国分 議員の質問と答弁

○46番(国分徳彦)登壇 私は、みらい福岡市議団を代表して、来年度に向けた道路予算について、小中学校のエアコンの運用基準について、子ども食堂の支援の推進状況について、以上3点について質問いたします。当局の明快な回答を期待いたします。
 まず、来年度に向けた道路予算についてお尋ねします。
 現在、福岡市のまちづくりは、元気で住みやすいまちをさらに発展させ、都市の成長と生活の質の向上の好循環の実感を広く行き渡らせるよう取り組みが進められています。都市の成長としては、天神ビッグバンの推進を代表として、都心部やウォーターフロント地区において、大きな施策が動いています。
 また、福岡空港の滑走路増設や地下鉄七隈線の延伸事業など、将来を見据えた基盤整備が進められています。
 福岡市としては、福岡にお見えになった方々をもてなすなど、都市の成長に大きな予算がつぎ込まれており、イギリスのグローバル情報誌「モノクル」によると、平成28年には福岡市は世界の住みやすい都市第7位となるなど、平成20年の第17位から10ランクもアップしており、市長の描く都市の成長に向けての種まきの成果が大きく実を結ぼうとしています。
 国内だけではなく、世界中から福岡市を訪れた方々から、福岡はよいまちだと評価されており、私も含め、福岡市民にとって、福岡がよくなることは大変うれしく、また誇りに思います。
 しかしながら、福岡市は都心部だけではありません。実際に福岡で生活をしている市民はどのように感じているのでしょうか。自分の住んでいる身近なまちが、もっとよくなることを望んでいるのではないでしょうか。まさしく、もう一つの生活の質の向上の取り組みであり、より市民に身近な環境改善につながる生活道路の整備や維持管理ではないでしょうか。
 そこでまず、生活道路の現状についてどのように認識されているのか、お尋ねします。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目からは自席にて行います。
 
○道路下水道局長(二宮 潔) 生活道路についての認識でございますが、生活道路につきましては、さまざまな要望が数多く寄せられるなど、市民の方々の関心が非常に高く、市民に最も身近で生活を支える重要な基盤でございます。このようなことから、子どもから高齢者まで全ての人々が安全で快適に移動できるよう、歩道のフラット化や通学路の安全対策、また、老朽化する道路施設のアセットマネジメントの推進など、限られた予算を効果的に活用し、しっかりと整備や維持管理を進めていく必要があると認識しております。以上でございます。
 
○46番(国分徳彦) 道路整備は市民生活の重要な基盤であり、整備等の必要があるとのことですが、過去5年間の当初予算における道路整備予算全体と区役所事業の道路予算の推移はどうなっているのか、お尋ねいたします。
 
○道路下水道局長(二宮 潔) 道路整備予算の推移についてのお尋ねでございますが、過去5年間の当初予算における道路整備予算につきましては、平成24年度は約238億円、平成25年度は約229億円、平成26年度は約213億円、平成27年度は約205億円、平成28年度は約198億円となっております。
 また、そのうち区役所事業における道路整備予算につきましては、同じく当初予算ベースで、平成24年度は約78億円、平成25年度は約78億円、平成26年度は約78億円、平成27年度は約72億円、平成28年度は約71億円となっております。以上でございます。
 
○46番(国分徳彦) ただいま道路整備に係る予算の推移について答弁がありましたが、ここ5年間の道路整備予算全体及び区役所事業予算は減少の一途をたどっています。区役所事業予算については、道路整備予算全体の減少に比べると若干減少率は低くなっており、毎年厳しい財政状況の中で、道路下水道局におかれては精いっぱい予算を確保していただいているのではないかと思いますが、とても十分とは言えません。特に私が住む南区においては、7区の中で唯一地下鉄がなく、バスを初めとした自動車が通行する道路や身近な生活道路の整備など、いずれも南区市民が切に希望しており、市民の安全、安心な暮らしの基礎となる道路の整備や維持管理は特に重要であると考えております。
 現在の福岡市基本計画の実施計画である政策推進プランや行財政改革プランの取り組みにより、都市の成長は実を結ぼうとしていますが、今後は、より一層の生活の質の向上に目を向けるべきではないでしょうか。
 全市民に果実を行き渡らせることができるようにするためには、市民の安全、安心や生活の質の向上を図ることが非常に重要であります。生活道路の整備や維持管理の必要性について、総務企画局や財政局におかれては、いま一度道路下水道局とも十分連携して、次の福岡市のプランに反映させるとともに、市民に最も身近な道路予算の確保について、しっかりと配慮していただくよう強く要望いたしまして、この質問を終わります。
 次に、小中学校のエアコンの運用基準についてお尋ねします。
 ことしの夏は、昨年や一昨年に比べて猛暑が続き、例年以上に多くの方が熱中症で緊急搬送されました。福岡市内でも7月31日に熱中症の症状で緊急搬送された西区の高齢者が亡くなるという事案も発生しております。
 また、気象庁は先日、南米ペルー沖の海水温が下がり、世界的な異常気象の原因となるラニーニャ現象が発生したと見られ、冬にかけて続く可能性が高いと発表しました。ラニーニャ現象が起こると、冬は西高東低の気圧配置が強まり、気温が低くなる傾向があるそうです。
 そのような異常気象が続く中、ことしの夏休み期間に、ついに中学校のエアコンの整備が完了しました。いよいよ2学期から冷房が使用されることになりました。生徒や保護者からは、これまでの夏場は暑くてなかなか授業に集中できなかったけれど、これからは快適な教室で勉強ができる、その結果、学力の向上にもつながることが期待できるという声を聞いており、非常に喜ばれています。
 そこでまず、今回の学校施設空調整備事業の目的や事業対象など、その概要をお尋ねします。
 
○教育長(星子明夫) 空調整備事業の目的につきましては、夏の暑さから児童生徒の健康を守り、学習しやすい環境を整えるため、夏期の暑熱対策として、児童生徒が一日の大半を過ごす普通教室に空調設備を整備したものです。
 次に、事業対象につきましては、騒音対策として既に空調設備を整備していた学校を除く市立小中学校の全普通教室3,272教室で、平成27年度までに小学校及び離島の中学校を、28年度にその他の中学校を整備しております。以上です。
 
○46番(国分徳彦) 今回の学校施設空調整備事業により、市立の小中学校の全普通教室にエアコンが整備されました。今回のエアコンは、夏の暑さ対策として整備したということで、冷房使用によりやっと夏の学習環境が整ったと言えるわけです。
 ところで、福岡市ではこれまで冬場の暖房の使用が行われていません。夏場の暑さを解消するのと同じように、冬場の学習環境の改善にも留意する必要があると思います。
 御承知のとおり、文部科学省の学校環境衛生基準では、教室の温度は10度以上30度以下であることが望ましいとされています。
 教育委員会では、平成26年度と27年度に冬場の教室の温度調査を行ったそうですが、その調査の結果、小中学校のそれぞれ授業時間中に10度未満が測定された学校と、それが5日以上あった学校の数をお尋ねします。
 
○教育長(星子明夫) 冬期の教室の温度調査につきましては、平成26年度及び27年度の1月と2月を調査期間として、全ての小中学校の教室の温度調査を行っております。授業時間中に摂氏10度未満が測定された日がある学校は、平成26年度は小学校124校、中学校30校で、27年度は小学校133校、中学校58校でした。
 次に、摂氏10度未満が測定された日が5日以上あった学校は、平成26年度は小学校46校、中学校5校で、27年度は小学校110校、中学校47校でございました。以上です。
 

○46番(国分徳彦) これまで、地球温暖化が進行し、長期的には暖冬傾向にあると言われています。しかしながら、今の答弁によりますと、実際に学校環境衛生基準で望ましいとされる10度以上の基準を満たさない温度を記録した学校がかなりの数に上っています。
 また、平成27年度の冬は、26年度と比べて教室温度が10度を下回る日が多くなっています。ことしの1月には記録的な寒波と大雪がありました。市立の小中学校は臨時休校となりましたが、やはり厳しい寒さの日は教室の温度がかなり低くなり、子どもたちが勉強に集中できないという状況になっているのではないでしょうか。
 また、先ほども申し上げたように、秋から冬にかけて異常気象となれば、ことしの冬はさらに厳しい寒さの日が続くのではないかと危惧しております。
 また、寒さによるインフルエンザの流行も心配です。やはり教室での暖房使用も必要ではないでしょうか。普通教室にエアコンの整備を完了している、または整備中の他都市の状況を見ても、どこも冷房と暖房の両方の運用を行っていると聞いています。何もないところに大きな予算をかけて暖房設備を整備するよう求めているわけではありません。せっかく整備したエアコンに暖房の機能もついているわけですから、これを有効活用して、子どもたちの学習環境の改善を図っていただきたいのです。
 もちろん、暖房の過度な使用は子どもたちの健康の面からもよくないことは理解しています。今回の空調整備事業の成果として、暑さが厳しい夏場だけでなく、寒さが厳しい冬場も含めた年間を通しての学習環境が改善されるよう、暖房使用に向けてしっかりと取り組んでいただくことを求めます。
 教育委員会は、冬場の教室の温度調査の結果を踏まえ、今こそ暖房使用の決断をするときではないでしょうか。子どもたちがさらに明るく健康で学習しやすい環境を整えるという趣旨で、この冬から教室のエアコンの暖房の運用を行っていただくよう強く要望をいたしまして、この質問を終わります。
 次に、子ども食堂の支援の進捗状況についてお尋ねします。
 私は、ことしの3月議会において、子ども食堂は、子どもに食事を提供するだけでなく、ひとりで食事をしなければならない子どもに温かい居場所を提供したり、生活に追われている家庭を支えるなど、子どもの居場所づくりとして大きな役割を果たしており、福岡市はこのような活動をしっかりと支援していくべきではないかと申し上げました。
 この子ども食堂の活動というのは、実は市民の善意の力、優しさの力、そして子どもたちを何とかしてあげたいという思いの力によって支えられています。したがって、福岡市内の子ども食堂の広がりは、我々福岡市民の善意の力をはかるバロメーターとも言えると私は考えています。
 福岡市としても、今年度からNPOやボランティア団体などの民間団体が行う子ども食堂に対する支援を始められました。
 そこでまず、福岡市の支援事業はどのような要件を設け、いつから募集し、何団体を支援することになったのか、また、支援事業の開始によりどのような効果があったのか、お尋ねいたします。
 

○こども未来局長(石橋正信) 今年度より新たに開始いたしました子どもの食と居場所づくり支援事業につきましては、原則、月2回以上、1回当たり3時間以上開催することや、食事の提供以外にも学習支援などの居場所づくりを行うことなどを要件といたしております。
 6月23日より1カ月間募集いたしましたところ、当初目安としていました市内7カ所を上回る14団体より応募があり、8月10日に、その14団体に対して補助金の交付決定を行ったところでございます。
 交付決定いたしました14団体のうち、新規に活動を始めた団体が9団体あり、また、既に活動していた団体についても、開催回数をふやしたところや新たに居場所機能を付加したところが見られるなど、市の事業実施を契機といたしまして、民間団体の活動が新たに始まったり、活動内容の充実強化が図られるなどの効果があったものと認識いたしております。以上でございます。
 
○46番(国分徳彦) 目安としていた7団体が14団体に拡大したことや、その14団体のうち、今回の補助制度をきっかけとして新たに取り組みを始めた団体が9団体もあるとのことであり、補助制度の創設が一定の効果を生んでいるようです。しかしながら、今後、各団体が運営されていく中で、さまざまな課題が浮かび上がってくるものと思われます。
 私が3月に申し上げたとおり、いきなり支援事業を本格的に実施するのではなく、平成28年度はあくまでモデル事業として位置づけ、子ども食堂の運営に関する課題をしっかりと把握し、整理を行った上で、よりよい事業とすべきと思います。
 そこで、今後、福岡市は支援する子ども食堂の運営に関する課題の把握や整理などをどのように進めていくのか、お尋ねします。
 

○こども未来局長(石橋正信) 国分議員御指摘のとおり、本市といたしましても、今年度はモデル事業と位置づけて実施しておりまして、まずは市と実施団体で情報交換の機会を設け、運営上の課題や今後の改善事項などについて情報の把握に努めてまいります。
 また、あわせまして、スクールソーシャルワーカーや民生委員・児童委員の皆様などから、地域や現場の声も伺ってまいります。
 このような取り組みにより、子どもの食と居場所づくりの支援に当たっての課題を的確に把握し、課題の整理を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○46番(国分徳彦) ぜひともしっかりと課題の把握等に努めていただきたい。ここで、子ども食堂の支援に対して2つ意見を申し上げたい。
 まずは子ども食堂のあり方についてです。
 子ども食堂の取り組みについては、近年マスコミで報じられる機会がふえており、関心も非常に高まっている一方で、子ども食堂イコール貧しい家庭の子どもが行くところとイメージされることで、本当に支援を必要とする子どもたちまで足が遠のいてしまうのではないかと危惧しています。
 また、子どもがひとりぼっちで御飯を食べる孤食も大きな問題です。孤食の場合、食事はとれているものの、親や兄弟などの家族との団らんもなく、寂しい食事をしています。子どもたちが楽しく食事をとり、地域とのつながりを持ち、家庭的な雰囲気の中で見守り支えてもらうためにも、ぜひ孤食の子どもたちもしっかりと支援していただきたいと思います。
 地域によっては、子どもだけでなく、家でひとりで食事をしている高齢者も対象に、食事の提供を行う取り組みもあると聞いています。こうした場では、地域の中で世代を超えた交流が行われています。地域の実情に即したさまざまな取り組みについて、福岡市としても柔軟に支援していただくようなことも、今後、検討をお願いしたいと思います。
 もう1つは、子ども食堂の活動拠点の数についてです。
 将来のある子どもたちにとって、食事というのは必要不可欠です。さまざまな事情で十分な食事がとれていない子どもたちや現実に食事に困っている子どもたちがいる状況について、食べさせないのは親の責任だなどということで片づけられるものではありません。子どもたちには何の責任もないのです。子どもたちの成長を地域社会の中で支え、見守っていこうとする動きも大切にしていかなければなりません。
 今回、福岡市の支援事業により、14団体が活動することになり、それはそれですばらしいことですが、14カ所だけではとても支援の必要な子どもたち全てのお腹と心を満たすことはできません。子ども食堂の活動で大切なのは、取り組みが市内全域に広がっていくことです。NPOやボランティア団体と同様に、地域に貢献したいと考えている企業もたくさんあります。取り組みを広めていくには、そのような企業にも積極的にかかわっていただくことが必要だと思います。福岡市は、その善意をしっかりと受けとめ、企業などにもお願いをして、子ども食堂の輪を広げていくことを考えてもいいのではないでしょうか。そうすれば、子ども食堂の活動は市内のあちこちでさまざまな担い手があらわれ、さらに広がりを見せることになるでしょう。将来的には、市内全域で子ども食堂の活動がなされていることが私の理想とするところです。今後、子どもたちにとって利用しやすい環境となるよう、福岡市としてもより積極的な支援をお願いしたいと思います。
 最後に、福岡市は子どもの食と居場所づくり支援事業の今後の方向性についてどのように考えておられるのか伺って、私の質問を終わらせていただきます。
 
○こども未来局長(石橋正信) 子どもの食と居場所づくり支援事業につきましては、今年度はモデル事業として位置づけ、事業の実施団体との意見交換等を通じまして、課題の整理をしっかりと行ってまいりたいと考えております。
 国分議員御指摘のとおり、この取り組みは市民の善意、優しさ、そして子どもたちに対する思いに支えられて成り立っているものと認識いたしております。
 本市といたしましては、今後とも、そのような市民の善意を大切にし、より多くの担い手によって子どもたちを見守り支える活動が広がっていくよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。