笠 議員の代表質疑 質問と答弁

◯47番(笠 康雄)登壇 私は、みらい福岡市議団を代表して、平成28年度予算案並びに諸議案に対し、質問と提案をしてまいります。詳細については、補足質疑や総会質疑で我が会派の議員が質問をしてまいりますので、代表質問では大局的な見地から、何点か質問いたします。福岡市の未来を考える私たちみらい福岡市議団の質問と提案に対しまして、市長の明快な答弁を期待するものであります。
 現在、国においては、平成28年度政府予算案が審議されているところですが、一億総活躍社会の実現に向けた子育て支援や介護サービス等の充実を図るほか、教育費の負担軽減等を進め、地方創生の本格展開を図ること、さらには攻めの農林水産業に向けた施策の推進等を重視し、一般会計予算は約97兆円と過去最大規模になっております。
 アベノミクス効果による我が国経済の景気回復に伴い、税収は増加傾向にあるとともに、新規国債発行額も約34兆円と4年連続で減少し続けていますが、ことしに入り日経平均株価が大きく変動するなど、国においては、まだまだ見通しが立たない厳しい経済情勢や財政運営が続いております。
 一方、福岡市においては、平成24年に策定したマスタープランに、生活の質の向上と都市の成長の好循環を都市の基本戦略として掲げ、高島市長のリーダーシップのもと、都心部の機能強化などのまちづくり、待機児童対策など子育て支援による人づくり、国家戦略特区を活用した創業支援による仕事づくりなどの施策を他都市に先駆けて取り組んでまいりました。
 このような取り組みの結果、日本全体の人口が減少していく中で、福岡市の人口は増加し、市税収入も高い伸び率を示しております。また、経済においても、増加し続ける入り込み観光客数や国際会議の開催件数、外航クルーズ船の寄港、高いホテルの稼働率など、日本で最も元気な、勢いがある都市ではないかと思います。今まさに、福岡市にとってのチャンスが到来しているのではないでしょうか。
 高島市長は、圧倒的福岡時代をつくると言われています。福岡市が都市間競争を勝ち抜いて、日本のみならず、アジア、世界で輝く都市として、市民が誇れる都市に成長していくためには、このチャンスを逃すことなく、まさに今、将来を見据え、気を引き締めて市政運営に当たる必要があります。
 福岡市も当面人口は増加しますが、いずれ近いうちに人口減少の波にのまれていきます。そのときになってどう対応するかを考えるのではなく、チャンスが到来している今こそ、持続的な成長戦略をしっかり展開しながら、人口構造の変化を見据えた行財政運営に転換し、市役所の組織運営に至るまで、長期的かつ幅広い視野を持って、市政を前へ進めていく必要があります。
 そこで、福岡市政の今後の方向性について、我が会派がさきに行った施策要望の5つの柱に沿って、幾つか質問をしていきたいと思います。
 まず第1は、我が会派がこれまでも、さまざまな指摘や提案を行ってきた行財政改革の推進についてであります。
 財政健全化を図る上で、最も重要視すべき市債残高については、満期一括積立金を除く全会計では、平成28年度末に約2兆2,011億円となる見込みで、ピークの平成16年度末からは3,871億円縮減していますが、市民1人当たりに換算すると約147万円と、依然として政令市の中では高い水準にあります。
 また、財政収支では、一般財源総額の大幅な増収が見込めない中、社会経済情勢に伴って、社会保障関係支出の増大などが見込まれており、本市財政は引き続き厳しい状況にあります。そのため、時代の変化の中で、必要性や緊急性が薄れた事業あるいは相対的に優先度が低い事業については見直しを行うなど、さらなる選択と集中が必要です。
 そこで、具体的な項目について、幾つか尋ねていきたいと思います。
 外郭団体については、随意契約の見直しや団体の統廃合について一定の成果が出始めていますが、今後とも、第3次外郭団体改革実行計画に基づいて、着実に見直しを実行していただきたいと思います。
 民間活用については、簡素で効率的な市政運営の実現のために、我が会派が繰り返し主張してきた現業業務の見直しは、退職不補充の方針のもと、民間活用が進められており、今後とも、民間でできることは民間に任せるという視点で、着実に実行していただきたいと思います。
 補助金については、補助金ガイドラインで終期の設定や公募の原則化がルール化されておりますが、特に長期にわたる補助金について、徹底した見直しを実施すべきだと考えます。
 ただいま掲げた項目について、今後どのように取り組み、真に実効性のある行財政改革を進めていくのか、御所見をお伺いします。
 次に、公共施設跡地の有効活用についてお尋ねします。
 福岡市の財政状況が今後も厳しさを増していくものと予想される中、必要な施策を確実に実施していくためにも、市が保有する財産の有効活用を図っていくことが大変重要なことであります。福岡市では、これまでも財産の貸し付けなど、保有する財産の有効活用に取り組んでいますが、今後、市有財産を市民から負託された貴重な資産と捉え、未利用地など活用されていない資産の情報をしっかりと把握し、民間事業者のノウハウも活用しながら、一層の資産の有効活用を図るべきであります。
 また、福岡市は第3次産業が9割を占め、多くの人がにぎわうことが活力、創造の源となっており、中でも都心部は、従業者数や小売額の割合が都市圏全体の3割を占めるなど、住む人、働く人、訪れる人にとって大事な場所であることから、都心部全体の活力が向上するよう、都心部の機能強化と魅力づくりに取り組むことが重要であると考えております。
 このような中で、中央区においては、こども病院跡地、旧簀子小や旧大名小跡地などがあり、これら都心部における貴重な公有地の活用により、まちのにぎわいや魅力づくりに寄与するものと期待しているところです。このため、財源確保の観点だけではなく、まちづくりの観点からも未利用地活用の方策を検討し、タイミングを逸することなく早期活用につなげていくべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 次に、第2は、子どもたちが夢を描けるまちについてであります。
 福岡市の未来を担う子どもたちは大切な宝であり、私たちには、子どもたちに夢と希望を与えるまちづくりを進めていく責任があります。全国的な少子・高齢化の傾向、核家族化や地域におけるつながりが希薄化するなど、子どもや子育てを取り巻く環境は厳しさを増しており、子どもや子育て家庭への支援の強化は喫緊の課題であると言えます。
 まず、保育に関しては、これまでも保育所整備に取り組まれておりますが、依然として入所申し込み数が増加しており、待機児童が発生している状況にあるとともに、就労形態の多様化により、保護者が求める保育サービスも変化してきております。待機児童の解消に向けて、保育所の整備や保育の担い手である保育士の確保、処遇改善に取り組むとともに、多様な保育ニーズにも対応していく必要があると考えます。
 また、市内に120園ある私立幼稚園においては、建学の精神に基づく幼児教育を提供するとともに、障がい児の受け入れや地域に対する子育て支援などに取り組んでおり、今後も幼稚園に対する一層の支援や保護者負担の軽減が必要です。
 さらに、ひとり親家庭については、経済的に厳しい状況に置かれた家庭への支援の充実が求められており、就業による自立に向けた支援を中心に、子育てや生活支援、経済的支援などの総合的な取り組みをさらに充実させる必要があります。
 誰もが安心して子どもを生み育て、子どもたちが健やかに成長することができる環境を整備することは、本市において最も重要な課題の一つであると考えますが、今後、子育て支援の充実にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。
 また、いじめ、不登校問題の解決も重要な課題であります。近年、いじめが大きな社会問題となっておりますが、福岡市においては平成25年度から、いじめの根絶に向けて、子どもたちが主体的に取り組むいじめゼロサミットが開催され、また、不登校児童生徒に対しては、不登校対応教員やスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーによる支援を行うなど、いじめ、不登校問題に積極的に取り組んでいることは大いに評価しています。
 しかしながら、いじめ、不登校問題は、簡単に解決できるものではありません。いじめや不登校の早期発見、未然防止に向けた組織的な取り組みとともに、問題を抱えている子どもたちに対する支援のさらなる充実が必要であると考えます。
 そこで、子どもたちが安心して学校生活を送るために、今後、いじめ、不登校問題について、どのように取り組まれていくのか、御所見をお伺いします。
 また、子どもたちの人格形成や育成の場として、学校に対する保護者や地域の人々の寄せる期待は大きなものがあります。政府においては、教育再生実行会議からの提言を受け、道徳の教科化やいじめ対策の法制化など、多岐にわたる政策が進められております。こうした中、教育が学校現場で効果的に実践されるためには、教員一人一人の資質、能力の向上と学校教育の活性化が欠かせません。子どもたちとじかに触れ合う教員が資質、能力の向上を図り、意欲的に役割を果たすことができるよう、教員評価制度の充実を図るとともに、資質を欠く教員に対しては、特別な研修や適正な処分を行うなど厳しく対処していく必要があると考えますが、御所見をお伺いします。
 次に、第3は、自然と人に優しいまちについてであります。
 2015年は、団塊の世代が全て65歳を迎えた年でした。10年後の2025年は、これらの人々が後期高齢者となり、福岡市の高齢化率も24.3%で、4人に1人が高齢者となります。一方、15歳から64歳までのいわゆる生産年齢人口は減少を続けており、来年度は100万人を切ると推計されています。元気で意欲のある高齢者に、これまで以上に社会の中で活躍していただくことが福岡市の都市の活性化のためにも極めて重要であり、そのためには、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活ができる期間、いわゆる健康寿命を延ばすことが必要です。
 さて、平成22年の福岡市の平均寿命は、男性が79.84歳、女性が86.71歳であり、また、健康寿命は男性が70.38歳、女性が71.93歳となっています。全国平均と比べ、平均寿命は男女とも上回っていますが、健康寿命は男女とも下回っています。これは、福岡市の高齢者が全国平均に比べて、健康ではない期間が長いということをあらわしており、健康寿命を延ばすための取り組みを強化していく必要があると考えます。
 現在、福岡市では保健福祉センターや老人福祉センター、民間のスポーツクラブなどを活用して、介護予防の教室や講座を実施し、啓発を行っています。地域の高齢者が自立して元気に暮らし続けるためには、身近な場所で介護予防、健康づくりに気軽に取り組んでいくことができる機会をさらにふやすことが必要と考えますが、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。
 昨年12月にパリで開催されたCOP21で、2020年以降の地球温暖化防止の新たな枠組みとなるパリ協定が採択されるなど、国際的に地球環境の保全の動きが高まる中、福岡市においても、PM2.5対策、二酸化炭素の排出削減、ごみ減量、雨水の有効活用などの取り組みをより一層推進する必要があると考えます。
 また、再生可能エネルギーは、資源が枯渇せず、繰り返し使えることから、地域のエネルギーとして有効に活用すべきであり、太陽光発電やエネルギーマネジメントシステムなどの市民への導入助成を一層拡充するとともに、福岡市が率先して地域の再生可能エネルギーを活用していくべきであると考えます。
 そこで、地球環境の保全対策や再生可能エネルギーの活用に向けて、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。
 また、市民が楽しく健康に生活していくためには、水や緑などの自然に囲まれ、心豊かに暮らす必要があります。そのためには、新・緑の基本計画を着実に推進することが重要であり、市民や企業、行政が一体となって取り組んでいく必要があります。
 都心部においては、貴重な水と緑の空間である大濠公園と舞鶴公園を舞台に、平成26年6月にセントラルパーク構想が策定され、市民30万人が訪れる福岡城さくらまつり、また、昨年夏には、民間事業者による市民参加型のイベント、都市型アウトドアフェスが開催されるなど、市民誰もが憩える公園として積極的に利用されておりますが、今後ますます市民、企業、行政が連携した取り組みが進むことを期待しております。
 公園の活用については、都心部だけではなく、地域の身近な公園についても、市民や民間事業者との共働を促す新たな仕組みづくりに取り組む必要があると考えます。
 そこで、従来の行政主導の維持管理から利用者目線に移行し、規制緩和による市民の参画拡大など、市民や事業者との共働による公園の運営を行うべきであると考えますが、御所見をお伺いします。
 あわせて、博多湾や河川、ため池など水辺空間についても、生物の多様性が確保され、かつ、市民が気軽に触れ合える自然環境に配慮した整備を推進していくことが重要であると考えます。今後も、これらの取り組みを強化していただくようお願いします。
 我が国の農林水産業、農山漁村を取り巻く状況は、高齢化の進行や後継者不足による担い手の減少、耕作放棄地の発生など厳しさを増しており、その活力は低下する一方であります。
 また、TPPの大筋合意により、外国からの安価な農水産物が入ってくることへの不安も広がっています。にもかかわらず、平成27年12月の政府試算は、国内対策を打つことで、農水産物の被害額は現状の生産額より1,271億円から2,082億円の減少にとどまるとし、輸入量がふえても、生産量はほぼ現状を維持できると結論づけています。輸入量がふえるならば、国内の需要が伸びない限り、現状維持は理屈に合いません。平成25年3月の試算では、政府は3兆円程度の被害があると試算していましたが、今回、約20分の1まで圧縮された根拠も示されていません。このような状況では、農家は、国内対策を用意したから安心ですよと言われても、到底納得も、信用もできません。
 そこで、農林水産業を活性化していくためには、まず、第1次産業に取り組む人々の所得を上げていくことが喫緊の課題であると考えます。政府は、平成25年度に農林水産業・地域の活力創造プランを作成し、農業、農村の所得を今後10年間で倍増させると発表しました。福岡市でも、大都市に立地する特性を生かした地産地消などを推進し、所得倍増に向けた取り組みを進めていく必要があると思いますが、御所見をお伺いします。
 また、国はTPP対策として、総合的なTPP関連政策大綱を決定し、国民の不安を払拭しながら、成長産業としての力強い農林水産業をつくり上げるため、万全の施策を講じるとしています。福岡市としても、国が着実に対策を実行していくよう要望すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 一方で林業に目を向けると、市域面積の3分の1を占める森林では、スギやヒノキなどの人工林が木材として利用可能な時期を迎えております。これらの森林資源を有効に活用するため、林業振興の観点から、市内の公共建築物等への地元産木材の利用促進を図るべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 次に、第4は、文化薫る洗練されたまちについてであります。
 福岡市がアジアとの交流を通して発展してきた長い歴史を有していることは、誰もが知るところであります。そのことを示す文化財が市内各所で発見、発掘され、福岡にしかない元寇防塁、福岡にしか残っていない鴻臚館跡といった遺跡を初め、金印や金象嵌の庚寅銘大刀、シルクロードを通してもたらされたガラス製品など、貴重なものが数多くあります。これらの文化財は、福岡市の歴史を物語る貴重な市民の財産であります。また、博多祇園山笠や博多松囃子などの祭り、博多織、博多人形、茶道、華道、日舞といったさまざまな伝統文化も、福岡という都市の個性を際立たせる貴重なものです。
 このように、福岡市内の文化財を初め、地域で受け継がれてきた伝統文化について、情報発信を積極的に行うとともに、観光資源としての活用も視野に入れた文化振興に取り組んでいく必要があると思いますが、御所見をお伺いします。
 コンベンションなどMICEについては、参加者の宿泊や飲食などによる直接的な効果はもちろん、交流をきっかけとした新たなビジネスや雇用の創出など、都市の成長を牽引する産業として大変重要であり、特に大規模な国際コンベンションの開催は、国内外に福岡をPRする大きな機会でもあります。
 日本政府観光局が発表している統計では、国際会議開催件数において、福岡市は6年連続で東京都に次ぐ国内第2位となっており、ことし6月には、世界各国から約3万5,000人の参加が見込まれているライオンズクラブ国際大会が開催されるなど、国内を代表するコンベンションシティとして着実に成長しているように感じます。
 その一方で、コンベンションゾーンの既存の展示施設では、高い稼働率のため、利用申し込みを断らざるを得ない状況が生じており、MICE誘致の都市間競争が激しさを増す中、施設の供給力不足が顕在化しています。福岡市が国際的なコンベンションシティとして世界に認知され、MICE開催を通じた交流を都市の持続的な成長につなげていくためには、官民連携による誘致活動の強化を図るとともに、需要に対応できる受け入れ環境をしっかりと整えていく必要があると考えます。
 今後のコンベンションシティづくりに向けて、MICE誘致や受け入れ環境整備などソフト、ハードの両面から、MICE機能の強化にどのように取り組まれていくのか、御所見をお伺いします。
 また、中央ふ頭、博多ふ頭から成るウォーターフロント地区については、マリンメッセや国際会議場などMICE施設が集積するとともに、アジアからのクルーズ船の寄港が増加し、平成27年は259回と日本一のクルーズ船寄港回数を誇り、ことしはさらに400回を超える寄港が見込まれるなど、国内外から多くの方々の来訪が期待されています。
 公益財団法人福岡アジア都市研究所の調査結果によれば、福岡市は、訪問する外国人が多い割に、市内での宿泊者数が少ないという課題も指摘されておりますが、このウォーターフロント地区は、国内外から多くの方々が来訪し、滞在していただける、福岡市の新たな拠点となるポテンシャルがあり、しっかりと再整備を進めていく必要があります。
 しかしながら、都心部のウォーターフロントは、中央ふ頭、博多ふ頭だけではなく、都心の臨海部全体として、もっと大きく、広く捉える必要があります。その中でも、天神地区に最も近い須崎ふ頭については、さまざまな可能性を秘めており、将来的な都市的土地利用への転換などについて、長期的な展望を描いておく必要があると考えます。その上で、この中央ふ頭、博多ふ頭から成るウォーターフロント地区の再整備を第一歩として、地区のポテンシャルを最大限に生かし、第2期展示場の整備やホテル等の誘致を初めとしたMICE機能の強化や、中央ふ頭西側において、クルーズ船の2隻同時着岸を実現するクルーズ受け入れ環境の強化とあわせて、天神地区や博多駅地区との公共交通アクセスの強化といった交通環境の改善を図る必要があると考えます。
 ウォーターフロント地区の再整備の推進に当たっては、将来像をしっかりと描いた上で、その将来像に向かって取り組んでいく必要があると思いますが、御所見をお伺いします。
 人口減少に伴う国内の需要縮小が見込まれる中、福岡市経済の活性化と持続的な成長を実現していくためには、地理的優位性を持つアジアの活力をこれまで以上に取り込んでいくことが最重要となります。特に東南アジア諸国は高い成長率を維持しており、個人所得の増加に伴い、民間消費も順調に伸び、今後の消費市場として非常に有望な地域であると考えられています。
 幅広いアジア諸国との貿易、投資が活発になれば、逆にアジアから日本に進出する企業がふえることも考えられます。外国企業の立地は新規雇用を生むとともに、地場企業に新たなビジネスチャンスをもたらすなど、企業成長のきっかけにもなります。そのため、アジアの中でも、特に経済成長率の高い東南アジア諸国との経済交流が重要であると考えます。
 また、東南アジア諸国との経済交流を深めていくためには、これまで本市で培ってきたグローバルな人材やネットワークを活用すべきであり、さらには、ビジネスパートナーとしてだけではなく、文化交流も進めていくべきであると考えます。東南アジア文化圏で育んできた個性的で豊かな芸術文化に触れ、相互理解を深めていくことは、さらなる交流や連携を生み出すことが期待されます。福岡市の魅力を鮮明に打ち出すことにより、東南アジアでの知名度の向上や観光客誘致にもつなげていくべきです。
 福岡市の経済や文化を継続的に発展させていくためにも、東南アジアとの経済交流や文化交流を推進すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 本市の成長を牽引する都心部については、核となる天神・渡辺通、博多駅周辺、ウォーターフロント地区における機能強化とともに、憩い、にぎわいの創出など、都市の魅力向上を図ることが重要であります。特に天神地区においては、国家戦略特区をトリガーにした、新たな空間と雇用を創出する天神ビッグバンプロジェクトが平成27年2月から始動しており、まちづくりに向けた機運が高まりを見せていることから、この機会を的確に捉え、民間ビルの建てかえとあわせた公共空間の充実等に官民連携で取り組む必要があると考えます。
 中でも、平成27年9月に地区計画が定められた天神一丁目南ブロックには、更新時期を迎えた民間ビルとともに市役所北別館があり、その周辺には天神中央公園やアクロス福岡など、都心部における貴重な憩い空間が集中するほか、市役所ふれあい広場などのにぎわい施設もあることから、建物の建てかえにあわせ、これら公共空間等を生かした戦略的なまちづくりに取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 また、天神地区と同様に、博多駅周辺についても、博多口のまちづくりが進んでいく中、今後は筑紫口周辺のあり方を検討していく必要があると考えます。さらには、都心部だけにとどまらず、福岡市の都市の成長を考える上では、広域拠点のまちづくりについてもしっかりと進めていただくようお願いします。
 福岡市には、体育館、市民センター、公園など、市民の方々が利用するさまざまな公共施設がありますが、これらの施設は、多様化する市民ニーズに即して、時代に合った柔軟な運営を行うとともに、地域的な偏りがないよう、全市的観点から適正な場所に整備し、質、量ともに充実させていく必要があります。
 既存施設の中でも、特に各区の体育館は利用ニーズが高く、競争率が高いため、予約がなかなかとれないという話を伺います。福岡市では、市民体育館と九電記念体育館の後継施設となる新しい総合体育館の整備が進められていますが、あわせて既存の体育館についても、最大限有効活用を図る必要があると考えます。
 そのため、各区体育館の活用方策として、平成27年度から利用時間を1時間延長し、夜10時までの開館を試行されていますが、より多くの方に施設を利用してもらうためには、この試行結果を踏まえ、利用時間の延長を本格実施するなど、生活スタイルの多様化に対応した工夫を行い、利用者サービスを向上させることにより、既存体育館の有効活用を積極的に進める必要があると考えますが、御所見をお伺いします。
 また、とりわけ早良区は、基本計画に位置づけられている地域交流センターが未整備となっております。平成27年度、ようやく整備予定地が絞り込まれたところでありますが、この施設は、地域の人々が長年待ち望んでいる施設でもあり、一日も早い完成が望まれています。さらに早良区は、他区とは違い、スポーツができる大規模公園がなく、複数種目を同時に行うスポーツフェスタが実施できないだけではなく、ソフトボール大会など単一種目のスポーツ大会ですら、民間のグラウンドを借りなければならない状況にあります。
 公平な市民サービスの提供のため、早良区における地域交流センターの早期整備及び多目的に使える運動公園整備の検討を進めていく必要があると考えますが、御所見をお伺いします。
 次に、第5は、安全で安心して暮らせるまちについてであります。
 福岡市では、かつて急速な都市化の進展に伴い、慢性的な渋滞が生じていましたが、本市の骨格となる国道や都市高速道路などの幹線道路、また、それにアクセスする道路整備が徐々に進められたことにより、放射環状型の道路ネットワークがおおむね形成され、渋滞問題に対して一定の成果を上げてきたところです。
 しかしながら、今後の人口増加や都市の成長に応じた幹線道路の整備は必要不可欠であり、また、市民生活に密着した生活道路の整備などは、いまだ十分とは言えない状況にあります。子どもや高齢者を初め、誰もが安心して歩けるような道路整備、子どもの命を守る通学路の安全対策、さらには歩行者や自転車利用者の安全を確保するための自転車通行空間の整備など、市民の安全、安心を守り、多様なニーズに応えていくことが望まれているところです。
 また、さきの東日本大震災において、倒壊した電柱が道路をふさぎ、災害時の救援活動を妨げたことから、災害に強い無電柱化の推進や緊急輸送道路の整備も急務であると言えます。そのほかにも、地球温暖化対策や維持管理費の削減の観点から、道路照明の省エネ対策や道路施設のアセットマネジメントも進めていかなくてはなりません。
 このように、道路は市民の日常生活や産業活動を支える、なくてはならない重要な社会資本でありますが、今後、安全で快適な道路整備の推進に向けて、どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。
 九州大学の移転及び学術研究都市づくりは、本市にとって重要なプロジェクトであります。市の基本計画においても、九大伊都キャンパス及びその周辺地域は活力創造拠点に位置づけられ、知の拠点としての機能集積が進んでいます。この地域では、今後とも、伊都キャンパスの移転とともに発展が期待されることから、地域の幹線道路である学園通線を初めとして、交通アクセス強化に資する基盤整備はしっかりと進めていく必要があると考えます。また、伊都キャンパスで開催される国際会議や学会は年々ふえていると聞いており、これに伴い、国内外から集う多くの人々の広域的なアクセス需要に応えていく必要もあります。
 自動車専用道路は、地域間の連携に関して基幹となる交通インフラであり、西区西部地域では、西九州自動車道がその役割を担っておりますが、市の中心部や空港につながる今宿インターまでは距離があるため、現状においても、その出入り口付近の交差点は大変渋滞しているなど、利便性は決してよくありません。西部6校区の代表者連絡協議会から、周船寺インターに市の中心部につながる出入り口を新設し、フルインター化することにより、今宿インター付近の渋滞解消を求める請願が出され、市議会においては全会一致で採択されています。また、西九州自動車道は、有料道路として福岡県道路公社が管理運営を行っていることから、昨年9月、県知事に対しても陳情が出されています。
 福岡市は、この住民の切実な思いを重く受けとめ、地域の交通課題への対応策として、さらには学術研究都市づくりを支える施策の一つとして、周船寺インターのフルインター化に取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 未曽有の深刻な被害をもたらした東日本大震災から間もなく5年を迎えますが、その後も全国各地で地震が断続的に続いており、まさしく地震列島と言える日本にあっては、南海トラフ巨大地震の発生も懸念されます。ここ福岡市においても、福岡県西方沖地震から10年が過ぎましたが、警固断層を震源とする直下型地震は、いつ起きてもおかしくない状況と言われており、地震に対する備えとして、市民の防災意識の向上はもちろんのこと、地震対策をさらに充実させていくことは喫緊の課題であると考えます。
 また、近年、全国各地で局地的な豪雨が頻発しており、昨年9月の関東・東北豪雨災害では、鬼怒川を初めとする多くの河川において堤防が決壊し、大規模な浸水被害が発生したことは記憶に新しいところであります。
 福岡市においては、過去に大きな浸水被害を受けた経験から、都市基盤河川や準用河川の改修を進めるとともに、雨水整備Doプランや雨水整備レインボープランによる下水道整備を進め、一定の効果を上げてきておりますが、近年、全国各地で発生している記録的な豪雨を目の当たりにし、福岡市においても、浸水被害のリスクが高まっているのではないかと危惧しております。
 さまざまな災害が複雑かつ多様化、大規模化しており、危機管理施策及び災害対策の推進は待ったなしの状況にあると思います。これらのことから、市民の生命と財産を地震やゲリラ豪雨などの災害から守る防災・危機管理対策の取り組みについて、御所見をお伺いします。
 またあわせて、河川改修による治水対策や下水道による浸水対策を積極的に推進していくべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 福岡市が安全で安心して暮らせるまちとして今後も発展していくためには、都市交通対策の充実は必要不可欠であります。天神地区や博多駅地区などの都心部では、今後、都市機能の更新、集積が進み、ますますたくさんの人、車が都心部に集まってくることになり、今後の都心部の発展を支える交通環境づくりが極めて重要になります。そのため、現在、建設工事を行っている地下鉄七隈線延伸事業については、鉄道ネットワークの強化や都心部の渋滞緩和に寄与する市民の期待が大きい事業であり、一日も早く開業できるよう鋭意推進するとともに、沿線のまちづくりの推進に取り組む必要があります。
 また、本市西南部地域においては、福岡外環状道路や福岡高速5号線などの幹線道路が整備されましたが、依然として公共の足をバスに依存せざるを得ない状況にあります。
 そこで、本市西南部地域においては、地下鉄空港線姪浜駅と地下鉄七隈線橋本駅とをつなぐバス路線の充実を図るなど、公共交通の利便性向上に取り組む必要があると考えますが、御所見をお伺いします。
 また、鉄道の高架化は、踏切での交通渋滞や事故の解消、沿線の一体的なまちづくりなどに大きな成果をもたらすものであり、西鉄天神大牟田線大橋駅以南の高架化について、早期実現を目指すべきであると考えます。
 福岡市は、今後20年間は人口がふえ続ける、全国の中でも非常に元気のある都市です。一方、市域の約50%を占める市街化調整区域は、福岡市の豊かな自然環境や農林水産業を支える大変重要な役割を担っていますが、人口は平成7年をピークに、この15年間で約12%も減少し、少子・高齢化も進行しております。また、地域の主たる産業である農林水産業の後継者不足なども進み、地域コミュニティの維持が難しい状況にあるなど、市街化調整区域に暮らす人々を取り巻く生活環境は、極めて厳しい状況にあります。
 そのような中、昨年9月議会において、開発許可に関する条例を改正し、市街化調整区域の既存集落内において、集落外の方でも新たに住宅などを建築できるように制度化したことについては、一定の評価をしています。
 また、昨年10月に策定された福岡市まち・ひと・しごと創生総合戦略には、規制緩和による民間活力の導入など、地域特性を生かした地域の主体的な取り組みの支援が位置づけられました。
 市街化調整区域においては、営農環境の確保や自然環境の保全が大前提ではありますが、主たる産業である農林水産業を初め、地域の特性を生かした産業の振興にしっかりと取り組んでいく必要があると考えます。都心部の開発も都市の成長のために重要ではありますが、市街化調整区域についても、しっかりと活性化に取り組んでいただき、福岡市全体がバランスのとれた成長をしていくことを期待するものであります。
 そこで、今後、市街化調整区域の活性化に向けて、どのように取り組みを進めていくのか、御所見をお伺いします。
 以上、みらい福岡市議団を代表して質問してまいりましたが、冒頭でも申し上げたように、我が国の経済情勢は、アベノミクス効果で回復の兆しがあるものの、いまだ先行きは見えません。また、国家の財政事情も非常に厳しい状況が続いていくものと思われます。
 このような状況の中、福岡市が、今、到来しているチャンスを逃すことなく、しっかりとした市政運営を行い、日本経済を再生させる一翼を担っていく必要があります。人と自然が共生し、未来を担う子どもたちに夢と希望を与えるまち福岡を実現するためには、常に新たな時代の潮流を的確に見きわめながら、事業の選択と集中をさらに進め、持続可能な財政構造を確立しなくてはなりません。
 高島市長におかれましては、若さとより強力なリーダーシップを最大限発揮し、財政規律を維持しつつ、福岡市の持続的な成長に向けて、政策推進と行財政改革に不退転の覚悟を持って取り組んでいただくようお願いし、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。


◯市長(高島宗一郎)登壇 ただいま、みらい福岡市議団を代表して、笠議員より御質問いただきましたので、まず、私から御答弁させていただきます。
 最初に、行財政改革の推進についての御質問にお答えをいたします。
 行財政改革につきましては、扶助費などの社会保障関係費が引き続き増加するなど、福岡市の財政が依然として楽観できる状況にない中にあっても、多くの市民の皆様とともに策定をした総合計画を着実に推進して、都市の成長と生活の質の向上の好循環をより確かなものとしていく必要がございます。
 そこで、政策推進プランを踏まえ、投資の選択と集中を図りつつ、行財政改革プランに基づいて、重要施策の推進などに必要な財源を確保するため、歳入の積極的な確保や経常的な経費の見直しを行うとともに、市債残高の縮減に向けた取り組みを引き続き進めてまいります。
 平成28年度予算案の編成に際しましては、市有財産の有効活用などによる歳入の確保や、特別会計、企業会計における経営の効率化などに取り組むことによって、新たに65億円の財源捻出を行っております。
 また、平成28年度末の満期一括積立金を除く全会計の市債残高につきましては、平成27年度末と比較をして、391億円縮減させる見込みであります。
 外郭団体につきましては、第3次外郭団体改革実行計画に基づき見直しを進めており、平成27年度までに福岡国際交流協会とよかトピア記念国際財団を統合し、福岡市防災協会を廃止したほか、外郭団体との随意契約のうち、およそ32億円分を競争性のある契約などへ移行したところであり、平成28年度はさらに、およそ6億円分の随意契約を見直すこととしております。
 今後とも、外部有識者の御意見も伺いながら、外郭団体で実施している事業の必要性や妥当性などについて、さらなる検証を行い、団体の縮小や統廃合を進めるとともに、福岡市からの派遣職員や補助金などの人的、財政的関与の最小化に取り組んでまいります。
 技能労務職に係る事務事業の見直しにつきましては、引き続き行財政改革プランに基づき、民間活力の導入などを図りながら、より適切な人員配置となるよう努めてまいります。
 補助金につきましては、補助金ガイドラインに基づき、積極的に公募化を図ること、終期の設定を行うこと、非公募とする場合や補助制度を延長する場合には、その理由をホームページなどでしっかり公開することによって、これらの見直しを進めてまいります。
 今後とも、将来にわたり持続可能な市政運営を目指して、職員の力を組織の力として最大限発揮できるよう、市役所一丸となって取り組んでまいります。
 次に、公共施設跡地の有効活用についてのお尋ねであります。
 福岡市が保有する財産につきましては、市民から負託された貴重な経営資源であり、最適な手法によって効果的に活用して、財源の確保を図っていくことが重要であるため、財産有効活用プランを踏まえ、民間事業者のノウハウも活用しながら、多様な手法によって財産の有効活用に取り組んでいるところでございます。
 公共施設跡地につきましては、市民ニーズや各跡地の特性などを踏まえ、財源確保の観点に加え、まちのにぎわいの創出や魅力の向上といったまちづくりの観点も取り入れながら、有効活用を推進してまいります。
 次に、子どもたちが夢を描けるまちについての御質問にお答えをいたします。
 まず、子育て支援の充実への取り組みにつきましては、増加し続ける保育ニーズに的確に対応するため、保育所の新設や増改築のほか、小規模保育事業の認可など、多様な手法によって1,800人分の整備を進めるとともに、休日保育や延長保育を拡充し、多様な保育サービスの充実を図ってまいります。
 また、保育士の確保に向けて、新たに潜在保育士の再就職のための就職準備金や保育料の一部の貸し付けなどを行うとともに、保育士の心の悩みや勤務条件の相談窓口を設置するなど、支援の充実に取り組んでまいります。
 私立幼稚園につきましては、多子世帯などに対する就園奨励費補助金を拡充するとともに、障がい児が通園する私立幼稚園に対して、専門機関の保育士が訪問し、助言を行う事業の充実を図ってまいります。
 ひとり親家庭への支援につきましては、就業による自立支援などの事業を引き続き実施するとともに、新たに高等職業訓練促進資金貸付事業を開始するなど、充実をしてまいります。
 今後とも、誰もが安心して子どもを生み育てることができるよう、子育ての支援にしっかりと取り組んでまいります。
 いじめ、不登校問題の対策など教育に関する御質問につきましては、後ほど教育委員会から御答弁いたします。
 次に、自然と人に優しいまちについての御質問にお答えをいたします。
 まず、高齢者に身近な場所での健康づくりにつきましては、介護予防教室や生き活き講座などを公民館や老人いこいの家などの身近な場所においても実施するとともに、高齢者がこれらの教室終了後も主体的に運動や仲間づくりを継続できるよう、自主活動グループへの活動費の助成などを引き続き行ってまいります。
 また、健康づくりや地域活動への高齢者の積極的な参加を促すための新たなインセンティブの導入について検討を進めてまいります。
 次に、地球環境の保全対策につきましては、平成28年度に新たな地球温暖化対策実行計画を策定し、二酸化炭素の排出削減を推進してまいります。
 また、PM2.5のわかりやすい情報発信に努めるとともに、市民、事業者、行政の適切な役割分担のもと、ごみのさらなる減量、リサイクルに取り組んでまいります。
 再生可能エネルギーの活用については、住宅用太陽光発電などへの助成を拡充し、その普及を図るなど、エネルギーをつくり、賢く使うまちづくりを推進してまいります。
 次に、市民や事業者との共働による公園の運営につきましては、地域による公園の利用のルールづくりと自律的な運営管理、民間事業者の参画の促進などによって、市民や企業との共働による魅力的な公園づくりに積極的に取り組んでまいります。
 次に、農水産業従事者の所得向上に向けた取り組みにつきましては、生産基盤の計画的な整備などによって、農水産物の生産の振興に努めてまいります。また、市内産農水産物の学校給食への活用などによる地産地消を推進するとともに、新しい青果市場、ベジフルスタジアムにおける青果物の安全、安心の確保や海外への輸出拡大などによる消費拡大に取り組んでまいります。あわせて、市内産農水産物を活用した特産品の開発、販売やブランド化、6次産業化の支援などによって、農水産業従事者の所得向上を図ってまいります。
 TPPにつきましては、国は総合的なTPP関連政策大綱を決定し、TPPの影響に関する国民の不安を払拭するよう努めるとともに、農林水産分野について所要の対策を講じることとしております。この動きを注視し、必要に応じて、その着実な実行などを国に求めてまいります。
 次に、市内の公共建築物等への地域産木材の利用促進につきましては、福岡市内の公共建築物等における木材の利用の促進に関する方針に基づき、公共建築物の木質化を推進するとともに、先進的な木材利用の事例を広く地場企業などへ情報発信し、地域産木材の利用促進に努めてまいります。
 次に、文化薫る洗練されたまちについての御質問にお答えをいたします。
 まず、伝統文化の振興の取り組みにつきましては、日本で唯一、福岡でしか確認されていない鴻臚館跡などの遺跡の整備を進めるとともに、博多松囃子、博多祇園山笠などの伝統行事や博多織、博多人形などの伝統工芸品を初め、地域で長く受け継がれてきた貴重な文化財や伝統文化をしっかりと継承できるよう支援を行ってまいります。
 また、市民を初め、福岡を訪れる観光客に向けて、観光情報サイト「よかなび」など、インターネットを活用した情報発信を行うとともに、実演や展示を通して伝統文化に接する場として、「博多町家」ふるさと館、はかた伝統工芸館などを活用し、PRに努めてまいります。
 今後とも、福岡の歴史や文化については後世に継承し、多くの市民の皆さんに親しんでいただくとともに、観光資源としての活用も図り、多くの人に楽しんでいただけるよう取り組んでまいります。
 次に、MICE機能強化の取り組みにつきましては、ライオンズクラブ国際大会を契機に、スマートフォンを活用した情報発信の拡充や飲食店での外国語対応に取り組むなど、外国人参加者の受け入れ環境の向上を図るとともに、ワンストップ体制で誘致から開催支援までを行うMeeting Place Fukuokaにおいて、IoTや水素エネルギーなどの重点分野で影響力を持つMICEアンバサダーと共同で誘致活動を行うなど、戦略的にMICEの誘致を推進してまいります。
 また、コンベンションゾーンにおいて、第2期展示場の整備などに取り組むとともに、ホテルやにぎわい施設などの誘致に取り組んで、MICE関連施設が一体的、機能的に配置されたオール・イン・ワンの早期実現を目指すなど、ハード、ソフトの両面からMICE機能を強化してまいります。
 次に、ウォーターフロント地区の再整備につきましては、供給力不足が顕在化をしているMICE機能や海のゲートウェイ機能の強化を図り、都心拠点間のアクセス性や回遊性を高め、日常的なにぎわいを創出することで、福岡市の成長エンジンとなる都心部の国際競争力の強化を図るとともに、市民や国内外の方々に親しまれる魅力的なウォーターフロントを実現するため、官民連携による事業化に向けて取り組みを進めてまいります。
 次に、東南アジアとの経済交流につきましては、成長が著しく、直行便で結ばれているシンガポールやタイなどを中心に、地場企業の海外展開支援、外国企業や観光客の誘致などを進めるため、福岡市の魅力や投資環境などの情報発信、外国企業や投資家、旅行会社やメディア関係者などを対象とするプロモーションなどを推進してまいります。
 文化交流につきましては、アジアのすぐれた文化の振興や相互理解を深めるため、福岡アジア文化賞、アジアフォーカス・福岡国際映画祭などのアジアンパーティ主要事業を実施するほか、アジア美術館におきましても、東南アジア10カ国を含むアジア諸地域の展覧会や交流事業の充実を図ってまいります。
 今後とも、民間や各国政府機関などと連携をしながら、成長著しい東南アジアとの経済交流、文化交流の充実強化を図り、アジアのリーダー都市を目指してまいります。
 次に、天神地区における公共空間等を生かした戦略的なまちづくりにつきましては、天神ビッグバンの始動から1年を迎え、民間開発が動き出したこの機を逃すことなく、人を中心とした、歩いて出かけたくなるまちの実現に向け、都心部交通施策の充実とあわせ、付加価値の高い建築物への建てかえ誘導や快適でぬくもりのある通りづくりなどによって、憩いやにぎわいを感じる公共空間を創出すべく、ハード、ソフトの両面から一体的に取り組んでまいります。
 次に、既存体育館の有効活用につきましては、平成27年10月から試行しております開館時間の延長や利用時間区分の変更について、現在、利用者のニーズなどを把握するため、アンケート調査を実施しており、今後、試行に対する満足度やその費用対効果などを総合的に検証し、利用者のサービス向上に向けた取り組みについて検討を進めてまいります。
 早良区における地域交流センターの整備につきましては、平成28年度に基本構想、基本計画を策定し、基本設計に着手するなど、早期整備に向け、事業を推進してまいります。
 また、多目的に使える運動公園の整備につきましては、全市的な適正配置の観点から進めており、調査検討を行ってまいります。
 次に、安全で安心して暮らせるまちについての御質問にお答えをいたします。
 まず、安全で快適な道路整備の推進につきましては、ユニバーサル都市・福岡の実現に向けて、生活道路の整備や道路のバリアフリー化など人優先の道づくりを進めていくとともに、都市の魅力に磨きをかけるため、主要幹線道路の整備や無電柱化、道路照明灯のLED化、さらには道路のアセットマネジメントを計画的に進めてまいります。
 周船寺インターのフルインター化につきましては、学術研究都市の形成、地域の交通課題などに対応するため、西九州自動車道と西部地域とのアクセス強化について、国や県を初めとする関係者と協議をしながら検討を進めてまいります。
 次に、防災・危機管理対策の取り組みにつきましては、将来の地域防災の担い手づくりのための中学生防災力アップ事業の実施や新たな災害時要援護者名簿づくり、津波ハザードマップの作成など、避難行動を支援するための対策を推進するとともに、引き続き職員研修、訓練などを通して、市職員の災害危機管理対応能力を向上させ、防災・危機管理体制の充実強化を図ってまいります。
 また、河川改修による治水対策につきましては、河川の流下能力の向上を図るため、護岸改修などを推進するとともに、2級河川については、管理する県に対して、改修及び適切な維持管理を引き続き要望してまいります。
 下水道による浸水対策につきましては、重点地区を定め、雨水対策を行う雨水整備Doプランに基づく整備を進めるとともに、天神周辺地区の雨水対策を強化する雨水整備レインボープランにより、流下型施設の整備に加え、雨水流出抑制施設の導入を進めてまいります。
 次に、西南部地域における公共交通の利便性の向上につきましては、わかりやすく使いやすい公共交通体系づくりを目指し、拠点駅などでのバスと鉄道の乗り継ぎ利便性向上や公共交通の利用促進などに取り組んでまいります。
 最後に、農山漁村地域など市街化調整区域につきましては、自然環境や優良農地、林地などの保全に努めるとともに、農林水産業の振興を図りながら、定住化促進の取り組みや開発許可制度の柔軟な運用による規制緩和を行い、新たな担い手の創出に向けた民間活力の導入を図るなど、地域と一体となって活性化に取り組んでまいります。
 以上、市政各般にわたり御答弁いたしましたが、承りました御意見、御提言に留意し、市民の代表である議会との対話を真摯に進めてまいります。
 私は、経済的な成長と安全、安心で質の高い暮らしのバランスがとれたコンパクトで持続可能な都市づくりを進め、人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市の実現を目指して、全力で市政運営に取り組んでまいります。よろしく御協力をお願いいたします。


◯教育長(酒井龍彦) 教育に関する御質問に対しまして、教育委員会からお答えいたします。
 まず、いじめ問題につきましては、全ての教職員が、いじめはどの学校でも、どの児童生徒でも起こり得ることを認識し、その根絶のために、保護者や地域と連携して取り組むことが必要であります。このため、学校では、学校、保護者、地域で構成するいじめ防止対策委員会などにおいて、指導のあり方や個別の事案の対応について協議し、取り組みの強化を図っております。
 不登校対策につきましては、小中連携教育の推進などの取り組みを行うとともに、不登校対応教員を中学校24校に配置し、引き続き支援体制づくりを行ってまいります。
 また、いじめ、不登校の未然防止や早期発見のためのQ−Uアンケートを、小学校4年生から中学校3年生までの全ての児童生徒に実施するとともに、児童生徒が主体となったいじめゼロサミットを初めとするいじめゼロプロジェクトを継続して推進してまいります。
 次に、教員評価制度につきましては、教職員の資質、能力の向上や学校教育の活性化を図ることを目的として、全ての教職員を対象とした目標管理を実施しております。
 今後とも、教職員一人一人の能力や業績をより適切に評価できる制度となるよう、評価制度の充実、改善に努めてまいります。
 指導力に課題を有する教職員については、指導力の向上を図るため、教育センターの研修指導員が学校を訪問するなど、個別指導を継続的に実施しております。また、指導が不適切であると認定した教職員に対しましては、法定の指導改善研修を実施し、それでもなお十分な改善が見られない場合は、免職その他の必要な措置を講じることとしております。
 今後とも、学校長との連携を深め、個々の教職員の指導力の状況に応じて、早期に指導、支援を行い、指導力の向上に努めてまいります。以上でございます。