策については、福岡市公共施設の耐震対策計画に基づき実施しており、16年度から18年度までに行った耐震診断を踏まえた耐震対策について、土木構造物については19年度までに完了し、薬品庫などの建築構造物については26年度までに完了する予定である。

◯水城委員 現在、文部科学省において警固断層東南部における重点的な調査観測を実施されており、その最終報告が平成26年5月に発表される予定と聞いている。そのため、中部水処理センターの全面的な改築更新には、これらの調査結果を踏まえた耐震対策の検討が必要と考えるが、そもそも下水道法では、公共下水道の改築更新等の管理はどのように規定されているのか尋ねる。

△道路下水道局長 下水道法においては、公共下水道の設置、改築、修繕、その他の管理は市町村が行うものとすると規定されている。

◯水城委員 公共下水道の改築更新は、市が責任を持って実施すべきということが法律にも明確に記載されている。いざというときにその機能が維持されなければ、対策とは言えない。平時から万全の備えを行っていく防災対策、インフラこそ最優先でやるべきであり、中部水処理センターについては全面的な改築更新について早急に課題の整理や、幅広い観点からの検討を進めるべきである。中部水処理センターは、周辺地区が石油コンビナートなど特別防災区域に指定されており、市内にあるにもかかわらず、この民間石油コンビナートの危機管理は県が指導を行うといった災害時の対応が二重行政になっている地区に位置しており、防災の面で大変危惧をしている。中部水処理センターの改築更新時に、仮に用地の拡幅が必要となった場合、用地は石油基地であるため、それらの移転には相当な時間がかかるのではないか。また、他都市の更新事例では、既存敷地内で改築更新したり、他の処理場とネットワークする方法などがあるが、これらの手法にも非常に長い時間を要している。中部水処理センターはもう半世紀を経過し、限界である。警固断層帯の対策を踏まえ、全面的な改築更新について検討をしっかり行い、市民の安全を守るため早急に着手すべきと考えるが、所見を伺う。

△道路下水道局長 中部水処理センターの全面的な改築更新については、敷地が狭く、未利用地もないため、改築中の処理機能を確保する方策などの課題がある。今後、最新技術の導入による現有敷地内での建てかえや処理場間ネットワーク管の整備など、技術面や経済性など幅広い観点からの検討が必要であると考えている。また、平成26年5月に文部科学省より発表予定の警固断層に関する調査結果を踏まえ、警固断層帯の対策を含む中部水処理センターの改築更新の検討を進めていく。

◯水城委員 警固断層帯の真上にあるということをぜひ忘れないでいただきたいと思う。次に、財政問題について尋ねる。本市の市民1人当たりの市債残高は、ピークの16年度末の199万8,000円から、26年度末には164万9,000円へと35万円縮減される見込みである。これは、全会計ベースで見た場合であるが、各都市で基準が異なることから、全国統一基準の普通会計ベースで比較するのが適当ではないかと考える。そこで、24年度末の普通会計での市民1人当たりの市債残高について、本市は指定都市の何番目に多いのか、また、その額は幾らか、普通会計の意味合いも含めて尋ねる。

△財政局長 まず、普通会計の意味合いであるが、地方公共団体の会計は、一般会計、特別会計、公営企業会計などに分類されるが、個々の地方公共団体ごとに各会計の範囲が統一されておらず、また、実施している事業の範囲、例えば地下鉄事業や港湾事業などを実施しているかどうかといったことも異なるため、各地方公共団体間の適切な比較や統一的な把握が困難となっている。このため、地方財政の統計上、全国統一的な基準として用いられている会計区分が普通会計であり、これには料金収入などにより経費を賄う独立採算が原則とされる公営企業会計などが含まれてない。この普通会計ベースでの24年度末の市民1人当たりの市債残高については、本市は、指定都市で高いほうから4番目となっており、その額は約86万円である。

◯水城委員 普通会計ベースでは4番目ということであるが、いまだ高い水準であり、より一層の財政健全化に向けた努力を要望しておく。さて、26年度予算案では、税収が過去最大で大幅な増加が見込まれており、本市にとって大変喜ばしい状況であるが、一方で、もう一つの重要な財源である地方交付税は大幅に減少している。流した汗が報われず、むなしささえ感じる。地方自治体の税収増を図る努力がより生かされる仕組みになる必要があると思うが、所見を伺う。

△財政局長 地方自治体の税収増を図る努力が生かされる仕組みについての質問である。本市としては、地方交付税の総額の確保に加え、国と地方の税源配分の是正などを求め、大都市税財政制度確立推進協議会などを通じて、議会と一体となり、また、他の指定都市とも連携し、国に要望を行っているところであり、こうした取り組みにより地方自治体の税収増を図る努力が生かされる仕組みとなるよう、引き続き働きかけてまいりたいと考えている。

◯水城委員 税収の向上に努力した地方自治体の苦労がしっかり報われるよう、税源配分の是正を国に強く働きかけるとともに、地方交付税総額の確保を引き続きしっかり要望していただきたいと思う。こうした市税や地方交付税といった一般財源以外の財源に、国や県からの補助金といった特定財源があるが、特に、福岡県からの補助金については、いまだ他の市町村と格差のある取り扱いを受け続けているものがあり、これは大きな問題であると考えている。かねてより格差是正の要望を行ってきたところであり、山崎市長や吉田市長の時代には、医療費助成に関する県補助金について見直しがなされ、県から補助金を一部取り戻すことができた。しかしながら、格差をつけられた補助金は依然として残っている。そこで、指定都市以外の市町村と格差をつけられている福岡県の補助金にはどのようなものがあるのか、また、それらの補助金が他の市町村と同様の取り扱いとなった場合、どのくらいの金額が新たに本市の収入増となるのか尋ねる。

△財政局長 本市と指定都市以外の市町村とで補助率等に格差のある県の主な補助金名と、それが指定都市以外の市町村と同様に取り扱われた場合の本市の増収額については、26年度予算案に基づく試算で、重度障害者医療費支給事業費県費補助金が約13億4,000万円、乳幼児医療費支給事業費県費補助金が約9億5,000万円、ひとり親家庭等医療費支給事業費県費補助金が約1,000万円、福岡県離島振興対策航路事業補助金が約2,000万円、文化財保護事業補助金が約2,000万円、それぞれ増収となり、合計で23億4,000万円程度の増収になるものと試算される。

◯水城委員 本市が、指定都市以外の市町村と格差をつけた取り扱いを受けている福岡県の補助金のほとんどを医療費助成が占めている。そこで、医療費助成事業に対する県補助金の開始年度及び他市町村と同様の補助が受けられた場合との差額について、10年間の累積額を尋ねる。

△保健福祉局長 医療費助成事業に対する県補助金の開始年度については、子ども医療費助成事業及び重度障害者医療費助成事業への補助は昭和49年10月1日開始、ひとり親家庭等医療費助成事業への補助は昭和58年10月1日開始となっている。また、他市町村と同様の補助率を適用した場合の過去10年間における県の補助金の他市町村との格差については、子ども医療が約71億円、重度障害者医療が約138億円、ひとり親家庭等医療が約1億円、合計で約210億円の補助金の交付を受けていない状況である。

◯水城委員 10年間だけ見ても膨大な金額である。まさか当局もこのままでいいとは思っていないだろうが、格差の解消に向けた取り組みの状況を尋ねる。

△保健福祉局長 医療費助成事業に対する県補助金の格差の解消については、毎年、福岡県に対する提言の中で最重点項目として要望活動を行っている。また、平成24年6月から、県と両政令市による実務連絡会議が設置され、懸案事項として、平成24年8月、平成25年8月及び同年11月に協議を行い、さらに、平成25年11月の福岡・北九州両政令市保健福祉局長会議において、今後の対応や取り組みについて協議を行っており、引き続き、北九州市と連携し、県に対して働きかけていく。

◯水城委員 これまで、本市議会でも、格差のある県の補助金を是正するよう、県に改善を求める意見書を過去5回採択し、県知事に対して提出してきた。市長にとってことしは任期最後の4年目になるが、福岡県から本来もらうべき補助金を市民のためにどう取り戻していくのか、市長の決意を伺う。

△市長 委員御指摘の医療費助成事業などに対して、指定都市以外の市町村との間で差別的な扱いを受けているというこの県補助金の問題については、福岡市民も等しく県税を負担していることから、早急に是正されるべき重要な課題であると認識している。また、一部是正が実現して以降も県に対する提言などを実施して、完全な是正を強く求めているところである。特に、子ども医療費や重度障害者医療費に対する県の補助金に関しては、市の財政に与える影響が非常に大きいことも踏まえて、同じ課題を抱えている北九州市とのさらなる連携をしっかり図りながら取り組んでいくことが重要だと考えている。引き続き、早急に是正が実現できるよう、議会の御支援も得ながら、福岡県に対して粘り強く働きかけていきたいと考えている。

◯水城委員 ぜひよろしくお願いしておく。次に、国際貢献を通じた海外ビジネス展開について尋ねる。市長は、さきの市政運営方針の中で、国連ハビタットやJICAとともに連携し、本市の住みよいまちづくりを広く海外に紹介するとともに、相手都市との協力関係を構築し、官民連携による事業展開を目指すと述べられた。国際貢献自体はもちろんよいことだと認めているが、時代の潮流は都市間競争に入っており、単なる国際貢献と国際協力だけではなく、ビジネス展開を行うべきだと主張してきた。そこで、まず、26年度は、国際貢献、海外展開について具体的にどのような事業を行うのか尋ねる。

△総務企画局長 国際貢献、国際展開については、相手都市のニーズを踏まえた技術協力を継続し、現地の情報収集も行いながら、相手都市との信頼関係を築き、その上でしっかりとした協力関係の枠組みをつくり、具体的なビジネス展開を図ることが肝要であると考えている。26年度の事業については、ミャンマーのヤンゴン市へ水道局職員の派遣を継続するとともに、今後の海外展開のさらなる足がかりとするため、本市の住みよいまちづくりセミナーを開催するほか、ヤンゴン市の職員を半年間研修で受け入れるなど、新規の事業も実施する。また、26年度から、新たにフィジーに対して水道局職員の派遣や研修の受け入れなどを実施するほか、東南アジア諸国からも下水道やごみ処理分野で研修生を受け入れていく。一方では、本市の技術やノウハウをPRするとともに、人的ネットワークの形成を図るため、ことし6月に開催される上下水道分野でアジア最大のコンベンションであるシンガポール国際水週間に出展する。さらに、現在開催している地場企業を対象とした上下水道分野における国際展開に向けた勉強会を継続し、企業との意見交換や事例研究を行いながら、官民連携の仕組みづくりを検討していきたいと考えている。

◯水城委員 いまの答弁で、フィジーでの上水道分野の技術協力を行うとあったが、国際貢献としての意義は認めるが、本市が事業を行うメリットは何なのか尋ねる。

△水道事業管理者 26年度から本格的に実施していくフィジーへの技術協力については、水道局OB職員がJICAのシニア海外ボランティアとして技術支援を行ったことを契機に、本市水道技術の強みである漏水防止対策について技術協力の要請があり、このため、JICAの事業を活用して3年間にわたり延べ9回、約50名の水道局職員を派遣し、また、相手国からの研修生を現場研修が可能な水道局の研修所で受け入れるものである。その活動の中で水道技術の継承や、将来のビジネス展開に資する国際感覚を持った職員の育成を図りたいと考えており、また、事業に必要な資機材の国内調達を通じて、地場企業を含めた官民連携も進め、ビジネスにもつながる国際貢献にしたいと考えている。

◯水城委員 北九州市、横浜市、大阪市や東京など他の自治体では、水道関係で海外ビジネス展開を積極的に行っているが、残念ながら本市はただ漫然と技術協力を行っているだけのように思えてならない。私は、国際貢献だけの時代は既に終わったと本会議を通じて指摘してきたが、自治体間競争が進む中、本市は出おくれているということを再度指摘しておく。本市が海外でのビジネス展開を本気でやるつもりならば、具体的な戦略を立て直し、庁内体制の構築を含め取り組むべきと考えるが、市長の所見を伺う。

△市長 国際貢献、国際展開については、国連ハビタットやJICAとも連携して、節水型都市づくりや下水処理システム、廃棄物埋立技術「福岡方式」など、本市のコンパクトで住みよいまちづくりをパッケージで広く海外に紹介するとともに、相手都市と覚書、いわゆるMOUを締結するなど、都市間の協力関係を強固なものとして、官民連携によってビジネス展開を目指していきたいと考えている。このために、26年度は、副市長をトップに関係各局長で構成する推進会議を設置するとともに、外務省やJICAの出身者、そして、海外ビジネスの経験者など、外部の知見も活用しながら取り組みを加速していく。また、現在開催している地場企業を対象とした上下水道分野における国際展開に向けた勉強会を継続して、企業との意見交換や事例研究を行いながら、官民連携の仕組みづくりを進めて、JICAなどとの連携もさらに強化して、ODA案件などの受注を目指していく。

◯水城委員 次に、生活保護制度について尋ねる。3月3日の報道で、24年度の生活保護不正受給件数は全国で4万1,909件、金額で190億5,372万円に上り、過去最悪を更新したという記事を目にした。生活保護制度は、生活に困窮し、真に保護を必要とする人のための制度であり、この悪用や不正受給は市民の信頼を大きく損ね、制度の根幹を揺るがしかねないゆゆしき問題である。そこで、本市における不正受給の現状について、24年度において収入などを福祉事務所に届けないまま保護費を搾取した件数とその金額を尋ねる。

△保健福祉局長 24年度に生活保護法第78条を適用し、不正受給者に費用徴収を求めたものは1,521件、金額は4億5,899万円となっている。

◯水城委員 私は、平成25年6月議会において、不正受給を許さないことを本市の姿勢として示すため、兵庫県小野市のように本市独自の条例を制定すべきではないかと尋ねたが、その際、市長から、小野市の条例なども参考にしながら法の適正実施に努め、より実効性の高い施策に取り組んでいくとの答弁をいただいた。そこで、26年度は、不正受給を許さない取り組みを初め、どのような施策に取り組むのか尋ねる。

△保健福祉局長 26年度においては、既存の取り組みに加え、新たに生活保護適正実施プログラムとして、生活保護ホットラインの設置や生活保護ルールブックの作成、生活再建支援プログラムの構築などを推進することにより、生活保護制度の適正実施に取り組んでいく。

◯水城委員 今回、新しく生活保護ホットラインを設置されるということであるが、なぜ設置されるのか、その目的について尋ねる。

△保健福祉局長 生活保護ホットラインについては、保護を要するに人に関する情報、不正行為やアルコール、ギャンブルなど、生活の乱れ等の情報を初めとした、市民から生活保護に関するさまざまな情報を受け付け、その対応を図ることにより、真に生活に困窮している人に必要な保護を適用するとともに、不正受給の防止を初めとした生活保護の適正化を図り、市民の生活保護制度に対する信頼を確保することを目的に、専用の通報窓口を設置するものである。

◯水城委員 今回の生活保護ホットラインは、不正受給の抑止につながるものであり、また、真に必要な人のための制度として適正に実施していく上で大きな一歩を踏み出したものと評価する。しかしながら、このような取り組みも市民への周知が十分でなければ意味がない。ホットラインの設置について、1人でも多くの市民に周知広報することが重要であると考えるが、どのような方法で周知していくのか、また、不正受給を許さない公正な社会の実現のため、生活保護制度の適正実施にどう取り組んでいくのか、所見を伺う。

△保健福祉局長 生活保護ホットラインについては、ホームページや市政だより、ポスターなどにより広く市民に広報するとともに、市民からの情報提供にも適切に対応していく。また、生活保護の不正受給については、制度に対する市民の信頼と理解を得ていくためにも、絶対許してはならないものであると考えている。これまでも収入状況等の届け出義務について、機会を捉え十分に説明を行うとともに、収入調査徹底事業など調査の徹底を図り、不正受給の防止に努めてきたところである。今回、新しく生活保護ホットラインの設置に加え、制度をわかりやすく説明した生活保護ルールブックを配布し、生活保護受給者に対し届け出の義務の周知の徹底を図るなど、今後ともより実効性の高い施策を展開し、真に生活に困窮している人に必要な保護を適用するとともに、不正受給に対しては厳正に対応していくなど、生活保護の適正実施に全力で取り組んでいく。

◯水城委員 最後に、動物愛護について尋ねる。私が、この動物愛護に初めて議会で質問したのは11年度のことであるが、当時、全国で42万頭、本市でも6,089頭の犬や猫が殺処分されており、本当に驚き、この問題について取り組んできた。そこで、まず、現在の本市における犬や猫の処分の状況について過去5年間の頭数の推移を尋ねる。

△保健福祉局長 犬の殺処分頭数については、20年度が288頭、21年度が150頭、22年度が91頭、23年度が59頭、24年度が86頭である。次に、猫の殺処分頭数については、20年度が2,734頭、21年度が1,977頭、22年度が749頭、23年度が590頭、24年度が472頭である。

◯水城委員 本市では、最も多いときで約1万5,000頭もの犬や猫が殺処分されていたが、そのころから比べると驚くほど少なくなっており、大変喜ばしいことだと思う。しかしながら、依然として毎年数百頭の犬や猫が処分されている現状も改めて重く受けとめなければならない。そこで、殺処分頭数が大きく減ってきた要因及び現在でも殺処分が行われている理由を尋ねる。

△保健福祉局長 犬や猫の殺処分頭数が大きく減ってきた要因についてであるが、犬や猫を安易に手放そうとする飼い主を説得することで動物愛護管理センターに収容される動物を減らすとともに、動物愛護団体と協力して新しい飼い主を探すなどの取り組みを継続してきたことによるものと考えている。しかしながら、犬や猫を譲渡する際には、その飼育適性に関する判定を行っており、回復しがたい病気や攻撃性の強いもの、また、生まれたばかりで飼育が困難であるものについては、やむを得ず殺処分を行っているところである。

◯水城委員 殺処分の大幅減少については、市の取り組みを高く評価するが、現実には、いまだ安易に飼育を放棄する飼い主がいたり、売れてしまえばいいという考えで無責任に販売するペットショップも存在する。こういった現状から、昨年9月に動物愛護及び管理に関する法律が改正され、規制が強化された。そこで、この法改正に伴い、動物の殺傷、虐待や捨てるなどの行為に対する罰則はどうなったのか、また、殺処分を行う場合、できるだけその動物に苦痛を与えないようにしていただきたいとお願いしてきたが、現在の処分方法についてもあわせて尋ねる。

△保健福祉局長 今回行われた法律の改正に伴い、犬や猫などの愛護動物をみだりに殺傷した者に対しては、1年以下の懲役または100万円以下の罰金から、2年以下の懲役または200万円以下の罰金へと強化されている。また、同様に、みだりに虐待したり捨てるなどの行為をした者に対しては、50万円以下の罰金から100万円以下の罰金へと強化されている。なお、罰則の強化など法律改正の趣旨については、今後も市民への周知啓発を徹底していく。また、やむを得ず殺処分を行わなければならないときの処分方法についてであるが、平成25年11月以降、小さな子猫のように技術的に困難な場合を除き、それまでの主に炭酸ガスを吸入させる方法から、動物の苦痛がより少ないとされる麻酔薬注射による手法に変更したところである。

◯水城委員 今回の法律の改正で罰則が厳しくなったようであるが、このことを知らない方々がたくさんいると思われるので、周知啓発を徹底していただきたいと思う。さて、殺処分される犬や猫を減らすため、本市にはまだまだできることがあるのではないかと考えるが、26年度における本市の予算額と新たな取り組みについて尋ねる。

△保健福祉局長 26年度の予算額については、動物行政全体で、7,728万5,000円となっている。また、新たな取り組みについては、本市では、殺処分のほとんどが飼い主のいない子猫であることから、その猫を減らすために展開されている地域猫活動への支援を行っている。この活動においては、特に、猫の不妊去勢手術が不可欠であることから、東部動物愛護管理センターに専任の嘱託獣医師1名を新たに配置することで手術頭数をふやし、猫の繁殖を抑えながらセンターに持ち込まれる子猫を少なくしていく。また、やむを得ず引き取った猫については、センターの収容施設を拡充することで飼育保管期間を延ばし、新しい飼い主に譲り渡す機会をふやしていく。

◯水城委員 殺処分をなくすためには、飼い主やペットショップが動物に対するそれぞれの責務を果たす必要があり、本市もあと一歩、二歩の努力をすることで殺処分自体がない人と動物との共生が実現できるのではないかと考える。そこで、殺処分ゼロを実現し、本市を人と動物とが共生できるまちにしていくための市長の決意を最後に聞いて、質問を終わる。

△市長 動物愛護については、人とのかかわりがますます深くなってきている犬や猫が、同じ人間の都合でいまだに殺処分されている現実を変えていきたいという思いから、去年の11月に殺処分ゼロへの誓いとして宣誓したところである。これからも人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市を目指している本市であるからこそ、動物は人間の大切なパートナーであり、心を豊かにしてくれる存在であるという気持ちを市民の皆様と共有しながら、殺処分ゼロのまち、そして、人と動物とが共生できるまちを実現していくために、動物愛護行政をしっかりと着実に進めていく。