浜崎 議員の質疑と答弁

◯浜崎委員 みらい福岡市議団を代表し、市債の状況について、農林水産物を活用した特産品づくりについて、障がい者スポーツについて質問する。まず、市債の状況について、27年度決算において、歳入では、一般会計における市税収入額が3年連続で過去最高額を更新し、市税収入率においても6年連続で向上し97.9%となり、地方消費税交付金が大幅に増加したと報告があった。また、歳出に関しても、多岐にわたる行財政改革により、収支は一般会計と特別会計を合わせ199億9,143万円の黒字となっている。また、全会計ベースの市債残高は11年連続で減少していることは評価できるが、臨時財政対策債への不安は残り、将来世代に過度な負担を残さないようにするために、可能な限り市債残高の縮減に取り組むことは重要であると考える。今後においても、少子・高齢化による社会保障関係費の増加や公共施設の更新など、依然、多額の財政負担を要する状況下にあることは間違いないところであり、地方債による資金調達に当たっては、真に必要な事業に必要な額だけを起債しなければならないと考えるが、制度上、どのような場合に地方債による資金調達ができるのか。

△財政局長 地方債の発行により資金を調達することができる経費については、地方財政法等に基づき、公共施設や公用施設の建設事業費、災害応急事業費、臨時財政対策債等に限定されている。

◯浜崎委員 地方債による資金調達の役割やメリットは何か。

△財政局長 地方債が果たす主な機能については、単年度に一定の財政負担を伴う公共施設整備事業等について、地方債で所要の資金を調達することにより、当該事業の財源と円滑な執行を確保することができるとともに、その財政負担を後年度に平準化することで、その施設を利用して便益を受けることとなる将来の住民と現在の住民で負担を分かち合い、世代間の公平を確保することができることである。

◯浜崎委員 地方債の役割の一つが、将来の住民と現在の住民で負担を分かち合い、世代間の公平を確保することにあるとのことだが、地方債の償還期間は一般的に30年と聞いている。しかし、鉄筋コンクリート造の橋の耐用年数は60年と言われるなど、地方債の償還期間よりも長いものがあることから、これらに対する対策が必要と考えるが、所見を伺う。

△財政局長 27年度に、地方公営企業債の一部について、施設の耐用年数等を踏まえ償還年限の延長が図られているが、施設の耐用年数に応じた償還年限となっていない場合もあることから、弾力的な運用を行うよう国に要望しているところである。

◯浜崎委員 地方債による資金調達を行う場合、国や都道府県に対し、どのような手続が必要になるのか。

△財政局長 地方債により資金を調達しようとする経費の内容や発行団体の財政指標等により、国や都道府県の関与の有無や内容は異なるが、地方債を発行しようとする団体は、原則として国や都道府県に協議等を行うこととなっている。

◯浜崎委員 27年度決算における一般会計、特別会計及び企業会計の市債発行額は幾らか。また、地方債について、一般会計については臨時財政対策債を除く事業区分ごと、特別会計及び企業会計については会計区分ごとに比較した起債額の上位5事業と金額を尋ねる。

△財政局長 27年度の新発債発行額については、一般会計が約742億円、17の特別会計が約168億円、企業会計が約299億円となっている。また、発行額が多い事業区分、会計区分と発行額について、臨時財政対策債を除いて多い順に5つ挙げると、下水道事業会計債約183億円、中央卸売市場特別会計債約92億円、教育債約82億円、都市計画債約69億円、土木債約66億円となっている。

◯浜崎委員 市民の生活に欠かせない施設やインフラ整備に活用されており、納得できるところもあるが、地方債による資金調達の抑制は市債残高の縮減につながり、長い目で見ると将来の公債費、いわゆる義務的経費の抑制にも貢献し、結果的に財政運営の機動性にも影響を及ぼすものではないかと考える。27年度決算における満期一括積立金を除く全会計ベースの市債残高は幾らか。また、26年度決算額と比較した増減額を尋ねる。

△財政局長 27年度末の満期一括積立金を除く全会計ベースの市債残高については、約2兆2,159億円となっており、26年度末残高の約2兆2,439億円と比較して、約280億円の減となっている。

◯浜崎委員 市債残高のピークが平成16年で、その後11年間で約3,700億円、年平均340億円の縮減をしたという実績は一定の評価ができる。また、地方債による資金調達の役割や必要性も十分理解できるが、将来に過度な負担を残すわけにはいかない。今後、市債残高の縮減をどのように行うのか。

△財政局長 中長期的な市債残高の縮減に向けては、事業の費用対効果をしっかりと見きわめるとともに、国や県からの補助金等の財源を最大限活用するなど、可能な限り市債に依存しない財源構成とし、臨時財政対策債については、発行可能額に対して可能な限り発行を抑制するなど、市債発行額の抑制に取り組んでいきたいと考えている。

◯浜崎委員 次に、農林水産物を活用した特産品づくりについて、27年度主要施策の成果説明書では水産業費の決算額が予算額の46.9%となっているが、理由を尋ねる。

△農林水産局長 水産業費の執行率が46.9%となっている理由については、予算額10億円の市漁業協同組合への経営基盤強化のための貸付金が、同組合の経営改善の取り組みにより5億円で済んだこと、さらに、漁船、漁具及び漁業施設等の取得または改善等に要する融資金で予算額15億9,400万円の水産業金融資金が、漁業者の高齢化や後継者不足などにより、新たな漁船、漁具などへの資金需要が高まっていないことなどから、借入額が2億7,500万円となったことが挙げられる。

◯浜崎委員 近年、鮮魚市場の取扱量が減っていると聞くが、外国籍の漁業船が日本近海の魚を一網打尽にしていく様子が報道されるなど、漁業を取り巻く環境はとても厳しいと感じており、このままでは、日本の、そして本市の水産業は減少の一途をたどるのではないかと危惧している。水産業振興費の漁業基盤整備費に、つくり育てる漁業推進費があるが、どのような事業なのか。

△農林水産局長 つくり育てる漁業推進費の事業内容については、栽培漁業推進事業として水産資源の維持、増大を図り、持続的な漁業生産活動を支えるために、アサリ、アワビ、アカウニ、クルマエビなどの稚魚や稚貝の放流を行っている。また、栽培漁業を推進するために技術指導員を配置している。

◯浜崎委員 魚などは広い大海原を泳いでどこへでも行けるため、貝類以外は放流という方法が正しいのか疑問である。放流するからには明らかな成果を出さなければいけないと思うが、どこにどのような方法で放流しているのか。

△農林水産局長 アワビ、クルマエビなどの稚魚や稚貝は、博多湾を中心とする漁業権が設定された海域に放流しているが、放流する際には、魚類等による食害を避け、歩どまりを上げることが重要である。このため、アワビの場合は、漁業者が潜水により確実に岩礁に吸着できるように放流したり、クルマエビの場合は、稚エビが速やかに砂に潜れるように、かごに入れ海底付近で放流するなどの工夫を行っている。

◯浜崎委員 二枚貝完全養殖チャレンジ事業の現状と今後の発展性について尋ねる。

△農林水産局長 二枚貝完全養殖チャレンジ事業は、アサリの陸上での完全養殖を目指し、種苗や稚貝、母貝の育成を行い、アサリの産卵サイクルの可能性について調査、試験を行っているものである。平成27年7月に20万個の種苗と5,000個の成貝を投入し、そのうち種苗は、平成28年8月末の時点で約3万個が2.5センチメートル程度にまで成長している。また、成貝からは、平成27年の秋とことしの春に産卵があり、現在、秋産卵の約10万個が1.5センチメートル程度に成長し、春産卵の約50万個が1ミリメートル程度に成長している。育成過程では、自然淘汰による育成数の減少も見られたが、今後は完全養殖の早期実現を目指すとともに、洋上養殖への拡大や育成した種苗の博多湾への放流によるアサリの生産量の増加などにより、漁業者の所得の向上や雇用の場の創出につなげていきたいと考えている。

◯浜崎委員 市政報告会等で、博多湾でとれた唐泊の恵比寿かきが第1回かき日本一決定戦で準優勝し、毎日香港に空輸され、超高級ホテルでも提供されていると伝えている。27年度は、生産量約69トンのうち約1.2トンが唐泊恵比寿かきと表示され、香港に輸出されているとのことであり、長浜の鮮魚市場では卸値がキロ当たり800円と、他の生産地のカキよりも高値で取引されていると聞いている。友人の輸出入業者と香港のバイヤーを唐泊に連れていき、バイヤーに唐泊のカキを食べさせたところ、塩分がとても控え目で生食でも食べやすい、また、粒も大きく中華料理の味つけにはとても向いているカキだと言われ、そこから輸出などに発展したようである。しかし、私たちがカキ小屋に行くときは、糸島のほうが圧倒的に多く、テレビや雑誌で取り上げられることも糸島のほうが圧倒的に多い。糸島のカキに負けないくらい品質がよく、おいしい恵比寿かきであり、もっと広報が必要だと考えるが、所見を伺う。

△農林水産局長 これまで、唐泊のカキ小屋のオープンに合わせて、市政だよりや市漁業協同組合のホームページなどで周知するとともに、観光ガイドブックや観光マップなどにも唐泊恵比寿かきの魅力や情報を掲載してきたところである。さらに、福岡マラソンのプレイベントや東京ハーヴェストなどの関東圏での食のイベントにも出展し、PRを行っている。唐泊恵比寿かきは、市漁業協同組合が取り組む唯一のブランドカキであるため、同組合と連携しながら、さらなる認知度の向上に向けて広報の充実強化に努めていく。

◯浜崎委員 本市では、米、イチゴ、トマト、キャベツなどの農産物が生産されていることは認識しているが、畜産物の生産はどのようなものがあるのか。

△農林水産局長 市内における畜産業としては、酪農、肥育、養鶏が営まれており、畜産物として牛乳、牛肉、鶏肉、鶏卵が生産されている。

◯浜崎委員 人口155万人の大都市にあって、多種多様な水産物、農産物、畜産物が生産されていることは本市の大きな強みである。この豊かな自然の恵みである農林水産物を生かした特産品をつくり出していくことは、このまちのブランディングに必要な取り組みであり、ぜひ力を入れてほしいが、27年度の市内産農畜産物6次産業化推進事業の決算額と具体的な取り組み内容を尋ねる。

△農林水産局長 市内産農畜産物6次産業化推進事業の27年度決算額は180万2,000円余で、本市、福岡県、JA福岡市、JA福岡市東部、福岡商工会議所で構成される市内産6次産業化プロジェクト会議への負担金である。具体的な取り組み内容については、市内産トマトを使用したゼリーや市内産米を使用したライスコロッケの試作品の開発を支援するとともに、これまでに開発された6次化商品の販売促進や商品を紹介している市のホームページのリニューアル、情報誌への公告掲載、販売促進イベントへの出展費用の助成などを行っている。

◯浜崎委員 トマトにはリコピンが含まれ、善玉コレステロールや糖尿病に効くことから、保健福祉局と連携し、本市で住民票の交付を受けたり、図書館で本を借りればトマトゼリーがもらえるなどの取り組みにより、トマト農家がふえて耕作放棄地が減り、それが本市から県に広まり、TPPにより世界中に本市のトマトゼリーが普及していけばよいと思う。今後さらに力を入れ、福岡名産を次々につくり出すことを期待しており、それらの特産品が全国や海外からの来訪者へ本市の魅力を伝える媒体となり、インバウンド需要を取り込み、本市のMICEのさらなる発展に寄与することを望む。国においては、TPP対策として攻めの農林水産業への転換を打ち出しており、本市においても、漁業者や農業者の担い手育成にもつながる力強い農林水産業の実現に向けて、さらなる発展が必要であると痛切に感じるが、今後の意気込みと取り組みについて尋ねる。

△農林水産局長 本市の農林水産業は、従事者の減少や高齢化、担い手不足などの課題を抱えており、農林水産業が将来にわたって発展していくためには、農業者、漁業者の所得の向上を図ることにより、新たな担い手を確保していくことが欠かせないと考えている。そのため、6次産業化やブランド化など、付加価値を高める生産者の取り組みを支援するとともに、地産地消の推進による消費の拡大や海外輸出による販路拡大を進めるなど、農林水産業が活性化し、持続的に発展するようにしっかり取り組んでいく。

◯浜崎委員 次に、障がい者スポーツについて、先日、リオデジャネイロで開催されたオリンピック・パラリンピックが閉幕したが、日本人選手の大活躍に感動したことが今でも思い出される。中でも、パラリンピックに出場した選手の生い立ちやスポーツにかける気持ち、打ち込む姿勢、支えてくれる周りの人々とのきずななどの話を聞き、感動で目頭が熱くなった。障がい者スポーツの振興は、障がいを持つ人にとって夢と希望を持つことができるとても大切なものである。福岡にも、たくさんの障がい者アスリートがいると思うが、本市からリオ2016パラリンピックに出場した選手を尋ねる。

△保健福祉局長 車椅子マラソンの山本浩之選手、車椅子テニスの川野将太選手、ゴールボールの浦田理恵選手と小宮正江選手の4名である。

◯浜崎委員 27年度の障がい者スポーツ関連事業の決算額及び事業内容を尋ねる。

△保健福祉局長 27年度の障がい者スポーツ関連事業については、市障がい者スポーツ大会や全国障がい者ボウリング大会などを実施している障がい者スポーツ・レクリエーションの振興費として3,122万4,000円、心身障がい者のスポーツ及びレクリエーション活動への参加を促進することなどを目的に設置している市立障がい者スポーツセンターの運営費として1億9,184万3,000円となっている。

◯浜崎委員 2020年の東京オリンピック・パラリンピックが行われようとしている今、障がいを持っていて、何もスポーツをしていない人やもっとキャリアを積みたい人、あるいは小さな子どもで、これからスポーツに挑む人も多くいると思うが、自分の障がいでどのようなスポーツに挑戦できるのかなど、適切なアドバイスやスポーツに取り組むきっかけづくりが必要と感じる。本市では、リオ2016パラリンピックに出場した選手とのかかわりや、これからパラリンピックを目指す人々のために、どのような取り組みを行っているのか。また、9月20日の朝刊に、「来たれ、未来のパラ選手」として、11月5日にアクシオン福岡にて、日本パラリンピック委員会主催による、九州では初めてのパラリンピック日本代表選手の発掘事業を行う記事が掲載されていたが、本市における今後の障がい者アスリート養成の方向性を尋ねる。

△保健福祉局長 障がい者スポーツについては、障がいのある人の健康増進などの観点から大変意義のあるものであり、本市においても、市立障がい者スポーツセンターの運営や各種の障がい者スポーツ大会などを実施しているところである。障がい者スポーツセンターでは、一般の障がい者向けのスポーツ教室や大会を実施しているが、より高いレベルを目指す人には、選手の育成及び強化として、水泳、陸上などのアスリート教室を開催しており、さらに、全国パラ陸上競技連盟普及委員を務め、さきのリオ2016パラリンピックの陸上競技放送の解説もされた全国レベルの運動指導員がおり、この運動指導員による助言や指導なども行われている。なお、本市から今回のリオ2016パラリンピックに出場した選手の中にも、トレーニング場として同センターを利用し、同運動指導員からの指導などを受けた選手もいると聞いている。障がい者スポーツに関しては、今後とも、競技人口や競技種目、競技団体を広げるとともに、高いレベルを目指す選手の練習環境が整えられるよう、引き続き関係機関、団体と役割の分担、あるいは事業の調整を行い、十分に連携しながら取り組んでいきたいと考えている。

◯浜崎委員 2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、さまざまな健常者のスポーツ研究が活発になっている今、障がい者スポーツもより活発になることが望まれる。本市には、障がい者スポーツセンターがあるが、築30年以上が経過し、設備が老朽化していると聞いている。市内唯一の障がい者専用の体育施設であり、障がい者スポーツの拠点でもあることから、この機能の維持、更新は、スポーツに打ち込んでいる障がいのある人たちも望まれているところであり、将来の建てかえも視野に入れるべきである。一方、西日本では、数年前に和歌山県立医科大学が高い専門性を持った機関を開校しており、障がい者スポーツ日本代表選手の公式医療機関としての指定も受け、高速度カメラ14台を備えた3次元動作を解析できる装置や地球上の全ての気候を人工で再現する部屋など、最先端の医科学に関する設備を導入している。また、障がい者スポーツの発展には、こうした専門の施設のみならず、選手の発掘と育成のために障がい者スポーツ人口の裾野を広げることや、障がいに関する専門性を持った指導者の養成、さらには介助者や支援者の養成も必要である。リオ2016パラリンピックの女子マラソン銀メダリストの道下美里選手も、大濠公園で日々練習を重ねる上で、伴走者やコーチ陣など多くの支援者とともに努力した結果、銀メダルが獲得できたと聞いている。本市が、障がいを持つ人々が夢と希望を持ち、スポーツに打ち込みながら過ごせるまちとなるためには、世界レベルを見据えた障がい者スポーツの振興が必要と思うが、市長の所見を伺う。

△市長 障がい者スポーツについては、障がいのある人のリハビリや健康の増進、社会参加の促進を図るとともに、さらには生きがいづくり、充実した生活の実現など、生活の質を高めるために非常に意義のあるものと認識しており、世界レベルで活躍する選手が出てくることは、障がいのある人にとって、夢と希望を与え励みになるものである。世界レベルのアスリートの養成については、専門的な技術や指導が必要であり、障がい者スポーツの関係機関や団体と一緒になって取り組んでいく必要がある。本市としては、一人でも多くの障がいのある人がスポーツに触れる場と機会を確保し、その関心を高めるとともに技術のレベルが向上できるよう、今後もしっかり取り組んでいきたいと考えている。