藤本 議員の質疑と答弁

◯藤本委員 みらい福岡市議団を代表し、本市のコンベンション推進におけるコンベンションビューローの自立と九州の競争的共存について質問する。コンベンションが本市の都市経営の大黒柱であり、九州の心を一つにする政策であると信じて、これまで取り組んできた。コンベンションは、かねてより都市に大きな経済効果や人、情報、知識、物などを呼び込むツールとして、古くはドイツ戦後復興の原動力と言われたハノーバー・メッセを初め、欧米の疲弊した都市の再建、再興策として取り入れられてきたが、近年、これらの効果が再評価され、各国、各都市における誘致競争が激化している。本市においても、このコンベンション推進を市政の大きな柱の一つに位置づけており、実際の誘致活動は公益財団法人福岡観光コンベンションビューローが中心となって担っている。福岡観光コンベンションビューローは、昭和62年に財団法人福岡コンベンションビューローとして設立され、平成6年の社団法人福岡市観光協会との統合を経て、およそ30年が経過しようとしている。コンベンションビューローは、この間、数多くのコンベンションの誘致やリピーター確保のための支援に尽力してきたが、その取り組みがコンベンション施設やホテルの稼働率の向上、空港や国際旅客航路の利用者増、ひいては経済活性化の一翼を担ってきたと言っても過言ではない。しかしながら、時代の流れの中で、コンベンション自体のあり方も変わり、コンベンションビューローの機能を含め、幾つかの問題点が表面化してきている。現在、ウォーターフロント地区では新しい展示場の整備計画も動き出しており、本市のコンベンション政策は第1期、いわゆる黎明期から、いよいよ第2期のステージに進む時期に来ており、今後のさらなるコンベンションの推進につなげるため、本市のコンベンションの歴史、現状、新しいステージに対応したコンベンション推進のあり方について質問していく。まず、本市のコンベンションに係る26年度決算額と近年の決算額の推移について尋ねる。

△経済観光文化局長 コンベンションに関連する決算額については、誘致活動や歓迎演出事業等のソフト面の決算は、24年度が9,995万円余、25年度は6,526万円余、26年度は1億3,113万円余となっている。このうち26年度については、福岡観光コンベンションビューロー内にMICEの専門的組織であるミーティング・プレイス・フクオカを設置したことなどに伴って増額となった。マリンメッセ福岡の修繕等の施設の維持及び第2期展示場の整備検討など、ハード面に係る決算は、24年度は13億7,054万円余、25年度は12億5,768万円余、26年度は13億2,315万円余となっている。

◯藤本委員 コンベンションの誘致活動を担う公益財団法人福岡観光コンベンションビューローの決算額の推移、そのうち自主財源が占める割合について尋ねる。

△経済観光文化局長 福岡観光コンベンションビューローの24年度決算額は2億3,203万円余で自主財源の割合は20.4%、25年度が2億1,313万円余で18.8%、26年度が3億5,202万円余で25.7%となっている。

◯藤本委員 観光コンベンションビューローは、組織の性格上、決算額のうち自主財源が占める割合は低いようであるが、自主財源の内容は主にどのような収入によるものか。

△経済観光文化局長 福岡観光コンベンションビューローの自主財源の内容については、26年度の実績で、決算額は9,278万円余で、その内訳は611団体、企業からの賛助会費収入が7,368万円余、基本財産の運用による利息収入が1,212万円余、ホームページ等の広告料やコンベンションバッグの販売などによる事業収入が449万円余などとなっている。

◯藤本委員 コンベンションの持つ経済効果やPR効果等に注目し、コンベンション施策の推進に力を入れている国の状況について尋ねる。隣国の韓国では、韓国人にとって身近な存在である韓国観光公社がみずから免税店などの経営を行い、その収益を財源とし、観光やMICEを振興している。そのような中、我が国では平成20年に観光庁を立ち上げ、専門機関である日本政府観光局の体制を強化するなど、誘致や支援の拡充を図っている状況が見受けられるが、国は近年、コンベンションの推進についてどのような施策をとっているのか。

△経済観光文化局長 国におけるコンベンションの推進施策については、観光立国基本法に基づき平成24年3月に閣議決定された観光立国推進基本計画では、国際会議についてアジアにおける最大の開催国を目指すことなどの目標が掲げられており、平成27年6月の観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015では、MICE誘致による地域の活性化や戦略的な国際会議の誘致に国が取り組むこととされている。また、観光庁においては、具体的な施策として、グローバルMICE戦略・強化都市の選定と、これらの都市への支援、産業界や学術分野において国内外に対し発信力やネットワークを有する者にMICEの誘致活動を委嘱するMICEアンバサダープログラムの実施、ユニークベニュー利用促進協議会を設立し、MICE開催に合わせて文化施設や公的空間を利用してレセプションなどを開催するユニークベニューの開発や利用促進などに取り組んでいる。

◯藤本委員 本市におけるコンベンションの歴史について、コンベンションゾーンにある福岡国際センター、福岡サンパレス、マリンメッセ福岡、福岡国際会議場の4つの施設の設置経緯や設立時期について尋ねる。

△経済観光文化局長 コンベンションゾーンにある4施設設置の経緯及び時期であるが、福岡国際センターは、国際都市としてふさわしい都市施設、都市機能の充実を図るため、展示会や国技などのスポーツ等を開催する施設として、財団法人福岡国際センター、現在の福岡コンベンションセンターにより建設されたもので、昭和56年10月に開館している。福岡サンパレスは、1970年代、大都市において増加する勤労青少年の福祉の充実を図るため、旧労働省が計画し、福岡勤労者福祉センターとして、雇用促進事業団、現在の独立行政法人雇用・能力開発機構により建設されたもので、昭和56年5月に開館した。その後、平成13年に、国の行政改革の一環として策定された特殊法人等の整理合理化計画に基づき、全国の勤労者福祉施設が所在地の地方公共団体に有償譲渡されることとなり、福岡サンパレスについても、第2市民会館及びコンベンション支援施設として活用を図るため、本市が取得している。マリンメッセ福岡は、昭和63年4月に策定された第6次福岡市基本計画の中で、中央ふ頭地区において大型展示場、会議場等の機能を持つコンベンションセンターを整備することとされ、本市が建設したもので、平成7年8月に開館している。福岡国際会議場は、平成8年7月に策定された第7次福岡市基本計画の中で、既存のコンベンション施設と連携した国際会議場を整備することとされ、福岡コンベンションセンターの前身である財団法人福岡総合展示場が建設したもので、平成15年3月に開館している。

◯藤本委員 福岡サンパレスは労働省関係の国内施設の第1号的な存在で、我々の会派の先輩議員も建設に尽力したと言われている。国内外の展示場を見て回ったが、例えば、ニューオーリンズの展示場は、間口が650メートル、奥行きが150メートル、高さが60メートル程度で、大変大きな施設である。マリンメッセ福岡についても、できるだけ大きい施設をつくっておかなければすぐに狭くなることや、中央ふ頭における倉庫の再編については、南北どちらかに延伸できるようにしておかなければ将来的に対応できなくなることを話したが、財政的な問題もあって国内のこのような展示場は海外の設備のように大規模につくれず、その結果、早々に狭くなってきている。本市では今、順次、コンベンション施設が整備され、受け入れ環境の充実とともに、コンベンションの開催もふえてきた。平成7年に開館したマリンメッセ福岡は、この11月に20周年を迎え、本市のコンベンション政策が大きな節目に来たと感慨深いものがある。本市においては、1995年のユニバーシアード大会を初めとするスポーツ大会や、1989年のアジア太平洋博覧会、2005年の都市緑化ふくおかフェアなど、数多くの大規模なコンベンションを開催してきた。また、学会や会議としては、97年のアジア開発銀行福岡総会、2000年の九州・沖縄サミット福岡蔵相会合が有名であるが、何といっても今日、本市がコンベンション都市として大きく飛躍できたのは、2003年に開催した日本医学会総会である。医学会総会とはどのようなコンベンションか。また、その後の本市のコンベンションの発展にどのように寄与したと考えているか。

△経済観光文化局長 平成15年4月に開催された日本医学会総会については、福岡国際会議場開館後に最初に開催されたコンベンションであり、全国から約3万3,000人が参加した我が国最大級のコンベンションである。日本医学会総会は、明治35年の第1回総会以来、東京、大阪、京都、名古屋の4大都市に限って開催されていたが、この年初めて、4大都市を離れて本市で開催されたことで、本市のコンベンションシティとしての評価を高め、その後のコンベンション誘致推進につながる大会となった。

◯藤本委員 1998年に九州全域のホテル、旅館のトップ500人が集まって本市で開催した会合に出席した当時の福岡県知事が、原稿なしで30分間、コンベンションの数字を挙げた説明と挨拶を行った際、2003年の日本医学会総会を福岡でぜひやろうと宣言したことをきっかけに、日本医学会総会の本市での開催が実現した。これは一つの歴史上の事実として、日本医学会総会のことを語るときには、記憶にとどめてもらいたい。日本医学会総会は東京、大阪、名古屋、京都の4大都市による持ち回りで開催し、これに本市が入って5大都市の持ち回りになったが、当時、医師会あるいは関係の機関から会議室等が足りないという話があり、今の国際会議場の建設が求められたものである。当時の福岡市長は、箱物をつくらないという公約で当選していたが、医学会の総会の実情を理解して、急遽、国際会議場をつくるということになった。当時、福岡空港でインドネシアのガルーダ航空の事故が起こり、死亡者は出なかったが、事故によって2つのことがわかった。広島からの乗客がガルーダ航空の6割以上を占めており、福岡空港は相当広い範囲の人に利用されているということと、もう1つは、福岡空港がいかに過密であるかということがたびたび報じられていたが、正式に世間に告知され、何とかしなければならない空港だということが実質的に理解されたことである。医師会の会議開催を契機に、名実ともにコンベンションシティとして全国的に認知されたが、日本医学会総会の誘致以降、2004年の青年会議所世界大会、2005年の国際宇宙会議、2006年の世界政治学会と、世界的に著名な国際コンベンションが続々と開催され、その成果を受け継ぐように医学系の国際会議やアジア地域の国際会議が相次いで開催されるようになったことは、この医学会総会の成果であると言える。そして、本市のコンベンションにとって注目すべきは、2012年に本市で大きな4つの国際コンベンションが開催され、さまざまな機会を通じてコンベンション都市福岡を実感させられたことである。この4つのコンベンションの概要と特徴について尋ねる。

△経済観光文化局長 平成24年に開催された4つの大型国際コンベンションであるが、第32回国際泌尿器科学会は、世界約100の国、地域から約3,200人の参加があった国際会議で、川端商店街一帯や九州国立博物館を利用したパーティーなどのユニークベニューも開催されている。2012ゴールデンオールディーズ・ワールドラグビーフェスティバル福岡は、35歳以上のラグビー愛好家が世界から参加し、年齢ごとの試合と観光が8日間にわたって行われた、大変、経済効果の高いスポーツコンベンションである。この大会では、明治通りで約2,000人が参加するパレード、舞鶴公園でのウエルカムパーティー、市民交流事業などが実施され、本市はそのホスピタリティーが評価されて、フレンドシップ賞を受賞している。第51回ライオンズクラブ東洋東南アジアフォーラムは、ライオンズクラブの世界7ブロック中、東洋東南アジア地区18カ国、地域のブロック大会で、約1万8,000人の参加があり、来年開催されるライオンズクラブ国際大会のプレイベントとなる大会であった。第4回国際ユニヴァーサルデザイン会議2012は、約1万人が参加した国際会議で、安全、安心という会議テーマに合わせて、災害対応車両等の屋外展示も同時開催され、ユニバーサルデザインを進める本市にとって大変重要なコンベンションとなっている。

◯藤本委員 2012年の4つの国際コンベンションは、本市にとって、いずれも重要な大会となったことは間違いない。本市に記憶されるべき人物として、内山健三氏の名前を紹介する。当時、彼はゴールデンオールディーズ・ワールドラグビーフェスティバルという大会を開催したいという夢を描いていたが、それは、彼が各国で開催された大会に自費で参加し、大変楽しかったという経験から、この感動をぜひ日本やアジアの人々にも味わってもらいたいという一心によるものであった。内山氏の熱い思いを受け、海の中道の活用や福岡城址のパーティー開催、熊本城のツアー実施など、さまざまな調整に奔走したことを思い出す。市民の大きな協力があったことにもよるが、内山氏が事務局長として命がけで頑張った2012ゴールデンオールディーズ・ワールドラグビーフェスティバル福岡の成功が、2019年のワールドカップの実現に大いに貢献したと言える。現在では、賛助会員や大学などのおかげでコンベンション施策は本市の都市経営という視点で考えれば、まさに大黒柱の一つになっていると言えるが、本市においては、コンベンションをどう捉えているのか。

△経済観光文化局長 本市は第3次産業が9割を占める産業構造であるため、集客を図り、消費をふやすことが経済の活性化につながり、都市全体に活力をもたらすと考えている。コンベンションについては、大変、集客効果が高く、参加者の高い消費額や開催に伴う地元企業への発注などにより幅広い関連産業の収益につながるとともに、展示会等を通じたビジネスマッチングやイノベーションによる新たなビジネスの創出など、産業の振興にも寄与するものであり、コンベンションの振興は本市の都市成長を図る上で、政策上、大変重要な柱であると考えている。

◯藤本委員 2012年の4つの国際コンベンションにおいても、本市が全国に先駆け、ふだん開催できない場所でパーティーを開催するなどの取り組みを行っている。コンベンションのパーティー会場としての福岡城址の活用、また九州・沖縄サミットでは博物館を利用するなど、海外では当たり前のようなことであるが、このような取り組みが魅力となり、コンベンション誘致の決め手となっている。本市ではコンベンション誘致の魅力づくりのために、国家戦略特区を活用してほかにはない取り組みを行っているが、どのような取り組みか。

△経済観光文化局長 コンベンション誘致の魅力づくりについては、本市では国家戦略特区により認められた国家戦略道路占用事業を活用して、ほかの地域では味わえない特別感のある空間でのおもてなしに取り組んでいる。国家戦略道路占用事業は、道路法における道路占用に係る許可要件が緩和されるもので、指定された道路上で、国の認定を受けた地域団体等によるイベントの開催や施設の設置などが可能となるものである。天神のきらめき通りでは、フクオカ・ストリート・パーティーとして、これまでに3回開催され、飲食ブースや音楽イベントなどで通り全体でにぎわいを創出し、MICE参加者を招いて懇親会も開催するなど、これまでに延べ約28万人の来場客があり、いずれも大変好評であった。26年度に認定された4事業者に加えて、去る10月20日には新たに6事業者が国から認定され、今後さらに拡大して開催される見込みである。

◯藤本委員 コンベンションの開催状況について、先日、日本政府観光局が発表した2014年の都市別国際会議開催件数では本市は336件で、6年連続で東京に次ぎ全国第2位である。さらに、本市における増加件数は83件で全国第1位となっており、全国の総増加件数の半数以上を占めている。毎年多くのコンベンションが開催され、それにイベントやコンサートなどが重なり、市内だけではなく、北九州市や久留米、佐賀までホテルが満杯になっているというように、広域的にも大きな効果が及んでいる。本市においては、市内の各施設やホテルで毎日のように学会や大会、展示会、スポーツ大会などが開催されているが、年間でどのようなコンベンションがどの程度開催されているのか。

△経済観光文化局長 福岡観光コンベンションビューローが25年度に実施した調査結果によると、大会、会議が1,572件、スポーツ大会が608件、展示会が574件、合計で2,754件となっており、参加者総数は約526万人である。

◯藤本委員 本市においては、特に九州大学の存在が大きいが、九州大学を初め地元産業界、市長や市職員、議会関係者などの尽力で全国屈指の輝かしい成果を残してきており、関係者に対して心から敬意を表する。これまでのコンベンションを振り返って、成果をどのように評価しているのか。

△経済観光文化局長 これまでのコンベンション施策の評価であるが、本市では1989年のアジア太平洋博覧会よかトピアの開催を皮切りに、アジアの交流拠点都市を目指してコンベンション都市づくりに取り組んできた。この間、福岡国際センター、福岡サンパレスに続いて、マリンメッセ福岡、福岡国際会議場などコンベンション施設の整備を進める一方で、大規模な国際コンベンションの誘致にも積極的に取り組み、さまざまな大会の誘致、開催に成功してきた。昨年は国際会議の開催件数が336件となり、6年連続で全国第2位となるなど、国内有数のコンベンションシティへと成長しているものと考えている。

◯藤本委員 次のステップに行く大事な時期を迎えており、決算についてはきちんとハードとソフトの両面から振り返りを行うべきである。今、MICEという言葉がよく使われているが、MICEというのは企業や団体の会議などのミーティングのM、企業等が成績優秀者を初め企業の費用で海外に派遣する報奨旅行であるインセンティブツアーのI、学会や大会の総称であるコンベンションのC、展示会や見本市であるエキシビションやイベントのEの、4つの頭文字を合わせた言葉である。戦略の中で、本市はMICEの推進を柱の一つとして、国際会議開催件数の増加を目標に掲げているが、開催増のためにどのような取り組みを行っているのか。

△経済観光文化局長 国際会議開催件数増加のための取り組みについては、平成25年3月に策定した福岡観光・集客戦略2013に基づき、福岡観光コンベンションビューローへのMICEの専門組織ミーティング・プレイス・フクオカの設置によるMICEの誘致、開催支援体制の強化や戦略的なMICE誘致の推進、国家戦略特区の道路占用事業などを活用したMICE開催の魅力向上や歓迎演出など市民、関係者と一体となったおもてなしの強化、第2期展示場整備を初めコンベンションゾーンにおける機能強化の検討などに取り組んでいる。

◯藤本委員 これまでのコンベンション施策の集大成とも言える、世界最大級の国際コンベンションであるライオンズクラブ国際大会がいよいよ来年6月、本市で開催される。この大会は近年、米国ハワイのホノルル、カナダのトロントなど世界の著名な都市で開催されているが、大会を契機に、海外の関係者から、日本の西の端のアジアの玄関口にこんなにきらりと光るコンパクトで人が温かで居心地のよい都市があったと言われるよう、世界のコンベンション都市として評価される取り組みをしなければならない。そのためには、全市を挙げての受け入れ、おもてなしの推進が求められるが、何よりも、このようなコンベンションの発展を築いてきた公益財団法人福岡観光コンベンションビューローについて掘り下げて考えなければならないと思う。観光コンベンションビューローは、多くのコンベンションの誘致や開催に尽力してきており、昨年春にはその機能をより一層強化するため、誘致部門にミーティング・プレイス・フクオカという呼称をつけ、人員と予算を拡充し、次の新たなステージに移るための取り組みを進めているが、現在の体制や職員の構成等について尋ねる。

△経済観光文化局長 福岡観光コンベンションビューローの体制については、観光事業部とMICEの誘致部門であるミーティング・プレイス・フクオカで構成されている。職員は、事務局長など市派遣職員7名、プロパー職員11名、民間出向職員13名の計31名で構成されている。

◯藤本委員 観光コンベンションビューローの誘致部門であるミーティング・プレイス・フクオカはどのような事業を行っているのか。

△経済観光文化局長 ミーティング・プレイス・フクオカの事業については、平成26年4月の発足以降、MICEに関するワンストップ組織として、世界で開催される国際会議の情報収集、誘致案件の発掘、これらに基づく誘致活動の展開、海外見本市や商談会への参加と個別商談の実施、多様なパーティー会場の開発や歓迎演出などの受け入れ支援、ビジネスマッチングや企業交流会の実施などに取り組んでいる。

◯藤本委員 観光コンベンションビューローの自主財源の強化であるが、これまで多くの賛助会員の支援やミーティング・プレイス・フクオカを支える企業の大口の協力によって、今日のコンベンションが活発化している。現在の観光コンベンションビューローは、市からの負担金と賛助会員からの会費が主な収入源となっているが、将来を見据えた場合、このように特定の援助だけに頼った経営ではなく、財政基盤を強化する上では、安定した収入源の確保が急務である。安定的な財源を持つことで、リーダーシップを兼ね備えた有能な人材が確保でき、体制が強化され、プロパー中心の独立性や専門性の高いプロ集団になっていくと考えられることから、コンベンションビューローは、可能な限り独立採算を目指すべきである。コンベンションビューローの安定的な財源確保策として、ビューローの人材や、あるいは留学生、その他、福岡に居住する内外からの人材を活用し、語学や、中近東方面などの独特の食文化、習慣、教育に関する研修の実施、コンベンション開催に当たって必ず発生するハード面、装置や設備などの手配、あるいは観光、特に旅行業等の新たな観光商品の企画、販売など、自主財源確保のための事業に挑戦していくべきではないかと思っているが、どのような自主財源確保策を考えているのか。

△経済観光文化局長 福岡観光コンベンションビューローの自主財源確保策については、これまでの賛助会員からの会費収入や広告料収益などに加えて、これまでのノウハウを生かし、旅行業の登録により、現在実施しているまち歩き観光やアフターコンベンションの観光商品の充実を図り、一定の収益を図っていくことを現在検討している。

◯藤本委員 ミーティング・プレイス・フクオカを立ち上げて活動が軌道に乗ってきたが、政府系の国際会議は、JTBなど大手旅行会社や大手のコンベンション運営会社ではなく、コンベンションビューローが中心となって市などの行政機関と連携した活動を展開しない限り誘致はできない。行政の看板を背負ったところでないと国際会議の誘致はできないということである。どんなに民営化しても、行政とコンベンションビューローは一体であることは変わらないということであるが、人材確保その他の面から見ると、すばらしい人材も行政的ルールでは二、三年でかわっていくため、なかなか専門家は育たない。民活化、自立した組織ということを訴えているわけであるが、自立と言っても、コンベンションについては国や地方自治体など行政が看板を背負わなければ、学会その他の誘致が難しい。韓国の観光公社のように、資金や人材、権限も観光コンベンションビューローに集め、主体的な活動が独自にできる環境をつくれば、最強のビューローとなり、本市のコンベンション政策はさらに大きく飛躍すると思われる。観光コンベンションビューローの自立が望ましい将来像であり、行政と一体でありながら、経済的にも人材的にも弾力的な運用ができるという意味での独立、自立ということが一刻も早く求められている。今後の本市のコンベンションが進むべき方向性について、本市のみならず国内で開催されるコンベンションを見ると、来年は本市でライオンズクラブ国際大会が、2019年は日本全体でラグビーワールドカップ、2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、本市がこれまで以上に世界にステップアップしていく絶好の時期であり、そのためにはどうすべきかということである。例えば、2020年の東京オリンピックについて、専門家の話では、2,000万人以上が国内外からオリンピックの観戦に訪れるということで、当然、海外からも飛行機で来日することになるが、全国の国際空港と称する飛行場の駐機機能を全部足しても、多分足りないと言われている。だからこそ、福岡空港の滑走路の増設を2020年に間に合わせたかった。これは、エアポート福岡の名前を世界に初めて大きく出すチャンスであり、工区を割りさえすればできない仕事ではないため、地元選出の国会議員が総力挙げてでも、工期を短縮させ、オリンピックに間に合わせて世界のひのき舞台に備えるというぐらいの気迫が欲しかった。アジア大会のときに、当時の首相の鶴の一声で決まった本市の地下鉄がその例である。全く計画がなかったが、本市議会議員団が自宅まで乗り込んでいって、首相を口説いて、地下鉄をつくらせた。アジア大会の偉大な遺産であるが、これこそ国会議員の仕事であると思っている。福岡空港の滑走路増設について、2020年に間に合わないのが残念であるが、今からでも遅くはないという気もしている。九州全体を捉えてのコンベンションについて、九州アイランドはオランダ一国に十分匹敵する経済規模と人口規模、面積を持っている。その中心であり、九州を牽引するのは、紛れもなく本市であると、我々市民は考えているが、九州全体がそう思っていないのは、かつての九州国際空港論争で福岡が大きな痛手を受けたという歴史上の事実からもわかる。誰もが福岡は名実ともに九州を牽引するまちだと言ってくれる状況には至っていないというのが客観的な評価であるが、本市は九州の中でどのような役割を担おうとしているのか。

△総務企画局長 本市の九州における役割については、九州全体の人口が既に減少する中で、文化、教育、経済などさまざまな分野において九州の中枢機能を有する本市は、九州のゲートウェイであり、世界中から人と企業を呼び込み、その活力を高め、東京圏への人口流出の抑制に一定の役割を果たすとともに、圏域の一体的な発展に貢献し、牽引する役割を担っていきたい。

◯藤本委員 以前、九州大学のシンポジウムにおいて、デベロッパー市長というテーマで、本市の開発型行政に関するパネルディスカッションが行われたが、そのときにパネラーで招かれ、デベロッパー市長という意味についていろいろ問われた。当時の九州大学の理系の卒業生など学生約1,000人に対して、その年の春の理系の卒業生の1割しか九州に残らず、福岡大学やその他の大学を入れても、文系ですら2割しか残っていないが、九州はオランダ一国に比肩できる堂々たる島で、十二分に国際社会に通用する人材を育成できる可能性を持っていながら、期待される若い人たちがそこに残ってくれないということを話した。また、なぜ本市が頑張っているかというと、若い人の雇用の場をつくらなければ、九州に若い人が残っていかない、残らせるためには、活発な経済活動を行って、九州の可能性に挑戦して、人材流出の防波堤になるというのが本市の役割だという認識で市長は政策を実施していることも話した。本市の役割は、九州に人を呼び込み、回遊させることであり、九州の中心都市として、九州の食や観光、おもてなしをPRすることだと考えている。九州の各都市は観光資源をそれぞれスキルアップし、磨き上げて競争する、つまり競争的共存である。九州各県の持ち味を、それぞれの県が九州の中で競争して磨き上げていき、磨き上げた九州のすばらしい自然や観光資源を、一体となって九州の外にアピールしていくことが、競争的共存という意味であり、内に向かっては競争、外に向かっては一枚岩という九州の実現を競争的共存と言っているわけである。コンベンションで具体的に言うと、各コンベンションの大会を開催するには、会場となる展示場や会議室、会場が必要となるが、九州管内も、それぞれ会場建設を計画しているが、もったいないのではないか。福岡は、九州国立博物館や太宰府、海の中道などがあるが、九州の他県に比べると、見るべき自然も観光資源もそれほどはなく、圧倒的な自然美は他県に負ける。本市の役割は、人が集まる仕掛けをつくり、集まった内外の客を九州中に回遊させていくことである。人が動けばお金が落ちるわけで、お金が落ちれば、本市の頑張りが九州の繁栄につながっていると、各県は次第に認識を深めていく。それを重ねるたびに、九州の気持ちがだんだん一つに固まっていき、自他ともに福岡が九州の中心であるということを素直に言える空気が醸成されていく。それをつくるのが福岡のコンベンション政策であり、そのことが成功しなかったから国際空港論争で負けたと、いまだにそう思っている。コンベンション開催の会場整備は本市が担って、国内外から多くの集客を図る。九州各都市は地元の観光資源の魅力を磨き上げて、アフターコンベンションの受け皿となる。世界のコンベンション都市としてパリ、ロンドン、ニューヨーク、東京、京都、北京、台湾、台北、香港、シンガポールなど有数あるが、そこで会議が開催されるのはアフターコンベンションの魅力がコンベンション会場や都市を選ぶ最大の要素となっていることによる。九州はそれを十二分に持っており、人が動けば、その地域は潤うわけであるから、福岡の努力が九州の人々のためになる。福岡のコンベンションの効果が九州全体の経済の発展につながり、その地道な積み重ねがすばらしい九州をつくっていく。本市が取り組んでいるコンベンション政策は、九州の持っている可能性を九州の人たちとともに掘り起こしていくという、崇高な事業であると思っているが、本市はこれまで九州内においてどのようなコンベンションの連携を行ってきたのか。

△経済観光文化局長 九州内のコンベンションの連携については、福岡観光コンベンションビューローにおいて、九州・沖縄地区のコンベンション推進団体と連携して、コンベンションの誘致や支援に関する情報の収集や交換、コンベンションの誘致に当たっての各地のアフターコンベンションを盛り込んだ共同提案などを行ってきた。また、コンベンション開催のキーパーソンの招請や共同誘致活動についても、現在検討を進めているところである。

◯藤本委員 観光における福岡都市圏や九州各自治体との連携であるが、福岡都市圏についてはどのように取り組んできたのか。

△経済観光文化局長 観光における福岡都市圏との連携については、都市圏内の自治体等で構成する福岡地区観光協議会において、26年度に都市圏内の回遊性を向上させる周遊ルートを作成し、これを紹介するパンフレットを発行したほか、釜山国際観光展への共同参加など、国内外での観光プロモーションに連携して取り組んでいる。

◯藤本委員 九州各自治体とはどのような連携を図っているのか。

△経済観光文化局長 観光における九州各自治体との連携については、九州には都市観光の魅力に加え、雄大な自然や温泉など数多くの観光資源が存在しており、九州各自治体と広域的な連携を図り、海外からの観光客誘致やアフターコンベンションの充実につなげたいと考えている。このため、観光客の誘致については、北九州市、熊本市、鹿児島市と連携した九州縦断観光ルート協議会や、温泉などの観光資源を有する嬉野市、武雄市、平戸市、雲仙市との間で東アジア誘客3県都市連携会議を設置し、主に台湾、中国などの東アジア地域を対象に、海外の旅行博覧会への出展や海外メディアの招請事業などに共同で取り組んでいる。

◯藤本委員 本市が中心となってコンベンションの誘致に力を発揮できれば、九州が潤う。九州の各都市と連携した誘致活動を行い、実績ができれば、おのずと九州全体で福岡にコンベンションを一緒に誘致しようという、そういう動きも次々に出てくる。これが理想の姿であり、まさにコンベンションは九州全体で大きな経済効果を生み出せるツールとなる。そのためにも、まずは来年6月に本市で開催されるライオンズクラブ国際大会を契機に、九州全体の取り組みの基盤をつくり、九州全体で受け入れやおもてなしを行う体制をつくらなければならない。この大会は、福岡や九州の魅力を世界中へ発信する絶好のチャンスであり、この後にはオリンピック等も続いている。ライオンズクラブ国際大会でおもてなしのベースをつくって、2020年に備えてはどうかとも思っている。ライオンズクラブ国際大会について、九州各都市との連携やPRの準備はどうなっているのか。

△経済観光文化局長 ライオンズクラブ国際大会は、国内から約2万5,000人、海外から約1万人の参加が見込まれる大規模国際コンベンションであり、福岡だけでなく九州の魅力を国内外にPRする絶好のチャンスであると考えている。このため、平成27年6月のライオンズクラブ国際大会ホノルル大会においては、PRブースを設置し、九州一体となった観光PRを行っている。また、旅行社と連携し、大会前後に九州各都市を周遊するツアーコースを参加者に紹介するほか、ライオンズクラブのホスト委員会、九州各都市の観光協会、観光コンベンション協会等とも連携して、観光や文化、祭り、食など九州一体となったPRを実施していきたい。

◯藤本委員 ライオンズクラブ国際大会参加者に九州のPRを行うことは極めて重要であり、開催前にしっかりと情報を発信されたい。また、関係する旅行代理店が福岡観光コンベンションビューローに結集してチーム福岡という組織を結成し、既に九州各県との準備に入って、人事の交流も活発だと聞き及んでいる。2030年にはアジアの空が世界最大のマーケットになり、アジアが大交流時代に入り、同時に、国内では整備新幹線が来年3月に函館、2030年には札幌までつながる。アジアの空が大交流時代となり、国内も九州から北海道まで南北が大交流時代に入っていく。今後、九州には空から、陸から、海から人が集まる。二、三年内には大型クルーズも1日14隻、国内に向かってくる。これを九州でどう受けとめるかというのは、港湾局にとっては頭の痛い話であるが、大変なことになるわけである。コンベンションは本市の都市経営の唯一の資源であり、人が集まる仕掛けをつくらなければならない。貪欲に人を集めることしか資源はないということをいろいろな場で言ってきたが、今でもそう確信している。空港問題や博多駅の改築、渇水都市という汚名を返上するために、海水淡水化や特定重要港湾の指定など、これらのインフラ整備に建議、献策をし、奔走もしてきた。活動の中心にコンベンションシティという柱を据えて、これが福岡の将来を決めるという信念で今日まで活動してきた。今、大きな人の輪ができ、そして多くの人がこのコンベンション、アフターコンベンションの開催に努力していることは、将来の福岡にとって楽しみなことである。ビューローと行政の関係について言えば、行政とビューローは切っても切れない、不即不離の関係にある。公益財団法人として公益事業が財源の50%以上を占めなければならないという制約があり、そのような中で、すぐに独立採算というわけにはいかないと思うが、今後のビューローの発展、本市のコンベンションの発展を考えると、柔軟な財政運営の面でも、あるいはプロパーの専門人材の確保の面でも、長期的な視点で行政からの自立を目指さないと一層の飛躍は望めないと思っている。今後の本市のコンベンション政策にとって、ビューローの発展的な自立は不可欠と考えているが、観光コンベンションビューローの自立を含め、そのあり方についてどのように考えているのか。

△中園副市長 福岡観光コンベンションビューローは、昭和62年の設立以来、賛助会員等の支援、大学を初め産業界、関係者の協力のもと、本市におけるコンベンション振興の公的な推進機関として大変大きな役割を果たしてきた。また、昨年は、本市のMICE競争力強化や地域産業の活性化のために、官民が連携してミーティング・プレイス・フクオカを立ち上げ、活動の強化を図っているところである。今後のあり方については、福岡観光コンベンションビューローは、市からの負担金や民間企業からの協賛金を主たる財源として多様な公益事業を実施しており、直ちに自立することは困難と考えているが、コンベンション振興の取り組みを強化させていくためには、収益事業の充実を図り、新しい財源の確保を図っていく必要がある。このため、今年度から福岡観光コンベンションビューローのこれまでのノウハウを活用して、まち歩き観光やアフターコンベンションの観光商品を企画販売することで、一定の収益を図っていくことを検討しているところである。このような取り組みを行うとともに、より主体性を発揮し、柔軟な活動ができるよう、人材や財政面を含め、経営の改善を図っていく。

◯藤本委員 コンベンション政策は、九州の心を一つにするという遠大で崇高な使命を負っていると思っており、その効果は徐々に出つつある。最後に、市長のコンベンションに関する思いを尋ねて、質問を終わる。

△市長 本市は第3次産業が9割という特性もあり、コンベンションの実施は経済の活性化につながるという視点もある。また、福岡の歴史をひもとけば、交流というものが福岡のエンジンであったことは間違いなく、そういう意味からも、福岡の経済成長戦略としても、観光というものは重要になってくる。また、交通の拠点という点や、九州の観光、九州の発展という点においても、ゲートウェイとして、九州のすばらしい産品を、福岡でのコンベンションで付加価値をつけて海外や国内に発信していくという、非常に重要な役割を任されていると考えている。今後とも、これまで進めてきたMICE、コンベンションの政策をしっかりと進めていきながら、九州全体を牽引していけるように力を尽くしていきたい。