三角 議員の質疑と答弁

40番(三角公仁隆)登壇 おはようございます。私は、みらい福岡市議団を代表して、我が会派の国分議員が行いました代表質問に関連し、子どもの貧困対策について、不登校の子どもへの支援について、親なき後も含めた障がい者への総合的な支援体制の整備について、以上3点について補足質疑を行います。
 まず、子どもの貧困対策についてお尋ねいたします。
 日本における国民全体の相対的貧困率の調査から、18歳未満の子どもの6人に1人という貧困の深刻さが明らかになりました。また、子どもの相対的貧困率を国際比較した結果、日本の子どもの相対的貧困率は、平成22年の段階で、OECD加盟国34カ国中10番目に高く、OECD平均を上回っていることから、世界的に見ても高いことが指摘されています。調査によると、貧しさのせいでお腹をすかせている子どもや、食事は給食の1食だけという子どもも少なくないようで、特にひとり親家庭の貧困率が高いようです。また、ひとり親家庭や共働き家庭の増加で、子どもが1人で食事をする孤食もふえ、心の面も心配になってきています。食事を誰かと一緒に共有する機会がなく、子どもが寂しい思いをしたり、コミュニケーション不足に陥ってしまうことも心配されています。私の少年時代も貧しかったことが思い出されます。しかし、食卓に上がる食事も質素でしたが、家族の団らんがあり、地域のおじちゃん、おばちゃんにも見守られ、日常生活に不安がなく、安心感があったように思います。政府は、平成25年6月に子どもの貧困対策の推進に関する法律を制定しました。その目的として、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及び子どもの貧困対策の基本となる事項を定めることにより、子どもの貧困対策を総合的に推進するとしています。子どもの貧困対策は、国及び地方公共団体の関係機関相互の密接な連携のもとに、関連分野における総合的な取り組みとして行われなければならないとされています。その後、内閣府に設置された子どもの貧困対策会議では、平成27年12月に全ての子どもの安心と希望の実現プロジェクトを決定いたしました。このように、国は政府全体として、さらなる子どもの貧困対策に関する施策や増加の一途をたどる児童虐待防止に向けた施策の充実を図っています。このような背景から、早いところでは平成24年から、地域における子ども食堂を初めとした放課後の居場所支援活動が起こり、現在では全国に広まっています。さらに、子どもや保護者に対する多岐にわたる生活支援や教育支援のための取り組みに対して、助成する方法が活用されています。近いところでは、北九州市において公設のモデル事業からスタートされています。
 そこで、本市における子どもの貧困対策の推進の内容についてお尋ねします。
 次に、平成28年度から子どもの食と居場所づくり支援事業を始めておられますが、事業の目的と内容、募集方法、選定方法、補助金の交付額についてお尋ねいたします。
 次に、不登校の子どもへの支援についてお尋ねいたします。
 私は議員になって11年目を迎えますが、議員になってから毎年、この不登校の子どもへの支援について取り組んできています。未来を担う子どもたちの幸せのために、重要な課題であると認識しています。私は一生の中でも、特に小中学校時代におけるたくさんの体験は、かけがえのないもので、自分自身の人生を振り返ってみても楽しく思い起こされます。そんな思い出や体験がない子どもたちが将来あってはならないし、進路の保障と夢や希望の実現に向け、子どもたちを育てることは、大事な社会の財産につながると考えています。子どもたちの抱えている課題は多様化しており、それに伴い、いろいろな支援が必要だと考えています。これまでもQ−Uアンケートの実施や欠席者の対応などのマニュアルの作成、適応指導教室、不登校対応教員の配置などの要望に対して、実現できていることもありますが、特に強く要望している小学校への取り組みについては、他都市の事例なども挙げておりましたが、いまだ進んでいないように感じています。
 そこで、過去3年間の小中学校の不登校児童生徒数の推移についてお尋ねします。
 次に、平成27年度の不登校児童生徒の欠席状況ですが、100日以上の欠席者の学年別人数と小中学校合わせた合計人数はどのようになっているのか、お答えください。
 また、190日以上の欠席者についても同様にお答えください。
 また、保健室や別室登校の人数と、別室登校している学校数と、1校当たりの人数についてもお尋ねいたします。
 さて、平成29年度の教職員については、権限移譲による教職員の定数が増加すると聞いております。お聞きしたところによると、児童生徒数の増加による約70人を除き、権限移譲で約130人増加するようです。
 そこで、そのことを活用した本市独自の取り組みについて、具体的にお尋ねいたします。
 次に、親なき後も含めた障がい者への総合的な支援体制の整備についてお尋ねいたします。
 福岡市は、平成25年に人口150万人を突破し、その後も人口が増加し続けています。今後20年間、人口が増加し続けると予想されていますが、一方で、全国平均を上回るペースで高齢化が進んでおり、平成37年には、福岡市の人口の約4分の1が65歳以上の高齢者になると予測されています。また、人口に占める障がい者の割合も増加傾向にあり、身体障害者手帳所持者のうち60歳以上が75%を占めるなど、障がい者の高齢化が進むとともに、平成37年には身体障害者手帳所持者数が、現在の約1.2倍の約6万2,000人に上ると推計され、知的障がい者や精神障がい者も増加していることから、今後ますます障がい福祉施策の充実が求められると考えます。障がい者が高齢化し、その介護者も高齢化している現状を踏まえ、障がい福祉サービスや相談支援などの提供体制の目標を定める障害者総合支援法第87条に基づき策定された国の基本指針においては、親なき後も見据えて、障がい者の地域生活を支援する機能を強化していく必要があるとされています。私の近所にも、障がいのある子どもさんがいる家庭がありました。両親が亡くなった後は、親戚がその子と同居して生活し、現在でも自宅で生活を続けておられます。両親が亡くなった後、親戚の協力が得られる場合は、その後も住みなれた地域で生活を続けていくことができますが、親戚の協力が得られないような場合は、施設に入るしかないということでしょうか。そうではなく、できる限り住みなれた地域で生活が続けられるよう、福祉施策で障がいのある方の生活を支えていく必要があると私は考えています。
 障がい者が親なき後も含めて、地域で安心して生活を続けるためには、親が亡くなる前から福祉関係者や地域関係者などが障がい者とかかわりを持ち、地域全体で障がい者を支える仕組みを整える必要があると考えますが、福岡市はどのように認識しているのか、お尋ねいたします。
 また、福岡市はこのような現状を踏まえ、どのような障がい福祉施策に取り組んでいこうとしているのか、あわせてお答えください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降につきましては自席にて質問いたします。
 
○議長(おばた久弥) 石橋こども未来局長。
○こども未来局長(石橋正信) 子どもの貧困対策についての御質問にお答えいたします。
 まず、本市における対策の内容についてでございますが、平成26年の子どもの貧困対策の推進に関する法律の施行及び大綱の閣議決定を受けまして、平成27年3月に策定いたしました第4次福岡市子ども総合計画におきまして、子どもの貧困対策を総合的に推進していくことといたしております。
 平成27年度には、寡婦控除のみなし適用や、保育所、幼稚園等の実費負担の軽減の取り組み等を開始しており、平成28年度は、子どもの食と居場所づくり支援事業や、子どもの生活状況等に関する調査等を実施するとともに、副市長と関係局長等で構成する推進本部を立ち上げたところでございます。
 平成29年度は、子どもの生活状況等に関する調査の結果も踏まえながら課題の整理を行うとともに、必要な取り組みを検討いたしてまいります。
 次に、子どもの食と居場所づくり支援事業の目的と内容、募集方法等についてでございますが、この事業は、経済的な事情で十分な食事がとれない子どもや、家の中でひとりで食事をしている子などに対して、食事の提供と学習支援などの居場所づくりを行う団体に対し、活動経費の一部を助成することにより、子どもが健やかに育成される環境整備を促進するものでございます。
 公募により実施団体を募集し、補助要件に該当する団体に対して助成を行っているものでありまして、平成28年度の補助金交付決定額は約230万円となっております。以上でございます。
 
○議長(おばた久弥) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 県費教職員の権限移譲に係る教職員定数の活用についてお答えいたします。
 まず、過去3年間の小中学校の不登校児童生徒数でございますが、小学校は平成25年度が149人、26年度が137人、27年度が129人、中学校は平成25年度が814人、26年度が794人、27年度が767人でございます。
 次に、平成27年度に年間100日以上欠席した児童生徒の学年別人数でございますが、小学校では1年生2人、2年生2人、3年生3人、4年生6人、5年生31人、6年生23人、合計67人、中学校では1年生109人、2年生144人、3年生167人、合計420人、小中学校合わせて487人でございます。
 次に、年間190日以上欠席した児童生徒の学年別人数でございますが、小学校では2年生1人、5年生5人、6年生1人、合計7人、1年生、3年生、4年生はおりません。中学校では1年生13人、2年生33人、3年生2人、合計48人、小中学校合わせて55人でございます。
 次に、一日でも保健室などの別室に登校したことがある児童生徒の状況でございますが、小学校は別室登校が102人、学校数が48校、1校当たりの人数が2.1人、中学校は別室登校が395人、学校数が62校、1校当たりの人数が6.4人でございます。
 次に、権限移譲を生かした独自の取り組みでございますが、都道府県、政令市として全国で初めて、不登校生徒のいない離島校2校を除く全中学校67校に不登校対応教員を配置し、不登校及び不登校傾向にある児童生徒に対するきめ細やかな支援を行い、不登校対応の取り組みをさらに充実いたします。また、栄養教諭を計画的に32人増員して108人体制の政令市トップの配置率とし、児童生徒に対して食に関するきめ細やかな指導助言を行い、学級担任や家庭との連携のもと、基本的生活習慣を定着させるとともに、アレルギー相談へのきめ細やかな対応をさらに充実してまいります。以上でございます。
 
○議長(おばた久弥) 野見山保健福祉局長。
○保健福祉局長(野見山 勤) 親なき後も含めた障がい者への総合的な支援体制の整備についてお答えいたします。
 障がい者が地域で安心して生活を続けるための支援につきましては、障がい当事者や関係団体の皆様から、親御さんや家族が介護できなくなった後も安心して生活できる支援の仕組みづくりが必要との声が大変多く上がってございまして、親なき後の支援の充実は障がい者やその家族の切実な願いであるというふうに認識してございます。
 平成28年6月に策定した保健福祉総合計画におきましては、障がい者が地域で生活するための親なき後も含めた総合的な支援体制を整備することを重点課題としたところでございまして、福祉や教育、医療などの関係機関を初め、地域の方も含めて連携し、地域全体で支える仕組みづくりなどを進めていくこととしてございます。以上です。
 
○議長(おばた久弥) 三角公仁隆議員。
○40番(三角公仁隆) 子どもの貧困対策についてお尋ねいたします。
 まず、子どもの貧困対策の推進のため、新たに子ども貧困対策主査を新設するようですが、その職務内容についてお尋ねいたします。
 次に、子どもの食と居場所づくり支援事業として、子どもたちへの温かい食事の提供に加えて、調理や学習支援、昔遊びなどの居場所づくりに取り組んでいますが、現在何団体の活動を支援しているのか、お尋ねします。
 また、平成29年度は何団体の活動を支援する予定なのか、今後の見通しについてもお尋ねいたします。
 さて、私はこの2月に、福岡市で公民館を利用した子ども食堂を初めて開催している、いたきた子ども食堂を訪問いたしました。当日は、子どもたちが20人くらい来て遊んでいました。メニューは、カレーライスとアップルパイで、私も子どもたちにまじって食事をいただきました。大人は100円、子どもは無料です。ボランティアの方もたくさんおられ、お米などの差し入れも多いようです。代表の方のお話によると、今どきの子どもは自分で決めて行動することがなかなかできないようで、遊び体験なども少ないということでした。オセロやトランプ遊びもやったことがないという子も少なくないようです。また、裕福な家庭でも、日ごろは両親が忙しくてお手伝いさんが食事をつくり、ひとりで食べているお子さんもいて、そのような食に対する欲がない子どもも、ここに来たらみんなで楽しそうに食べているケースもあるようです。子ども食堂は、無料で食事を提供するだけではなく、みんなで食事を囲んでわいわい、アットホームで、子どもの居場所づくりとして、遊びや学習支援の場となっているように感じました。今後は、継続してやっていくための地域での人材確保などが課題であるように感じました。
 そこで、市内で子ども食堂を開催している団体の情報交換や交流会などは行っているのでしょうか、お尋ねいたします。
 また、子ども食堂を行っていると、子どもたちの発達や学習のおくれ、虐待、母子家庭の経済状況など、多くの課題を感じることもあるかと思いますが、そんなときに相談するサポート体制はあるのか、お尋ねいたします。
 次に、不登校の子どもへの支援についてお尋ねします。
 不登校の子どもの支援についてですが、不登校児童生徒数が全体としてはやや減少しているかなと思いますが、私は近年、個に応じた取り組みの成果として、適応指導教室や別室登校、フリースクールなどにより、子どもたちの選択肢がふえたにもかかわらず、横ばい状態が続いているのではないかと思います。特に100日以上の欠席とは、つまり年間授業日数の半分以上は学校に行けていないことであり、小中学校合わせて487人で、不登校の児童生徒数の約54%を占め、増加傾向にあるようです。また、190日以上の欠席とは、1年間に一度も学校に行けていないに匹敵することで、小中学校合わせて55人で、不登校児童生徒数の約5.8%に当たります。そもそも、不登校の定義では、何らかの心理的、情緒的要因、身体的あるいは社会的要因の背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況に当たるため、年間30日以上の欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いた者となっています。はっきりとした不登校とまではいかなくても、体調不良など身体的な症状が原因で欠席する児童生徒数の中に、不登校傾向のある子どもたちの数も入れたら、数字的には決して減少しているとは言えないと考えます。他都市では、小学校5年生にスクールカウンセラーや教職員での全員面接を既に行っているところもあります。
 そこで、本市における小学校の不登校や不登校傾向にある児童や保護者への対応策と、スクールカウンセラーの利用方法と利用状況についてお尋ねします。
 次に、私がこれまで各学校に適応指導教室の設置を要望し、福岡市独自の取り組みとして中学校に不登校対応教員が配置されています。ここ数年、その人数がふえることはなかったのですが、平成29年度は、不登校生徒がいない2校を除く全中学校に配置されるということです。大変すばらしいと思います。評価したいと思います。
 そこで、改めて、不登校対応教員の職務内容についてお尋ねします。
 また、全校配置するに当たり、研修などをする必要があるかと思いますが、その内容についてもお尋ねします。
 さて、平成28年の文部科学省、不登校特例校に関する実態調査から、不登校児童生徒を対象とした教育課程を編成している不登校特例校は全国に10校あり、そのうち、公立学校は4校あります。特色ある教科、時間として、音楽、美術、技術、家庭を統合した創造工房や、道徳及び特別活動の時間を統合したコミュニケーションタイムなどを新設しています。コミュニケーション能力の向上を図るためのソーシャルトレーニングの授業や、理科や社会を中心に問題解決学習を中心とした合科的指導、フィールドワーク、体験学習、ボランティア活動、習熟度別クラスの編制、学年の枠を超えたクラス編制を行い、一人一人に応じた学習のレベル、学習量、学習のスピードで実施したり、体験的学習時間を多く確保するために、総合的学習の時間を85時間から105時間にふやすなどの独自の取り組みがあります。この学校の中から、私は東京シューレ葛飾中学校と、東京都八王子市立高尾山学園を訪問させていただき、既に議会においても紹介しておりますが、高尾山学園は、平成15年4月に、不登校児童生徒のための体験型学校特区の第1号として認定を受け、不登校児童生徒のための学校として開校しています。校舎は廃校予定になっていた小学校を改修して利用しています。この学校の特徴は、プレールーム企画の活性化です。ここでは、専属の児童厚生員2名を配置し、児童館活動のノウハウを生かし、人間関係の構築を図っています。また、個性や多様性に応じた指導ができるよう、職員のほかにスクールカウンセラー5名、非常勤講師4名、指導補助員11名が配置されています。月に一度、教員とスクールカウンセラーと連携し、他者理解やメタ認知、自己分析を促す授業も行っています。全授業でチームティーチングが実施されており、体験活動を重視した講座学習も設置されています。そのほか、学科指導教室「ASU」を開講している奈良県大和郡山市では、一時的にも学校以外の場所で学ぶことを保障していくという教育上の配慮が必要であるとの考えのもと、不登校児童生徒の社会的自立を目指した新しい学びのスタイルを提供しています。政令市である京都市においては、洛風中学校と洛友中学校の2校があります。洛風中学校は、平成15年11月に不登校生徒学習支援特区として認定された不登校児童生徒のための学校です。一方、洛友中学校は、不登校児童生徒などを対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校に関する指定を受け、平成19年に開校した昼間部と夜間部の2部制の中学校です。廃校になった夜間中学校で、その機能に加え、両者の学び合いによる相乗効果を目的としています。これらの公立学校の4校は、体験学習、コミュニケーション能力、学力保障など子どもの自己肯定感を高め、自立を目指していくことで、高校の進学率が高くなっているように感じています。本市においても、統廃合の学校が出てくる中、廃校になる予定の学校の活用方法として、不登校、もしくは不登校傾向の児童生徒のための不登校特例校や、京都市のように昼間と夜間の2部制により、夜間については、不登校児童生徒だけではなく、地域の方の学びの講座なども行い、交流するなど、発展的な取り組みもできるのではないかと提案しておきます。不登校、もしくは不登校傾向の子どもたちのための学校づくりに関しても、ぜひ今後御検討いただきたいと思っています。
 次に、親なき後も含めた障がい者への総合的な支援体制の整備についてお尋ねします。
 答弁にもありました福岡市保健福祉総合計画では、親なき後の支援の課題として、親や家族による介護ができなくなる前の早期から、障がいのある人の支援体制を構築する取り組みが必要であることや、障がい者、もしくは障がいが疑われる人で、福祉サービスや通所施設などの社会資源に結びついておらず、社会から孤立している人の支援、介護者が急病などで一時的に介護できなくなった場合に利用する短期入所施設において、医療的ケアなどが必要な重度障がい者にも対応できる支援体制の充実、施設入所者や入院中の精神障がい者が地域に戻って生活できるようにするための支援の充実などが挙げられており、障がい者が地域で安心して生活できるような総合的な支援を検討するとされています。
 総合的な支援を実施するため、平成29年度は具体的にどのような事業を予定しているのかお尋ねして、私の2回目の質問を終わります。
 
○議長(おばた久弥) 石橋こども未来局長。
○こども未来局長(石橋正信) 子どもの貧困対策についての御質問にお答えいたします。
 まずは、子どもの貧困対策担当主査の職務内容につきましては、総合的な連絡調整とあわせて、子どもの食と居場所づくりの支援や関係機関との連携強化などの事業に取り組むことといたしております。
 次に、子どもの食と居場所づくり支援事業の平成28年度の支援団体数につきましては、当初7団体の実施を目安といたしておりましたが、現在14団体に取り組んでいただいております。
 平成29年度につきましては、さらに3団体程度の増加を予定いたしております。
 次に、子ども食堂運営者の情報交換や交流などにつきましては、各団体の開催状況や運営ノウハウの共有など、運営に関するさまざまな情報交換を行うため、市と実施団体とで情報交換会を開催いたしております。
 また、子ども食堂の運営を通じた子どもの支援につきましては、現在、多くの実施団体において、既に地域や学校との連携を図っておられ、子どもの見守りが重要との考えのもと、必要に応じて、学校や区役所などに連絡する対応をとっていると伺っております。
 今後とも、実施団体との情報交換会などを通じて各団体の声も伺いながら、子ども食堂における子どもたちへの支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(おばた久弥) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 小学校における不登校や不登校傾向にある児童や保護者への支援でございますが、担任を中心とする複数の教員で家庭訪問を行い、登校に向けての悩み相談や心のケアを行うとともに、別室での対応が必要な児童には、校長、教頭、教務主任や養護教諭などが校長室や保健室で、学習指導や教育相談などを行っております。
 スクールカウンセラーの利用方法につきましては、学校が児童や保護者の面談希望を受け、面談の日時を設定し、カウンセリングを実施しております。
 スクールカウンセラーの利用状況につきましては、平成27年度は離島を除く141校において相談件数は6,488件でございます。
 次に、不登校対応教員の職務内容でございますが、不登校生徒の学校復帰に向けた校内支援体制のコーディネートや、校内適応指導教室の組織的な運営、不登校生徒や保護者の心のケアのための面談や家庭訪問の実施、医療や福祉面からの支援に向けた関係機関との連携や不登校に関する小学校への支援などを行い、不登校児童生徒数の減少や学級復帰の増加を図ってまいります。
 また、月に1回、不登校対応教員を対象とした児童生徒への支援のあり方や、関係機関との連携などについての研修を実施しており、今後は、不登校対応教員経験者をリーダーとし、実践をもとにする情報を共有するなど研修の充実を図ってまいります。以上です。
 
○議長(おばた久弥) 野見山保健福祉局長。
○保健福祉局長(野見山 勤) 平成29年度における障がい者に対する支援についてでございますが、まず、緊急時を含め、障がい者が必要なときに支援の相談が可能となるよう24時間対応可能な障がい者の相談支援センターを整備いたします。あわせて、必要な支援を受けることができず社会的に孤立している障がい者やその家族を早期に発見するとともに、地域での見守りの体制づくりに取り組めるよう、相談支援センターの職員体制を強化いたします。
 また、親などの介護者が急病になった場合などの緊急時に、支援に当たって高度な専門性が必要な強度行動障がい者や医療的ケアが必要な障がい者も受け入れが可能な体制を整備してまいります。
 さらに、介護者の負担軽減などのため、一時的に障がいのある方をお預かりする短期入所施設において意思疎通が困難な重度の障がい者などが施設を安心して利用できるよう、日ごろから支援し意思疎通が可能なヘルパーを施設に派遣するなど、重度障がい者の支援の充実に努めてまいります。以上です。
 
○議長(おばた久弥) 三角公仁隆議員。
○40番(三角公仁隆) まず、子どもの貧困対策についてお尋ねいたします。
 私は、子ども食堂や居場所づくりですばらしい取り組みをされている東京都の特定非営利活動法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークさんにお話をお伺いに行きました。全ての子どもが大人になることにわくわくしてほしいという思いを込めて平成24年に設立されたそうです。そのきっかけになったのは、代表の栗林さんが、プレーパークで顔見知りだった中学3年生の男の子のつぶやいた言葉を耳にしたことでした。「俺、高校に行けるかわからない」、自称おせっかいおばさんは、その言葉を聞き逃さなかったのです。以降、自宅を開放し、無料塾を開き、食事もコンビニ弁当から栗林家の夕食に変わり、だってが口癖だった子の自己肯定感が育つように心がけたそうです。学生ボランティアを募り、母子家庭の母親の相談に乗り、地域ぐるみでサポーターを募り、親子を支えていきました。テレビのインタビューに母親は、誰かに相談する余裕がなく、そこに立ち入ってくれてありがたかったと振り返っています。生活にゆとりがなく、いっぱいいっぱいになっている人は、みずから助けてほしいとは言いにくいと思います。そのような理由から、この活動は始まったようです。貧困状況にあることで、教育格差が広がり、不登校、いじめ、児童虐待といった困難を抱えた子どもたちがいる家庭は、地域で孤立しがちであり、孤立は問題を深刻化していくので、地域が見守り、学びや暮らしを支え、時には専門家につなぐ活動を行っています。無料学習支援は、貧困で学習塾に行けない子どもたちのため、曜日別に3カ所の会場で支援が行われているので、効果的に学習に取り組むことができます。子ども食堂は、豊島区内4地区で各地区月2回開催され、何回も利用できるので、親子で利用している家庭もあるようです。平成26年11月から、孤食の子どもたちを対象に、16時から20時までの夜の児童館も始めたそうです。これは、家庭的な時間の提供を心がけているようです。また、特徴としては、行政に対して、補助金を申請するのではなく、事業の広報や支援が必要な家庭への周知を行政にお願いしており、事業の経費のほとんどはボランティアで、子ども食堂の食材などもスーパーなどから支援を受けています。さらに、支えている地域の人が、無理をせずに、できることをできるときに活動に参加するので、活動支援の参加者がふえているようです。
 私は子ども食堂を訪問する機会を通して、子どもの貧困対策は非常に重要な課題であると感じました。親が働いていることにより、栄養面だけではなく、孤食の子どもたちがふえていることも知りました。また、生活困難を抱えている親や学習がおくれている子どもたちなど、子どもたちの貧困の問題は多様化していると考えます。子どもたちの居場所づくりとして、子ども食堂の果たしている役割は大きいと考えます。
 そこで、新たに設置される担当主査を中心に、子どもを支える支援ネットワークの構築や、こども未来局、保健福祉局、教育委員会などの関係局による連携の充実を図り、活動支援の充実と拡充について要望しておきます。
 さらに、ボランティアの方が、親子のさまざまな課題や問題に気づいたときに、相談先が内容によってさまざまなため、どこに相談してよいのかわかりにくいことが多いようです。
 子ども食堂のスタッフが、日ごろの活動の中で気づいたこのような問題を、市のどこかが一括して相談を受け付けるような窓口があると、支援や問題解決も早くなると考えますが、御所見をお伺いします。
 次に、不登校の子どもへの支援についてお尋ねします。
 まず、本市独自の取り組みである不登校対応教員の配置については、一定の効果があったと聞いておりますので、今後の取り組みの充実について要望しておきます。
 先日、私は、東京都児童生徒支援モデル事業について、東京都を訪問し、お話を伺ってきました。これは、不登校支援を推進していくための体制を構築できるよう、都の独自の取り組みとして、平成28年4月から6地区で実施し、平成29年度よりは全区市町村へ拡大するという計画だそうです。特徴としては、登校支援コーディネーターの設置です。登校支援コーディネーターには6時間の授業軽減があり、これを補うために非常勤講師を雇用しています。不登校支援教員は、不登校児童生徒の支援のみならず、不登校対応の中心となり、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、養護教諭などとも連携を行い、組織的な解決に努めています。また、養護教諭についても、専門的な視点に基づいた指導、助言を行い、校内登校支援体制を図る職務に対し、週1回の事務補助がついています。そのほか、訪問支援員がおり、家庭訪問や放課後などの相談活動に対し、各学校に週1日つきます。これらの体制を充実するために、週1回の登校支援対策委員会が各学校で行われており、この会議には、要請すれば専門医にも参加していただき、指導、助言をいただいているそうです。校内支援体制を確立することで、チームで取り組むことができていることがすばらしいと思いましたし、本市においても、このような先駆的な取り組みを始めてはいかがでしょうか。また、先ほどの本市の現状の中でも、一つの学校に複数の保健室登校の子どもたちにかかわっている養護教諭がたくさんいることがわかります。特に多種多様な職務を持ちながら、不登校やいじめの問題など、保健室での対応は大きいと考えます。
 せめて、不登校対応教員もいない小学校においては、事務補助などについての検討もお願いしたいと思います。
 国立研究所生徒指導研究センターの調査報告でも、中学校の不登校生徒は、小学校時の不登校や不登校傾向に関与しており、小学校にさかのぼって原因を考える必要があるとされています。本市においても、以前、不登校に関する意識調査で、小学校のときから不登校になる原因があったと答えた先生が80%以上でした。不登校の要因は、家庭環境や情緒、発達にかかわることや学習のおくれなどさまざまだと思います。だからこそ、早い時期からの取り組みが必要だと考えます。先ほど答弁をいただきましたが、本市の小学校における不登校対策の取り組みはまだまだ不十分だと私は感じています。何もスクールカウンセラーとは言いません。以前、文部科学省が進めていた家庭の教育力の向上を目的とした事業、その事業の中での家庭と子どもの支援員などの相談員や、先ほど紹介した授業軽減による登校支援員なども一つの方法だと考えます。横浜市では、いじめや不登校、発達障がいなど、多様化する子どもたちの諸課題に対応し、きめ細やかな教育活動を推進するため、児童支援専任教諭を平成26年度には、小学校341校全校に配置を完了しています。この配置に伴い、軽減された授業などを補完する非常勤講師を派遣しています。児童支援専任教諭は、さまざまな課題を抱える児童、保護者の困り感を的確に捉え、課題解決のための組織的対応の中心となり、担任等への支援、関係機関や地域との連携の窓口、教育相談活動、チーム支援の推進などの職務を担います。児童支援専任教諭は、担任を持たず児童指導担当教諭と特別支援教育コーディネーターを兼務します。兼務することで児童指導の専門性と発達障がいなどの特性に対応するための専門性をあわせ持つことができます。他都市の事例からも小学校の対応はとても大切だということがわかります。本市については、先ほども言いましたが、まだまだ十分とは言えないと考えます。ぜひ小学校にも目を向けてください。
 権限移譲のこの機会を生かし、小学校における独自の取り組みを拡大すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 次に、親なき後も含めた障がい者への総合的な支援体制の整備についてお尋ねします。
 私の周りにおられる障がいのあるお子さんをお持ちの方からは、家族の高齢化が進む中で、自分が先に亡くなったらこの子はどうなるのだろうという、親が亡くなった後の生活に対する不安の声が多く聞かれます。どなたにお伺いしても同じ答えが返ってきます。中には、涙ながらにお話しされる方もいらっしゃいます。親の立場からすれば、子どもが将来も信頼できる環境の中で、安心して自分らしく生活ができるような体制を整えてほしいと思うことは、心からの切実な願いです。親なき後も含めて、障がいのある人が社会の一員として尊重され、みずから意思決定をしたり、みずからの意思で行動したりでき、住みなれた地域で安心して生活を続けることができるようにするための支援の充実は重要なことと考えます。親なき後の施策については、御答弁いただいた事業のほかにも、まだまだやるべき課題があると思います。親族や身寄りがなく、さらに判断能力が不十分な障がい者に対しては、意思決定の支援などを行う成年後見制度の活用が有効だと考えますが、福岡市においても障がい者の成年後見制度の利用促進が必要ではないでしょうか。また、見守りや一定の支援があれば地域での生活が可能な障がい者が、地域で安心して生活できる場としてグループホームがありますが、福岡市ではグループホームでの生活を希望しているけれども、市内のグループホームにはあきがないといった話をよく聞きます。障がいのある人が、住みたい地域で生活を続けることができるよう、その生活の場となるグループホームの設置を、今以上に推進する必要があるのではないでしょうか。このように、親なき後の生活の安心の確保や、障がい者の重度化、高齢化への対応のためには、今後とも施策を強化していく必要があると考えます。しかし、その一方で、超高齢社会が進み、扶助費の負担が増す中では、財源の確保が課題となります。関係者からは、福岡市重度心身障がい者福祉手当などの個人給付事業なども含め、さらなる施策の再構築が必要ではないかといった意見もあると聞いています。
 親なき後を含めた障がい者への総合的な支援については、これで終わるのではなく、限られた財源の中で、必要なところに十分な支援が行われるよう、障がい当事者の声もよく聞きながら、より効果的に施策を進めるための検討を今後とも継続して行っていただくよう要望しておきます。
 障がいのある方が、親なき後も地域で自分らしく生きる力を発揮し、安心して安全な生活ができるまちづくりは、重要な課題と考え要望しましたが、島市長は、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」をまちづくりの目標像として掲げておられます。年齢や性別、能力にかかわらず、高齢者も障がい者も、誰もが生き生きとして、過ごしやすい環境づくりが求められています。
 最後に、ユニバーサル都市・福岡の実現に向けて、障がい者が安心して生き生きと暮らし続けることができるまちづくりのため、今後どのように施策を進めていくのか、島市長のお考えをお尋ねして、私の質問を終わります。
 
○議長(おばた久弥) 石橋こども未来局長。
○こども未来局長(石橋正信) 子どもの貧困対策についての御質問にお答えいたします。
 子ども食堂のスタッフからの相談を一括して受け付ける窓口などの設置についてでございますが、子どもの貧困は見えにくいと言われている中で、その気づきの場として子ども食堂の果たす役割は、今後ますます重要になると考えております。
 このため、適切な支援が必要な子どもにきちんと届くよう、情報の提供方法や連絡、相談窓口の設置等について、実施団体の御意見も伺いながら検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(おばた久弥) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡市の小学校における独自の取り組みの充実と権限移譲を生かした取り組みでございますが、小学4年生以上に学級集団の状態や児童生徒の意識を把握するQ−Uアンケートを実施し、不登校の未然防止や早期発見に努めるとともに、不登校傾向にある児童の支援内容を記録する、いわゆる「すこやか」を上位学年に引き継ぎ、児童一人一人の状況に応じたきめ細やかな支援を継続して行っております。
 権限移譲を活用して、不登校生がいない離島を除く全中学校に配置した不登校対応教員が中学校とその校区内の小学校とのつなぎ役となり、小学校への支援をさらに充実させてまいります。
 あわせて、栄養教諭を増員し、不登校の原因となる健康や栄養の問題を抱える家庭については、栄養教諭が学級担任等と連携して、望ましい食生活の形成に向けた支援を行い、基本的生活習慣を定着させてまいります。
 今後も、国の動向を踏まえつつ他都市の取り組みも参考にしながら、不登校対策の充実に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(おばた久弥) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市においては、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」の実現をまちづくりの目標像として掲げて、市政の柱の一つとして推進をしているわけであります。
 三角議員御指摘のとおり、障がいのある方が親なき後も地域で安心して生活を続けることができるまちづくりは重要であるというふうに認識をしておりまして、障がいに対する市民の理解が進み、ハード、ソフト両面における社会的な障壁が解消されますとともに、障がい者の権利が守られていることが必要であるというふうに考えます。そのために、障がいを理由とする差別を解消するための条例を制定するとともに、障がいのある方やその御家族の切実な願いである親なき後の支援を一層進めるため、ニーズが高まっている施策への重点化を図ってまいります。
 今後とも、さまざまな場面におきまして、ハード面の取り組みはもちろん、何かお手伝いすることはありますかと自然に声をかけられる心の広がりが大切なことと考えており、ユニバーサル都市・福岡のまちづくりの精神が市民全体で共有されるように、しっかりと取り組んでまいります。以上です。