三角 議員の総会質疑

◯三角委員 みらい福岡市議団を代表して、滞納対策について、学力向上の取り組みについて、障がい児の療育と保育について、以上3点について質問する。まず、滞納対策について尋ねる。私が昨年10月の決算特別委員会で指摘したように、滞納を発生させない取り組みや、滞納となった後の初期対応が債権ごとに異なっており、全庁統一的なルールを規定したマニュアルをつくるべきと指摘していた。債権管理の適正化及び徴収の強化を図るため、債権管理に関する手続や基準などを定める債権条例が提案されたが、この条例が対象とする市の債権の範囲について尋ねる。

△財政局長 今議会で提案している債権管理条例が対象とする市の債権の範囲については、市民税や固定資産税などの市税を初め、国民健康保険料や母子寡婦福祉資金貸付金など、金銭の給付を目的とする全ての市の債権を対象とするものである。

◯三角委員 それでは、過去5年間の決算における一般会計及び特別会計を合わせた収入未済額はどうなっているのか尋ねる。

△財政局長 過去5年間の決算における一般会計及び特別会計を合わせた収入未済額についてであるが、20年度が274億2,000万円余、21年度が276億3,000万円余、22年度が266億8,000万円余、23年度が260億5,000万円余、24年度が244億1,000万円余となっている。

◯三角委員 ただいまのお答えで、20年度と24年度の収入未済額を比較すると、約30億円減少しているが、主にどの債権が減少しているのか尋ねる。

△財政局長 収入未済額を減少させた主な債権であるが、市税と国民健康保険料であり、市税で21億6,000万円余の減、国民健康保険料で11億8,000万円余の減である。

◯三角委員 収入未済額が減少した理由は、ほとんどが市税や国民健康保険料によるとのことである。ということは、その他の債権の収入未済額は減少していないということではないのか。昨年の10月の決算委員会で、我が会派の浜崎議員が債権回収の質問を行ったところ、市の債権にはさまざまな種類があり、例えば、市税や国民健康保険料のように自治体が差し押さえできる強制徴収債権や、そうではない非強制徴収債権があると当局が答弁されていた。そこで、市が持っているこれらの債権の具体的な種類と債権回収方法について尋ねる。

△財政局長 市が持っている債権の具体的な種類と債権回収の方法についてである。市の債権には、強制徴収債権と呼ばれる国税徴収法に規定する滞納処分の例により市が自ら強制徴収ができる債権と、非強制徴収債権と呼ばれる市が自ら強制徴収できない債権で、裁判所を通して訴訟手続等を行い、判決など債務名義を得た上で強制執行等を申し立て、債権を回収するものとがある。強制徴収債権の例としては、市税、国民健康保険料、介護保険料、保育料などがある。また、非強制徴収債権の例としては、学校給食費、市営住宅使用料、母子寡婦福祉資金貸付金、災害援護貸付金などがある。

◯三角委員 強制徴収債権は自治体みずからが滞納処分を実施できるとのことであるが、本市ではどのような債権で滞納処分を行っておられるのか、また、非強制徴収債権ではどのような債権で裁判所を通じた債権回収を行っているのか尋ねる。

△財政局長 まず、強制徴収債権のうち滞納処分を実施している債権であるが、市税や国民健康保険料のほか保育料などについて滞納処分を実施している。また、非強制徴収債権のうち、裁判所を通じた債権回収を実施している債権であるが、市営住宅使用料について訴訟手続を実施しているほか、学校給食費などについても、近年、支払い督促や訴訟手続など裁判所を通じた手続を実施しているところである。

◯三角委員 強制徴収債権は、市役所自身が財産を調査して差し押さえを行うことができる債権ということであり、先ほど答弁をいただいたとおり、この5年間にしっかりと滞納対策に取り組んできた市税と国民健康保険料では収入未済額が減ってきている。その他の債権についても、滞納処分をぜひ積極的に進めていってもらいたいと思う。また、非強制徴収債権は、裁判所を通した債権回収手続ということであり、市役所の職員が行うには困難な部分があろうかと思うが、一部の債権に限られており、全庁的に取り組んでいるとはまだまだ言いがたいと思っている。そこで、訴訟手続などをさらに促進させていくべきと考えるが、どのように取り組んでいこうと思われているのか尋ねる。

△財政局長 専門性を要する訴訟手続等については、ノウハウ不足などにより、取り組み状況に十分とは言えない面があることから、この2月に策定した債権管理マニュアルの活用により職員への研修等を実施しノウハウの普及に努めるとともに、これまで訴訟手続等を実施したことのない債権を対象として、財政局と債権所管局とが連携して、裁判所を通じた支払い督促及びそれに伴う訴訟手続を実施してまいりたいと考えている。

◯三角委員 私は、納付資力があるにもかかわらず納付しない滞納者に対しては、もっと積極的に訴訟手続を実施していかなければならないと思うが、訴訟手続の実施が進まない原因はノウハウ不足のほかにもあるのではないかと考える。昨年度、包括外部監査からも指摘があったように、市長の専決処分条例の専決処分基準額は50年間も見直しがなされていない。訴訟手続をもっと促進させるためにも、社会経済情勢の変化に応じて、実態に合わせた見直しが必要ではないかと考えている。そこで、もし見直しが行われるとすれば、どのような効果が期待できると当局は考えているのか尋ねる。

△財政局長 市長の専決処分事項に関する条例の見直しが行われた場合の効果に関するお尋ねであるが、仮に、訴えの提起等に関する上限額の引き上げが行われた場合には、訴訟手続等の機動的、効率的な実施が図られ、債権回収事務が進むものと考えている。なお、昭和63年の専決処分事項の見直しにより、市営住宅使用料の滞納等に係る訴えの提起、和解及び調停に関する事項が追加され、その後の訴訟手続の迅速化や収納率の向上等が図られているところである。

◯三角委員 議会としても、社会情勢に応じた対応を議論していきたいと思う。訴訟手続等を促進していくことは必要だと思うが、本来は、滞納を発生させないこと、そして滞納初期段階での早期対応が重要と考えるが、どのような対策をとっていくのか尋ねる。

△財政局長 滞納発生の防止や滞納初期段階における対応についてであるが、まず、滞納発生防止のため、口座振替の加入促進や、市民の方々が納付しやすい環境の整備に努めるとともに、滞納初期段階に早期に対応するため、債権所管課において、法令等に基づく督促等を適正に行っていくほか、納付勧奨の架電業務、いわゆるコールセンター業務などを民間事業者へ委託することや、貸付金の回収について、納付交渉も行うことができるサービサーと呼ばれる法務大臣の許可を受けた債権回収会社への委託についても検討を行ってまいりたいと考えている。

◯三角委員 今回、全ての債権を網羅する債権管理条例が制定されることにより、全市統一的な取り組みが可能となるものと考えているが、全庁的に債権管理の取り組みを行っていくためには、高額の債権を所管する部署だけでなく小額の債権を所管する部署の職員にまで、債権回収への意識を高め浸透させることが最も重要だと考える。この点についての所見を伺う。

△財政局長 三角委員が御指摘のとおり、全庁的に債権回収の意識を浸透させていくことは非常に重要であると考えている。今議会に提案させていただいている債権管理条例の施行とあわせて、歳入向上推進本部を中心として、債権管理の適正化に向けた全庁的な取り組みを推進していくとともに、先ほども申し上げたけれども、債権管理マニュアルの活用による研修や指導、助言などのほか、財政局が債権所管課を適宜支援しながら各職員の債権回収への意識向上を図っていく。

◯三角委員 債権管理条例には債権放棄に関する規定が設けられており、回収見込みのない債権を早期に整理し、その他の債権回収に力を注ぐことが目的であることはわかるが、使い方を誤れば、安易な債権放棄につながるのではないかと危惧している。そうならないように、徴収強化の取り組みを推進してもらうとともに、この条例により債権放棄を行ったものについて何らかの形で説明してほしいと考えるが、所見を伺う。

△財政局長 債権放棄については、そのような状況に至る前に、滞納者情報の利用や訴訟手続等の実施などにより債権回収の努力をしっかりと行っていくが、やむを得ず債権管理条例に基づき債権放棄を行ったものについては、決算分科会において債権所管局からその概要を説明することについて、今後検討をしていく。

◯三角委員 負担の公平性を考えると、きちんと払っている市民のためにも、滞納対策は重要である。担当職員は、滞納金額の多い、少ないにかかわらず、厳正な態度で滞納対策に臨むべきである。また、そういった毅然とした姿勢を市民にも示していくことが必要だと思う。この質問の最後に、債権管理条例を機として債権回収に対する職員の意識を高め、全庁的な滞納対策に取り組んでいくことへの決意を歳入向上推進本部の本部長である貞刈副市長にお伺いして、この質問を終わる。

△貞刈副市長 滞納対策は、市民負担の公平だけでなく、歳入の確保の観点からも非常に重要な課題であると認識している。特に、三角委員が御指摘のとおり、滞納発生の未然防止や滞納初期段階における早期対応などに努めるとともに、職員に対し債権回収への意識を浸透させることについて、しっかりと取り組んでいく必要があると考えている。このため、今議会で提案させていただいた債権管理条例や債権管理マニュアルにより、根拠法令に基づく徴収手続の適正な実施を図るとともに、歳入向上推進本部を中心として、債権回収に関する職員の意識を高め、全庁的な債権管理の推進と徴収の強化に取り組んでいく。

◯三角委員 次に、学力向上の取り組みについて伺う。新しい学習指導要領は、子どもたちの現状を踏まえ、生きる力を育むという理念のもと、知識や技能の習得とともに、思考力、判断力、表現力などの育成を重視し、体験活動などの充実や授業時数の増加、土曜授業などの取り組みが既にスタートしている。未来を担う子どもたちがこれからの社会において必要となる生きる力を身につけてほしいと私は願っている。生きる力には、さまざまな生活体験のほか、学力の基礎である読み書き計算が大事だと私は考えている。義務教育ではどの子どもにも同じように学力を保障していく必要がある。そこで、まず、本市の生活習慣・学力定着度調査について、この調査は何年度から実施されているのか尋ねる。

△教育長 本市独自の生活習慣・学習定着度調査については、22年度の試行を経て、23年度から本格的に実施をしているところである。

◯三角委員 それでは、全国学力・学習状況調査の対象学年は小学校6年生、中学校3年生であるが、本市調査の対象学年を小学校4、6年生及び、中学校1、3年生としておられる理由は何なのか尋ねる。

△教育長 対象学年について、新しいふくおかの教育計画においては、発達段階を踏まえ、義務教育9年間を小学校1年生から4年生までの前期4年間、小学校5年生から中学校1年生までの接続期3年間、そして中学校2年生から3年生までの後期2年間の三つに区分をしているところであり、それぞれの期間の最終学年と小学校の最終学年である小学校6年生で実施をしているところである。

◯三角委員 私は先ほど読み書き計算が大事だと申し上げたが、小学校2年生で九九を習い、掛け算、割り算、そして三、四年生で小数や分数の計算が出てくる。ここでつまずくと、5年生以降はもちろん、中学校での数学の定着にも大きな影響を及ぼすと私は考える。その意味から、4年生の調査は大変大事な調査だと思うので、今後もしっかりとお願いしておく。それでは、これまでの3年間の調査にあらわれた成果と課題は何なのか尋ねる。

△教育長 まず、これまでの成果については、学習定着度に関する調査において、小学校算数の4年生で学力定着に課題があったものの、24年度の調査結果では学力の底上げが見られ、改善されてきたところである。また、生活習慣に関する調査では、進んで挨拶や掃除をすることや家庭学習の習慣化などに関する内容について、年度を追うごとに伸びが見られている。課題については、学習定着度に関する調査では、中学校において、国語、社会、理科に比べて数学と英語で学力のばらつきが大きくなっている。生活習慣に関する調査では、学習の中で諦めずにいろいろな方法で考えるなどの学習への意欲が学年を追うごとに低下をしている。また、時間を決めてテレビ視聴やゲームをするなどのメディアとのかかわり方に問題が見られる。

◯三角委員 わずか3年間で小学校算数において底上げができたという成果はすばらしいことだと評価する。ただ、高校を控えた中学校英語・数学の学力や学習意欲の低下については非常に残念である。積極的に取り組んでいただくようお願いしておく。3年間でこのような課題がわかったということであるが、本年、26年度も同様な調査を実施するということであるが、目的は何か。また、これまでの実施内容と同じものか。もし同じであればなぜなのか、あわせて尋ねる。

△教育長 生活習慣・学習定着度調査の目的であるが、各学校において、学習指導や生徒指導、進路指導の進捗状況について点検し、改善していくことで生活習慣や学習内容の定着を図ること、児童生徒に生活習慣や学習内容の定着状況を把握させて意欲の喚起を促すこと、教育委員会が行っている施策の改善に生かすこと、この3点である。内容については、25年度と同様に、小学校4年生、6年生、中学校1年生、3年生を対象として、生活習慣に関する調査と学習定着度に関する調査を実施していく。26年度も同様の調査を行う理由については、経年で比較し、学習指導の改善、充実に役立てるためである。

◯三角委員 国立教育政策研究所の調査では、一例であるが、生活リズムなどの基本的生活習慣や規律が身についた児童生徒の正答率が高く、習熟度別少人数指導の効果も上がると報告されている。本市においても、せっかく独自調査をするのであるから、経年比較の分析だけでなく、特に課題の多い学校だけでもクロス集計を行い、相関関係を見ながらきめ細かい分析をし、課題に応じた取り組みを推進するよう要望しておく。それでは次に、学力パワーアップ総合推進事業について尋ねる。先ほどお聞きした、生活習慣・学習定着度調査でわかった特に課題について改善するため、学力パワーアップ総合推進事業が行われていると私は理解しているが、この事業の中で、選択できる実効性のある学力向上プランというのはどのような取り組みなのか尋ねる。

△教育長 学力向上プランの内容としては、学習に関する規律や習慣を形成する学習規律・習慣形成プラン、知識、理解などに関する力を育成する基礎・基本育成プラン、そして思考力や表現力など問題解決に関する力を育成する活用力育成プランの三つのプランがある。各小中学校においては、学力実態調査などの分析をもとに中学校ブロックで共通したプランを選択し、課題に応じた学力向上の具体的な取り組みを設定し、実践を行っていくものである。

◯三角委員 それでは次に、事業の成果を見きわめるため、推進拠点校を設けているとお聞きしたが、推進拠点校は何校なのか。また、その推進拠点校の選定方法はどのように行われているのか尋ねる。

△教育長 推進拠点校の数については、26年度は小学校が14校、中学校は7校とする予定である。選定の方法については、応募した小中学校の中から先進的な取り組みを計画している学校や学力の伸びが顕著な学校、教育委員会が重点的にかかわっていく必要がある学校などを選定している。

◯三角委員 募集をかけておられるということだが、取り組みが先進的であったり、学力の伸びが顕著な学校はもちろん自信を持って手を挙げてくると思うが、逆に、課題を抱えて、なかなか改善できない学校は応募しないと私は考える。そういった課題を持った学校こそ拠点校に選定すべきであり、教育委員会が調査結果から逆に指定したほうがよろしいのではないか、提案しておく。学力課題の大きい児童生徒に対して、どのような対策を講じておられるのか尋ねる。

△教育長 学力課題の大きい児童生徒に対する対策については、それぞれの学校が、学力向上推進プランの中に学力課題の大きい児童生徒への取り組みを明確に位置づけて推進しているところである。具体的には、児童生徒を少人数に分割し、複数の教師によるきめ細かな授業を行ったり、放課後や長期休業中に補充学習を行うなど、学力課題の大きい児童生徒への支援の充実に努めているところである。また、中学校においては、試験前に部活動を休みにして補充学習を行っている学校も多くある。

◯三角委員 それでは、本来、学力を向上させるとは、どのような児童生徒の姿を目指しておられるのか尋ねる。また、今、先生方にも自己評価があり、具体的な数値目標を挙げているようにお聞きするが、本市において、学力向上に関する数値目標があるのか尋ねる。

△教育長 目指す児童生徒の姿であるが、基礎的な知識、技能を活用して、課題を解決するために必要な思考力、判断力を身につけた児童生徒の育成を目指しているところである。学力については、関心や意欲、学習に臨む態度なども含めて総合的に評価する必要があり、数値目標は立てていないが、全国学力・学習状況調査の結果を一つの指標としており、全国平均を上回ることや前年度よりも学力を向上させることを基本としている。

◯三角委員 今の答弁では、全分類において全国平均を上回ること、前年度より学力を伸ばすとのお答えであるが、平均より上というのは何か弱い気がしないか。自信がないように受け取れる。この事業の名前は学力パワーアップであるから、先生方のもっと力強いパワーを感じるような答弁が欲しかった。そこで、25年度全国学力調査の結果はどうだったのか尋ねる。

△教育長 全国学力・学習状況調査の結果についてであるが、調査問題の内容は、国語と算数、数学に、それぞれ知識に関するA問題と活用に関するB問題というのがあり、小学校4分類、中学校4分類の合わせて8分類で構成をされている。25年度は、8分類中6分類において全国平均を上回っている状況である。全国平均を下回った分類は、中学校の数学Aと数学Bの2分類である。

◯三角委員 先ほどの答弁で、本市教育委員会の学力向上の目指すところは、全分類において平均を上回ることと言われた。それでは、全国学力調査において、全国平均を上回った学校数は何校だったのか尋ねる。

△教育長 全国平均を上回った学校数については、各教科の正答率を平均した値で全国と比較してみると、小学校が74校、中学校が30校となっている。

◯三角委員 学校現場では、既に小学校低学年のころからつまずき、小学校4年生ではついていけなくなるお子さんがいると聞いた。そうすると、先生の授業も座っているだけで苦痛になり、学校も楽しくない、やる気がない、自己肯定感が低いといったことになる。それで、個別の学習支援に取り組んだところ、少しずつ自信がついてきて、「テストで100点をとった」とうれしそうに家族に何度も話したということである。つまり、子どもたちにとって、わかる喜びがいかに大切なのかということである。他都市では、最低でも全員に小学校4年生の学力をつけようと取り組んでいる都市もある。本市では、全分類において全国平均を上回ることが基本だということであるが、25年度学力調査において、先ほどの答弁を言いかえると、全国平均を上回らなかった学校は、小学校145校のうち71校、中学校69校のうち39校、つまり約半数の学校は全国平均以下であったということになる。本市が公表している全国学力調査の正答率をマスコミが発表している都道府県別の順位に当てはめて、私なりに分析した。小学校では、全国1位の秋田県が正答率68.2に対し、本市は63.0で15位、中学校は全国1位がやはり秋田県で68.2、本市は62.2の27位となった。この差はどこにあるのであろうか。私は決して競争して順位を上げろと言うつもりはないが、この結果を見ると、全く私の私見であるが、小学校での正答率を7割程度習得できないと、中学校に行っても厳しいのではないかと思う。しかし、先ほどの学力パワーアップ推進校もわずか21校であるし、これだけでは子どもたちの学力が上がっていくとは思えない。特に、課題の多い子どもたちには、少人数指導だけでなく、さらに個別の学習支援が必要ではないかと思う。私は、生きる力には読み書き計算が必要だと先ほども言った。そこで、個別の学習支援員や学生、地域人材、教職員のOBなどを活用した取り組みも考えて推進していただきたいと提案しておく。最後に、土曜日の教育活動推進事業に文部科学省で予算がついたと聞く。文部科学省は、26年度から、地域人材を活用した土曜日の教育活動を積極的に支援する方針を打ち出している。さまざまな取り組みの一例を挙げると、佐賀県の公立中学校に塾の講師を派遣し、夏期特別授業を実施しているほか、大阪府大東市では、小学校4年生から6年生の児童と中学生を集めて学習指導を行っている。岐阜市では、希望者を募って、児童生徒の学力向上や地域と連携し学習の時間に充てているそうである。特に注目されているのは、高島市長にゆかりの深い大分県豊後高田市である。これは、地域住民の協力を得て、土曜日に公営の学習塾や体験活動の場を設け、児童生徒の学力、体力の向上などにも効果があらわれているそうである。当初は学校5日制の趣旨に反するという批判もあったそうであるが、学びの21世紀塾では、学習を支援する寺子屋講座などのいきいき土曜日事業、伝統芸能などに親しむわくわく体験活動事業を行っている。これらは子どもたちの生きる力につながる取り組みではないかと私は思っている。寺子屋では、マンツーマンに近い形で子ども自身がじっくり学習に取り組む習慣がつき、家庭学習の定着につながっているようである。また、生活習慣を身につけることで集中力がつき、学力も向上するのではないであろうか。ひいてはそれが子どものやる気や自己肯定感が上がることにもつながると考える。本市でもこれまで補充学習の取り組みの充実に努めているとは思うが、今後まだまだ学力向上のためにやるべきことがあると思う。教育委員会として、さらなる学力向上について、どのような目標を立てて取り組まれるのか所見をお伺いして、この質問を終わる。

△教育長 教育委員会としては、学力向上の取り組みの必要性について十分認識しているところであり、今後も、基礎的、基本的な知識や技能を確実に習得させ、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力などを育むとともに、主体的に学習に取り組む態度を養うことを目指していく。また、各学校の取り組みの励みとなるように、目標設定のあり方についても検討していく。学力向上のための取り組みについては、学力向上のための連絡会などで授業形態や指導方法を工夫することや補充学習を実施することについて、各学校に周知徹底をしていく。また、本市の学力課題に対応して独自に作成している指導資料の積極的な活用を図るようにしていく。次に26年度については、学校の取り組みの点検、評価に力を入れることを考えており、学校が作成する学力向上プランの中間報告の提出を新たに学校に求め、授業改善の取り組みや家庭学習の充実、課題の大きい児童生徒への補充学習などの進捗状況を教育委員会が把握し、きめ細かにかかわっていくことで全ての児童生徒のさらなる学力向上に努めてまいりたいと考えている。

◯三角委員 次に、障がい児の療育と保育について伺う。26年度当初予算において、新規事業として、障がいのある児童が通う療育施設の整備がある。まず、その整備場所、事業のスキームや整備スケジュール、また施設の定員などの概要並びに開所時期について尋ねる。

△こども未来局長 26年度の新規事業については、3歳から5歳の知的障がいや発達障がいがある児童が通う療育施設への通園希望者が増加していることから、専門的な療育を提供する場を確保するため、博多区井相田の市有地に通園施設を新設する社会福祉法人に対し、その整備費用の一部を助成することとしており、補助基準額の4分の3を国と市から助成する。また、定員は30人で、26年度に施設を整備し、平成27年4月の開所を予定している。

◯三角委員 私は、昨年の9月議会において、障がい児の支援について質問した。その中で、市長から、障がい児の保護者の就労につながるような施策を検討されるとの答弁をいただいた。その後の検討状況について尋ねる。また、この新しい施設は平成27年4月に開所されるそうだが、ここでは保護者の就労支援につながるような施策を実施されるのか、あわせて尋ねる。

△こども未来局長 障がい児の保護者の就労支援については大変重要なことと考えており、現在検討しているところである。なお、新年度整備予定の新しい障がい児施設については、通園希望者の増加に対応するものである。

◯三角委員 検討中であり、具体的な対応までには至っていないとの答えであるが、まだ私がお願いして半年もたっていないので仕方がないかとは思うが、しかし、この就労支援にかかわることは切実な問題だと受けとめていただきたいと思う。それでは、現在の本市の療育センターの開館時間は何時から何時までになっているのか、また知的及び発達障がい児の場合、預かる時間は何時から何時までとなっているのか。また、その療育システムはどうなっているのか尋ねる。さらに、他の政令指定都市の療育センターの開館時間の状況はどうなっているのか、あわせて尋ねる。

△こども未来局長 療育センターの開館時間は9時から17時までとなっている。また、知的障がいや発達障がいがある児童をお預かりしている療育時間は、1、2歳児が親子通園で10時から14時まで、3歳から5歳児が単独通園で10時から15時までである。また、横浜市など他の政令指定都市の療育センターでも、ほぼ同様の開館時間である。

◯三角委員 ただいまのお答えで、知的及び発達障がいがある3歳から5歳の児童は単独通園とのことであるが、単独通園とはどういう通園方法なのか尋ねる。

△こども未来局長 単独通園については、療育施設が通園バスを運行しており、その送迎ルート上にある乗降場所まで保護者が児童を送り迎えし、児童が単独で通園バスに乗り通園する方法である。

◯三角委員 単独通園といっても、幼稚園のように送迎バスを利用されているようである。本市の保育園のほとんどは、朝の7時から18時まで開所している。先ほどの答弁では、療育センターで子どもを預かる時間は10時から15時までとのことであるが、開館時間は、障がい児を預かる時間の前後に、午前9時から10時までと、午後は15時から17時までの間に時間がある。この時間で療育センターで保育に取り組めないのか尋ねる。

△こども未来局長 療育センターでは、親子通園や単独通園が終わった後は、保育所に通う児童などを対象とした外来療育のクラスを設けており、保護者の面談や、保育所や幼稚園、家庭への訪問等も実施している。また、療育時間の前後1時間は通園バスによる送迎を行っている。そのため、現在の施設や人員では、療育時間の前後の時間帯で保育に取り組むことは困難な状況である。

◯三角委員 今お聞きしたところ、なかなか現在の状況ではあいた時間がないということであるが、9月議会の私の質問の中で療育について尋ねたところ、療育とは治療と保育や教育をあわせて行うものであるとの答弁があった。それならば、本来、保育時間と同じ時間帯を預かることは当然のことではないだろうか。また、現在、療育システムでは、親子通園のほかに、知的障がい、発達障がいの3歳児からは単独通園となっているとのことである。療育時間は10時から15時までとのことであるから、この療育時間の前後において、就労支援を必要とする保護者もいるはずである。先ほどの答弁によると、預からないのではなくて、療育センターの現状では預かれないということであろう。預かれないというなら、療育センターの施設の拡充や増員を検討していただくことはできないのであろうか。また、単独通園の子どもたちは通園バスを利用しているのだから、まずすぐにできることとは、送迎場所を保育園にし、その時間帯の保育をお願いするなど保育園との連携なども考えることはできないのであろうか。さらに、療育を必要とする子どもたちがふえている現状を考えると、特別支援学校や特別支援学級のように、保育園にも特別支援保育クラスや特別支援保育園をつくる必要があるのではないかと考える。本市においても、知的及び発達障がい児の支援において、専門性の高い民間の法人施設で現在療育をしていただいているが、その施設で保育サービスもあわせてお願いできないものであろうか。さきの9月議会の質問でも申し上げたが、療育を必要とされるお子さんがいる保護者の中には、家庭の事情で、療育を受けさせてあげたいけれども無理だと、療育を受けさせるために自分の夢や仕事を諦めた方もいる。社会全体で子どもを育てようというこの時代に、保育や療育を受ける公平性の観点からも、保育と療育が一体となった新しいスキームを考えなければならないのではないのか。最後に、高島市長の所見を伺って、私の質問を終わる。

△市長 三角委員からは9月議会でも質問をいただいたところであり、障がいのある子どもたちが適切な療育を受けられるとともに、保護者の就労が両立できるようにすることは大変重要な課題であると考えている。26年度は、知的障がい児や発達障がい児が通う療育施設への希望者が増加していることから、新しい療育施設の整備に取り組んでいく。また、委員が御質問の療育施設に通う障がい児の保護者の就労支援については、御提案いただいたことも参考にさせていただきながら、引き続き検討していく。