国分 議員の質疑と答弁

◯国分委員 みらい福岡市議団を代表し、28年度予算に関して、子ども食堂について、南区の交通対策について、国際スポーツ大会の開催について、以上3点について質問する。まず、子ども食堂について、おととし国が発表した子どもの貧困率は16.3%と過去最悪を更新した。子どもの貧困率とは、一定の手取り収入を下回る世帯で生活している子どもの割合である。例えば母親と子どもの2人世帯なら年173万円、月にして約14万円、3人世帯なら年211万円、月にして約17万〜18万円、4人世帯なら年244万円、月にして約20万円が目安となる。それよりも低い収入で生活をしている子どもたちが実に6人に1人もいるということである。このような状況を踏まえ、子供の貧困対策に関する大綱の閣議決定、子供の未来応援国民運動の開始と、国の動きも本格化しており、子どもの貧困問題への注目が急速に高まっている。こうした中、最近よく報道されている深刻な問題がある。それは、十分に食事がとれない子どもたちの存在である。最近、ある新聞記事にあった見出しは、「母と子3人 所持金200円」というものであった。記事に出てくるのは、離婚して働き口を失った母親と3人の子どもたちで、食費を節約しぎりぎりの生活を送っており、母親の財布には小銭しかない。子どもたちは食べ物を十分に口にできず、おなか減ったよと繰り返す。この親子は子ども食堂という場所を訪れ、子どもたちはカレーライスを何杯もおかわりする。この子ども食堂は週に1度開かれており、母親は、子ども食堂に出会えてありがたい、生活が安定したら子ども食堂に寄附して支えたいと話したとのことである。今、この子ども食堂というものが全国で急速に広まりつつある。子どもたちに無料または低価格で食事を提供する活動で、ほとんどは地域のボランティアやNPOなどの手で運営されているようである。平成27年4月に発足した子ども食堂ネットワークのホームページを見ると、「今晩の御飯は僕1人なんだ、お母さんがお仕事の日はお弁当を買って食べるの、そんなとき、子どもが1人でも入れるのが子ども食堂です、栄養満点の温かい御飯をつくって待っているのは、近所のおじいちゃん、おばあちゃん、お姉さん、お兄さんたち」と書かれている。子ども食堂の開設が続いている背景には、最初に述べた貧困の問題と、それに加え保護者が生活や時間に追われ、子どもがひとりきりで御飯を食べる孤食や、カップ麺やお菓子などの簡素な食事で済まさざるを得ない状況などがあると思われる。昔言われていた鍵っ子は親が帰ってくれば一緒に晩御飯を食べられるが、孤食は鍵っ子よりも深刻な状態である。こうした状況には、例えば核家族化、そして共働き家庭やひとり親家庭の増加、さらには保護者の就労の不安定さや長時間労働、ダブルワークと呼ばれる仕事のかけ持ちなど、厳しい社会情勢を原因とし、さまざまな要素が関係しているものと思われる。子どもの貧困と言っても、この豊かな時代にそんな子が本当にいるのかとか、食べさせない親が悪いと思う人もいるが、現実に困っている子どもがいるのは事実であり、子どもたちには何の責任もない。地域の、我々大人が何とかしなければならない、子どもたちのために何かしたいという思いこそが、子ども食堂の広がりの原動力ではないか。九州でも子ども食堂の開設が相次いでおり、市内はもちろん、県内でも大野城市に2カ所、那珂川町に1カ所開設されたと聞く。そこで、まず市内にはどのくらいの子ども食堂が開設されているのか、現状を尋ねる。

△こども未来局長 福祉関係者等からのヒアリングや報道等の情報を総合すると、博多区に2カ所、中央区に2カ所、城南区に1カ所が開設されていることを把握している。

◯国分委員 市内でも既に数カ所開設されているとのことだが、市内、市外を問わず、子ども食堂がどのような活動を行い、どのように運営されているのか、また活動や内容に当たってどのような支援が求められているのか。

△こども未来局長 子ども食堂の活動内容はさまざまであり、子どもたちに温かい食事を提供することに加え、子どもたちが生きる力を身につけられるよう、例えば大人と一緒に調理をしたり、学習をしたりする活動を行っている場合もある。また、運営に関しては、開催頻度や食材、寄附金の集め方、料金設定など各団体で工夫しており、基本的には自立した運営が行われているが、継続して活動していくためには電気代、ガス代などが必要であり、企業や行政等の支援が必要との声もある。子ども食堂は、生きることの基本である食を通じて、子どもや子育て家庭を支える意義のある取り組みであり、本市としてもこうした活動と連携していくことが重要と考えている。

◯国分委員 本当に支援が必要な子どもや親は、社会の中で孤立しているとも言われる。子ども食堂は、そうした親子が地域とつながり、ひいては次の支援へとつながっていくきっかけにもなり得ると思われ、こうした活動と行政が連携していくことは非常に重要である。本市は子ども食堂への支援として、新たにどのような事業を立ち上げようとしているのか、28年度予算案にある子どもの食と居場所づくり支援事業の概要及び予算額を尋ねる。

△こども未来局長 子どもの食と居場所づくり支援事業は、NPOやボランティアなどが行う食事の提供と居場所づくりなどの活動に対し、運営経費の助成などの支援を行うものである。予算額は、運営経費の助成や事務費など430万円を計上している。

◯国分委員 食事の提供等の活動に経費を助成するとのことだが、どのくらいの数の団体等への助成を考えているのか、また助成を行う団体はどのように選ぶのか。

△こども未来局長 28年度は、既に実施している団体と新規に立ち上げる団体の中から、市内7カ所を目安に助成を考えている。選定については、広く団体等を公募し、食事の提供を行う頻度や規模、料金設定、食事の提供以外に行う活動などを提案してもらい、より子どもたちの支援につながるような事業に対して助成したいと考えている。

◯国分委員 ぜひ、しっかりと取り組まれたい。既に開設されている子ども食堂に関しては、利用者が非常に少ないという問題があり、その理由は、子ども食堂の存在が地域で知られていないためと思われる。行政が市内の子ども食堂の情報を集め、その情報を発信し、問い合わせに応じ、または既に子ども食堂を開設している団体や、これから開設しようとしている団体からの相談を受けるなど、子ども食堂に関する情報センターの機能を担っていく必要があると思うが、所見を尋ねる。

△こども未来局長 今後とも子ども食堂について市内の情報を集約するとともに、実施団体等とのネットワークを構築し、適切な情報提供、情報発信ができるよう、しっかりと検討を行っていく。

◯国分委員 情報提供、情報発信は行政が行うべき支援であり、しっかりと取り組まれたい。子ども食堂については、開設数がふえ、各地域でバランスよく展開されること、また、その存在が地域の子どもたちにきちんとPRされることが重要であり、学校を通じた全校生徒への呼びかけなどの取り組みや、子どもが1人だけでも入りやすい環境づくりなども検討する必要がある。多くの困窮する子どもたちの支援につなげるため、できる限り各地域、例えば校区ごとに子ども食堂を開設できるような方法を考えるなど、今後の支援に向けてはさまざまな課題も出てくる。子ども食堂は単に食事を提供するだけでなく、1人で食事しなければならない子どもに温かい居場所を提供したり、生活に追われている家庭を支えたりするなど、子どもの居場所づくりの役割を担うものである。行政としてその活動を支援することは意義があることであり、息の長い支援とするためにも、いきなり事業を本格展開するのではなく、28年度はモデル事業として位置づけ、スタートすべきではないか。まずはモデル事業として実施し、さまざまな課題を把握し、検証を行った上で、よりよい形で事業を拡大すべきと考えるが、最後に所見を尋ね、この質問を終わる。

△こども未来局長 子ども食堂の支援は、市としても初めての取り組みであり、実際に支援を行っていく中でさまざまな課題が出てくるものと考えている。よりよい形で事業を展開していくため、指摘のとおり、28年度はモデル事業と位置づけ実施する予定としており、その中で課題等の整理を行い、修正、改善等を加えながら次年度以降の展開を図っていきたい。

◯国分委員 次に、南区の交通対策について質問する。私は昨年の12月議会において、バス交通に関しての課題や、バスと鉄道の乗り継ぎの向上、バスの走行環境の向上、バス路線の休止、廃止の協議について質問し、バス交通の維持、拡充の取り組みは重要であり、バス交通の総合的な対策に積極的に取り組むとの答弁を受けた。7区の中で唯一地下鉄がない南区においては、バスが市民の重要な移動手段となっていることを改めて確認した上で質問していきたい。まず、過去3年間の全市及び、そのうち南区役所が実施する道路整備関連予算額を尋ねる。

△道路下水道局長 過去3年の全市の道路整備関連予算額は、26年度が約213億3,300万円、27年度が約204億6,000万円、28年度が約197億9,900万円である。そのうち、南区役所において生活道路の整備などを行う道路整備関連予算額は、26年度が約12億1,000万円、27年度が約10億9,500万円、28年度が約10億5,100万円である。

◯国分委員 南区のみならず全市の予算額も減少してきている。昨年12月議会での南区の交通対策についての質問に対し、市長からは、バスの走行環境の向上も含め、バス交通の総合的な対策に積極的に取り組むとの答弁がなされているが、どこにその配慮があるのか。予算だけが全てではないが、バス走行環境の取り組みを初め、道路整備を行うためには十分な予算が必要であると考えており、南区はもとより各区の道路整備予算の増額について、しっかりと配慮するよう市長に改めて強く要望しておく。南区の交通対策について具体的に質問していくが、まず昨年12月議会後における、南区のバスの走行環境の取り組み状況について尋ねる。

△道路下水道局長 26年度から実施していた、南区内の片側一車線道路のバス路線におけるバス停355カ所、交差点134カ所を対象としたバスの旅行速度調査や、バス運転手へのアンケート結果をもとに、平成27年12月議会以降、課題のあるバス停28カ所、交差点19カ所を抽出し、具体的な対策の検討を行っている。

◯国分委員 検討の結果、課題が明らかになったバス停28カ所及び交差点19カ所については、今後、バス停カットや交差点改良などの対策が実施されると考えているが、バス停カットや交差点改良を行う目的や取り組み内容、構造について尋ねる。

△道路下水道局長 バス停カットについては、バスの停車による後続車の交通阻害に対応するため、歩道に切り込みを入れバスの停車スペースを整備するもので、標準的な構造は長さ40メートル、幅員3.5メートルとなっている。また交差点改良については、右折車による直進車の交通阻害に対応するため右折レーンの設置を行うもので、標準的には長さ45メートル、幅員3メートルとなっている。いずれも道路構造令において定められており、道路や交通の状況などを踏まえ決定することとなっている。

◯国分委員 バス停カットや交差点改良は、一般車の交通の妨げになっている場所に適切に対応できる、効果が高い対策である。平成27年6月には自動車免許試験場前及び花畑2丁目バス停においてバス停カットが行われ、交差点の通過台数が増加し渋滞が短くなるなど、交通改善が見られている。バス停カットや交差点改良は引き続きスピード感を持って進めていく必要があるが、28年度の具体的な取り組み内容について尋ねる。

△道路下水道局長 28年度は、免許試験場入り口交差点などの改良に引き続き取り組むとともに、現在の道路幅員内での対応が可能な長住3丁目交差点の改良や、松本池バス停のバス停カットなどの事業化を予定している。

◯国分委員 28年度は現状の道路の幅で対応できる対策を実施するとのことだが、バス停カットや交差点改良にはある程度の道路用地が必要であり、用地取得し工事を実施することを考えると、対策が終わるまでにかなりの時間や費用がかかると考えられる。課題のあるバス停や交差点における今後の取り組みの考え方について尋ねる。

△道路下水道局長 事業効果を早期に発現できるよう、現在の道路幅員内で対応可能な箇所や、用地買収が必要であっても、補償の対象がブロック塀などの簡易な工作物で地権者の協力を得やすい箇所を優先的に進めることとしている。また、建物が支障になる箇所は、対象者との協議、移転などに日時を要することや、多大な用地補償費を要することから、整備にかかる期間や事業費なども踏まえながら検討していく。

◯国分委員 地権者と円滑かつ速やかに交渉を進められたい。バスの走行環境の向上は、公共交通をバスに頼る南区の市民にとって非常に重要な取り組みであり、しっかりと進めるべきと思うが、所見を尋ねる。

△道路下水道局長 南区におけるバス走行環境の向上については、現在事業中である免許試験場入り口交差点などの改良を推進するとともに、今回抽出した課題のあるバス停や交差点においても、事業効果や早期実現の可能性などを見きわめながら関係機関と協議を進め、バス停カットの整備や交差点改良などに、しっかりと取り組んでいく。

◯国分委員 引き続き、バス走行環境の向上にしっかりと取り組まれたい。前回の質問で西鉄高宮駅におけるバスと鉄道の乗り継ぎに関する課題を例に挙げたが、南区の最も東に位置する西鉄天神大牟田線の西鉄大橋駅の東口ではバスがロータリーへ乗り入れ、特に朝夕には通勤や通学などで多くの人が行き来している。一方、西口には店舗が多く集まっているが、バスの乗り入れは行われておらず、東口と西口では様子がかなり違う。西鉄大橋駅へのバス乗り入れに関する、大橋駅東口及び西口の整備の経緯について尋ねる。

△道路下水道局長 西鉄大橋駅の東口及び西口は、昭和46年度から着手した塩原地区土地区画整理事業において一体的に整備しており、東口については交通結節機能を高めるため、バス乗降場の整備を行うとともに、西口については既存商店街と駅との連携を高めるため、歩行者や自転車中心の道路整備などを行い、3年度に完了している。なお、西口については、平成19年に地域や商店街の代表、学識経験者、交通管理者などで構成する大橋駅西口周辺公共交通空間整備研究会において再整備のあり方などが検討された結果、バスは乗り入れず、歩行者に優しい人中心の安全、快適なまちとすることが確認されており、その趣旨を踏まえ、歩道のバリアフリー化などを行ってきたところである。

◯国分委員 19年度に地域や商店街の意見も聞きながら検討し、大橋駅の西口の再整備方針が決定されたとのことだが、今後も時代とともに地域を取り巻く環境や人の思いは変わっていくのではないか。再整備の結果、現在、駅の西口へのバスの乗り入れが難しくなっているが、今後の時代の流れを感じ取りながら、将来的には駅の西口に人を呼び込めるよう、駅の東西をスムーズに人が行き来できるように考えるべきである。駅の東口と西口の駅前広場を行き来するには、駅舎の中央の階段を通らなければならないが、買い物などの荷物を持ちながらの上り下りは大変であり、特に高齢者にとっては大きな負担となる。この段差を平らにすることができれば、バスを待っている間に西口商店街で買い物をするなど、駅の東西の回遊性が向上することにより、まちににぎわいを取り戻すことができる。今後、駅舎の改修に合わせてフラット化を行うなど、駅の東西の回遊性の向上や、駅の結節機能の強化の観点を視野に入れ、地域の意向を踏まえながら、活気あるまちづくりに取り組むよう要望し、この質問を終わる。次に、国際スポーツ大会の開催について質問する。先日、平成33年の国際水泳連盟世界選手権、通称世界水泳選手権の本市での開催が決定した。また、平成31年に日本で開催されるラグビーワールドカップについても、本市での試合開催が決定している。このように本市では、大規模なスポーツ大会や、東京オリンピック・パラリンピックのキャンプ地の招致など、スポーツに関する明るい話題が続いている。これは大変喜ばしいことであり、招致に成功した市当局の努力に敬意を表したい。しかし、開催の決定はある意味スタートでしかなく、今後、大会を成功させることはもちろん、大会の開催を通じて本市をさらに発展させ、市民にも広くその果実を享受してもらうことこそが大会開催の本当の意味での成功であり、求めるべきゴールである。こうした大規模な国際スポーツ大会の開催がもたらすさまざまな意義や効果を明らかにするとともに、市民がより身近に、よりわかりやすい形でその効果を感じられるよう取り組みを進めていく必要がある。まず、28年度予算案における、大規模な国際スポーツ大会の招致、開催に関する経費とその内訳を尋ねる。

△市民局長 大規模国際スポーツ大会の招致、開催に関する経費は、28年度予算案に約1億300万円を計上している。内訳は、ラグビーワールドカップ2019組織委員会への分担金や、機運醸成のためのイベント開催など、ラグビーワールドカップ関連の経費が約9,700万円、世界水泳選手権の開催に向けた機運醸成や準備など、スポーツコミッションに関する経緯が約600万円である。

◯国分委員 本市での開催が決定した世界水泳選手権の概要及び招致の経緯について説明されたい。

△市民局長 世界水泳選手権は1973年に初開催されて以来、現在では2年に1度、これまで16回開催されており、7月から8月にかけての17日間、競泳、シンクロナイズドスイミング、水球、飛び込みなど6種別が実施されている。2015年に開催されたロシアのカザン大会では、世界190の国と地域から2,413人の選手が参加し、延べ68億人がテレビで観戦したと言われている。招致の経緯については、平成27年12月議会において、2021年世界水泳選手権の開催都市に立候補する旨、市長が表明し、ハンガリーのブダペストで開催された国際水泳連盟理事会で市長を初め、鈴木大地スポーツ庁長官など、チーム福岡でプレゼンテーションを行い、カタールのドーハ並びに中国の南京を抑え、平成28年1月31日に開催都市に決定したものである。

◯国分委員 ラグビーワールドカップだけではなく、世界水泳選手権も非常に大規模な大会だということがわかる。世界有数の大都市であるカタールのドーハや中国の南京との競争に勝ち、これほどの大会を招致できた理由はどのように考えているのか。

△市民局長 本市が開催都市に決定した理由は、国際水泳連盟からは発表されていないが、本市が提案した、ウォーターフロントを中心にコンパクトなエリアでの開催を目指したコンセプトが評価されたものと考えている。また、2001年の世界水泳選手権福岡大会の成功など、これまでの大規模国際スポーツ大会開催の実績も高く評価されたと考えている。そして何より、市議会を初め、地元経済界や多くの市民から支援を受けたことが、今回の大きな成果につながったものと考えている。

◯国分委員 引き続き関係機関と連携しながら、大会の成功に向け取り組まれたい。現在、世界水泳選手権福岡大会をどのように開催する予定なのか、その概要を尋ねる。

△市民局長 マリンメッセ福岡などウォーターフロントを中心に、コンパクトなエリアで開催することを想定しており、前回の福岡大会で高く評価された仮設プールを今回も採用するなど、事業費の抑制にも努めていく。さらに、世界最高レベルの競技をより多くの市民に観戦してもらうことで、多くの感動がもたらされるよう努めていく。詳細については、今後、国際水泳連盟などの意見を聞きながら、開催計画、運営計画等を作成する中で検討していく。

◯国分委員 世界有数のスポーツ大会を成功させるため、平成13年の大会同様、多くの人員と予算を投じていくのは間違いないと思うが、税金を投じて開催するのであれば、当然それに見合うだけの大きな意義や成果がなければならない。ラグビーワールドカップや世界水泳選手権など、大規模なスポーツ大会を開催する意義や効果にはどのようなものがあると考えているのか。

△市民局長 大規模スポーツ大会の開催による意義や効果は大きく3つあり、第1に、世界最高レベルのプレーを間近で観戦したり、選手との交流事業に参加したりすることなどにより、青少年を初めとする市民がより一層スポーツに親しみを持ち、市民スポーツの振興につながること。第2に、大会や参加選手の話題などのニュースが全世界で配信されることにより、本市の知名度や都市ブランド力が向上すること。第3に、大会参加者や観客など多くの人が福岡を訪れることにより、地域経済の活性化につながることなどである。

◯国分委員 ラグビーワールドカップと世界水泳選手権、いずれの大会も国内外の都市との競争をかち取ったものであり、招致に成功した担当者の喜びは大変大きかったものと思うが、ここで忘れてはならないのは、開催すること自体が目的ではないということである。大会の開催をきっかけに、本市がよりすばらしい都市へと発展し、その恩恵を受け市民がより豊かで充実した生活を送れるようになること、そしてそのことを市民が実感できることが本来の目的である。先ほど、大規模国際スポーツ大会の開催により、これまで以上に市民がスポーツに親しみ、本市の都市のブランドが向上し、地域経済が活性化されるなどの意義、効果があるとの答弁があったが、ラグビーワールドカップ、世界水泳選手権のいずれも、世界的にも注目を浴びる大規模な国際スポーツ大会であり、こうした意義、効果も非常に大きなものと想像される。また、こうして次々に大規模な国際スポーツ大会が本市に招致できているのは、多くの市民のボランティアとしての協力や、来た人を迎え入れるおもてなしの温かさなど、福岡市民のレベルの高さが評価されているとも聞いている。そうであればなおのこと、そこから生まれた成果、つまり果実は広く市民に還元されるべきである。果実は2つあり、一つは精神的、つまり心が豊かになるという果実、もう一つは物質的、つまり経済的に豊かになるという果実である。これら大規模スポーツ大会の開催を通し、福岡市民に対し、精神面及び経済面でそれぞれどのように具体的に果実を還元させるのか、市長の考えを聞き、質問を終わる。

△市長 2019年にラグビーのワールドカップ、2020年にオリンピック・パラリンピック、そして2021年世界水泳選手権と、3年連続で世界的なスポーツ界のビッグイベントが予定されており、そのうちの2つが本市で開催される。これらの大会や選手について、連日ニュースなどで報道、放送されることにより、市民が日々の生活を送るまちへの誇り、愛着へとつながっていくと考えている。また、子どもたちの目の前で世界記録が生まれたり、活躍している選手に握手をしてもらったりするなどの貴重な体験、経験ははかり知れないものがあり、今後、成長していく上での大きな糧になっていくと思う。さらに、2021年の世界水泳選手権では、世界中から1万数千人の選手、関係者が参加することが見込まれており、特にマスターズも開催されることが非常に経済的にも影響が大きく、政策投資銀行九州支店の試算によると、経済波及効果は310億円にも上り、本市の地域経済に潤いと活力をもたらすものと考えている。指摘のとおり、大規模スポーツ大会が開催されることで、本市をさらに発展させ、市民にも広くその果実を享受してもらえると考えており、今後とも多くの人々に夢や希望、感動を与え、市民の活力の源泉となるスポーツの振興にしっかりと取り組んでいく。