浜崎 議員の質疑と答弁

◯浜崎委員 みらい福岡市議団を代表し、競艇場や病院など外郭団体の経営状況と一般会計との関係について、障がい者支援体制の現実と今後の対応について、介護報酬改定に伴う特別養護老人ホーム等の運営について、ユニバーサルツーリズムについて質問する。まず、本市の外郭団体や市営競艇事業の経営状況と一般会計との関係について尋ねる。本市には多くの外郭団体があり、それぞれが団体の目的に沿って、公共的あるいは公益的な事業の実施やサービスの提供を行っているが、その事業運営に対して、本市から負担金や補助金、あるいは委託料が支出されている。その中の一つである市立病院を運営する地方独立行政法人福岡市立病院機構に対しても、その運営経費の一部として、本市から負担金が支出されているが、どのような理由で支出されているのか。また、26年度決算額を尋ねる。

△保健福祉局長 福岡市立病院機構への運営負担金については、地方独立行政法人法などの規定に基づき支出している。具体的には、採算性などの面から、民間医療機関による提供が困難な医療を提供する自治体病院に対して収支差を補填するものである。また、26年度の運営負担金の決算額は、24億7,585万6,000円となっている。

◯浜崎委員 本市からの運営負担金に余剰が発生した場合、どういう取り扱いになるのか。

△保健福祉局長 運営負担金については、不採算医療を実施する際の収支差の補填が主たる目的であるが、地方独立行政法人会計基準により、中期計画期間の終了後、精算の上、余剰が発生した場合、市に返還することが定められている。

◯浜崎委員 病院機構の経営努力によって生じた利益の取り扱いについて、地方独立行政法人法ではどのように規定されているのか。

△保健福祉局長 病院機構における増収対策、あるいは費用削減などの経営努力の結果、生じた利益の処分については、地方独立行政法人法の規定において、まず、前年度の損失を埋めること、さらに残余の額がある場合、積立金として整理しなければならないとされている。また、当該積立金は、市長の承認を受けて、次の中期計画の財源に充てることができる旨が規定されている。

◯浜崎委員 病院機構の決算報告を見ると、積立金総額が31億円ほどあり、この中には、病院機構の経営努力によって生じた利益も入っていると思うが、実際にどのように取り扱っているのか。

△保健福祉局長 病院機構の利益に伴う剰余金については、地方独立行政法人法の規定にのっとり、適切に積み立てを行っている。この積立金については、29年度からの次期中期計画の財源に充てることが可能であり、その上でなお残余がある場合、その額を設立団体へ納付しなければならないと定められている。精算に当たっては、現在の第2期中期計画の最終年度である28年度の状況を見通しつつ、そのあり方をしっかり検討した上で、議会に諮りたいと考えている。

◯浜崎委員 病院機構においては、内部留保が積み上がり過ぎることなく、適切な規模となるようにしてもらいたい。また、他の外郭団体について確認したところ、(一財)福岡コンベンションセンターには、平成27年3月末で内部留保として特定資産が約39億円あり、このうち約35億円は、福岡国際会議場や福岡国際センターの計画的な修繕などに備えて積み立てているもので、その他は経営安定のための積立金となっている。コンベンションセンターは大規模な施設を管理しているため、事業運営や施設の維持管理のために多額の費用を要することは想像できるが、現在の内部留保の金額が適切な規模となっているかどうか、市民にとっては非常にわかりづらいものになっている。このほかにも、博多港ふ頭(株)や(株)福岡クリーンエナジー、福岡市住宅供給公社、(公財)福岡市緑のまちづくり協会など、内部留保を抱えている団体があり、それぞれの内部留保の規模が適正かどうか、本市においてしっかりチェックする必要がある。市営競艇事業特別会計では、社会福祉の増進や医療の普及、教育文化の発展、体育の振興、その他住民福祉の増進を図るための施策を実施する財源として、競艇事業の収益から一般会計へ15億円の繰り出しを行っている一方で、約47億円の積立金があるが、この積み立ての目的は何か。

△経済観光文化局長 競艇事業特別会計における積み立ての目的は、主として、大規模な施設改修や建てかえ費用に充てるほか、災害により一定期間開催できなくなることによる一時的な売り上げの減少に備えるなど、事業の安定的な経営を図るために積み立てているものである。

◯浜崎委員 競艇事業特別会計の一般会計への繰出金と積立金はどのように算定しているのか。

△経済観光文化局長 競艇事業特別会計の一般会計への繰出金と積立金の算定については、25年度に策定された行財政改革プランに基づき、安定的に10億円を繰り出すことを基本とし、翌年度の収益見込みや将来の施設整備等の財源としての必要額、一般会計の財源確保の状況などを踏まえ、財政局と協議の上、それらの額を決定している。25年度は13億円、26年度は15億円を繰り出しており、27年度予算についても、15億円を計上している。なお、競艇事業特別会計については、28年度から企業会計を導入する予定としており、今後の繰出金や積立金の算定については、改めて財政局と協議していく。

◯浜崎委員 28年度から競艇事業の会計方法を変更するとのことであり、そのタイミングで一般会計への繰出金と内部留保となる積立金の算定方法について、明確な考え方の整理が必要であると強く考えている。行政には、社会経済環境の変化や多様化、複雑化する市民ニーズにしっかり対応して、必要なサービスを提供することが求められているが、そのためには財源の確保が絶対欠かせない。本市の財政状況では、外郭団体や特別会計に多額の内部留保を持たせておくほどの余裕は全くなく、それらの内部留保が適正な規模となっているのか、改めて確認し、使われずに眠っている財源を市民サービスのために効率的、効果的に活用すべきと考える。外郭団体や特別会計における剰余金の取り扱いについて、財政運営上、どのように考えているのか。

△財政局長 本市の財政は依然として楽観できる状況にはなく、財源の確保は健全な財政運営の取り組みにおいて重要な課題と考えている。特別会計や外郭団体における内部留保については、その目的や規模の考え方などについて、計画の策定や毎年度の予算編成などの過程において、特別会計や外郭団体の財務状況の健全性を考慮しながら、一般会計の負担の最小化を図るなどの観点から、確認や必要な調整を行っているところである。今後とも、市民生活に必要な行政サービスを確保しつつ、重要施策の推進や新たな課題に対応するために必要な財源の確保に努めていく。

◯浜崎委員 次に、障がい者支援体制の現実と今後の対応について尋ねる。障がいがありながら生活していくことは、障がい者本人にとっても、その家族にとっても、容易なことではなく、社会全体で支えていく仕組みが必要である。そこで、障がい児の就園機会の現実及び特別支援学校卒業後の進路の2点を中心に、障がい者支援体制について尋ねる。まず、乳幼児期の障がい児に対する施策について、子どもに障がいがあることが明らかになったときはもちろんだが、なかなか言葉を話すようにならなかったり、歩き方が気になったり、子どもに障がいがあるのではないかと不安になったときの保護者の気持ちを考えると、乳幼児期の障がい児の支援は非常に重要であると考えるが、本市では、乳幼児期の障がい児に対してどのようなサポート体制があるのか。

△こども未来局長 発達のおくれや障がいのある子どもについて、乳幼児健診などで早期発見に努めるとともに、心身障がい福祉センター、西部療育センター、東部療育センターの3施設で、保護者の相談に応じている。また、各センターにおいて、診断、評価等により状況把握した上で、育児、療育、福祉制度等の情報を提供するとともに、子どもの障がいや発達状況に合わせて、通園や外来による療育支援を行っている。

◯浜崎委員 乳幼児期の子どもの多くは保育園や幼稚園に通園していると思うが、障がいがある子どもの場合はどのような施設で支援を受けているのか。

△こども未来局長 就学前の肢体不自由児や知的障がい児などに対して、児童発達支援センター9カ所において、通園による療育を行っている。また、保育所や幼稚園においても、障がい児を受け入れ、保育や幼児教育を行っている。

◯浜崎委員 障がい児保育について、過去3年間の決算額の推移を尋ねる。

△こども未来局長 障がい児保育の決算額については、24年度が2億4,942万円余、25年度が2億7,979万円余、26年度が3億4,413万円余となっている。

◯浜崎委員 本市では障がい児を保育所全園で受け入れることになっているが、ある団体の方たちの話では、保育所に入園の問い合わせをしたところ障がい児は預からないと、入園を拒否されたと聞いており、保育所で障がい児の受け入れ状況はどのようになっているのか。

△こども未来局長 障がい児保育については、保護者の就労などにより保育が必要であり、集団保育が可能な子どもであることを要件としており、平成27年9月1日現在で、163施設に437人を受け入れている。また、障がいのある子どもが入所を希望される場合は、利用調整において加点しているが、現在、保育所入所の申し込みをされる方が多く、保育を必要とする要件が高い子どもから順次入所しているため、入所待ちとなる場合もある。

◯浜崎委員 他都市では、障がい児の受け入れについていろいろ施策があるようだが、どのような状況か。

△こども未来局長 政令指定都市のうち、一部の都市で就労等以外に、障がいがあることを保育所の入所要件としているところがあるが、その場合でも、低所得や兄弟児の有無など、家庭環境等の基準を満たしていることが条件とされている。また、本市を含む他の18都市については、障がいがあることをもって入所要件としていないが、利用調整において加点等を行っている。

◯浜崎委員 先ほど、163施設で受け入れているとのことだったが、同じ保育所に何人ぐらい障がい児を受け入れているのか。また、障がい児の受け入れに当たって、どのような支援や補助があるのか。

△こども未来局長 平成27年9月1日現在、障がい児を1人受け入れている保育所が48園、2人が43園、3人以上が67園となっており、最も多い10人を受け入れている保育所が2園ある。また、障がい児保育を実施している保育所への支援については、こども未来局の職員が保育所を訪問し、対象児の状況把握や助言、指導を行っており、また、社会福祉事業団の保育士が、訪問支援事業として助言、指導を行ったり、研修の講師などを務めるなどの支援を行っている。さらに、保育士の加配経費として、障がいの程度に応じ、1人当たり月額で、軽度が6万3,000円、中度が9万7,000円、中度より重いが13万円を補助している。

◯浜崎委員 入園拒否をされたという保護者からの意見があったが、実態調査などを行い把握しているのか。

△こども未来局長 保育所に対する実態調査は実施していないが、区役所で入所の調整を行う際に、各保育所と協議を行い、状況把握を行っている。なお、加配する保育士が手配できない場合など、保育所の受け入れ体制が整わない場合は、入所を保留することもある。

◯浜崎委員 実際には、保護者が保育所に問い合わせをした際、障がい児は預からないと言われたことも聞いており、現場ではそのような対応が行われているのではないか。

△こども未来局長 指摘のような誤解を招く対応等がないよう、区役所や保育所など関係者間で周知徹底を図っていきたい。

◯浜崎委員 幼稚園での障がい児の受け入れ状況について、過去3年間の推移を尋ねる。

△こども未来局長 私立幼稚園における障がい児の受け入れ状況は、24年度が61園に211人、25年度が63園に279人、26年度が59園に283人を受け入れている。

◯浜崎委員 幼稚園にも保育所と同じように、市からの支援や加配職員など金銭的補助が行われているのか。

△こども未来局長 幼稚園に対する支援としては、私立幼稚園障がい児支援事業として、心身障がい福祉センターの保育士が、私立幼稚園からの要請に応じ、電話相談や訪問、助言等、また、園内研修や集合研修の支援を行っている。障がい児の助成については、幼稚園の所管である福岡県から、児童1人当たり年間39万2,000円の助成を行っており、本市はこれに上乗せして年間5万円を助成している。

◯浜崎委員 大阪市では、大阪市独自の制度として、要支援児受け入れのセーフティーネット的な役割を担う私立幼稚園を指定し、要支援児の就園機会を保障する要支援児受入促進指定園という制度がある。このように、就園機会を保障することで保護者は安心できると思うが、本市は今後、保育所や幼稚園で障がいがある子どもの受け入れについてどのようにしていくのか。

△こども未来局長 現在、保育所では全園で受け入れを行うこととしており、今後とも受け入れやすい環境づくりのため、研修の充実等を図っていく。幼稚園については、保護者と幼稚園が直接入所の契約をする仕組みであることから、本市で利用調整はできないが、福岡市私立幼稚園連盟と協力し、受け入れの拡大について依頼していく。

◯浜崎委員 入園拒否と受け取られるような状況が実際起こっていることをしっかり受けとめ、障がいがある子どもたちが安心して就園の機会が得られるよう、保育所や幼稚園への要請を含め、本市として責任を持って対応するよう強く要望する。次に、小中高においては、特別支援学校などの施設でサービスが提供されているが、高等部卒業後の行き先である障がい施設が特定地域に偏り、足りないとの声もある。まず、障害者総合支援法に基づく障がい福祉サービスのうち、主な事業の過去3年間の決算額推移を尋ねる。

△保健福祉局長 障がい福祉サービスのうち、主な事業として、ホームヘルプサービスや行動援護、短期入所などの在宅サービスについては、24年度が39億3,862万円余、25年度が44億587万円余、26年度が46億3,409万円余である。次に、生活介護、就労移行支援などの通所サービス及び施設入所サービスについては、24年度が107億1,496万円余、25年度が122億6,453万円余、26年度が138億108万円余である。最後に、グループホームについては、24年度が6億2,860万円余、25年度が8億1,194万円余、26年度が8億7,882万円余となっている。

◯浜崎委員 各サービスの利用者数、利用実績が増加しており、財政状況の厳しい中でも、障がい者に対する支援が少しずつ充実しているのは評価するが、一部の事業については課題もあるとの声が届いている。特別支援学校高等部卒業後、障がい福祉サービスを提供する障がい者施設でサービスを受ける人が多いと思うが、どのような施設に通うことができるのか。

△保健福祉局長 特別支援学校卒業後においては、障がいの種別や程度などに応じて、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援のサービスを提供する障がい福祉サービス事業所、または障がい者支援施設などを利用することができることになっている。

◯浜崎委員 重度障がいがある場合、障がいの程度から生活介護事業所や就労継続支援B型事業所を利用するのが適当と考えるが、生活介護や就労継続支援B型の事業所は、市内に計画どおり存在するのか。また、地理的にも市内に均等に存在しているのか。

△保健福祉局長 生活介護及び就労継続支援B型については、既に第3期福岡市障がい福祉計画に基づく障がい福祉サービスの必要量に達しており、常に介護が必要な方に援助などを行う生活介護事業所は、中央区以外は各区に受け入れ枠があり、区を超えた送迎を行っている事業所も多数ある。また、事業所雇用が困難な障がい者に生産活動機会の提供及び訓練などを行う就労継続支援B型事業所は、全区に受け入れ枠があり、区によって配置上、大きな格差はない状況である。

◯浜崎委員 事業者が生活介護事業所を新規に開設しようとしても、市の指定がなかなかおりないと聞いているが、現状はどうか。

△保健福祉局長 生活介護事業所については、計画上の必要量に達しており、受け入れ枠もあることから、法令に基づきサービス量の調整を行っているが、障がい種別あるいは程度などによって、サービスを受けることができない利用者がいるなど、特別な事情がある場合については、事業所の指定や定員増を行っている。

◯浜崎委員 特別支援学校に通う子どもたちは、親亡き後はひとりで生活をしていかなければならないが、ひとりでの生活が困難な障がい者が入居する市内の入所施設やグループホームは、定員がいっぱいということをよく耳にする。そのため、卒業生の中には市外の施設に入所されたケースも少なくないと聞くが、本市の現状と今後の計画はどうなっているのか。

△保健福祉局長 入所施設については、平成27年4月1日現在、市内の定員677人に対して、入所者615人となっており、あきも生じているが、障がい特性や利用者の都合などにより、市外の入所施設の利用者も多数いる状況である。また、第4期福岡市障がい福祉計画においては、国の指針に基づき、29年度末の施設入所者数は25年度末実績から4%削減を見込んでいるため、地域生活への移行を図るグループホーム設置促進に取り組んでいる。グループホームについては、同計画で27年度末に840人分の利用を見込んでおり、9月1日現在、106住戸、625人分を整備したところであり、引き続き、開設に必要な経費の補助を行うなど、グループホームの設置促進に取り組んでいく。一方で、グループホームには33人分のあきも生じており、これは、障がい特性や性別、グループホームの形態などによる需給バランスの差によるものと考えられるため、これらも十分配慮しながら、整備を進めていく。

◯浜崎委員 障がい者施設等の開設について、地域の理解がなかなか得られないということを耳にするが、現状とそれに対する市の考え方を尋ねる。

△保健福祉局長 障害者差別解消法においては、障がい者施設などの設置に当たり、地域の同意は必要ないとされているが、実際には市に対して地域の方から不安や心配の声が寄せられることもあり、本市としては、法の趣旨を説明し、理解が得られるよう取り組んでいる。一方、障がい者施設が開設後、長期にわたって安定的に運営していくためには、地域住民との良好な関係を築いていくことが不可欠であり、施設等に対して、地域へ丁寧な説明を行うよう助言しているところである。

◯浜崎委員 次に、地域で在宅生活を送るために必要なサービスについて尋ねる。自傷行為や突発的な行動など、問題行動の激しい知的障がい者などが安全に外出するためには、行動障がいに関する専門職による行動援護のサービスが不可欠だが、事業所が不足していると聞いている。現状と対策はどうなっているのか。

△保健福祉局長 障がい福祉サービスの一つである行動援護は、事業所数の一定の増加が見られるものの、サービスを提供するヘルパー及びサービス提供責任者の資格要件が、ほかのサービスに比べると厳しいことなどから、十分な事業所数には達していない。そのため、重度障がい者全般を対象とした移動支援で対応可能な場合は、行動援護にかえて移動支援を利用いただいているところである。今後とも、行動援護の事業所数の増加を図るために、移動支援や居宅介護の事業所に対して、行動援護への参入を働きかけていきたいと考えている。

◯浜崎委員 現在、本市では、知的障がい者の移動支援の対象者は療育手帳Aに限定されているが、療育手帳Bの障がい者の中にも、1人での外出が困難な人もおり、外出支援の必要性は療育手帳の等級だけでは判断できないと思う。家族の負担軽減のためにも、現在の移動支援の対象者を拡大する必要があると考えるが、所見を伺う。

△保健福祉局長 移動支援は1人での外出が困難な重度の障がい者を対象に実施しており、知的障がい者についても、重度である療育手帳Aを対象としている。移動支援については、利用範囲の拡大や療育手帳Bへの対象者拡大を望む声が大きいことは十分認識しており、現在策定を進めている次期保健福祉総合計画の中で、今後のあり方について検討していく。

◯浜崎委員 介護家族の休息のためには短期入所サービスが重要であると考える。また、保護者が急病の際などにも、一時的に障がい者を預かる施設が必要であるが、短期入所が利用しにくいという声を聞いている。そこで、短期入所の利用実績について傾向を伺う。また、事業所が不足しているのであれば、どのような対策を検討しているのか。

△保健福祉局長 短期入所については、事業所数、利用定員とも増加しており、その結果、利用者数及び利用日数等の実績も増加している。市内事業所の平均利用率は、26年度で48.1%であることから、全体的には定員に余裕がある状況にあるが、休日など利用申し込みが集中するなど、利用しづらい実態があることも承知している。今後とも、事業所数の伸びや利用の実態を見ながら、対応を検討していく必要があると考えている。また、重症心身障がい児・者が利用する医療型短期入所は、事業所数も定員も少なく、特に児童については利用が困難な状況が続いていることから、今後とも申請勧奨を続けていく。なお、医療的ケアが必要な重症心身障がい児・者に関しては、在宅で生活する際の家族の介護負担軽減が大きな課題であると考えており、その対応について、NPOや関係機関と共働して、検討を進めていく。

◯浜崎委員 財政状況も厳しい中、さまざまな取り組みがなされているが、特に本市南部地域においては、これらの障がい者施設が足りないとの声も聞こえていることから、今後とも障がいのある方々が住みなれた地域で安心して暮らしていけるよう、本市の努力を求める。次に、介護報酬改定に伴う特別養護老人ホーム等の運営について尋ねる。少子・高齢化の進展に伴い、今後、要介護者が増加していくことが想定されており、ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯も増加傾向にある。市民が高齢になり、介護が必要になっても、住みなれた家庭や地域で安心して暮らせるような社会を構築することが重要であり、これからはより一層介護福祉サービスの充実が求められる時代になると思うが、全国の要介護認定者数は今後10年間でどのように推移していくのか。また、今後、要介護認定者が増加していく中、国の介護保険の金額はどのように推移していくのか。

△保健福祉局長 平成27年4月に厚生労働省より公表された全国集計によると、要介護認定者は、平成26年12月末の588万人から、37年度には826万人に増加すると見込まれている。また、25年度に9兆4,000億円だった介護給付の額は、平成24年3月の社会保障に係る費用の将来推計によると、37年度には21兆円程度になると見込まれている。

◯浜崎委員 この10年間で、要介護者は588万人から826万人へと約1.4倍、国の介護給付も9.4兆円から21兆円へ約2.2倍と、今後ますますふえていく。介護サービスにはさまざまな形態があるが、代表的な特別養護老人ホーム及びデイサービスについて、市内の施設・事業所数、利用者数及び同サービス提供に要する費用として、26年度に本市の介護保険会計から幾ら支払われたのか。

△保健福祉局長 特別養護老人ホームについては、26年度末で70施設、月平均利用者数4,164人に対して、26年度の給付額が合計で127億5,500万円となっている。デイサービスについては、26年度末で499事業所、月平均利用者数1万7,091人に対し、26年度の給付額は合計で148億1,000万円となっている。

◯浜崎委員 全国の数字として、今後10年間で介護給付費が2.2倍になると見込まれており、本市においても、10年後に2.2倍になれば、特別養護老人ホームで約280億円、デイサービスで約325億円と、この2つのサービスだけでも、このように大きな額を市の介護保険会計で支払う必要が生じることになる。介護に要する費用は、今後、介護を必要とする高齢者の増加にしたがって増加していくため、介護保険制度の持続可能性を高めるには、費用を抑制するためのさまざまな取り組みが必要であり、今般行われた介護報酬の改定もその一環と認識しているが、27年度介護報酬改定はどのような内容なのか。また、特別養護老人ホームやデイサービスでは改定前とどの程度変わったのか。

◯浜崎委員 今回の報酬改定で減収となり、賞与のように一時的な支出増加への対応が困難となる事業所がふえてくるとの声も耳にするが、今回の減額改定に対して本市はどのような認識を持っているのか。

△保健福祉局長 今回の介護報酬の改定において、基本報酬については全体的に引き下げられているが、介護職員の処遇改善や認知症への対応など、社会情勢の変化に応じて求められるサービス機能を強化することに対して、加算などで評価される仕組みとなっており、一律に全ての事業所の経営にマイナスに影響するものではないと考えている。

◯浜崎委員 想定しているように、都合よく加算等の取り組みが行われていない事業所もあると思うが、市はどのように対応していくのか。

△保健福祉局長 今回の介護報酬改定は、国としても事業所の実態を踏まえた上で、介護サービスの機能強化などが図られるように行ったものと理解しているが、事業所の状況は、その運営体制や規模のほか、目指すサービス提供のあり方やその方法など、実態はさまざまであると認識している。事業所によって異なる現状を踏まえ、介護保険制度の円滑かつ安定した運営が行えるよう、今後とも必要に応じて、国に対して実態を踏まえた要望等を行っていきたいと考えている。

◯浜崎委員 現在の介護保険制度においては、全国一律の基準で介護報酬が決められており、全国どこでも同じサービスであれば利用者負担は変わらず、利用者にとって安心感を与えるという効果もあると思うが、一方で、本市には本市の経営環境があり、地域によって異なる状況や事業所が行うサービス提供への取り組みがしっかりと評価される介護報酬でなければいけない。それぞれの事業所の実績を把握した上で、市長会や局長会などさまざまな場面において、積極的に議題として取り上げてもらうなど、国に対しても、地域や介護事業所の状況を福岡から伝えてもらいたい。次に、ユニバーサルツーリズムについて尋ねる。障がい者や体調に不安のある高齢者などは、移動や宿泊等において何らかの不安や支障があるため、なかなか旅行に行けないと聞いている。このような中、障がい者や高齢者など誰もが旅行を楽しむことができるユニバーサルツーリズムという概念があり、他の都市では既に取り組みが始められている。これからの高齢化社会も見据え、増大する高齢者や障がい者など誰もが楽しめる観光都市として、本市もユニバーサルツーリズムに取り組んでいくべきと考えるが、ユニバーサルツーリズムの概念を尋ねる。

△経済観光文化局長 観光庁においては、ユニバーサルツーリズムとは、全ての人が楽しめるようにつくられた旅行であり、高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気がねなく参加できる旅行とされている。また、その対象は、高齢者や障がい者のほか、妊産婦、乳幼児連れの方、さらに、言葉や習慣の違いによる不自由さを抱える外国人など幅広く、観光や移動に際して困難を生じたり、何らかの支援を必要とする方々となっている。

◯浜崎委員 ユニバーサル都市・福岡の実現を目指している本市では、観光振興において、ユニバーサルツーリズムの観点からどのような取り組みをしているのか。

△経済観光文化局長 本市では、ユニバーサル都市・福岡の実現に向け、ユニバーサルデザインの考え方に基づき、バリアフリーのまちづくりなどを進めており、また、誰もが安心して気軽に外出することができるよう、市内の施設のバリアフリーの整備状況をホームページ等で情報提供している。さらに、観光振興の観点からは、観光客の受け入れ環境整備の一環として、特に外国人観光客の利便性の向上を図るため、本市の観光情報サイト「よかなび」や観光案内板、観光パンフレットの多言語化、観光案内所における英語、韓国語、中国語による観光案内などに鋭意取り組んでいるところである。

◯浜崎委員 本市の観光振興においては、特に外国人観光客に対する取り組みが行われているようだが、国内では既に障がい者や高齢者向けのユニバーサルツーリズムに取り組んでいる都市もあると聞いている。その先駆けは、三重県の伊勢志摩バリアフリーツアーセンターであり、NPO法人が運用し、障がい者や高齢の旅行者に宿泊施設などのバリアフリー情報を発信したり、常駐の相談員が旅行相談に応じたりしている。また、神戸市のNPO法人が運営する神戸ユニバーサルツーリズムセンターでは「KOBEどこでも車いす」という車椅子無料レンタルサービスがあり、観光案内所など11カ所で無料で借りることができ、さらに、借りた場所に返さなくてもよく、他の設置場所に返却することが可能になっている。本市では、都市の成長に向けて、国の内外から交流人口の増加を図るため、観光の振興に力を入れているが、外国人観光客だけでなく、これからの高齢化社会を見据え、増大する高齢者や障がい者など、誰もが楽しめるユニバーサルツーリズムに取り組み始めなければならないと考える。障がい者や体調に不安のある高齢者が旅行する際に最初に求めるものは、旅先のバリアフリーなどの情報ではないかと考える。ユニバーサル都市・福岡の実現を目指している本市だからこそ、ユニバーサルツーリズムの観点から、まずは観光の相談ができる一元的な窓口を設置し、旅行者の要望や状態に合わせた情報の提供、発信に取り組んではどうか。

△経済観光文化局長 おもてなしの心にあふれた観光都市福岡の実現に向け、ユニバーサルツーリズムの考え方は重要と認識している。このため、観光案内所や観光情報サイト「よかなび」において、市内観光に配慮を要する障がい者や高齢者などに、観光施設のバリアフリー情報の提供を行うとともに、旅行者の要望や状態に合わせた観光案内所の相談機能の強化に努めるなど、関係局や民間事業者等とともに連携を図りながら取り組んでいく。