三角 議員の質疑と答弁

◯三角委員 みらい福岡市議団を代表して、27年度決算に関し、緑資産の有効活用について、財政健全化に向けた取り組みについて、以上2点について尋ねる。まず、緑資産の有効活用について、本市では、財政健全化の観点からも、市が保有する公有財産を資産として捉え、あらゆる財産の有効活用を推進するため、その取り組みの指針となる福岡市財産有効活用プランを平成25年10月に策定している。このプランの策定以降、各部局においては、未利用地の売却、行政財産の積極的な貸し付け、駐車場の有料化、施設の維持管理費の捻出など、資産の有効活用を図るためのさまざまな取り組みが推進されている。この取り組みは、本市の財政状況が厳しい中、市民の大切な財産の価値を高めるという点において、大いに推進すべき政策であり、本市における公有財産の中で最も数の多い公園においても例外なく推進すべきと考えている。公園は、都市の魅力を高め、競争力を持った福岡市をつくり上げていくためにも非常に重要な都市施設であり、人々の豊かな生活を生み出していくために、多様な役割を担っていくことが必要である。歳入確保と歳出削減などの財政健全化を見据え、資産の有効活用にさらに力を入れていく必要があると考えるが、公園などの緑資産の有効活用について基本的な考え方を尋ねる。

△住宅都市局長 公園や街路樹などの緑資産の有効活用については、限られた財源の中で社会状況の変化や市民の多様なニーズに的確に対応していく必要があるため、これまでのつくる、守るの視点だけではなく、生かす、育てるという観点から、市民との共働や資産価値の向上などを柱とする、福岡市みどり経営基本方針を、平成28年3月に策定した。この基本方針に基づき、公園の管理、運営及び活用のための仕組みづくりや民間活力の導入による利用者サービスの向上などにより、地域コミュニティの活性化、都市のにぎわいや活力の創出などに取り組んでいきたい。

◯三角委員 緑資産の代表ともいえる公園の有効活用に関して、27年度の主な取り組みと決算額を尋ねる。

△住宅都市局長 緑資産のうち、公園の有効活用に関する27年度の主な取り組みについては、アイランドシティ中央公園の駐車場の有料化に係る設計及び工事費として1,778万円余、地域による公園の利用ルールづくりに対する支援など361万円余、また、水上公園の再整備に係る調査設計など572万円余となっている。

◯三角委員 公園を緑資産と捉え、有効活用を図るという考え方は、今後の公園のあり方を考える上で非常に重要な視点だと思っている。前半の総会質疑において、先ほどの答弁にあった水上公園に関する当局の答弁が理解しづらかったため、あえて質問する。水上公園は、天神ビッグバンの東のゲートに位置づけられており、今回民間活力を導入し、水辺空間の眺望を楽しむことができる貴重な空間を整備しており、連日多くの市民でにぎわうなど、市民に喜ばれる施設ができたと思っていた。水上公園は大きな公園ではないが、都心における貴重なオープンスペースであり、避難場所確保の観点からも貴重な空間であるが、大きな建物によりオープンスペースが少なくなってしまったという議論がなされた。そのやりとりを聞く中で、幾つか疑問を感じたため、改めて水上公園の区域や面積、公園内に建てられた建物の建蔽率について尋ねる。

△住宅都市局長 水上公園については、薬院新川を挟んだ向かいの旧西中洲公園と一体的な水辺の景観を有していることから、平成28年7月に統合し、全体面積は2,058平方メートルとなっている。これに対し、公園内の建物の建築面積は431.73平方メートルで、建蔽率は21.0%となっている。なお、本市において、河川の両側を一体的な都市公園と位置づけている事例は、この水上公園のほか室見川緑地や那珂川緑地、金屑川公園などがある。

◯三角委員 公園はレクリエーションの場、都市景観の向上、防災などさまざまな機能があるが、まずはオープンスペースの確保が最も重要なはずである。そこで、水上公園における公共オープンスペースの必要性と建蔽率の考え方について尋ねる。

△住宅都市局長 都市公園における公共オープンスペースについては、公園本来の機能としてその確保は重要であると考えている。そのため、公園施設の建蔽率については、都市公園法に基づき福岡市公園条例で上限を定めている。水上公園における建物は、上部空間全体が高い開放性を有し、ベンチに座っての休息や河川などの水辺の景観を楽しむことができる休養施設であり、特例措置も含め、条例に定める建蔽率の上限22%の範囲内で建築を認めているものである。その結果、水上公園においては、一定の公共オープンスペースを確保しながら、水辺の眺望を楽しむことができる貴重な空間が創出され、多くの市民や来街者などに喜ばれる魅力的な公園が実現できたと考えている。

◯三角委員 水上公園おける建物の建蔽率については、条例に定める範囲内であり、一定のオープンスペースは確保しつつ、市民に喜ばれる空間が創出されたとの答弁である。公園のそばを毎日のように通っているが、屋上部分がオープンスペースになっていることを聞いて、改めて認識したところである。屋上を活用してオープンスペースを確保するというアイデアは非常におもしろいものであり、今後も取り入れられることを期待している。次に、先日の総会質疑では、水上公園の再整備に当たって、水上公園と旧西中洲公園との統合の手続が、水上公園オープンの前日だったとの話であったが、これは手続上適正なのかという疑問を感じた。そもそも河川をまたいだ公園を統合してよいのか、統合できるのであれば事業者募集の前に統合の手続を行うべきではなかったのか、オープンの前日になったのは事業者のために慌てて手続を行ったのではないかなどと疑念を持たれても仕方がない。統合の手続は適正なものであったのか、所見を尋ねる。

△住宅都市局長 統合の手続に関しては、まず平成27年2月の事業者募集に際し、直近の西中洲公園を水上公園と一体的な公園として、福岡市公園条例第3条に基づく水上公園の区域の変更の公示を行う予定であるということに加え、建蔽率の上限22%についても、募集要項に明記している。その結果、4グループが応募し、外部委員も含めた選定委員会による審査に基づき、西鉄を代表企業とする共同企業体を選定したものである。水上公園と旧西中洲公園の統合については、都市公園法に基づき供用開始の前までに告示を行っており、適正な手続であると考えている。

◯三角委員 統合の手続が適正であるとの答弁だが、供用開始前であるのは事実であっても、供用開始の前日では疑念を持たれかねない。もっと早く手続を行うべきであり、また、このような事情は説明を聞いて初めてわかることから、議会への丁寧な説明が欠如していると思っている。今後このような事業を進めるに当たっては、市民に誤解のないよう対応するとともに、議会の場でもきちんと説明されたい。次に、事業者が本市に支払う賃料について、1平米当たり月900円は周辺と比較して極めて安いという指摘がなされたが、確かにそのとおりである。通常、市有地を貸し付ける場合は、福岡市公有財産規則により土地の適正な価格の3%が目安と理解していたが、天神と中洲に挟まれたこの水上公園周辺の地価を考えると、非常に安い賃料であることは明らかである。また、市民から、特定の事業者を過度にもうけさせるために本市が特別に配慮しているのではないか、納得がいかないと思われても仕方がない。そこで、この賃料設定の考え方について所見を尋ねる。

△住宅都市局長 水上公園において、事業者が本市に払う賃料については、福岡市公園条例に定める公園施設設置等使用料として、1平方メートル当たり月900円としており、これは今回の事業者募集に当たって特別に設定したものではなく、市内一律に定めているものである。周辺の地価を勘案すると安いのではという指摘もあるが、事業者は上部空間全体が高い開放性を有した建物に約3億6,000万円の投資を行い、魅力的な店舗も誘致し、多くの市民や来街者が集い、憩う、魅力的な水辺の公園となったと考えている。しかしながら、市内一律の公園施設設置等使用料については、郊外部の地域では逆に高いという声もあり、指摘の点も踏まえ、今後、公園条例の改正も含め、早急に検討を進める。

◯三角委員 公園などの緑資産の有効活用は、財政健全化の観点からも重要であり、今後、他の公園などでもさらに進めてもらいたいと思っている。新しい水上公園は、以前に比べると多くの市民や観光客が集まっており、その点では成功事例だと言えるが、全市一律の使用料を設定しているのは、市民から見ても納得できるものではないため、特に営利目的の施設を公園につくる場合は土地評価額をもとに算定するなど、早急に見直されたい。また、緑資産の有効活用に当たっては、さまざまな工夫や規制緩和などにより、市民に喜ばれる施設をつくっていくことが重要であり、今後ともチャレンジしてほしいと思っているが、その手続については市民への説明責任を果たし、市民に誤解のないように適切に進めるべきであり、議会に対しては特に丁寧な説明を行うことを強く要望しておく。次に、財政健全化に向けた取り組みについて質問する。本市の決算状況を見ると、連結での実質収支は一般会計の約107億円を含め、約391億円の黒字になっている。また満期一括積立金を除く市債残高も、26年度から280億円の縮減がなされ、約2兆2,159億円となり、16年度のピークから約3,700億円減少している。その結果、実質公債比率は毎年度改善しており、起債について国の許可が必要となる基準の18%を、20年度決算から毎年下回っており、27年度においては、26年度に比べ0.2ポイント改善の12.4%となっている。将来負担比率も早期健全化基準である400%を大きく下回る162.4%となっているが、満期一括積立金を除く市債残高は、市民1人当たり147万円となっており、いまだに高い水準である。また、実質公債比率は年々改善しているとはいえ、他都市との比較を26年度決算ベースで見ると、政令指定都市の中で高いほうから6番目、将来負担比率も同様に6番目となっている。あわせて公債費の額が、14年度以降1,000億円程度の水準で推移している状況などを見ると、27年度決算が黒字ということで本当に喜んでいられるのか。毎年のように黒字を計上しながら、一方でいつも厳しい財政状況であると当局からは説明を受けており、毎年首をかしげているところである。今後は、扶助費を初めとする義務的経費や学校など公共施設の大量更新に要する経費がふえることや、少子・高齢化による生産年齢人口の減少、景気の劇的な持ち直しが見込まれないこと、さらには4年度のピーク時に942億円もあった財政調整用基金残高が307億円にまで減少している状況などを考えると、本当の意味で財政の持続可能性に疑問を持つところである。一層の財政健全化に向けた取り組みが必要であると考えるが、その方策として、さらなる収入増、一方でさらなる経費削減という歳入歳出の両面に取り組む必要がある。いずれの取り組みも重要であるが、まず収入面について尋ねる。収入の増加に向けて特に即効性があると思われるのが、収入未済金の回収である。民間経営の観点から言えば、財務状況が厳しい中で、売り掛け債権など未収金を放っておく経営者はどこにもいない。それは、これらの確実な回収ができなければ、会社は破綻してしまうからであり、民間企業における未収金回収の対応は非常にシビアである。そこで、27年度決算における一般会計及び特別会計全体のそれぞれの収入未済について、その額と調定額に対する割合を示されたい。

△財政局長 27年度における収入未済額及び調定額に占める割合は、一般会計は約90億9,000万円、1.1%であり、17の特別会計全体で約176億2,100万円、1.9%である。

◯三角委員 一般会計の収入未済額は、調定額に対して1.1%と少なく見えるが、額としては約90億9,000万円であり、まだまだ改善が必要である。その主な内訳について尋ねる。

△財政局長 一般会計の収入未済額の主な内訳は、市税が約51億1,400万円、諸収入が約28億6,000万円、分担金及び負担金が約9億4,500万円となっている。

◯三角委員 市税の51億1,400万円が収入未済額の半分以上を占めているが、最も収入未済額が大きい市税収入について、過去3カ年の収入率の推移を、現年課税分、滞納繰越分、全体ごとに示されたい。

△財政局長 市税の収入率の推移については、25年度は現年課税分が99.1%、滞納繰越分が30.4%、全体が97.1%、26年度は現年課税分が99.3%、滞納繰越分が32.5%、全体が97.6%、27年度は現年課税分が99.2%、滞納繰越分が36.1%、全体が97.9%となっている。

◯三角委員 毎年収入率は少しずつ改善しており、行財政改革プランに掲げられた目標値である97.1%を上回っているが、収入率向上に向けた取り組みの具体的な内容について尋ねる。

△財政局長 22年度に、副市長をトップとする福岡市市税収入向上対策本部を立ち上げ、納税環境の整備や口座振替の加入勧奨による納期内納付の推進、滞納整理の強化などに取り組んでいるところである。

◯三角委員 収入率向上に向け、当局も努力していることはわかったが、51億円余という金額は余りにも大きい。滞納繰越分については、収入率をさらに高めていくべきと考え、27年度の全体の数値97.9%を下回る収納率の市税項目については、特に取り組みの強化を要望しておく。次に、諸収入の収入未済額28億6,000万円と分担金及び負担金の収入未済額9億4,500万円のうち、それぞれ最も大きな項目とその額について尋ねる。

△財政局長 収入未済額の最も大きい項目は、諸収入では生活保護費返還金で約10億8,500万円となっており、分担金及び負担金では保育料等で約6億7,700万円となっている。

◯三角委員 諸収入の収入未済額について、生活保護費返還金とはどのようなものか。また、生活保護費返還金の過去3カ年の収納率の推移を示されたい。

△保健福祉局長 生活保護費で返還金が生じるのは、主に2つの場合である。1つ目は、保護受給者が、緊急の場合等において資力があるにもかかわらず保護を受けた場合に発生するもので、生活保護法第63条の保護費の費用返還義務による返還金である。2つ目は、不実の申請その他不正な手段により保護を受け、または他人に受けさせた場合に発生するもので、生活保護法第78条による徴収金である。返還金、徴収金の収納率は、25年度が37.8%、26年度が37.6%、27年度が37.1%となっている。

◯三角委員 生活保護費返還金とは、受け取り過ぎた生活保護費を市に返すということだが、当然全額返還が求められるべきであり、収納率の向上を目指すのは当然である。この3年間を見ると、毎年収納率が下がっているが、その要因を尋ねる。

△保健福祉局長 収納率は3年間で年々下がる傾向にあるが、その内容を見ると、当該年度に新たに徴収を求めた現年度分は収納率が上がっている状況であるが、以前から徴収を求めている過年度分の収納率が下がっているという結果になっている。これには、徴収金額の決定後に生活保護が廃止となり、居住地が不明となることで、督促や催告が極めて困難となる事例や納付指導に応じない事例がふえ、徴収に至っていないという実態がある。

◯三角委員 収納率が毎年下がっていることに加え、37.1%という数値は余りにも低く、収納率向上に向けた取り組みが不足していると思われる。払い過ぎたものは返還してもらうのが当然であり、そうでなければ市民の理解は得られない。生活保護行政は、納税者の理解が得られないと成り立たない事業であり、多くの市民の理解を得るためにも、今後どのように収納率を向上させていくのか、その対策を尋ねる。

△保健福祉局長 収納率向上の取り組みは、特に生活保護の場合、信頼を得るためにも非常に重要だと考えている。生活保護を受給している不正受給者については、まずは本人の同意を得た上で、生活保護費の支給時において徴収金を徴収できるような取り組みを進めている。さらに、これ以外の納付書で支払いを行っている者についても、滞納がある場合には、再度返還に係る趣旨を十分に説明するとともに、保護費支給時に徴収する方法についての利便性等の説明も徹底し、確実に徴収に結びつくよう、今取り組んでいるところである。また、生活保護を廃止になった者については、督促などの納付指導を継続するとともに、特に債務者の居住地把握や死亡時の相続人調査等を強化し、納付指導を徹底しているところである。

◯三角委員 生活保護事業については、さまざまな要素が複雑に絡んでいるとは思うが、しっかりと取り組まれたい。次に、分担金及び負担金の収入未済額について、最も金額の大きい保育料の過去3カ年の収納率の推移を、現年度分、滞納繰越分、全体ごとに示されたい。

△こども未来局長 保育料の収納率は、25年度が現年度分98.6%、滞納繰越分9.3%、全体で91%、26年度が現年度分98.5%、滞納繰越分11.4%、全体で91.6%、27年度が現年度分97.9%、滞納繰越分12.4%、全体で91.2%となっている。

◯三角委員 保育料についても、27年度の収納率は前年度と比較して低下しているが、その要因、収納率向上に向けた今後の対策について尋ねる。

△こども未来局長 27年度については、新制度移行に伴う膨大な業務の処理に重点的に取り組む必要があったことから、納付勧奨に十分な時間を割けなかったことや、入所者数の増加に伴い新規入所者の口座振替率が低下したことが、収納率低下の要因と考えている。収納率向上に向けた対策として、現年度分については、確実な納付を進めるため、入所決定通知書や保育料決定通知書、納付書へ口座振替依頼書を同封することにより、重ねて登録を促すとともに、児童が入所している保育所を通じての口座振替の勧奨を強化するなど、口座振替率の向上に努めていく。また、滞納繰越分については、長期・高額滞納者対応の専任の嘱託職員を活用し、面接、資力調査、差し押さえ等を積極的に実施する等、納付指導を強化し、収納率の一層の向上に努めていく。

◯三角委員 保育料は元来、収入に応じてその額が決められており、滞納者の大半は、払えるのに払わない保護者で、車や家のローンなどが優先され、保育料の優先順位が低いのではないかと考える。待機児童の問題がまだまだ解消されない中、長期滞納したまま保育所に入所できる状況が続くとすれば、待機している家庭から、保育料滞納者が入所できて、なぜ自分の子は待機しなければならないのか、保育料をきちんと払うことを条件に早期入所はできないのかと言われても、納得してもらえる説明ができないのではないか。滞納者については、口座振替の勧奨強化や督促など納入指導をもっと迅速に行うとともに、現場の園長などから保護者への納付指導や、卒園後も納付指導を行うなど、これまで以上に収納率向上対策を強化するよう求めておく。次に、特別会計の中で、平成28年3月末日を出納閉鎖日として決算を行った市営競艇事業特別会計を除き、収入未済額が多い会計の額とその主な内容について尋ねる。

△財政局長 市営競艇事業特別会計を除く16の特別会計において、27年度の収入未済額が多い会計は、国民健康保険事業特別会計及び母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計である。まず、国民健康保険事業特別会計の27年度の収入未済額は約72億3,700万円で、主な項目は国民健康保険料の約71億4,800万円となっている。また、母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計の27年度の収入未済額は約27億1,200万円で、全額が貸付金償還金となっている。

◯三角委員 国民健康保険事業については、近年の高齢化の進展等による医療費の増加に伴い、保険料負担が大きくなっている一方で、現下の経済状況、雇用情勢から被保険者の所得の減少などにより、保険料の収納確保にも影響が生じ、その結果、事業の財政状況が厳しくなることが考えられる。そこで、過去3カ年の保険料収納率の推移について、現年度分、滞納繰越分、全体ごとに示されたい。

△保健福祉局長 保険料収納率の推移について、現年度分が、25年度は87.71%、26年度は88.81%、27年度は90.09%で、滞納繰越分が、25年度は17.54%、26年度は20.7%、27年度は23.71%で、現年度分と滞納繰越分を合わせた全体分が、25年度は72.57%、26年度は74.23%、27年度は76.22%となっている。なお、現年度分の収納率については、10年度以来17年ぶりに90%に到達したところである。

◯三角委員 国民健康保険料は、国民健康保険事業を維持、運営していく上で根幹となる財源であり、また、きちんと保険料を納めている人との負担の公平を図る必要がある。保険料収納確保は極めて重要な課題であり、市として収納率向上のためどのように取り組むのか尋ねる。

△保健福祉局長 従来からコンビニ収納などの納付環境の整備を行うとともに、初期滞納者に対してはコールセンターからの納付勧奨を行い、累積滞納者に対しての文書等による催告や差し押さえなどの滞納処分を行っている。また、確実な収納方法である口座振替の促進のため、平成27年1月よりキャッシュカードを利用して区役所などの窓口で簡単に口座振替の申し込みができる、ペイジー口座振替受付サービスを導入し、さらに同年4月からは、規則の改正により、保険料の納付を原則口座振替としたところである。さらに新たな取り組みとして、分割納付世帯についても口座振替ができるよう、システムの改修に着手しており、今後とも被保険者間の負担の公平を図るという観点から、収納対策の強化に取り組んでいく。

◯三角委員 次に、母子父子寡婦福祉資金貸付事業特会における貸付金償還金について、過去3カ年の収納率の推移を、現年度分、滞納繰越分、全体ごとに示されたい。

△こども未来局長 貸付金償還金の収納率については、25年度が現年度分82.3%、滞納繰越分3.7%、全体で16.3%、26年度が現年度分81.9%、滞納繰越分3.4%、全体で15.4%、27年度が現年度分82.0%、滞納繰越分3.4%、全体で14.9%となっている。

◯三角委員 過去から蓄積した滞納を加えた全体の収納率は10%台と依然として極めて低い状況にある。収納率の一層の向上に向け、償還指導の強化が必要であるが、どのような対策を考えているのか。

△こども未来局長 収納率向上に向けた対策として、まず現年度分については、口座振替の原則化、償還が開始となる借受人全員に対する債権の確認と償還指導、償還開始直後の滞納者への重点指導を実施している。滞納繰越分については、償還指導員による訪問指導、長期滞納者への重点指導等に加え、27年度から債権回収会社に一部の債権回収を委託するなど、償還指導の強化に取り組んでおり、今後とも収納率の一層の向上に努めていく。

◯三角委員 当該事業は、貸付金事業であるため、償還されなければ効率的、持続的な事業運営はできないはずである。収入未済金について、現年度分に関しては各会計とも少しずつ収納率が上がっているが、ネックになっているのは、滞納繰越分の収納率がなかなか上がらないことだと思われるため、さらに今以上の努力をお願いしたい。歳入の今後の見通しを考えると、権限移譲に伴うものを除き、市税が大幅に増加するとは思われず、一方で地方交付税も近年、臨時財政対策債で肩がわりさせられるなど、国も頼りにできない。したがって、自助努力によって実質的な増収に直結する収入率及び収納率の向上がまさに重要であると考える。収納率の向上は、公平性の観点や財政健全化の観点からも、積極的に取り組んでいく必要があると考えるが、所見を尋ねる。

△財政局長 収入率、収納率の向上については、市民負担の公平性の確保に加え、歳入の確保の観点からも重要であると認識しており、債権管理に関する手続や基準を定めた債権管理条例の運用、訴訟手続の促進等により、適正な債権管理の推進や徴収の強化に取り組んでいるところである。今後とも、債権管理マニュアルの活用による研修や助言等を通じて、徴収手続の適正実施を推進するとともに、歳入向上推進本部を中心に、全庁的な債権管理の推進に取り組んでいく。

◯三角委員 財政健全化のもう一つの重要な側面である歳出について、27年度決算における義務的経費の額及び歳出全体に占める割合を示されたい。

△財政局長 27年度の義務的経費の決算見込み額は約3,746億円となっており、一般会計歳出に占める割合は48.2%となっている。

◯三角委員 48.2%ということで約半分が義務的経費ということになるが、義務的経費の内訳と額及び今後の見通しについて尋ねる。

△財政局長 27年度の義務的経費の内訳は、扶助費が約2,020億円、公債費が約961億円、人件費が約765億円となっている。これらの今後の見通しについては、近年、保育所等入所児童や障がい児・者の福祉サービスの利用者等が増加しており、今後もこうした傾向が続くと見込まれ、扶助費は大きく増加すると見込まれる一方で、権限移譲等に伴うものを除く人件費及び公債費は、当面、引き続きおおむね横ばいで推移していくものと見込まれる。

◯三角委員 義務的経費のほぼ半分を占める扶助費については、国の制度や法律に基づくものが多く、また景気や雇用状況にも左右されることは否めないが、引き続きそれぞれの課題に積極的に取り組み、適正な事業の推進ときめ細かい取り組みを要望しておく。公債費については、過去の借金を30年もの長期間にわたって返済していくものであるが、近年の市債発行抑制の取り組みにより、先々公債費を圧縮していくことはできても、すぐに削減できるものではない。人件費については、大量採用者の退職期のピークは過ぎたものの、人件費を削減するためには、根本的に業務を見直すことが肝要である。義務的経費とはいえ、人件費については民でできるものは民に任せるという基本的な考え方のもと、民営化や民間委託などを推し進め、その分、新規採用職員を抑制することによって、削減効果が期待できる。次に、民間活力の活用の観点から質問する。我が会派は、これまでも議会の中で、民でできるものは民に任せるとの観点から、自動車運転業務、直営ごみ収集業務、学校用務員業務、学校給食調理業務などの見直しについて質問してきたが、これらについて、これまでどのような見直しが行われてきたのか。まず、自動車運転業務について、運転手つきの乗用系車両の集中管理などをさらに進めることにより、運行体制の一層の効率化を図り、24年度から3年間程度で、対象車両の3分の1程度を減車するとの答弁が過去にあったが、現在の状況について尋ねる。

△財政局長 自動車運転手つきの乗用系車両については、車両の集中管理などを進め、運行体制の一層の効率化を図り、23年度の48台から31台へと17台減車したところである。

◯三角委員 平成27年までの3年間で、24年度に答弁された以上の減車を達成されたことは一定の評価をしておくが、自動車運転業務については、まだまだ見直しが可能と考えられるため、さらなる減車や集中管理など、一層の効率化に努めていただくよう要望しておく。次に、学校用務員の業務については、従来学校用務員が行っていた学校と教育委員会事務局間での文書連絡業務を見直し、民間に委託し、その後も業務のあり方を検討していくとのことであったが、これまでの見直し状況について尋ねる。

△教育長 学校用務員が行う学校の環境整備等に関する業務については、効率的な実施体制となるよう見直しを行い、26年度から、従来の各校1人を基本とする配置から、市内を21のエリアに分け、各エリアの拠点となる学校に複数の学校用務員を配置する拠点校制度に移行している。

◯三角委員 学校用務員の業務については、今後とも児童生徒の安全で快適な学習環境を確保しつつ、効率的な実施体制となるよう業務のあり方、内容について、さらなる検討を行うよう要望しておく。次に、平成27年9月議会において、27年度から開始されたごみ収集における直営業務の見直しについて質問したところ、市の施設から排出されるごみ収集に一部民間収集を導入するとともに、環境事業所の3つの係のうち博多区那珂に配置している第3係を廃止したとのことであった。また、26年度に環境事業所第3係が収集に要した費用についても質問したところ、人件費、施設維持費及び車両整備等で約9,320万円とのことであったが、27年度に一部民間収集に切りかえたことに伴い、要した費用は幾らになったのか。

△環境局長 27年度の民間収集に要した費用は約4,160万円である。

◯三角委員 ごみ収集業務に関して、民間委託により生じている課題や問題点があれば、示されたい。

△環境局長 収集品目によって収集事業者が異なるため、民間委託を開始した27年度当初は、担当以外のごみを誤って収集するなど一部の混乱はあったが、その後は特に問題なくごみ収集がなされている。

◯三角委員 年間で約5,000万円の財政効果を上げており、業務についても、特に課題や問題点がないということである。今後も、ごみ収集業務における民間委託についてスピード感を持って推進されるよう要望しておく。次に、小学校給食調理等業務の民間委託について、現状及び進捗状況を尋ねる。

△教育長 小学校給食調理等業務の民間委託については、栄養教諭等配置校を対象に、24年度からの試行を経て、26年度から本格実施している。26年度は16校、27年度は26校、28年度は36校において委託を実施している。

◯三角委員 民間委託によって生じている課題や問題点があれば、示されたい。

△教育長 民間委託開始直後は、給食の仕上がり時間が前後することなどがあったが、経験を積むことで改善され、安全、安心でおいしい給食を提供できている。

◯三角委員 民間委託後の給食に関して、実際に食べている子どもたちの反応はどうか。委託後に子どもたちや教職員を対象に行ったアンケート等があれば、その結果を示されたい。

△教育長 民間委託試行時の平成25年5月に実施したアンケートでは、約93%の児童が「おいしい」、約88%が「給食を楽しみにしている」と回答している。また、試行校の教職員に対し、平成25年7月に実施したアンケートでは、給食の仕上がりについて約95%が「良かった」、味つけについても約93%が「良かった」と回答している。味つけや衛生管理など、栄養教諭等による日常的な確認、指導を行っており、これまでと変わらない給食提供ができている。

◯三角委員 先日、和白小学校のエアコンのきいた快適な教室で、子どもたちと一緒に給食を食べたが、全員が給食は大変おいしいと言っていた。その日の給食費243円を納付したが、こんなにおいしい給食がわずか243円で食べられることは、非常によいことである。また、一緒に給食を食べた班の中には、アレルギーがあるためか、弁当を持参している児童がいたが、アレルギーに関する取り組みはどのようになっているのか。

△教育長 本市の小学校給食における食物アレルギーへの対応としては、アレルギーの原因となるもののうち、調理の最終段階で除去が可能な鶏卵、マヨネーズ、ゴマ、ゴマ油について、除去した給食を提供しており、民間委託している学校でも、この対応をとっている。

◯三角委員 アレルギーについては、今挙げられた数項目以外にも、さまざまなアレルギーがある。アナフィラキシーショックなど重篤なケースもあるため、さらにきめ細やかな対応を要望しておく。選定された民間事業者は、地場の業者から選ばれたのか。

△教育長 事業者の選定に当たっては、地場に限定せず募集し、給食調理業務の受託実績、衛生管理、人員配置、経費などの視点を総合的に評価して決定している。現在5つの事業者に委託しており、そのうち地場の事業者は2者である。

◯三角委員 直営から民間委託に移行したことによる財政効果を尋ねる。

△教育長 民間委託の財政効果については、直営で運営した場合の人件費等と比較すると、本格実施した26年度から2年間の合計で、約1億3,300万円の差額が生じている。

◯三角委員 民間委託による財政効果が確実に出ている点を評価するが、まだ100校を超える学校が未実施であり、民間委託を拡大すべきと考えるが、今後も民間委託は拡大していくのか、今後の方針を尋ねる。

△教育長 小学校給食調理等業務については、今後も安全、安心でおいしい給食の提供を前提として、順次民間委託を進めていく。

◯三角委員 引き続き、おいしく安全で、しかも民間活力を活用しながら、給食を提供してもらいたい。我が会派は、職員をリストラしろと言っているのではなく、現在の職員の身分を保障することは当然であると考えている。民でできることは民に任せることは、委託を受けた民間業者の企業収益につながり、そのことが市税の増加にもつながるなど効果は非常に大きく、民間での業務委託拡大に伴う雇用創出にもつながると考えている。本市は政令指定都市の中でも厳しい財政状況にあるのは明白であり、引き続き民間活用の可能な職種については、退職補充による新規採用をやめ、再度業務内容を精査し、民間委託を推進すべきと述べておく。経済の劇的な改善が見込めない今日において、市税を初めとする一般財源の増加を待っていても進展はない。こうした状況だからこそ、行政みずからが財政の健全化に向けて収納率の向上に積極的に取り組んでいくべきである。また一方で、歳出の削減、特に増大していく義務的経費の中でも、人件費の削減は財政健全化のために避けては通れない道と考える。最後に、行財政改革プランの計画期間終了後の29年度以降、財政健全化に向けた見直しにどのように取り組むのか、財政運営に責任を持つ高島市長に決意を尋ねる。

△市長 本市では、25年度に策定した行財政改革プランに基づき、健全な財政運営のための取り組みを進め、生活の質の向上などに必要な財源を確保するとともに、将来世代に過度な負担を残さないよう、市債残高を着実に縮減させてきた。しかしながら、今後も社会保障関係費の増加や公共施設の改修、修繕等に係る財政需要の増大が見込まれ、本市の財政は依然として楽観できる状況にはない。そこで、投資の選択と集中を図るとともに、歳入の積極的な確保や民間活力の活用などによる行政運営の効率化、既存事業の組みかえなどの不断の改善に取り組んでいきたいと考えている。さらに、中長期的に、都市の成長と生活の質の向上のために必要な施策事業の推進により税源の涵養を図りつつ、超高齢社会に対応する持続可能な仕組みづくりやアセットマネジメントの推進、市債残高の縮減に向けた市債発行の抑制などにより、将来にわたり持続可能な財政運営にしっかりと取り組んでいきたい。